ある晩かかってきた一本の奇妙な電話。

この主人公の流され方に、自分は違うと言い切れますか。人間・人生の不可思議をとことん突きつめる、著者の新たな代表作の誕生。

その夜、「僕」は、奇妙な名前の強烈なカクテルを飲んだ。

「憶えてるよ」僕は正気を取り戻した。

15年前、ある地方都市のマンションで男が撲殺される事件が起こった。凶器は金属バット。

15年前―。駐車場に横たわる撲殺死体。

その夜わたしは人を殺しに車を走らせていた。突然、停電のため暗闇が街を襲う。

かつての売れっ子作家・津田伸一は、いまは地方都市で暮らしている。

新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。

「僕」こと鮎川英雄には唯一の才能があった。それは「女を蕩けさせ夢中にさせる」こと。

甘く苦い青春の終わりを噛みしめる9編の恋愛小説集。

著者七年ぶりの新作長編!直木賞受賞第一作　 その年の七月、丸田君はスマホに奇妙なメッセージを受け取った。

1944年6月6日、ノルマンディーが僕らの初陣だった。

伝えられなかった言葉。忘れられない後悔。

桜の花が咲くころ、新聞記者を休職中のぼくは一つ年上の女とある酒場で再会し、一夜をともにする。

ニューヨークの地下で拉致された女性は毒の針で刺青を刻まれ、死亡していた。

「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛し合いながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。

「賭け事をする男とだけは一緒になるな。

彼女はぼくと同じ18歳だった。初めての女性だった。

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

宮沢賢治は祖父の代から続く富裕な質屋に生まれた。

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。

作家生活40周年!究極の「佐藤正午読本」 佐藤正午デビュー25周年を記念した単行本『正午派』の刊行から15年──作家生活40年の増補版として新たに編纂された文庫オリジナル【完全保存版】。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

―あいつこんど会ったら殺してやる。まだまだぼくは怒りを憶えつづけなれけばならない。

中央アジアのアラルスタン。ソビエト時代の末期に建てられた沙漠の小国だ。

「もしわたしたちが、いつかおとなになることだけのためにうまれてきたのなら」海岸道路を走る車の中で映子は19歳のぼくにささやいた。

取り返しのつかないあの夜の過ちが、あったはずの平凡な人生を奪い去った。

出版社勤務の沙羅は40歳を過ぎ、かつて妊娠中絶した相手の川島と再会。それ以来、子供が欲しくてたまらなくなってしまった。

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。

あなたと生きる、その痛みごと。

「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。

私はなぜ小説を書くのか。お金のためである。

犯罪のサポートと情報の売買。それがカーラの仕事だった。

前任地での仕事の引継ぎに行って来るといったまま新婚一週間で失踪した夫、鵜原憲一のゆくえを求めて北陸の灰色の空の下を尋ね歩く禎子。

錬金術の秘蹟、金色に輝く両性具有者(アンドロギュノス)、崩れゆく中世キリスト教世界を貫く異界の光……。

昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上とコンビを組むことに。

悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い家。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。

夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。

少女の死をめぐり、食い違う人びとの証言。

日々の暮らしの中で揺れ動く一瞬。その心象風景を花々に託して、あざやかに描き出す。

二〇一七年、東京竹芝で善良な弁護士、白石健介の遺体が発見された。

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。

玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。

誰もが口を揃えて「人格者」だと言う、仙台市の福祉保険事務所課長・三雲忠勝が、身体を拘束された餓死死体で発見された。

写真家志望の大学生・相羽慎吾。卒業制作間近、彼女の夏美と出かけた山里で、古びたよろず屋「たけ屋」を見付ける。

ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。

昭和36年。小学校用務員の大島吾郎は、勉強を教えていた児童の母親、赤坂千明に誘われ、ともに学習塾を立ち上げる。

英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染み、グスク、レイ、ヤマコ。

塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。

雪崩で死亡した兄の遺品を整理するうち、増田直志はザイルに施された細工に気づく。死因は事故か、それとも―。

『完璧な母親』著者が放つ慟哭のミステリー 北関東の前林市で平凡な主婦として幸せに暮らしていた水野いづみの生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。

望むことは、罪ですか？　誰もが顔見知りの小さな町で盗みを繰り返す友達のお母さん、結婚をせっつく田舎体質にうんざりしている女の周囲で続くボヤ、出会い系サイトで知り合ったＤＶ男との逃避行──。