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再び消されかけた男



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【この小説が収録されている参考書籍】
再び消されかけた男 (新潮文庫)

再び消されかけた男の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
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No.1:
(7pt)

チャーリー・マフィン再登場!

チャーリー・マフィン再登場!原題は文中にも出てくる『拍手で迎えよう、チャーリーの再登場を』(私なら『拍手喝采、チャーリー様のお出ましだい』と訳すが)で、こちらの方がチャーリーの人を食った性格を表しており、邦題よりも相応しいと思う。

さて今回は前作『消されかけた男』の続きから物語は始まる。英国情報部とCIAをまんまと出し抜いて大金をせしめて逃亡したチャーリーはスイスはチューリッヒにいた。悠々自適な逃亡生活を送るかに思えたチャーリーだが、実際は追っ手からの目に怯える毎日を送っており、妻イーディスも暗鬱な逃亡生活に疲弊していた。
酒に溺れる日々の中、チャーリーは慕っていた前上司アーチボルト・ウィロビーの墓参りをしに英国を訪れることを思い立つ。制止する妻の忠告を聞かずにウィロビーの墓を訪れたチャーリーは大きな声で自分を呼ぶ男と遭遇する。それはウィロビーの息子ルウパートだった。ルウパートはチャーリー同様、父を閑職に追いやった今の英国情報部を嫌悪しており、チャーリーを英雄視していた。ウィロビーが遺言で彼の遺産の一部をチャーリーに残した旨を話し、協力を申し出る。しかし、それら一連の出来事は新任英国情報部長ウィルバーフォースと新任CIA長官スミス、ならびに彼らの前任者カスバートスン、ラトガースの知るところとなり、チャーリー抹殺の罠を仕掛けるきっかけになってしまう。

前作に比べると本作は小粒な印象を受けてしまう。今回は逃亡者としてのチャーリーの緊張感を軸にしてチャーリー抹殺のための英国情報部とCIAの丁々発止のやりとりを描いているのだが、プロットがストーリーに上手く溶け込まず、あざといまでに露見しているきらいがあり、チャーリーが逆転に転じる敵側のミスがあからさま過ぎるのだ。チャーリーを罠にはめるべく敵側が取った方法が銀行強盗であり、その被害届のために英国に戻らざるを得なくなるという設定は素晴らしいと思ったが、そのあとのロシアの美術館からのレプリカの美術品を盗む展開は、保険引受人であるルウパートを巻き込んで破滅させようという動機があるものの、やはり蛇足だと思う。

2作目を読んで、チャーリー・マフィンシリーズは海外の連続ドラマ方式の手法を取っていると感じた。1話1話にヤマ場を用意するために誰かが死んだり、登場人物の血縁が登場したりという手法がぴったり当てはまるかのようだ。
それに対して否定はしない。十分及第点の楽しみは得られるからだ。
チャーリーの今後を一読者として見守っていこう。


▼以下、ネタバレ感想

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