蜂の巣にキス
評判
蜂の巣にキスの評価:
4.09/5点 レビュー 11件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1〜11 1/1ページ
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蜂の巣にキスの評価:
4.09/5点 レビュー 11件。 B ランク
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ただ、どのあたりからだったか、神様とか宗教色が強くなってきたような気がして違和感を感じ始め、この本も以前購入済みだったのに未読でした。改めて手にとってみればやはりおもしろい。この「蜂の巣にキス」、「薪の結婚」、「木でできた海」はクレインズ・ビュー3部作と呼ばれ、ニューヨーク郊外の同じ小さな町を舞台にした物語なんですが、たまたま「木でできた海」も積読状態になっていたので、この2冊共止まらなくなって半日で一気読みしてしまいました。
他のレビュアーさんもおっしゃっているように、いつもふわふわと非現実的なキャロル作品の中ではかなり現実に足がついた物語です。
新作が書けなくてパニックになっていた作家サムはふと気が向いて生まれ故郷へ。いろいろとなつかしいもの、人に再会し感激している最中に思い出したのは15歳の時に上級生の少女が殺された事件。彼女が川に浮いているのを発見したのは自分だったのだ、しかも警察の捜査にはなにやら不審な点が。これを新作のネタにできるのではないか?と。
今は町の警察署長になっているかつての悪ガキ、フラニー・マケイブや殺人犯人に仕立てられ刑務所で自殺したエドワードの父親と一緒にあれこれ調べ始めます。このフラニーは後に「木でできた海」では主役を勤めることになります。また、サムがお互い一目ぼれで恋に落ちるヴェロニカが怖いです。熱愛とストーカーは紙一重ですね。
キャロルにしてはめずらしく強いて言えばミステリ色の方がファンタジー色よりも強いかもしれません。ただやはりあくまでもキャロル作品。本格推理と勘違いして読むと、なんだこれは?になると思います。
歌うようにリズミカルな独特の文章と、いつもそれを見事な日本語に翻訳された浅羽莢子さん、逝去されたそうで残念です。キャロルの本は本当に名訳でした。
また、時々にさりげなくはさまれる人生訓のような言葉にもうならされます。たとえば「大事なことはいつも手遅れになってからわかる。老いることの悲劇は、長いことかかってやっと学んだ物事を、もう応用できないことにあるんです。」
「我々は理解できる理由や怨恨を捜すことばかりに時間をかけるがそんなことをしても無駄なんです。ただ”そうであるもの”も世の中にはあるんです。その不条理が我々を怯えさせる。なおも捜し続け”理由がないわけがない”と言い続ける。あいにく、いつもあるとは限りません。
天災がいい例です。竜巻やハリケーンが襲ってくるたびに教会が破壊され善良な人が100人は道連れになる。理屈では説明がつけられないから、被害総額を計算し1億ドルと判断する、死者を数えて209名と言う。数字ばんざい!数字なら理解できる。説明はしてくれないかもしれないが、耐えるために必要な1つの秩序を作り出してはくれるんです。」などなど。
殺されたポーリン、気に入れば誰とでも寝て酒飲みで評判は最悪、けれど超成績優秀、強烈な好奇心のままに動き回り、気に入らないといやというほど刺す”蜂の巣”と呼ばれた少女の実像がだんだんと明らかになってくるところもスリリングです。最後の意外な真相は賛否両論かもしれません。が、変わらないキャロル節を堪能できました。よかったです。