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(短編集)
退出ゲーム
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退出ゲームの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.90pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全39件 21~39 2/2ページ
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「わたしの名前は穂村千夏。」高校の吹奏楽部のフルート初心者。顧問の先生、草壁信二は指揮者。幼なじみの上条春太はホルン。二人の万能な男性に囲まれているのは著者の理想?と思ったら、著者はwikiによると男性。千夏が理想だったんだ。お話が進むごとに、一人づつ部員が増えていく、オーボエの成島美代子、中国系アメリカ人でサックスのマレン、次年度入学予定予定のトロンボーンの後藤朱里。「ハルチカ」シリーズの第一巻。発見角川 | ||||
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日常系ミステリ。 人の死なないミステリ。 ツッコミにまわりやすい女子高生が主人公。 ミステリですが、そんなに考え込まなくても、するすると言葉が頭に入っていくような、優しい表現が多いです。 非常にテンポが良いので、割と飽きっぽい自分ですが、サクサク読めました。 | ||||
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高校の吹奏楽部を舞台とした日常の謎を解く連作ミステリーです。 米澤穂信さんの「氷菓」シリーズなどが好きな人は是非読んでください。 主人公たちの軽いノリと「謎」の背後の重たい現実とのギャップが感動を呼びます。 主人公の成長ストーリーの側面もあり、青春小説として読めます。 「初恋ソムリエ」「空想オルガン」と続編が出ていますが、吹奏楽部顧問の先生の謎がまだ残っておりこれからが楽しみです。 | ||||
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奇人変人オンパレードの'80年代学園ものギャグ漫画に通ずるノリがまず下地としてある。キャラが立っててなんぼ、ていう。 そしてやはり’80年代部活根性漫画を彷彿とさせるストーリーの大枠がある。『〇〇部の主人公たちが××大会を目指す』的な。 そんなレトロスペクティブかついつの時代でも有効な革袋に、昨今隆盛の、青春ミステリ/日常の謎、というフレッシュで涼しげな酒が詰められている。 このコンセプトの明確さが、ともすれば曖昧で掴みどころの無い、今ひとつ共感性に欠ける同系統作品たちから大きく抜きん出る差別点になっている。 賑やかに楽しく、なおかつ思いきり切なく。同時代的屈折も含みつつそれをもっと大きく温かい何かで包み込んでしまう力技が、この作品世界にはある。 単なる青春ミステリ、では片付けられない、ソウルみたいなものを感じる。たぶんこれが'00年代の青春小説のひとつの答えだ。 『漆黒の王子』で感じた「只者じゃない」感は本シリーズを読んで定着した。 初野晴、センスの塊。 | ||||
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「ハルチカ」シリーズ第1弾。 何の気なしに手にとってみたのですが、読んでみると止まらない。 著者の初野さんは、水の時計 (角川文庫)で横溝正史ミステリ大賞を受賞しているそうです。 ちょっと、意外な感じがしました。 学園モノのミステリーのなかでは、トップクラスの作品だと思います。 ハルチカシリーズ全巻制覇にのりだした私。 お勧めです。 | ||||
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「すごくおもしろかったっ」と、興奮ぎみの娘に 「またか」と、半信半疑で付き合ったのですが、 久々の大当りでした。 魅力的な謎の提示と、意外性に富んだ解明は まさに“探偵小説”。 しかもそれだけじゃない。 作中に人生の喜怒哀楽を織り込まれ 時を隔てて交差し、豊かな物語を紡ぎ出します さまざまな楽器の音色が絡まり合って美しい音楽を奏でる 吹奏楽のようです。 登場人物たちの振る舞いはマンガのキャラクターのようですが。 読後感は、老練な作家の描く味わい深い時代小説を読み終えた時の それに似ています。 これほど切れ味の鋭い短編に出会ったのは久しぶりです。 今年一番の収穫かも。 | ||||
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なめてました。 なんていってもこれ覚えておいたらいいかもっていう雑学が豊富。 特に色と音の関係は面白かったですね。 明るい話もあり、目を背けたくなるような現実話もあり気づけば4話目は母の声も気付かないくらいのめり込んでいました。 簡単すぎず難しすぎない私にはちょうどいい本でした。 ガチャピ○をはねた話めっちゃ読みたいです(笑 | ||||
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小説を読むのが苦手な私が、楽しく読めました。 小説はちょっと…と言う方にも是非読んで頂きたいです。 仲間が一人ずつ増えていき、後半になるほどおもしろいです。 謎解きの部分では、私はどの章も見抜けませんでした(笑) | ||||
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チカとハルタの二人が高校で起こる様々な謎を解き明かしていく学園ドラマ。 いちおうミステリーっぽくはなっているが、基本的にはコミカル。テンポよく話はすすみ、読みやすい。ギャグもところどころ笑える。かと思いきや、いきなりシリアスな方に話が流れたりするのも魅力。 四話の連作なのだが、毎回登場する脇役がなかなかいい味を出している。 その反面、主人公の魅力が弱い気がする。 この作品がシリーズの1作目ということなのだが、主人公二人の設定がよくわからず、どうも感情移入できなかった。特にハルタ。事件の探偵役を務めるのがこのハルタなのだが、「なんでこんなことを知っているんだ?」と思ってしまうくらいに博識である。唐突な感じを受けてしまう。 「日常の謎」を描いているだけに、キャラに感情移入できればもっと面白いはず。 | ||||
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あるネットの記事で取り上げられていたミステリ作家ということで、手に取った本書。 本作品は、吹奏学部に所属する清水南高校一年生のハルタとチカの活躍する4編を収めた連作短篇集なのですが、「学園ミステリ」と言うジャンルに40歳代のオジサンとしては躊躇してしまったのも確か。 すでに主人公の親の世代ですから…。 でも、読み始めてみると、案外抵抗なく、読み進めることができました。 それは、著者が1973年生まれのためか、1980年代に学生であったなら良く知っている(逆に言うと今の高校生は知らないのでは)と思われるネタが散りばめられていたから。 もしかすると、本作品の高校生は(設定は現代ですが)現代の高校生ではなく、もう大人になってしまった世代が思い出として記憶している高校生像なのかも…。 さて、肝心のミステリの部分ですが、これが高レベル。 殺人事件が起きない――いわゆる「日常の謎」を扱ったミステリですが、その謎のユニークさに目を奪われます。 収録順にみると… 1【結晶泥棒】 化学部から劇薬を使った結晶体が盗まれた…。犯人の目的は? 2【クロスキューブ】 全面真っ白のルービック・キューブ。その解法は? 3【退出ゲーム】 即興劇の名前だが、必勝策とは? 4【エレファンツ・ブレス】 幻の色とされているが、どんなものなのか? いずれも、謎の部分だけ取り出すと、今一つ分かりづらいと思いますが、巧みなストーリーによってたちまちのうちに引き込まれてしまいました。 全作品とも、その解決部分が巧妙に張られた伏線を見事に回収し、かつ意外性も十分。 中でも3と4は、「学園ミステリ」と言う枠を突き抜けて、思いがけない広がりが、謎の解明の果てに待っている、奇跡的な傑作。 「学園ミステリ」でこれほど感動出来るとは思ってもいませんでした。 本作品は「一年生」の時代を描いたものとのことで、「二年生」以後を描くであろう続編も、期待大です。 | ||||
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なにげなく図書館で見つけた。退出ゲーム、初恋ソムリエ、空想オルガンと3作品綺麗に並んでいて、なんの情報もなく借りてみた。 いや〜面白かったです! どちらかと言えば青春ミステリーはあまり肌に合わないと敬遠していました(某作者の古典シリーズとかが嫌いです) しかし、これら一連のシリーズは好きですね! とにかくキャラがいとおしく憎めない。軽快な掛け合い、笑いの質も高く、また推理に至っては本格派、時に涙…久しぶりに大好きな作品に出会えて幸せです。 | ||||
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期待の「き」の字もなく読み始めたんですが当たりでした。 最近の青春ものでは一番じゃないんでしょうか。 ハルチカシリーズ第一弾にあたる本作退出ゲームは廃部寸前の吹奏楽部を立て直すため部員不足の中、普門館を目指す弱小、吹奏楽部は顧問の草壁先生の下、部員集めからとりかかります。 しかし行く先々には謎がたちはだかり…… という感じのストーリーだったと思うんですが、 主人公のチカとハルタのでこぼこっぷりが面白く、 表題作の退出ゲームは非常に面白かったです。 続くクロスキューブはラストに少し泣けました。笑いありで涙ありのまさに青春小説のお手本のような作品でした。 1話ごとに工夫があって部員に勧誘するのだけど、みんなに悲しい過去や謎があって、それを解決していき仲間を得るところに何かしら友情や青春の甘酸っぱさがあるわけで、必然と次回作にも期待が掛かるわけです。 | ||||
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廃部寸前の弱小吹奏楽部に所属する恋する高校一年生、穂村チカ。 幼なじみの美男子、ハルタとともに、学園に次々と発生する難事件に巻き込まれ奮闘する。 いやぁ、おじさんになってもこういう学園物ミステリは大好きです。 特に好きなのは表題作の「退出ゲーム」。 演劇部に所属する奏者を部員として獲得するために、「舞台から退出すれば勝ち」の演技ゲームを行うことになる。設定と言葉の使い方が巧くて、この舞台劇を見てみたいと感じました。 日本推理作家協会賞の短編部門候補作とのこと。 | ||||
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高校生ぐらいには面白いのでしょうね。エスプリを利かせるとかすれば、大人にも受け入れられる作品になったのにと思います。 | ||||
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「1/2の騎士」と「水の時計」はファンジックで幻想的な作品でしたが、本書はど真ん中、青春ミステリーです。しかし、この作者のこと、普通の青春ミステリーとは一味違ってました。 4編の連作短編からなるのですが、謎のとっかかりは狭い高校生活から始まって、だんだん複雑な様相を帯びてきます。一番単純なのが「結晶泥棒」。これはハルタとチカの顔見世といったかんじ。 しかし、「クロスキューブ」は真っ白なルービック・キューブの謎が、禅問答も交えて解決に向かったり、「退出ゲーム」では抱腹絶倒しながら、現代中国の問題まで謎が広げられていきます。 ラストの「エレファンツ・ブレス」では「オモイデマクラ」という怪しげな発明品から、ひょうたんから駒のように、深くて怖ろしい謎が導かれたり・・・。 ちょっと構成に無理があるような部分もありましたが、登場してくる高校生たちの活き活きとした存在感は一番の魅力です。特に、脇役が際立ってます。一話でいなくなるのが惜しいという、存在感のある演劇部の名越。絶対作者、遊んでるだろうという演劇部の看板女優マヤ。(家はラーメン屋で、今オオカミに育てられた少女の役になりきっている(笑)) 超絶俺さまキャラの生徒会長日野原。双子の発明家萩本兄弟。 シリーズ化して、また彼らに会いたいと、強烈に思ってしまうハジケタ脇役たちがひしめいてます。 この作品は1年生の時の思い出をチカが綴ったという設定なので、今後、2年、3年と続編が出るのではないでしょうか。 切なくて、幻想的な初野さんも好きですが、この突っ込みキャラ、チカが主役の抱腹絶倒短編集も、また楽しい、初野さんの一面です。 | ||||
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ラノベ的な設定、ラノベ的なキャラ立ちしまくりなキャラの暴走会話がめちゃくちゃたのしい。 ボケるハルタに息切れしてまで突っ込むチカが最高。女の子も羨む美少年な設定のハルタもへタレで笑えるところがあって、中身はまんま恋する乙女(しかし抜け駆け禁止協定ゆえ睨み合いが続く)。この二人を囲むキャラもいずれ劣らぬ濃いヤツばかり。チカの友達でイラスト部の希、人騒がせないばり屋だけどなんか憎めないマジック部の藤原先輩、過去に傷を持ち吹奏楽からとおざかっていた天才オーボエ奏者・成島(クーデレ眼鏡っ子)、中国系アメリカ人で長めの前髪と繊細な切れ長の目が印象的なサックス奏者セイ・マレン(ちょっと暗い)、セイの友人で彼をむりやり演劇部に入部させた演劇に賭ける情熱は暑苦しいほどな名越、あんちゃん!おとうとよ!なノリがベタなセールストークにかけては右にでるものない発明部の萩原兄弟、萩原兄弟を足蹴にするのがシュミのワンマン生徒会長日野原さん……数え上げたらきりがない素敵な後輩と同級生と先輩。 ミステリーとしてもよく出来てる。 成島さんの弟の遺品の全面白のルービックキューブに悩むハルタが、草薙先生の「禅問答」をきっかけに、反則ともいえる手法を用いて正解に辿り着く発想の転換が素晴らしい。 収録作で一番好きなのは「退出ゲーム」。サックス奏者セイ・マレンの引き抜きをめぐり演劇部と吹奏楽部が熱い火花をちらし、やがてそれは「退出ゲーム」という即興演劇での勝負になだれこむんですが、これが面白すぎる!!!要は特定の人物にいちゃもんつけて舞台から退出させるのを競うゲームなんですが、それをより自然に行わなければいけない、発想力演技力を問う難易度高い課題。劣勢を一瞬で挽回したハルタのあざやかな機転に脱帽です……!というか作中劇「ガチャピンをはねた日」に爆笑しました。やばいです、ツボにはまりました、三十秒間笑いがとまらず酸欠に陥りました。 後半、「エレファント・ブレス」で発明部の部室に強引に連れ込まれたチカが聞かされる、萩原兄弟のセールストークがまた……「思い出枕」という好きな夢が見れる発明品を学校裏サイトで匿名売買した容疑で生徒会長・日野原に激しく責め立てられた萩原兄弟が、その効能を必死に説明するのですが、チカのツッコミが冴えまくる!萩原兄弟ノンストップで面白すぎる!日野原さんもボケかよ!! 切ない所、ほろっとくるところも多々あるのですが、なんといっても笑いのセンスが素敵すぎ。枕を手に現れた意外な人物に対し「汚される!汚される!」という悲痛な叫びがもうね……だめだ、腹筋よじれる……。 心根が真っ直ぐで世話焼きなチカ、恋する乙女(?)で頭がキレて、実はとても優しいハルタのコンビを応援したくなる。またこの素敵なキャラたちに会いたくなる。「退出ゲーム」はチカが一年時の話らしいんで、二年時、三年時の続編がでると期待していいんですよね……?というか絶対読みたい、会いたい、読ませてくれなきゃ恨む!こんな素敵な登場人物生み出しといてこれぽっきりは惜しすぎる初野さん続編ぜひおねがいします! 将来を嘱望された優秀な指揮者だった草薙先生が挫折した理由も明らかにされてないし、ハルタがアパートの部屋借りてる複雑な事情も気になるし、チカのフル突っ込みとハルタのボケをまた見たい!二人に振り回され脱力気味の成島さんのクールな毒舌、名越の暑苦しい漢ぶり、春から入学予定の高校に変装して潜入しちゃう行動派・後藤さんと日野原会長の口喧嘩が見たい!!いっそ漫画化して!! | ||||
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「水の時計」や「漆黒の王子」のような、残酷であるけれど幻想的で美しい著者の世界が好きで購入しました。それらに比べるとこの「退出ゲーム」は、出てくるキャラクターや話の雰囲気が漫画チックで正直面食らいました。青春ミステリーとゆう事なので、若者を狙ってあえてそうしたのかもしれませんが、私はもう少しシリアスでナイーブな作品にしてほしかった。 とはいえ、どの話も発想が素晴らしい。専門的な知識を利用した他には無いトリックに驚かされ、そのトリックに込められた深いメッセージや真実に心を打たれる…。色んな感動を味わえる短篇集です。 特に「クロスキューブ」の、謎解きの先にある優しい真実は切なくて美しい。ハルタの、呆れる程の行動力にも感心させられます。 「エレファンツ・ブレス」は、コメディタッチなノリの話と思いきや、意外にも深く考えさせる作品。題名の使い方が面白い。 まあ多少キャラクター達が若い割に達観しすぎている感はあるが、その中で等身大なチカにかえって親近感を覚えた。 ただ気になったのは、先生、ハルタ、チカの関係性とゆうか複雑な設定がほとんど生かされていなかった事。先生の背景もまったく明らかにされなかったし、シリーズで続けていくつもりなのだろうか。だとしたら続きはもっとシリアスな初野さんらしい雰囲気にしてもらいたい。 初野さんは今一番注目している作家さんなので、今後もよい作品を提供して下さる事を期待してます。 | ||||
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高校の吹奏楽部を舞台にした、日常の謎的ミステリー。 心に抱える問題を解決し吹奏楽部のメンバーを増やしていく、という王道的なストーリーで、入学からの一年間が描かれています。 表題作『退出ゲーム』はとても面白いアイデアだっただけに、もう一工夫あれば、と思ってしまいました。 謎解きに関しては、知識が無ければ絶対に解けないだろう、と思えるようなものが目立ち、勉強にはなったけど面白みには欠けたかな、といった印象です。 くだけた文体は、所々戸惑う部分もありましたが、テンポが良く好印象でした。 特に最後の『エレファント・ブレス』で顕著ですが、ギャグ漫画的なテイストが多分に含まれているため、読み手を選ぶでしょう。 個人的には結構好きです。 ただ、ハードカバーで続編が出たとして買うかどうかは・・・微妙。 | ||||
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◆「結晶泥棒」 劇薬である結晶を盗む意外な動機と、文化祭 中止を要求する脅迫状の絡め方が秀逸です。 ◆「クロスキューブ」 夭逝したパズル好きの弟が、姉に遺した六面全部が 白いルービックキューブを、いかにして完成させるか? 本来は、論理的構造体であるキューブに矛盾や不合理を 孕ませることで、人生の不条理や理不尽が暗示されます。 亡き弟はそれらに臆さず、「一歩」を踏み出すことを姉に望んでいます。 「完成形のキューブ」に託された、弟から姉への祝福の言葉は格別です。 ◆「退出ゲーム」 サックス奏者マレン・セイを巡る、吹奏楽部と演劇部の即興劇対決。 タイトルの「退出ゲーム」は、即興劇の名称。 設定されたシチュエーションに合った役柄になりきり、制限時間内に、 ステージから退出したチームが勝ち、というルールの心理ゲームです。 そうした作中劇が、しだいに物語の背後にある構図に重ね合わされていき、最終的にそれが 裏返されることで、秘められた人の想いを浮かび上がらせ、囚われた魂を解放していきます。 また、物語の前後には、ある人物の独白が配されており 陰鬱な冒頭と爽やかな結末が、好対照となっています。 ◆「エレファンツ・ブレス」 現実にあった思い出を夢の中で再生できる「オモイデマクラ」。 夢を色で制御する仕様なのだが、名前だけが残された 「エレファンツ・ブレス」という色名で申請する人がいて……。 マッドな発明兄弟が登場する序盤はベタなドタバタ劇ですが、 アメリカに留学していた絵描きの爺様が出てくると、物語は、 思わぬ方向に広がっていきます。 爺様の人生に、象の生態と留学当時の国際情勢を 重ねることで、二段構えの「解決」が演出されます。 | ||||
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