■スポンサードリンク


(短編集)

ブラウン神父の童心



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

ブラウン神父の童心の評価: 7.75/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.75pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(6pt)

ミステリーの教科書

時代性が魅力ですが、地味でした。

わたろう
0BCEGGR4
No.3:6人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

極上の本格ミステリ短編集

私がこの本を手にしたのは本当に何気ないことだった。家から自転車で10分くらい離れたところにある書店に大学帰る際に立ち寄るのが日課となっていた私は、いつものように立ち読みを済ました後、コミックコーナーを散策し、ふらりと文庫本コーナーに行ってみると、そこにブラウン神父シリーズ5作が並んでいた。しかも装丁を刷新したようで、なにげに惹かれるものがあった。
久々に推理小説を読むのもいいなぁと思った私はとりあえず1冊手に取り、レジに向かった。A型で几帳面な私はシリーズ第1作が本作であることを調べておいた。
久々に読む推理小説ということで、長編は抵抗あったが、これは短編集だったのもこれを買う動機の一助になっていたように感じる。隣にはアシモフの黒後家蜘蛛の会シリーズも並んでいたが、そちらは興味を沸かなかった。今にして思えばそちらも刷新された装丁であったようで現在も同じ装丁だが、なんだか食指が沸かないイラストだった。このシリーズは今もまだ読んでいない。

さてまずびっくりしたのはこの上ない読みにくさ。シリーズ開幕の1作目「青い十字架」は全編に宗教論が横溢しており、その難解さにいきなり面食らった。最後に明かされる真相はなるほどという域を脱しておらず、しかも半分くらいしか理解できなかった宗教論自体も真相に関与していたことも解り、うわ~、読み通せるかなぁと非常に不安になった。
翌日2作目の「秘密の庭」を読んだ。この真相にはかなり驚いた。久々に推理小説を読んだ当時の私にとってはものすごい真相だった。この真相はもし今初めて読んだとしても驚愕するだろう。この2編目で私の中でこの短編集の評価は一気に高まり、読み続ける決意を固めた。
そこからはもう目くるめく読書体験の連続だった。

ホテルで神父が滞在する部屋のドアの外から聞こえる異なるペースで行ったり来たりを繰り返す足音を扱った「奇妙な足音」。

パーティーで催された劇の最中で盗まれたダイヤモンドの犯人をブラウン神父が見事に当てる「飛ぶ星」。

殺人予告を受けた男は衆人環視の中、なぜ殺されたのかという謎が魅力的な「見えない男」。

領主の居なくなった屋敷を管理する元召使が集める奇妙な品物の数々の意味を探り当てる「イズレイル・ガウの誉れ」。

「狂った形」はブラウン神父とフランボウが訪れた詩人の家で起きた詩人の自殺の裏側に潜む事件を看破する。

決闘を挑まれ、敗れて死んだ公爵の意外な真相が実にチェスタトンらしい逆説に満ちている「サラディン公の罪」。

「神の鉄槌」は庭で殺された男は頭蓋骨を粉砕されるほどの力で頭を割られ、骨の欠片が胸部にまでのめりこんでいたという殺害方法が奇怪だ。まあ、これは今ではちょっと確率的にありえないトリックだと解っているが、当時は面白かった。

エレベーターの開口部に転落死した盲目の女性を殺したのは姉か、それとも被害者の信望する宗教の教祖か。最後にツイストが効いている「アポロの眼」。

なぜ名将名高い将軍は無謀な戦闘を仕掛け、自軍を壊滅させたのかが実にチェスタトンらしい論理が冴える「折れた剣」。

ピストル、ナイフ、ロープ。三つもの凶器が在って、なぜ卿は窓から墜落死したのかを奇想としか云えない論理で解き明かす「三つの凶器」。

この中で心理的に盲目になる錯覚を利用した「見えない男」と「葉っぱを隠すなら森の中。では・・・」のフレーズで知られる「折れた剣」は今でもミステリの王道ロジックとして活用されるくらい有名な作品。
読んだ大学生当初は「見えない男」の論理は、眉唾物のように感じたが、社会人になって出逢う人の数が飛躍的に増えると確かに頷けた。
「奇妙な足音」の実に奇妙な真相にうすら寒さを感じ、「イズレイル・ガウの誉れ」、「サラディン公の罪」、「三つの凶器」の、自分の想像の範囲を超えたロジックにカタルシスを感じ、「神の鉄槌」の宗教的なシチュエーションに目くらまされた思いを感じた。
チェスタトンが逆説の大家であることを知ったのはこの後のことで、とにかく彼の独特の論理は今までの私の既成概念を打ち砕いてくれる思いがした。

本作では最初盗賊として登場していたフランボウが神父に諭されて改悛して、神父の相棒となるという展開も新鮮だった。
本作は冒頭でも述べたように当時超訳に慣れ親しんだ後もあって、実に訳が読みにくかったのが特に印象に残っている。ただその難解な訳文を我慢して読み通すと、間違いなく得られるカタルシスがあった。また難解な話を読むことで自分の知的レベルが向上する思いもした。
あれから数知れず海外ミステリ、国内ミステリを読んでいるが、それでも本作が極上の短編集であることは今でも私の中で揺るぎない。

Tetchy
WHOKS60S
No.2:
(5pt)

とにかく読みにくい!!!

・・・とにかく読みにくい!!!
それに尽きる!!!

何十年も前の作品なので文体が古いというのもあるが、言い回しの一つ一つがとにかくまどろっこしくて仕方がない!
前置きや余計な解説が多いのは海外小説ではよくある事だけども、それにしたってかなりの読み辛さで、結局今何の話をしているのかよく分からなくなる事が何度もあった。
訳が古いせいかと思い、2012年に発売された新訳本も買ってみたが、読みにくさはほとんど変わらず。
「秘密の庭」や「サラディン公の罪」など、古典的ながらもインパクトのある真相も確かにあった。
しかし、それを読み終える頃には、やっと読み終わったー・・・という疲労感の方がどうしても勝ってしまってその余韻にも浸れず。

ミステリファンを名乗るなら誰もが読んでおくべき本だと思うが、「初心者におススメ」は絶対にできない本である。

青鳥の如き囀るもの
QV33BIU3
No.1:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

恐るべき短編集

短編こそトリックが生きると言った作家がいたらしいけど、まさにそのお手本。「秘密の庭」「奇妙な足音」「アポロの眼」など、大掛かりでないけどあっと驚くような心理トリックの宝庫。
特に「折れた剣」の壮大で戦慄すべき真相は読後も深い余韻を残す。

ショボタン
G1380KCM

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!