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バック・ステージ



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【この小説が収録されている参考書籍】
バック・ステージ
バック・ステージ (角川文庫)

バック・ステージの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

これは素晴らしい

芦沢央と言えば、どろどろとした人間関係を描いたいわゆる「イヤミス」の代表作家ではありますが
この本の表紙を見るとこれまでの作品とは傾向が違うのではと思われます。
実際読んでみると、イヤミス的な印象はほとんど無く、むしろ人間の素晴らしさを肯定する感動的な作品になっています。
この本は既に発表された4編に、「序幕」と「終幕」を書き下ろして付けた短編集となっています。
それぞれの作品はほとんどが何らかの意味でつながっており、事実上は長編といっていいかも知れません。
例えば登場人物が重なっているなど、この種の「つながりのある短編集」はこれまでも多々ありましたが
中でもこの本は最も秀逸な作品のひとつかも知れません。それほどよくできています。

「序章」
若手サラリーマンの松尾が、康子先輩がいやな上司の背任を告発するための証拠集めに協力させられ、奔走する話。
これを読むとまるでくだらないドタバタ喜劇さながらの内容で、もしかすると面白くないのでは?と懸念させられますが、ある意味重要な出だしであるわけなんですね。実は。

「第一幕 息子の親友」
シングルマザーと小学生の息子の話。
自分の子供の素晴らしさを知らないのは実は母親だったりする、というちょっと感動的な話です。

「第二幕 始まるまで、あと五分」
個人的には一番好きな作品です。恋愛ものなんですがホッコリする話すね。

「第三幕 舞台裏の事情」
舞台に出演する男性人気アイドルが女性関係をネタに降板しろという脅迫状を受け取る。
果たしてその意外な犯人とは?

「第四幕 千賀稚子にはかなわない」
認知症の影が忍び寄るベテラン女優の、覚悟と決意。
プロとは何なのかを考えさせられます。

「終幕」
この小説のまさに終幕というか最初の「序章」の意外な結末がここに書かれています。
この小説のシメですかね。松尾と康子の関係も気になるところです。




いわし雲
78XRDN1A

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