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空中庭園
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空中庭園の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.05pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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「対岸の彼女」がなかなか面白かったので購入。「対岸の彼女」は女同士の友情をメインに扱ったものでしたが本作は家族がメイン。まるで絵本のようにかわいらしく暖かみがある表紙ですが、中身はもの悲しくも痛々しい、表紙の色調を反転したような内容になっています。 家族の間で秘密はなし。そう決まりごとがある一家族のそれぞれの秘密が短編で明かされる構成です。ズドンと落とされないかわりにはっきりした希望もない。総じてどこか薄暗くもやもやとした終わり方になってます。 一番印象に残ったのはやはりこの決まりごとを作った母親のストーリーでしょうか。私はお母さんとは違う、私は幸せな家族を作れていると何度も何度も呪いのように考える彼女が母親でありながら子供にも見える。こういう母子の関係性、わかる人案外多いんじゃないかなと思います。 とある普通の家庭の薄皮を一枚めくったような短編集。ストーリーに起伏はなくエンタメ性は低いですが、身につまされるというか、嫌な感じに胸に刺さる文章が多かった。 本筋的には悪くないのですが、シーンごとの見せ方がややくどくセリフの砕け方が気になる部分がけっこうあったので☆2.5評価としています。あまり明るい気分にはなれない小説ですが、歪ではあるものの崩壊しない安定さを持った家族の形にいろいろ考えさせられました。 | ||||
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対岸の〜とか森に〜とかそれなりによかったけどこれはなんかつっこみたくなったので。 まずこの家族まあお父さんはその辺しらんけどおばあちゃんもふくめて家族全員友達いないってなんかおかしくないですか?異質な性格ってわけでもないし暗くもないし協調性とかそれなりにあると思うんだけど。。特にこの子供たち家庭教師の愛人とはすぐに仲良くなってるのに。。この中でしいていえば友達いなそうなのってこの愛人な気がするんだけど(魔性の女って感じで女に嫌われそうなタイプだし)そこは触れてないんだね。他もよんだけどこの人のって何故かやたら友達いない人多いですね。 しかも秘密が大したことないし。。お母さんとおばあちゃんとの確執ってあるけどその割には仲いいし、確執の理由ってのもなんだかね。このお母さん融通聞かないタイプなんだね。角田さんて文章はうまいと思うけど直木賞取れるほど実力ないと思うよ。 | ||||
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「秘密を持たないようにしよう」という家族が、実は全員秘密を持っていて、それをそれぞれの視点から書いていくという話。 一見、怖そうとかグロテスクとか、感じるかもしれないが、そんなことはない。 家族が家族としての役割を演じ、団欒を演じるということはどんな家族にもあることで、自明の理。 それを書いて何かを「あばいた」ように見せかけては・・、新人賞作品ならまだしも直木賞作家のやることではない。 家族がそれぞれに秘密を抱えている、過去がある、背徳がある、これは現代においてはごく当然の「前提」であり、この作品は長々とその「前提」を書いているにすぎない。社会的動物である人間は誰しも、本心から行動する場合もあれば、そうしたくなくてもそう行動することもある。家族に見せる顔とキャラクター、会社の人に見せる顔とキャラクター、一人になったときの顔とキャラクター、皆それぞれ異なっているのが普通で、それらすべてをひっくるめてその人間である。 (以下ネタばれ含む) 作中に、長男の家庭教師で、父親の愛人である女性(ミーナ)が、当該家族の誕生会に参加して、普段の別の顔を知る父親や息子の振る舞いに違和感を覚える場面があるが、果たしてこんなことを、それもこの章のクライマックスのように書く必要があるだろうか。とりたてて不思議なことか。 不倫している父親が楽しそうに家族サービスしていることは確かに違和感の対象かもしれないが、小説の根幹に来るような事象でもない(もしそれが主要テーマならその小説はかなり陳腐なものじゃないだろうか)。 娘から始まり、第二章の父親の章に入ったところで、小説の先は読めたと思った。最終章は息子の視点だろうと思っていたらやはり息子だった。 6人の視点で書くというのは凝っているようだが、安直にも思える。文体を書き分けられて作者は楽しかったかもしれないが、視点が6つあっても何ら小説のテーマは深まっていかない。「みんなそれぞれ色々あって色々抱えてるんだね」と感じるだけ。いたずらにページ数だけが過ぎる。 第6章でようやく、テーマの深化がわずかにあったようには思うが。 平凡な家庭や日常の風景を、何かつまらないものとか批判する対象のようにとらえる書き方を含めて、好きになれない作品だった。 | ||||
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表題作「空中庭園」を含む全6編の短編集。 「ダンチ」に住む家族に焦点を合わせ、彼らと彼らをとりまく人々による、各章ごとに一人称話し手の変わる連作短編。 「家族内に秘密を作らない」というモットーの家族の元、彼らの持つ秘密を各自の視点で、本音で、その光と影の部分を映し出していく。 正直言って、胸くそ悪い小説だった。もっと言うと落ち着かない小説だっと思う。バッドエンドではなく、完全にオープンエンドな小説だが、作者が何を言いたいのか、この話に何を託して求めたのかがさっぱり分からなかった。 角田光代は素晴らしい作家だと思う。表現技法も展開も、何もかも巧いと思う。 今作においてもだ。各自の独白による描写は見事の一言だった。話し手の変わる、その順番なども完璧だった。時間軸やゆるやかに流れる物語や構成の点からも、娘の視点から始まる構成はアレしか無いと思う。 だからこそ残念で仕方ない。もっとやり方があっただろうとか考えてしまう。 前述した「落ち着かなさ」は忍び寄る絶望や崩壊のイメージや、のっぺりとした同じような人物像(それを家族というなら仕方ない)からも来ている。 サブタイトルを付けるなら「パンドラ」だと思う。まだ、希望はある。 映画版では母親の一視点のみだったが、そこにも原作後半に表現された「希望」がクローズアップされての事だろう。 「頑丈な鍵のかかったおそろいのドア。5つのドアそれぞれの向こう側に、きっとグロテスクでみっともない、しかしはたから見たらずいぶんみみっちい秘密がわんさかひしめいて――これから先ずっと繁殖しつつひしめき続けるのだろう」 223ページより | ||||
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