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蛇影の館



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蛇影の館

蛇影の館の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
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No.1:
(7pt)

蛇影の館の感想

奇想の物語による特殊設定ミステリ。
ミステリの為の物語ともいえるし、物語の為のミステリともいえる一作です。複雑な構成なのですが、新しい物語の体験として心に残る印象的な作品でした。

物語は古来より存在していた人間に寄生する生命体『蛇』の物語。
『蛇』は無敵の存在。人に寄生し、その人の記憶を継承して人間に成りすまして生活している。宇宙生物的な感覚で捉えるとイメージしやすいです。
そしてこの蛇は死なない蛇。死んでも蘇る。ただし死んだり消滅する時にはそれなりのデメリットがある。現代では5匹存在しており、その5匹の「衣装変え」という名の人間の寄生先を変えるイベントで事件が発生するという展開です。

正直なところ「ミステリの謎を解く事を楽しみにする」という視点で読むには向かない作品です。
その理由は、物語があまりにも奇抜で現実的に考えられないからです。ただし、訳が分からないから楽しめないのかというとそうではなく、複雑で難解な内容ながらも、読んでいると不思議と面白いのが不思議な味。人間を殺したり乗っ取ったりと倫理感に欠ける部分もありますが、どこか青春ミステリーのような味わいがある奇妙な味わいでした。

特殊設定ミステリとしても適当な特殊性なのではなく、この物語の設定だから可能とするミステリが見事でした。
発想は物語が先なのかミステリの仕掛けが先なのかわかりませんが、絡み合った構造が非常に巧妙でした。

前半の1章・2章ぐらいまでは内容が把握しやすく楽しめたのですが、3章からはかなり複雑な事件模様となり、理解するのが難しくなりました。
ミステリの内容については「整合性がとれているのか」や「他に可能性がないのか」といった点を気にするのはやめ、あまり考えず物語の雰囲気を楽しむ読書となりました。

普通のミステリは読み慣れてしまっていて、新しい変わった特殊設定もの作品を求める方にオススメです。

egut
T4OQ1KM0

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