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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数681件
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二階堂氏の作品にはホント独特な雰囲気がありますね。
設定は横溝正史っぽいけど読んでみると、舞台も山奥の僻地って感じじゃなく屋敷も洋風ですから、横溝っていうよりもカーですね。 これまで何作か読んでいて「ほんとにミステリが好きなんだな、この人」って思うんですけど、古典名作いいとこつまみ食いって感じもしなくはないです。 あと、このシリーズは探偵役を好きになれないんですよね。毎回。 個性も魅力もないかなぁ・・・ この作品については、トリックは面白かったですね。 ただ、あの犯人がこんなトリックを思いつく人物にはとても思えないんですけどね。 だから読了後、どこかしっくりこないんですよね。 |
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ハードボイルドです。
北の僻地での偽造家族による偽装生活、それを罠に悪をおびき寄せる、でいいのかな。 妻を亡くした元公安の主人公が、利用されている使い捨てな存在ってのを理解していながら、その偽装生活の中で徐々に生まれる家族の絆ってヤツを原動力に再び戦う決意をするっていう物語。で、この作品の一番の売りポイントはやはり「絆」かな。 疑似家族の中に生まれる家族の絆も当然ですが、前の飼い主から虐待を受けていたドーベルマン・マクナイトと主人公の絆もね。 こう聞くと如何にも面白そうですが、如何せん登場人物たちの関係性が非常に難しく、誰が味方で誰が敵なのか、更には主人公たちが何故ここまで執拗に追われるのか少し分かりづらいんですよね。 警察公安以外に2つの組織が絡んできます。これが複雑ですごく分かりづらいんです。 面白いかどうかは、それが理解できるかどうかにかかってると思います。 「今、何がどうなってるの」「こいつは味方なの敵なの」 しっかり読んでるつもりでもわからなくなるんですよね。ここは減点材料ですね。 |
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バンドに没頭する高校生の青春モノです。
私自身この手の分野に全くの門外漢という訳でもないのですが、もしこういうのに全く興味ない、っていう方が読んでも問題ないかなと思います。 要はコテコテじゃないってことです。 というのも、選曲にしても誰もが一度は聴いたことがあるでしょう、ていうメジャーな曲ばかりですし、ライブの臨場感が伝わる描写もないですから、格好良さの押し売り的なところがありませんしね。更に、演者のテクを感じられる描写もないので、何を言っとるのか分からんっていう表現もないでしょう。 で、実は、ラストも予想通りの展開。ミエミエだったのですが、これが実に面白かった。シンプルなのが良かったのかな。 メンバのキャラも良かったんだけど、脇役連中の配置、役割が絶妙だったなぁって思います。 |
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分かりやすくてしかも非常に読みやすい社会風刺小説ですね。
小学生辺りに読ませたいですね。どんな感想持つでしょうか、非常に興味あります。 憲法改正のニュースなんか見ててイマイチよく分からんのだけど恥ずかしくて人には聞けない、なんて大人にも、勉強にもなる話だと思いますよ(笑) 作中にハンドレッドという蛙が登場します。 ここのレビューにもありますが、「これ百田さんだな」と気付いた時、「だったら・・・」で、この作品の面白さは膨れ上がります。 個人的に「デイブレイク」っていう表現がツボでした。 だから、大人でも楽しく読めるんです。 一番可能性が高くて、一番つまんない結末だったので1点マイナス。 もう少し弾けてもよかったのでは。 |
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今や絶滅危惧種と言える昭和の頑固じじいの物語で連作短編の体です。
この作者さんの作品では「異端」と思って読み進めていて、「なかなかいいんじゃない」なんて思っていたんですが、最後は結局刑事事件を絡めてしまうんですね(笑) 正直、そのせいでどことなく薄い話になっちゃった気もしましたが・・・ それに、続編あってもいいんじゃないかなぁ、とまで思っていたのに殺しちゃったよ(笑) 「迷走」してないですかねぇ・・・ |
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殺人事件の加害者及び被害者家族の立場から、その罪と罰、そして死刑制度にまで、真摯に向き合ったかなり重めの作品です。
作者にも正解は出せなかったのか、意図的に出さなかったのか・・・実際回答は出されていないように思うのですが、そんな訳で、読了後、結構じわじわくる作品です。 娘を殺害された被害者側の夫婦である道正と小夜子。 中学生でありながら妊娠、出産、そして産まれてきた子供を出産後直ぐに殺害した加害者側である史也と沙織。 この2つの別の殺人事件を起点とした、被害者側、加害者側の関係者のその後の人生の対比がズシッときます。 被害者の側は女性(小夜子)、加害者の側は男性(史也)の方が、強くそして正しく生きているように描かれています。 そして、被害者側の男性(道正)は「静」、加害者側は女性(沙織)は「堕」 こう見てみると女性って両極端ですよね。壊れるか凶暴になるか(笑) 二人共壊れたという解釈もできそうですが。 私は小夜子の言動が理解できず不快でした。作者は意図的にそういう人間として描いていたようにも思えました。 そして史也には同情が向くようにも。 作者の回答はこれなのかな、とも少し思ってるんですけどね。 史也が罰せられる事は果たして正しいのでしょうかね。私にも分かりません。 |
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この作者さんは、直木賞受賞作の「流」に次いで2作目でしたが、二番煎じという感じは否めませんでした。
この作品は3人の中学生の苦悩を描いた物語。 「流」は少年たちの「成長」物語でしたから、その辺り異なっていて、どっちが面白いか、というのも人それぞれだと思います。 「流」にも犯人探しなミステリ要素が含まれていましたが、この作品は、30年後その主な登場人物3人のうちの誰が殺人鬼となったのか、というミステリっぽい手法を含めています。 前半は、「流」と同じパターンじゃねーか、って読んでましたから、後半少し盛り返したんですけどね。 この作品を「流」より先に読んでいたら、評価は逆転していたでしょう。 要は、先に読んだ方が、1点多いって感じになると思います。 |
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三作の中編集だが、未来三部作と言われているらしい。
構成が巧みな作家さんで、この作品もまさに「伊坂ワールド」なんだけど、3つの独立した話に後付で薄い関連を付加して繋げて1つの物語に仕上げた感じ(で正解?)。 単行本表紙にドミノが描かれてます。 何かをきっかけに、全く関係がなさそうな3つの作品が繋がっていく、伊坂さんで言うと「ラッシュライフ」なんかもそんな作品だったと思いますが、確かにその手の作品のつもりで描かれたんでしょうけど、はっきり言って、この作品は難しすぎて初読で理解するのはまず無理ですね。 そう言われてみれば、表紙のドミノ、全部倒れそうにないですけど、意図したものなのでしょうか。 |
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文庫化される際に「さよならドビュッシー前奏曲(プレリュード)」と改題された訳ですね。
その方が絶対に売れるでしょう(笑) ドビュッシーにも登場した某人物のスピンオフの連作短編集ってところでしょうが、いやいや上手く繋げたなぁ。 こういう広がりは楽しいですね。 最終章の「最後の挨拶」ってタイトルは、ドビュッシーを既読であれば、どことなく洒落て聞こえます。岬洋介も登場しますよ。 この最終章で1ポイント加算です。 勿論ドビュッシーは先に読んでおきましょう。 |
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これは恐らくこの作者さんの黒歴史になる作品ですね。褒めるところがないです。
外資系企業をリストラされた主人公が、過疎化が進むクソ田舎の再生に挑んでいく話かと思いきや違いました。 っていうか、外資系企業アラフォーでFP2級を取得できないなんてリストラされて当然ですよ。 兎に角、計画性がなくやることなすことバカ丸出しで空回りしっぱなし。 いわゆるダメ人間の部類で、このおつむで地域再生なんて出来たらビックリです。 ただ、この作者さんですから、ラストはスカッとひっくり返してくれるのではないかと我慢して読んでいましたが・・・ 着地点は、最初から見え見えでした。 |
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「日本沈没」を彷彿とさせる災害小説。
兎に角スケールがでかいです。 専門用語が多々出てきますが意味を十分理解できなくとも、そのリアルな描写に圧倒され十分怖さは伝わります。 単行本で600頁超えの大作ですが、正直これでも足りないくらいです。 というのも、これだけの極限状態ながら醜さを顕にする人間が一人も登場しないっていうところにはやはり違和感を感じました。 命からがら逃げる主人公視点が多すぎて、本来ならもっと深掘りして色々な角度から描けたはずだったのでは、と。 最後に、日本再生への道が示されますが、そこが沈没しちゃってもう何も出来ない作品とは違うところ。 だったら、アイデア提示で終わるのではなく、そこも描いて欲しかった。 1000頁は必要な作品でしたね。 |
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座間味くんシリーズの短編集。
このシリーズは、これぞ石持ワールドって感じですし安定してますね。 個人的に好きなシリーズでもあります。突き抜ける感じはないですけど・・・ 「月の扉」にも登場した大迫警視長と(将来を嘱望されている)女性巡査に座間味くんが加わって、食事中に、 「昔こういう事件があってね」という警視長、「勉強になります」という女性巡査。 で、安楽椅子探偵座間味くんが意外な一言を吐いて終わるという毎回同じパターン。 意外と飽きないのが不思議。 タイトル作は秀逸でしたが、以前読んだ「心臓と左手」と比較してかなりこじつけが・・・というか、強引な作品が目立ちましたね。 まぁ「こじつけ」はこのシリーズの代名詞でもあるんですけど・・・ 今後、リアルタイムの事件に対峙する座間味くんも見てみたいなんて思いました。 今「月の扉」を読み返したら面白いかも知れないなぁ。 |
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20年前の幼児誘拐事件の犯人の娘が大手新聞社に内定というスクープに対し、事件を犯し窓際に追いやられている元記者が、20年前の誘拐事件の真実を解き明かすという物語。
まぁ例によって例の如く、警察が20年かけて解明できなかった事件を、捜査素人たった一人で・・・っていうのには無理があります。 しかも、その元記者が何か突飛な手段を使ったというのなら分かるんですが、至ってオーソドックスな取材の中から・・・って感じですしね。 それともう1つ、この作品には欠点があって、読中から、結末だけは予想できてしまうんですよね。 誘拐された子が殺された、死体で発見された、なんて記述が一切ないわけですから、普通想像がつきますね。該当者は一名です。 そうなると、ほぉ、作者さんはここで、事件を複雑に見せようとしているな、なんてのが見え見えになっちゃう。 意外な犯人のつもりだったんでしょうけど・・・惜しいですね。 でも、凄く面白かったんですよね。 同じ乱歩賞受賞作の「13階段」とか「天使のナイフ」に似た雰囲気はあります、というのは少し大げさかな。 この2つの名作同様、人物をよく描けていると感じたんですが、やっぱ名著の条件の1つですよね。 |
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「死神」と言うと伊坂の千葉を想起してしまいますが、この作品の死神レオは犬の姿で登場。
レオの目的は、死を直前に迎えた人間が地縛霊とならないように、生前の未練を解き放つ事。 作品内では4人の人間を救いますが、独立した話と思いきや、4人の過去と現在がリンクしており、ラスト皆で7年前の未解決事件を解決するという構成もまず見事。 人の形をしながらも人間離れしている千葉と、人と接する事で人間の感情を少しづつ理解し人間らしくなっていくレオ。 どちらが好みかは人それぞれだと思うし、私は伊坂の死神シリーズ大好きなのですが、胸熱にしてくれたレオに軍配をあげてしまう。 シュークリームが好きだったり、優しい女性に恋心をいだいたり嫉妬したり、自分は高貴な存在と毅然な態度を取るレオだが、尻尾フリフリで内面バレバレなのが面白い。 クスッと笑えたりホロッと泣けたり、そして読後感も最高です。 おすすめの作品。 |
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法医昆虫学捜査官シリーズの第4段。
まぁどうでもいいですけど、カバー絵の赤堀涼子は36歳に見えないのですが・・・ このシリーズでは、犯人が一番狂気に満ちてましたかね。 タイトルから、「村のしきたりや風習を守るための・・・」的な物語を勝手に想像して読んでいたので、ラストは「あれっ?!」な感じになりました。 この人が犯人だろう、とは何となく想像はついていたのですが、違った調理法を見せられた感じ。 でも、ガッカリしたわけではなく、これはこれで面白かったですね。 赤堀同様、ある分野で突出したスキルを発揮できる人物だったので、ラストのせめぎ合いはかなり見所ありました。 もう少し、例えば駆け引きとか、派手に魅せる事もできたとは思いますが・・・ でも、このシリーズでは一番かな。 |
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横溝正史ミステリ大賞を受賞したハードボイルド作品。
コテコテのハードボイルドは苦手なのですが、この作品はノリが軽くてテンポも良いので読みやすいです。 ノリが軽いっていうか、「言葉選び」という点で凄くセンスを感じさせますね。 そしてやはり印象的なのは、(作品タイトルにも繋がるのであろう)「虹の種」の話。 要するに「悲しみを背負った人達を幸せにするために戦う主人公」の話をハードボイルドに描いている訳ですが、挿入されたその「虹の種」の話が、作品のとんがってる部分を弱めてるというか、上手く言えないんですが、すげー効果生んでるように思えました。 恐らくは作者の創作だと思うのですが・・・まぁだとしても、だとしなくても、これがデビュー作っていうのにはちょっと驚きです。 ラストで主人公より真相が明らかになるシーンは、私自身も読んでて違和感ありましたし、他のレビューとか見てみるとやはり賛否両論のようですね。 でも、個人的にそういう趣向の作品じゃないですし、まぁいいんじゃないかと。 |
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作者初読。
「怒涛のどんでん返し、一気読み注意」 帯にはこういう表記がされています。 確かに2時間で読み終えましたが、「怒涛」じゃなくて「見え見え」ですぜ。 他のレビュアーさんも似たように感じた方が多いようで、キャラ設定にしても、プロットにしても、まとまっているとは思うのですが、こじんまりまとまり過ぎで、全体的にどこか物足りないです。意外性もなかったですしね。 特に不満だったのは、凄い悪事をはたらいている人物が、しかも元々主人公より上の立場の人間でありながら最初から最後まで「弱すぎ」で、巨悪さを感じられなかったこと。 犯人の目的が何となく予想できた状態で読んでましたので、主人公に対する危機感とか、殆ど感じられませんでしたね。 作者は現役の医者という事ですので、医者にしか描けない仕掛けや世界観などを是非。 そんな分かりやすく説明なしでも今の読み手は付いてこれると思うので。 |
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赤堀涼子シリーズの2作目。
5作目→1作目→3作目という順番で読んできたこのシリーズですが、それ程困ることはありません。 今回はウジ虫さんの活躍は少なめでとんぼさんです。 って、別にウジ虫に期待しているわけではないのですが、1作目の反響がすごすぎて控えめになってるのかな、とかも考えてしまいますね。 その分、少し物足りないのですが・・・(笑) 但し、今作は虫の力がなければ絶対に解決してない難事件でしたね。 そういうプロット思いつくのも凄いって思います。 |
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今マイブームの作家さんのデビュー作にて乱歩賞受賞作。
「呪い」がテーマで、主人公が、殺人の被害者にかけられていた呪いの謎を追っていくというお話。 歴史、風習、信仰なんぞの薀蓄を垂れ流されても疲れるだけですが、主人公に軽くそれを語らせているので助かりますね。 被害者の孫娘を主人公のパートナーに置いていますが、この頭の回転の早い女性をパートナーにおいているのも効いてますね。 ですので、「呪い」という言葉から想像できてしまう気味悪さやおどろおどろしさはそれ程感じません。 しかし迫力あり、何故か読後感もよしです。 やはり、この作者侮れません。 |
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