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我らが少女A



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我らが少女A

我らが少女Aの評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
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No.1:
(7pt)

不定形の不安が漂う、未解決事件の物語

2017年から一年間、毎日新聞に連載された長編ミステリー。7年ぶりの合田雄一郎シリーズ作品である。
現場を離れ警察大学の教授になっていた合田雄一郎は、12年前に捜査指揮をとり未解決のまま終わった元美術教師の老女殺害事件について、コールドケース担当部署から問い合わせを受ける。池袋で同棲相手に殺された28歳の女性が、老女殺害事件現場から拾ってきた絵の具を持っていたとの情報が入ったのだという。さらに、その女性は事件当時、美術教師が開いていた絵画教室に通っており、合田たち捜査陣が調べた関係者の一人だったのだ。未解決のまま心に残っていた事件が再び脚光を浴びたとき、合田はやり残していた宿題と直面することになる。
老女殺害事件の真犯人は誰か? 28歳の女性が犯人なら動機は何なのか? ストーリーの本筋は犯人探しだが、事件の背景や動機を解明していくのが捜査側だけでなく、事件関係者たちの記憶の振り返り、思い出しにも頼っているため、オーソドックスな警察小説ではない。むしろ、当時高校生だった少女とその友人関係、それぞれの親や家庭環境にまつわるエピソードが重要な役割りを果たす、社会派のヒューマンドラマの色が濃い作品である。事件の謎が解明されてすっきりするというより、漠然とした不全感が最後まで残る、時代の不安を反映したような作品と言える。
合田雄一郎ファンにはもちろん、近年の難解な高村薫に付いていけなかったオールドファンにも安心してオススメする。

iisan
927253Y1

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