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我らが影の声
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我らが影の声の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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「死者の書」に次ぐキャロルの第2作で1983年に発表されていますが、なぜか日本ではこれだけ翻訳が遅れ、6作目の「犬博物館の外で」の後、1991年に刊行されました。調べても「諸般の事情」としか出てこないので理由はわかりませんでした。ただ、個人的に感じたことですが、衝撃作だった処女作「死者の書」と凝った構成で名作の誉れ高い「月の骨」や「炎の眠り」にはさまれて、こちらはキャロルにしてはひねりがなく凡作に見えてしまいます。 残酷な兄ロスと凶暴なその親友ボビーにいつもいじめられながらきつい子供時代を過ごしたジョゼフ、今は物書きとしてどうにか名をあげ文筆で食べていけるようになりました。ハンサムだけれど根っこは今も臆病でヘタレな主人公、いつも安全な方ばかり選んで生きてきたことには内心忸怩たるものがありました。兄はどうしょうもないいやなヤツだったけど、その大胆さに憧れていたのも事実。このつらい幼少期というテーマはキャロル作品にはよく登場します。 それから話はジョゼフがウィーンへ移住した後に移ります。作中に書かれていますが、主人公が”何もかもが僕の好みに、静かで、落ち着いていて、気持ちよく退屈な街”ウィーンへ戻りたくてさっさとアメリカを後にする、これは現在もウィーン在住だというキャロルの気持ちそのままではないかと感じました。キャロルのように繊細そうな人にはマッチョなアメリカよりも屈折したヨーロッパの方があうような気がします。 そしてジョゼフはあるアメリカ人夫婦に出会って意気投合、それからはまるで家族のように一緒に行動することになります。けれどその妻とジョゼフがお互いに惹かれあってしまい・・・。夫は出張から帰宅後まもなく心臓発作で死亡してしまう、異変はそれから現れます。このあたりは真っ当なホラーと言っていいでしょう。 キャロル作品の中で一番の恐怖仕立てというのは本当で、他の作品でここまで恐怖を前面に押し出したものはなかったと思います。ただ、最後の4ページを省いてはごく普通のストレート直球な作品で、キャロルらしい複雑さ、多様さ、優美さに欠けるというか・・・。2作目でストレスがかかりすぎてトーンダウンしてしまったとか・・。実際、キャロルの名が知れ渡ったのは3作目が発表になってからです。 そしてそのラストですが、矛盾があるような気がしてなりません。ネタばれするのであまり書けませんが・・・もし妄想ならば、彼がそれまで通常の日常生活を送れていたわけがないし、おかしな行動をまわりに指摘されていたと思うのですが・・・。または、もし恨みを持った霊が存在するとしたら、たとえ地の果ての孤島に逃げても意味ないのでは・・。 ということで、キャロル作品にはめずらしく星3つになってしまいました。 | ||||
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キャロルの日本で刊行されている他の作品を全て読んでしまっていた者には、あまりに単純と感じてしまう結びでした…。 書かれた順に読んでたらもっと楽しめてたかも。 でも登場人物たちのキャラクターと起伏ある言動、豊かに散りばめられた万華鏡のようにきらめく知識と引用など(読みながら何度もWikipediaを検索〜)はキャロルらしく、結末への収束がある程度は予測されながらも、楽しめました。 | ||||
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