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追伸



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【この小説が収録されている参考書籍】
追伸

追伸の評価: 3.23/5点 レビュー 22件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.23pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全22件 21~22 2/2ページ
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No.2:
(5pt)

最初は面食らうが、否応なく引きずり込まれる

1年1冊のペースを守る真保裕一の新作を読んだ。斬新な描写手法を考えたなあと感心させられたが、本一冊丸ごと手紙のやりとりに終始。1冊の本の中に、手紙の書き手が4人登場するのだが、それぞれの手紙の中ではそれぞれの書き手の叙述となっており、会話というものがこの本では存在しない。読み始めてしばらくは、いったいどういう展開になるんだろうと面食らい、とまどったまま少し我慢しながら読むことになるが、ほどなくしてペースがつかめ、本の中に吸い込まれていく。恋愛物かと思いきや、ミステリー的な要素、人間の生き様的な要素も加わり、何ともぜいたくなコンテンツである。真保裕一の本では毎度のことだが、一気に読んでしまった。
追伸Amazon書評・レビュー:追伸より
4163262806
No.1:
(4pt)

男女の心が一番ミステリアスかも。

真保さんの最新作は、全部手紙、という形式にチャレンジした意欲作。
手紙文学といえば古くはアメリカの「足ながおじさん」、国内だと
宮本輝の「錦繍」も有名ですね。「錦繍」は、別れた夫婦が再会後に
手紙のやりとりを始める話でしたが、この「追伸」は、妻が夫に
離婚を切り出す手紙から物語が始まります…

ギリシアに造船の仕事のためにひとりで赴任した山上のもとに
あとからついてくる予定だが交通事故で怪我をしているために
日本に一人残っている妻・奈美子から長い手紙が届く。

中には離婚届が同封されていた…納得できない山上は、別れる気は無いし
なぜそうしたいのか理由が判らないと返信する。しかし妻の決意は固い…
最後に、奈美子が、自分に似ているという祖母と祖父が50年前に交わした
手紙のコピーを山上に読んで欲しいと送ってくるところで第一章が終わっている。

第二章は、その手紙のコピーを、主人公とともに読者も読むことになる。
奈美子の母方の祖母・春子が夫(祖父)と交わしていたのは、
殺人容疑で逮捕され拘束されていた春子と、彼女の無実を信じてひたすら
救おうとする夫の一途な愛情のあふれる手紙。しかし、春子は、夫にもいえない
殺人よりも知られたくないある秘密を抱えていた…

そして、祖父母の手紙から色々感じるところのあった孫娘の奈美子と夫の山上が
お互いに手紙の感想などを送りあう第三章で物語はしめくくられる。

全文手紙、ということで、テンポよく読めます。美しい祖母とその祖母に似た娘の、
美しく生まれてもなかなか幸せになれない不器用な生き方も丁寧に描かれていますが、
そのふたりの間の奈美子の母が、容貌は醜くないのに外見に無頓着に生きてきた
理由が後半で明らかになり、なるほど、と思い、印象に残りました。

真保作品の男性は、前作の「最愛」のときも思ったけど、
とてもよくつくすタイプの(女性から見て)都合のいい男タイプが多いような気がします。
それに対して女性は結構わがままだったり図太かったり生命力が強くてしたたか。
そんな2組の男女の時代を超えた心のすれ違い、愛のかたちが解き明かされる、
広く深い意味でのミステリーです。

前作の「最愛」では成功していると言い難かった真保氏の「ミステリーと恋愛を
盛り込んだ長編」という試みは、今回は重厚な読み応えと、この男女はどうなるのか、
という緊張感があって、なかなかうまくいったのではないでしょうか。
手紙形式なので細かく読むのもじっくり味わえていいかもしれませんが、謎を味わうには
じっくり一息に読むことを個人的にはお薦めしたい所です。
追伸Amazon書評・レビュー:追伸より
4163262806

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