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本好き! さんのレビュー一覧

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レビュー数336

全336件 41~60 3/17ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.296:
(9pt)

ロスト・イン・ザ・ターフの感想

競馬を愛する者たちのラブコメディを描いたらこうなった、といったような実に楽しい作品。どちらかといえばライトな競馬ファン向けだが、著者らしい場面も出てくるし、おもしろくも感動的な作品でした。著者はメジロマックイーン信者か?(笑)
ロスト・イン・ザ・ターフ
馳星周ロスト・イン・ザ・ターフ についてのレビュー
No.295:
(8pt)

逝きたいな ピンピンコロリで 明日以降の感想

シルバー川柳をテーマに、面白おかしくも身につまされるお話が7篇。明日は我が身なエピソードが笑いと涙で彩られる。どれも老後に間違いなく味わいそうなことばかりで、人ごととは決して思えない。でも約100歳のおばあちゃんが活躍する最後の「上にサバ」はなかなか感動的。

「これ読めば 老後の自分が 見えてくる」
お粗末っ!!m(_ _)m
逝きたいな ピンピンコロリで 明日以降
No.294:
(7pt)

百鬼大乱の感想

大田道灌といえば、江戸築城で有名だが、応仁の乱を凌ぐ「享徳の乱」をはじめとする大乱に関わっていたことはあまり知られていない。(複雑すぎて取り上げにくいか?)そこに目をつけた著者が複雑混迷の大乱を、道灌を通じて大作を作り上げた。あまりの複雑混迷さでわかりにくいことこの上なく(一人の人間が2つも3つも名前を変える)エンタテインメント性に欠け、読了まで時間がかかってしまったが、こういった物語を完成させる、何かとこだわりをもつ著者の力量にはただただ脱帽。
歴史小説にも実績を作ってきた著者、次は誰を取り上げるか?
(最後に登場する人物が意味深)
百鬼大乱
真保裕一百鬼大乱 についてのレビュー
No.293:
(9pt)

ふたつの時間、ふたりの自分の感想

これまで読んだ数あるエッセイ集の中でもここまで著者の思い、強いメッセージが届くものはなかなかないのでは。想像を絶する震災の体験を通じてこれからも強く生きていこうという意志。人生のバイブル(と言っても過言ではないだろう)として、落ち込んだ時に手に取れるよう、ずっとそばにおいておこう。
ふたつの時間、ふたりの自分 (文春文庫)
柚月裕子ふたつの時間、ふたりの自分 についてのレビュー
No.292: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

いまこそガーシュウィンの感想

クラシック音楽の中でも最も好きな「ラプソディー・イン・ブルー」がどのように関わってくるか。楽しみに読んだが、音楽と黒人差別問題、大統領暗殺計画をむりやりくっつけた感は否めない。でも、さすがに演奏シーンは珠玉。岬のキャラも際立って神格化の領域か。最後のシーンも七里さんならではの結び方で終わってみれば全てよし。
いまこそガーシュウィン
中山七里いまこそガーシュウィン についてのレビュー
No.291:
(8pt)

サロメの感想

いつもながら著者の史実とフィクションを織り交ぜたアートミステリーはお見事。オスカー・ワイルドとオーブリー、メイベルのビアズリー姉弟の愛憎劇は読み手をワクワクさせてくれる。実際これに近い史実があったのではと思うくらいリアリティがあり、彼らを取り巻く人たちとその時代が至るところから目に見えるように描かれている。
サロメ (文春文庫)
原田マハサロメ についてのレビュー
No.290: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

スタッフロールの感想

本題から少しずれるかもしれないが、映画好きだった私が映画から離れてしまったのは、最近はCGを使用した作品が当たり前になってきた事によるところが大きい。マチルダのような造形師たちが苦労して作成した手作り感あふれる作品に比べて、CGを用いた作品はコンピュータのボタンひとつで作れてしまう(本作にもそんな表現があったかに思うが)、もちろんそんな簡単な話ではないがそんなイメージはつきまとう。どうもその辺のイメージにつられてしまったところにその理由がある。
今後も恐らく昔のように映画を見に行く機会はほとんどないのかもしれない。本作を読んで、そんな勝手な感想を持ってしまった。
でも、物語としては最後には救われる。マチルダもヴィヴもそんな気分だっただろう。モノづくり、殊に映画の制作現場の真剣な取り組みが充分に伝わる読み応えある作品でした。
スタッフロール
深緑野分スタッフロール についてのレビュー
No.289: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

蒼天の鳥の感想

実在した人物を主人公に、史実を織り交ぜながらぐっと引き込まれるミステリを創り上げてくれた。自分好みで乱歩賞の中でもトップクラスの読後感。これまで知らなかった田中古代子・千鳥親子の活躍と行末。作中、二人の存在感が素晴らしいだけに、最後は涙なしでは読めなかった。
それでも、この二人の功績を知ることができたのは大きな収穫。親子揃って夭折したのは残念至極だが、母親の古代子はもちろん、7歳というあまりにも短い人生において、子供とは思えないほどの作品を遺した娘・千鳥の功績はこれからも語り継いで言ってほしいものである。
蒼天の鳥 (講談社文庫)
三上幸四郎蒼天の鳥 についてのレビュー
No.288:
(9pt)

たゆたえども沈まずの感想

著者は史実とフィクションを巧みに織り交ぜた作品創りが実にうまい。架空の人物である加納重吉が実在していたかのように存在感を示している。
また、テオとフィンセントの兄弟愛も読み応えがある。
ただし、特に前半部分では登場人物たちに感情移入出来なかったのが残念。キャラクターが独りよがりすぎたか。後半になってようやく感動を覚えるようになった。
たゆたえども沈まず
原田マハたゆたえども沈まず についてのレビュー

No.287:

水葬 (徳間文庫)

水葬

鏑木蓮

No.287: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

水葬の感想

惜しくも今年(2023年)亡くなった著者の作品を久しぶりに手に取った。限界集落を題材に生命とは?を考えさせてくれる良質のミステリー。
セリフの部分が多く、それによってストーリーを進めていくイメージが少し気になったが、徐々に真相がわかってくるにつれ、どこか現実に起きていても不思議はない気持ちにさせてくれたし、早く続きが読みたい!とわくわくさせてくれもした。事実。著者の作品はともすると(テーマ的に)地味な印象があるが、それはそれで著者の持ち味であると思う。
今後新作が読めないのは残念ではあるが、生命の重さを実感させてくれる作者に巡り合えたのは貴重な経験である。
水葬 (徳間文庫)
鏑木蓮水葬 についてのレビュー
No.286: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

蝶々殺人事件の感想

「本陣殺人事件」と並び称される本作であるが、個性的な金田一耕助と比して、由利麟太郎はその知名度といい、どうしても地味な印象が残る。でも、本作はあらゆるトリックやミステリの要素を取り入れ、鮮やかであった。コントラバスに詰められた死体というシチュエーションもとある作品からのヒントを得ているとのことで、あの時代にこれだけの作品が創れるのはさすがその名を知らぬ者はいない横溝。
しかし、横溝作品を読んだの何年ぶりだろう。読んだことのある横溝作品はいずれも金田一耕助ものであったことに今気づいた。由利麟太郎も忘れずに!
蝶々殺人事件 (角川文庫)
横溝正史蝶々殺人事件 についてのレビュー
No.285: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

空想の海の感想

11編の趣の異なる短編たち。
「海」で不思議な感覚を覚え、「髪を編む」で笑わせてもらい、
「耳に残るは」で背筋を冷やしてもらった。
「御倉館に収蔵された12のマイクロノベル」で唸らせていただき、
「この本を盗む者は」のスピンオフ「本泥棒を呪う者」は最も感動をくれた編。もう一度「この本を盗む者は」を読んでみようか。
そして「緑の子どもたち」で爽やかさを感じるうちに本作を閉じた。
改めて著者のバラエティ溢れる作品群に没頭できる数日間だった。
空想の海
深緑野分空想の海 についてのレビュー
No.284: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

小説 星守る犬の感想

原作者・村上氏によると、実際にあった事件がモチーフになっているらしい。犬好きなら感動的な作品ではあるが、後味はあまりいいとは言えない。亡くなった当人たちの本心も分からずに第三者がきっと幸せだったろう、と考えるのはどうも…
そういったことを美化したような印象も残る。現実的なことを考えると、そんな美しい話ではなさそうだし。
小説 星守る犬<新装版> (双葉文庫)
原田マハ小説 星守る犬 についてのレビュー
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(9pt)

風神雷神の感想

原田マハ版「風神雷神 Jupiter,Aeolus」との読み比べでわかる謎の絵師・俵屋宗達の作家ならではの宗達論。原田版は歴史青春小説なのに対し、柳版は本格的歴史小説といえるか。
評論的な部分もあって、史実に近いのかとも思える。それもあってかところどころに横文字が出てくるのがやや気になった。
でも、ラストに向けてドラマチックになるのはこちらが上か。
本阿弥光悦、出雲阿国、烏丸光広らとの出会い・絡みは面白かった。
風神雷神 (上) (講談社文庫)
柳広司風神雷神 についてのレビュー
No.282:
(8pt)

上水流涼子の究明: 合理的にあり得ない2の感想

比較的コミカル系のシリーズ第2弾。わかりやすいストーリーで、重いテーマが多い著者にしてみれば、閑話休題的な軽妙感。できれば重厚感のある作品の方が著者の長所が出ているとは思う。
TVドラマ化されているが、もしこれが、ドラマ化を前提に書かれたものだとすると、個人的には残念ではある。
合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明
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(9pt)

D坂の殺人事件の感想

創元推理文庫の乱歩全集にある挿絵は、昭和いや大正感が出ていて、乱歩の世界にどっぷりつかれる。一見何が描かれているのかわからないところがGood。
明智小五郎が初登場する「D坂の殺人事件」をはじめ、「虫」「石榴」を読めただけでも本書を手にとって良かったと実感。
D坂の殺人事件 (江戸川乱歩文庫)
江戸川乱歩D坂の殺人事件 についてのレビュー
No.280: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

戦火のオートクチュールの感想

ブランドには興味がないが、謎多きココ・シャネルと彼女を絡めた完成度の高い歴史ミステリーとして、本作は史実を絡めたその本質を極めていると感じさせる。
ココ・シャネルやヒトラーが生きた時代の混沌も彩りを添えて、戦時中と現代を巧みにつなぎ合わせたところも実にドラマチック。
戦火のオートクチュール(祥伝社文庫さ24-1)
佐野広実戦火のオートクチュール についてのレビュー
No.279: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ラブカは静かに弓を持つの感想

音楽小説とスパイ小説の融合。主人公・橘はどこか「ピアノマン」の雪祈に似た雰囲気を持っている印象を持ったが、音楽をやる人間はこのキャラクターが似合うのか。音楽教室の仲間や浅葉先生もそれぞれいいキャラクターで音楽好きには納得の作品。
ラブカは静かに弓を持つ (集英社文庫)
安壇美緒ラブカは静かに弓を持つ についてのレビュー
No.278:
(8pt)

春の物語: 3分間ノンストップショートストーリー ラストで君は「まさか!」と言う12の感想

命名!「童話ミステリー」
ラストで「まさか!」とまでは言わないけど、どこかホッコリするお話が詰まっています。
なかでも「マスクの笑顔」「片割れ雛」「キミの名は……?」「卒業式の前日」「きみがこぼした花」は思わず笑みがこぼれてきます。癒やされたいときにオススメの25篇。
ラストで君は「まさか! 」と言う 春の物語 (3分間ノンストップショートストーリー)
No.277: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

数学の女王の感想

爆弾事件といつテーマ自体に目新しさはないものの、なかなかによく練られているし、女性作家ならではの視点で場面、台詞などがきめ細やか。
数学を物語にはめ込んでいくなら、いっそのこと何やらややこしい数式を散りばめて、トリックなり事件解決に繋がる暗号のようなものにしていくと「数学」というものが生きたかも。
数学の女王 道警 沢村依理子 (講談社文庫)
伏尾美紀数学の女王 道警 沢村依理子 についてのレビュー