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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数745件
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タイトルにある邪馬台国はどこか?のほか、、
ブッタは悟りを開いてない。イエスの復活の真相とは?など、 歴史で見知った内容を別の解釈で解き明かす小説です。 よくある「本当はXXXだった」系の歴史の解説書とは違い、 軽妙なバーでの会話の手掛かりから真相を導き出す流れのテンポが ミステリの終盤における真相の謎が解かれる気持ち良さを受けました。 現実では的外れな解釈であるかもしれないですが、 想像に富んだ解釈と理論的な展開でミステリを感じたのが見事でした。 |
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今まで読んできた道尾秀介の作品は、
人の心の感じ方と受け取り方の歯車のずれの妙が印象的で好みだけど、 結末がずっしりの読了感に、少し苦手意識がありました。 しかし今作は、感動の結末も書けます。と、言わんばかりで、 読後感が気持ちよくまとめ上げており、著者の作風の幅を感じる凄さを感じました。 本書は詐欺師を扱った題材なので、インスピレーションから、 何かしら騙し騙される展開になるんだろうなと感じつつも、それに気づかない。 理想的な詐欺の内容でした。 また、仕掛けに強く目が行きがちですが、 仕掛けはあくまで、物語の登場人物達の気持ちを引き出し、 物語の要所要所で起伏を作るスパイス的なものに感じられ、 私の中での見どころは、その時その時の登場人物たちの心模様でした。 ずっしりと心に残る過去作も好きだけど、 気持ちよく打たれる今作はいろんな人に薦めたくなる作品でした。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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読後に感じるタイトルが非常に一品です。
罪と罰、自己、相手を思う気持ちなどの心の量りを巧く表しています。 各々の考え方が異なる難しい気持ちを、 秋山先生がぼくに語るようにやさしく丁寧に描かれていました。 純粋な子供心によるぼくの考え方。 物事の経験を得た大人の考え方をする秋山先生。 持っている量りが異なる通り、ぼくの最後の決断は私自身が予想外なもので、 かつ、残念に思いました。 残念と言うのは内容や何かに期待していた意味ではなく、 この気持ちは秋山先生とシンクロしているものだと思います。 とても良い作品なのですが、 考え方の違いと好みによりこの点数にしました。 |
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前作の密室を開けないまま推理を展開する「扉は閉ざされたまま」に続く、特殊なシーンを描いた倒叙式ミステリ。
今作は、社長を殺そうと企む梶間。梶間に殺されたい社長。前作に続く超頭脳の探偵役の碓氷優佳。計3名による頭脳戦です。 目的を見ると『被害者+加害者 vs 探偵』と、被害者と加害者の意志が協力している所が斬新でした。 冒頭の著者の言葉にある通り、 「事件が起きるまで」を丁寧に書かれた、他であまり類を見ない作品で、 事件が起きなくてもミステリとして楽しむ事ができるという事と、 究極の探偵を描くことに成功している1作とも思えました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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奇術師の集まる客船ウコン号で起こる奇妙な連続殺人事件。
著者自身が奇術師なのもあり、奇術の情景が良く描かれたミステリです。 また、言葉遊びを用いて回文を散りばめているのが面白いです。 これは、とても泡坂作品らしい作品だと感じました。 背景はちょっと重めな話を扱ってたのですが、 呑んだくれのダメ奇術師と若くて美人の弟子のコンビや 回文遊びなどが相まってユーモアな作品に仕上がっていると思います。 見出しを簡単に抜き出すだけでも 期待を抱き、危険劇、どこまで真(まこと) と言った具合に回文尽くしです。 奇術と回文を巧く用いた作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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一時期本屋さんでたくさん並んでました。
読み終わった感想としては凄いのを平積みにしたなと感服です。 多くの人々に嫌な気分を味あわせるであろうこの文体は凄いです。 この点が好みと言うと変に思われそうですが、 こう描ける筆力は本当にすごいと思います。 ミステリの感じはあくまで活用した程度で、この点で期待すると違う印象を持ちます。 途中まで好みに合わずでしたが、最後の章あたりで作者のやりたい事が感じられて、 なるほどと思った次第です。 また、巧くドグラ・マグラを取り入れたか意識している作品だと思いました。 両方の作品を読んだ方は何の事か感じるかと思います。 個人的には第8章で終わらせたら 色々と物議を醸して面白いかなと思ったりしましたが、 それはそれで難しい作品になっちゃいますね。 陰鬱な情景に目が行きがちですが、構成もよく出来ている作品だと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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絵画の世界や過去の世界の住人に精神が乗り移り、その世界で事件に遭遇する。
不思議な世界の短編集です。 なんともいえない特殊な設定を、硬質に感じる文章で描かれていて少し苦手でした。 ただ、序盤を乗り越え、作風に慣れた頃に挟まれた表題の「ゴーレムの檻」。 これは面白かったです。 檻の内側と外側の空間を反転させると謎の言葉を残して消失した 密室トリックとその動機が斬新でした。 短編集最後に収録された、現代版「ゴーレムの檻」の太陽殿のイシスも 物語の作りが巧い。 序盤、慣れが必要でしたが独特の雰囲気が面白い作品でした。 |
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人の心。心理状況を正しくも悪くも
深読みもできる想像力が長けている作家さんだと今回は強く思いました。 人が接触した時に交わされる心模様を 明るく爽やかに描くのとは逆で、 ミステリの謎で分からない心理状況である不安さを巧く活用して 毎回違った心の物語を作っている気がします。 著者の作品は読み終わって、楽しかった、気分が晴れる。 とは違った複雑な気分を持ってしまうのですが、 それぞれどういう言葉で区別したらいいか分からないような、 毎回違った物語が魅力的だと思いました。 |
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とりあえず、"殺人事件"を付けてみました。
と言わんばかりの、サラリーマンを対象にした娯楽小説。 主人公は30歳。上司と後輩に挟まれた位置にいるサラリーマン。 アクセク会社の為に一生懸命に働き、休みたいのに休むのが怖い。 仕事の苦悩、家庭での奥さんとのすれ違い。 そんな心境を共感する読者がターゲットだと思います。 一応、登場する人々の場である会社で殺人事件が発生し、 ちゃんと推理をして犯人を導く内容はあるのですが、 ミステリーの要素は少なめです。 なんというか、飲み屋で聞きそうな愚痴、共感してほしい悩みなどが たくさん吐き出されている本でした。 以下、本編とは関係ない雑文です。 ネタばれでもなく、あえてミステリとしてこの本を深読みしてみると、 サラリーマンの苦悩の果てに発生する事件の真犯人は"会社"であるとも感じます。 本文中にも出てきますが、「会社に殺される。」という比喩の活用で、 意外な犯人=会社という構造が面白いと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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目張りされた密室、敷き詰められたラベンダー、充満する花の香り。
吉村達也のシリーズ作品はお手軽でさっと読める推理作品が多く、これもその1冊です。 本自体に香料インクでラベンダーの香りを入れている仕掛けもあり、 "香り"が特徴的な作品で使い方も巧いです。 元々短編だった事もあり、短めでさらっと読める作品にしては、 犯人を特定する方法や、敷き詰められたラベンダーの目的の意外性もあり、なかなか面白かったです。 特に本書で特徴的な香りの使い方が見事です。 あまり類を見ない臭覚を巧く活用した作品の1つだと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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トリックメーカーの著者が仕掛けた連続する不可能状況+密室劇。
ドアの開かなくなった事故車から出てきたのは、無傷の男性と内臓を取り出された女性。 事故の直前にすれ違ったドライバーは2人は生きていた事を証言する。 この不可能状況から一気に魅了されました。 その後も関係者の屋敷で起こる怪奇現象や新たな密室。 前作の武家屋敷の殺人を読んだ時の楽しさ同様、 1冊の中にいくつもの仕掛けを施した贅沢な作品でした。 ただ、トリックの奇抜さはとても楽しかったのですが、 「そうだったんだ!」と驚かされたわけではなく、 「そんなことがあったんだ…」と傍観者の気分での読了でした。 何となく思うところですが、 読者が探偵と刑事達から離れた位置で情報を零れ見ている距離感があり、 気持ちが事件に深く介入してなかった気がします。 なので真相を聞いても驚けなかったかな……と。 とは言え、第1の事件の真相のインパクトは強烈だったのは確かなので、 少し残念な読了でした。 それにしても著者からは本格やトリックに対する愛情が強く感じられ今後も読んでみたい作家さんになりました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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感想が難しい…。
内容とは関係ない感じた事の感想です。 本格ミステリ大賞作品ですが、 私にはその本格やミステリの印象よりも、 自分の中にある心の闇のようなものを浮き出された感覚を受けた作品でした。 ミステリの雰囲気で多くを語らず何が起きているか分からないまま話が進むのですが、 要所要所に出てくる単語から連想するイメージに後ろめたさや悪い事を勝手に想像してしまいました。 その連想する思考を持っているから、変な方向に勝手に振り回されて 怖がったり疑ったりしたわけで、 純粋な気持ちで作品を俯瞰して見るとなんでもないようにも思えたりと、 なんと言いますか、心理を操られた気持ちでした。 好みの面で点数は低いですが、こういう作品が書けるのは凄く、 他の作品にも惹かれる気持ちになりました。 |
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麻耶雄嵩氏の作品はたびたび、探偵の存在を問いかけるテーマが隠されていると感じます。
ミステリに探偵は必要ですか?と言ったニュアンスです。 本作での貴族探偵は"探偵"でありながら推理をしません。 推理して一同に伝えるなんて労働は貴族のする事ではないので信頼する優秀な使用人に任せる。と言ったキャラでした。 推理を放棄(断念?)するという要素の問い掛けは過去作でもありましたが、 今作では貴族という特徴を生かして変わった探偵を作りだしていたのが特徴的で面白いと感じました。 短編集に収まっている各話のタイトルも ワルツ王のヨハンシュトラウス2世の曲名からとられており、 貴族である優雅な雰囲気を引き出していると思います。 シュトラウス2世は個人的に好きな作曲家なので 物語にどう絡んでくるのかと淡い期待を抱きましたが、 そこはあまり関係が感じられませんでした。 貴族の扱いについても探偵の存在に活用されている傾向で、 事件の謎にはあまり関与してなかったのが個人的に残念でした。 貴族ならではの舞台や仕掛けが絡んできたらと、期待していた次第です。 物語の中では、こうもりが巧い仕掛けだと思いますが、 ロジカルに解決するのが目立つ加速度円舞曲が一番好みでした。 |
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驚いたと言う声を良く聞いていたのでどんな仕掛けの本かと思いましたが、
これはそこだけピックアップする1発ネタの本ではない印象でした。 個人的には多種多様な考え方や感情表現を感じる作品でした。 当たり前ですが、同じ人間でも様々な考え方や感情があります。 男と女、感情表現の高い人・低い人。正義と悪。日本人と外人。異性が好き、興味ない。など 多くの対比の要素を組み合わせた人々が登場します。 そんな人達の会話や考え方が面白く、読んでいて、あぁそんな考え方があるんだ。と感じました。 印象的なのがブータン人のドルジで、ブータン人は生まれ変わりを信じている。 なので輪廻転生の長い時の中で知り合えた人の幸せを願うし、 死を恐れないから活動も積極的になれる。こんな感覚はいいなぁ。と思います。 軽妙でいて深く心にひっかかる言葉を読んで楽しみましたが、 些細な事が現在と過去の何が起きたか先が気になる謎に絡んでくる作りも巧いです。 引っ越ししてきたばかりで状況が分からない椎名と共に、 読者の私は物語に翻弄された感じでした。 ペット殺しの嫌な感じや登場人物達の物語の結末に心沈むものがあったので 少し好みとは逸れて点数低いですが、作品は凄いと思ってます。 |
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ミステリともホラーともどっちつかずの不思議な内容。
学校の七不思議のように誰が始めたか分からない 不気味な伝承が本書ではサヨコと言う名で存在します。 子どもの頃は学校の七不思議など、怪談というものは友達との会話のネタでしたが、 結局なんだかわからないないまま卒業(成長)と共に忘れてしまっていました。 あの学校と言う空間の中で共有する恐怖というか、今考えると科学的でもない不思議な共有感覚です。 その子供心でのあの不思議な話は結局なんだったのか……。と一瞬思いつつ、 ま、いっか。そんな事もあったっけ。と、自然と他の事に夢中になり視点が向かなくなる。 こんな感覚を大人が触れるような物語だと感じました。 |
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