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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数681件
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樋口真由シリーズ2作目。
前作が、私のこれまでの読書歴の中でもかなり上位に位置づけられる作品。 今作の、虚構と現実の殺人の交差、ってのもアイデアだと思って読んでましたし、この作者さんいいな、って印象。 ここのレビューにもある通り、登場人物が多いのですが、ほんの数名の人物を除いては、没個性の登場人物が多すぎて区別が付き辛かったです。 前作、この手のトリックがありましたので、今回もまたここに何かあるなと思っていたんですが、何もなかったですよね。 だとすると、キャラの描き込みが足りないという事になるでしょうか。 あと、後半物語が動き出してからはキレッキレで面白いんですけど、前半が冗長すぎますかね。 前作は少し「現実離れしている」箇所があったけど、「騙された」感はありました。 こちらとしては、多少現実離れしてようがフィクションだって割り切って読んでるわけですから、やっぱ騙された感があるかないかって大きいですね。 という意味でも、前作に軍配ですね。凝ってるのは今作な気もしますけどね。 |
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タイトルから「アレ」系の話なんだろうなという予想はついたが、まぁ意外な結末ではある。
読み手に意外性を与えるためには、やはり捻りが必要なわけで、この作品の場合それは「動機」だと思う。 納得できるかどうかで評価は変わってくると思いますね。 個人的には、「結果は何も変わっていない」 にもかかわらず、その代償が大き過ぎませんかねぇ、って感じがしないでもないですけど・・・ あと、医療ミステリにはありがちですが、専門知識がないと推理すら不可能ですね。 まぁ医療ミステリってそういうもんだろうって免疫出来てますからそれ程気になりませんけどね。 引き金は教授戦、な出だしだったんで、もう少しわかりやすいものを期待しておりました。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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当たり外れのある作者さんですが、この作者さんの当たりは大当たりになる事が多くこの作品も例外に漏れず大当たりでした。
登校拒否の7人の中学生が日中17時まで鏡の中の世界で、見つければ何でも願いが叶うという部屋の鍵を探すというファンタジーものですね。 読んでいても、登校拒否な人の気持ちなんて私には理解出来ないし、甘ったれるな、とも思ってしまうんですが、この作品は、つまりは「仲間」がいれば、そんな連中の寄せ集めであったとしても、そんな中で役割分担もなされて協力しあってわかりあえて・・・要は人間強くなれるって言っていますね。 読中「生年月日を確認し合ったらどうだ」って思っていたくらい展開はほぼ読めてましたし、登場人物たち~あえて弱者たちと言わせてもらいますが、に同調など全くしていないにも関わらず、読中何度も涙腺が緩みました。何故だか自分にも分かりません。 辻村さんってホント不思議な作品描く人ですね。 |
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主人公を同じに5つの異なる国を舞台にした5編の短編集。
一応謎解きの体をとっていますが、文学的というか詩的というかそういう文体でどこか淡々としていますね。 上手く表現できないのですが、 1つ1つ単独で見るとどこか物足りない感じがするのですが、短編「集」になった時、凄くまとまっているように感じるんですよね。 我々日本人との、文化の違い、価値観の違いを上手く扱ったホワイダニットで、文体もさることながら全体的に「質の高い作品」に思えました。 面白いか面白くないかは別にして、ですが。 |
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タイトルからはファンタジーにも思えるがパンデミックもの。
致死率100%に近いウイルスに感染しながらも奇跡的に生還し「後遺症」と表現される超能力を身につけた者たち戦いを描いた物語。 この作者さんは発想が凄いなぁ。その時点で「勝利」です。 スケールのでかい話なんで、最後どういうオチを持ってくるのか気になってましたが・・・ う~ん、ありがちで想像の範囲内っていうか、こういうのはやめてね的なラストですこしがっかり。 |
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ゼネコンの談合の話です。
ページ数もあって骨太な話ではあるのですが、別業種の人間からの素人的意見を言わせてもらうと、「必要悪」だとは思うけど、そもそも入札とかさぁ、なんでこんなヤクザな決め方してるわけ?って思っちゃうだけなんですよね。 長々と描かれたところで、 権力者にお金が流れるように出来てんじゃん。何でわからないの? 悪しき習慣というか、正直頭悪い連中が揃った業界だなって思う。 そういうのをぶっ壊す主人公って描けないんですかね。 |
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この作者の作品で「幻想」なんて言葉がついてしまうと少々危険な香りがしてしまいます。
この作者には「眩暈」なんていう前科がありましたかな。 しかし、高評価をした「龍臥亭事件」の続編となれば読まなければ・・・って事で読んでみた。 御手洗シリーズだが前作同様主役は石岡で、何故か吉敷も登場する。犬坊里見もいるわけで、ある意味オールスターキャストかと。 その割に、結局謎は解明できずラストは犯人の手記による独白。 だったら御手洗も吉敷も要らんやろって正直オモタ。 バラバラ殺人で、パーツの組み合わせ的な展開まであって、御大ファンなら間違いなくあの作品を想起したはず。 期待は裏切られるのだが、トリックは御大らしさ満載で大味であり、ある意味(では)期待を裏切らない。 |
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月輪探偵が帝大にて学生相手に犯罪捜査学の講座を行うという言わばシリーズのスピンオフ的な中編集。
大学で講義を打つなんていつからそんな名探偵になったのよ。 過去作品を読んできて、彼を名探偵だと感じたことはなかったのですが、今回は学生相手に完全に名探偵になっとるところが笑える。 今作は、杉山潤之助の手記という形式ではありません。彼の名は一度も登場しなかった(と思う) 今作の主人公は3人の個性的な受講生らと言っていいでしょう。 まぁ実際”かませ犬”要員でしかなく、最後美味しいところは全部月輪先生に持っていかれるのですが、お互いをライバル視する彼らの推理合戦や漫才のような掛け合いはなかなかに楽しいです。 それに、失踪事件、密室殺人など事件の質も意外と高かったりします。 |
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冤罪を犯したのではという葛藤・苦悩・恐怖を抱えたまま定年退職した刑事が妻とともに四国八十八箇所の巡礼に出るという話がベースになっています。
巡礼中、あの時と酷似した事件が発生。 「未だ逃げおおせている同一犯による犯行?」「やはり冤罪だった?」 これが刑事の性なのか、離職してまでも気になって仕方がない、自分にそして自分の家族に不利益となる事がわかっていても、つらい過去をもう一度引きずり出し、向き合い、真実を明らかにしようとする。 それだけじゃなく、妻とのこと、子供とのこと、色々な問題を抱える主人公。 ラスト、それが全て一件落着とならないところが、現実っぽくて余計にグッときた。 まぁ、定年まで職務全うした刑事さんの経験値ってサラリーマンなんかとは深みが違うなと実感した。 それと名刑事の影にはやはりできた伴侶ありだね。 50人待ちでやっとこ手にできた図書館本。待った甲斐あった。 |
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香港発、そして香港を舞台とした警察小説です。
評判が高かったため手に取ったわけですが、初めての作家さん、少し苦手な海外モノ、しかも香港の?って事で半信半疑。 名前と地名にネックはありましたが、横山秀夫さん辺りの日本の警察小説だと言われてもそれ程違和感のない感じ。 これは面白かった。 リバース・クロノロジー形式の6つの中編からなります。 各章ともにラストに意外性があって、本格ミステリを体をなしています。 しかし、全体を通してみると、香港の歴史を辿れていて、どこか社会派ミステリを読んだ印象です。 第1章がとにかくカッ飛んでおり、恐らく読み手の心をがっしり掴むんじゃないかな。 |
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前四話からなる中編集なのですが、とにかく分厚い。
心霊写真、なんて展開になった時は、ここからまさかお得意のファンタジーなSF大作が始まるのか、なんて思ったりしましたが、表紙の絵と余りにも乖離してますからね。安心しました。 とは言うものの、 人物造形に長けた作者さんで、この手のほっこり系作品はお手の物と思うのですが、最初の三話は、ちょっとした謎解きのようになっているとはいえ、正直目新しいものもなく単調で起伏もなく正直相当退屈でした。 しかしというかやはりというか最終四話が相当に秀逸なわけですが・・・ 静から動。前半三話の失点を一気に挽回、そして跳ね返します。 涙腺は一気に決壊させられるのではなく、じわじわ緩んでいきますよ。 |
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作者らしいSF設定が盛り込まれた本格ミステリですが、その設定が最も効果的だった作品かも知れませんね。
死者が怪しげな機械にかけられると、記憶を失い復活するのですが、某擬似記憶を植え付けられて復活するというSF設定。 最初にしっかり説明はされているものの、如何にもあるトリックを成立させるための胡散臭く都合のいい設定とも言えるでしょう。 しかし、そのトリックが素晴らしすぎるんで許しちゃう。 生前パート、死後パートが交互に展開する構成なのですが、特筆すべきは死後パートです。 短いし、毎度毎度同じパターンなんですけどね。某方向の錯誤トリックはお見事の一言です。 最後、生前パート、死後パートが交差してクライマックスを迎えるわけですが・・・ あのエピローグはどうなんだろ。 大混乱させられること必至ですね。 |
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SFパニック小説。
読み手は選ぶ作品だろうと思います。 複数の時間軸を行き来する構成はスピード感もあったし魅せ方が上手いな、って思ってました。 前半は面白かったんですけど・・・って感じですかね。 上手く表現できないのですが、フィクションとノンフィクションの境界線がかけ離れていて間がすっぽり抜け落ちている感じ。 ノンフィクションのパートはすごく説得力あるんですけどね。 ラストはSFにありがちな独りよがりな回収になってる気がしました。 で、どうせ独りよがりなんだったらもっと派手にすればよかったんじゃないですかね。 もっとスケールの大きなストーリーに出来たはずです。 |
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月輪龍太郎シリーズの1作目。2作目の「黒龍荘の惨劇」を先に読んでいました。
「黒龍荘の惨劇」同様、舞台は明治時代。 明治憲法制定前の伊藤博文の書生として住み込んだ邸宅で起こった殺人事件。 当時の世界観というか、雰囲気を味わうことができ、歴史モノとしても楽しめるかもしれません。 勿論フィクションなんですが、ト書きや注釈によりノンフィクションっぽく読ませるのが上手いですね。 それにしても、シリーズ1作目にこれをやるとは正直驚いた。この発想は全くなかったです。 ラストで一人を除く主要登場人物全ての印象が反転します。ある意味これこそ大どんでん返しと言えるかも。 読中は、「黒龍荘」ほどではないかな、と思いながら読んでいましたが、「驚かされた」という意味では久しぶりかも。 |
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読中、前作「仮面病棟」と同じ舞台だと言う事に気付いて、まずびっくり。
こういうサプライズというか気づきは嬉しい。 相変わらずのスピード感ですが、こうなると「何かある」感満載。 前作を思い出しながら、そして色々警戒しながら読んでいたら思いの外時間がかかってしまった。 という意味でも、前作は先に読んでおくべきかな。 ピエロの出すミッションをクリアしていきながら、爆弾の仕掛けられた病棟から脱出を目指す、という展開になりますが、登場人物が医療関係者という事もあって、ミッションクリアに手術をさせるなど、なかなかに斬新。ただ、1つ1つのミッションをクリアが早過ぎるのか、どこか軽くて「命をかけての」脱出ゲーム感に乏しい。 また犯人を含め、登場人物に医療関係者らしい、冷静さや落ち着きのある人物がいないってのも難点。 前作と同じ舞台にした、というアイデアに+1点。 |
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聴覚障害者をテーマにした作品は、有川浩さんの「レインツリーの国」を読んだ事があります。
聴覚障害者の日常の不具合や誤解、生き辛さを描いたレインツリーに対して、こちらはミステリーの体を取り、不条理や厳しさを描いていています。 その分重いです。 ろう者ではなく「ろう者に近い、ろう者を理解できる健常者」を主人公にして、一方的な押し売り感を出さず、ほぼ中立的な立場で語らせていて上手いと思いました。 かなり辛いラストを予想していましたが、上手くまとめましたね。 |
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タイトルから「ガリレオシリーズ」だと思っていたのですが違いました(汗)
構成や展開はさすが、という感じなんですけどラストがね。どうしても尻すぼみになってしまっている。 何とも東野圭吾さんらしい作品ですかね。 東野圭吾デビュー30周年記念作品という事で気合も違ったはずですし、理系ミステリ作家の本領を遺憾なく発揮できそうな題材だったんですけどね。 SFっぽい内容になってはいますが、数学者ラプラスが提唱した「ラプラスの悪魔」が基にあるはずで、全くの絵空事でもないはず。 作者なら、もう少し深く掘り下げる事ができたはず。どこか浅い。 また、個人的にタイトルにも違和感がありますね。 魔女はどこに? あの彼女が魔女なの? |
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「孤狼の血」や佐方シリーズを読んだ時と同じだ。
ジャンルはまるで違うけど重厚で骨太、読み応えのある作品でした。 今何かと注目されている将棋を題材。 時代は現代なのでしょうが、学生時代に観た「麻雀放浪記」の世界観そのままに、主人公上条桂介と東明重慶の関係は、坊や哲と女衒の達に重なり、個人的に読んでいて何とも懐かしい気持ちになりました。 そんな背景だけでなく、評価したいのは構成。 白骨死体に纏わる捜査の話と、異色の経歴を持つ棋士の話が並行して進みますが、その二つの流れが一つに重なっていく過程の描き方が、上手いというか読み手を惹き付けてやまないです。 また、読み手には最初に被疑者だけが明らかにされ、被害者が誰なのかは最後まで隠されます。 被疑者は登場人物の某二名のどちらかに絞られるとは思いますが、遺留品が主人公の宝物初代菊水月作名駒である事から、恐らく彼だろうと想像はつきます。 だが動機、殺した理由だけでなく、宝物を手放してまで、の理由が最後まで分からない。 読みだしたら止まらなくなる作品ですね。 恐らく将棋好きの人から対局シーンについて難癖をつけたレビューをたまに見かけますが、そこじゃないんだけどね。 それを考えると、将棋を余り知らない人の方が面白く読めるかもしれません。 |
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作者初読。
冒険小説かつスパイ小説。 読後にこれがデビュー作だと知って驚いた。 読み手を引き込ませる筆力の高さもそうですが、私が一番驚いたのは題材でしょうか。 雑誌のフリーライター時代に得た知識からでしょうか。 北方領土を舞台にしたソ連のスパイが云々話で、今読むと時代が違うからでしょうか、物語の設定が難しくてよく理解できませんでした。 主人公が国家規模の陰謀に巻き込まれるのですが、何故彼が選ばれたのか、そして何より何故ここまで命かけなきゃならんのかが。 なので、高評価とまではいかないのですが、ただ他の作品も読んでみたい。 そんな気持ちにはさせてくれましたね。 |
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舞台は明治時代。
伊藤博文、山縣有朋等、実在した人物が主人公らの関係者として登場させる本格ミステリです。 面白かったです。「月輪龍太郎シリーズ」っていうシリーズ物なんですね。読破しようと思います。 ただ、「法月綸太郎シリーズ」に見えてしまうのは私だけでしょうか。 ラストの真相をありきたりだ、っていうレビューも散見されますが、これには正直驚きました。 私には結構衝撃的でしたけどね。似た作品があったってことですかね、私は知りませんが。 残り数ページになった時点で、糸口すら掴めておらず、「まだ謎は16点ある」なんて悠長なこと言っていて、正直「大丈夫か」って思ってたんですが、読み手を納得させる回答と収束のさせ方。こういう、ギリギリまで引っ張って最後ビシッと決める、ていう構成の妙っていうか、この作者さん、相当センスもいいなと。 |
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