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雪密室
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雪密室の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.24pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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非常に楽しめた。 この作品は典型的なパズラー。そしてパズラーとしてはかなり良質な作品だと思う。 法月作品でいえば、「都市伝説パズル」とかが好きな方ならおすすめ。 雪密室を題材にする作品は「白い僧院」以来いろいろ出されたが、個人的には この作品が一番好きかな。 それにしても器用な作家さん。いろんなテイストの作品で良い作品がある。 サスペンス調の「一の悲劇」も面白かったし、ジュベナイルの「怪盗グリフィン」も楽しめた。 ハードボイルドテイストを入れたとされる「頼子のために」は期待に届かなかったけど。 | ||||
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人物造詣が浅いとのコメントがありますが、私はあえてトリックではなく、人間ドラマの部分を評価したいと思います。 確かに、登場人物たちは、キャラクターの掘り下げが甘く、犯罪を巡る人間の持つ嫌らしさや傲慢さ、弱さが分かりにくく、読者の共感を得にくい描写に留まっているといえると思います。 しかし、現実の世界では他人の心のうち、特に旅先であったばかりの人物の心理や経歴など、良く分からないまま、適当なあて推量で決め付けることが多いのではないでしょうか。そのようなことを思いながら読めば、読者もまた登場人物たちの心のうちを推測するしかない傍観者として、事件を見ざるをえないもどかしさをこの本を通じて考えさせられるのではないでしょうか。 作者が意図したかは分かりませんが、多くのミステリで全知全能の神として登場人物たちの心や行動を見ることが当然と考える、読者の視点に一石を投じたといえなくも無いと思います。 | ||||
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筆者は「文庫版あとがき」で「人物造形の薄っぺらさ」について述べており、確かに山荘に集まった登場人物のなかには 紋切型だったり、血の通った人間としてうまくイメージできなかったりする者もいる。また、トリックや謎解きはやや鋭さ に欠けるようにも思われる。 しかし、全編を通じて一定の間隔で交わされる法月警視と(彼の亡き妻=礼子のまたいとこの)代議士とのやり取りにおいて、 近しい(姻戚関係にある)者に対する愛憎がこれ以上ないという迫力で描かれており、その点でこの小説は傑作である。 これに匹敵するような緊張感をもった会話を挙げろと言われても(その範囲がたとえ文学全般であっても)、正直私には 難しい。 | ||||
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法月探偵シリーズ一作目だが、ストーリー上の主人公は父親の法月警視である。雪の降る密室での犯人の足跡がなかったという謎がメインだが、屋敷に各登場人物が呼ばれる理由は霧舎巧の「名探偵はどこにいる」と同じだし(勿論こちらの方が先だが)、メインの雪の足跡のトリックも以前読んだどっかの推理小説で捨てトリックとして出てきたような気もする。もちろんこちらの作品の方が先なのだが、20年以上も前の作品なので最近の推理小説を沢山読んでいると、既視感のある設定にトリックなので、どうしても古臭く感じてしまうが、それだけ定番のオーソドックスな推理小説を創り上げようとした当時の氏のもくろみは評価したい。 | ||||
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法月綸太郎の長編第二作。まさに王道と呼べる舞台設定に状況設定。そしてそこで演出される殺人劇の謎に挑むは,作者が大好きなクイーンの 基本設定に倣い創造された法月親子! デビュー作となる前作でみせた前衛的な作風からしてみれば,まるくなった感も受けるが何々侮れませんよ。読み応え充分です。 だからといって何も革新的なトリックが本書に使われているわけではないが,アリバイの問題・鍵の問題・雪の問題と,それぞれの要素を 圧倒的なアレンジセンスで複雑に組み立てられる手腕が凄いのだ!特に大前提にして最難関にもなる雪の要素はお見事。不可能に秩序を与えて 可能にするさまが実に鮮やか。 ほか,キャラクター造型はともかくとして,お決まりで陳腐な愛憎劇の範疇なんかには収まらない,登場人物間で心と理性が蝕まれるような 関係性を作り上げてみせた事に関して個人的にはとても高く評価したい。 あまりにシンプルで堂々としたタイトル。。この響きにピンと来た方,雪で構築されたこのパズルにぜひ挑戦してみてはいかがですか? | ||||
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思わせぶりな招待状に導かれ、信州の山荘「月蝕荘」を訪れた法月警視。 彼はそこで、自分を呼び寄せた女性・篠塚真棹の死に遭遇する。 真棹は、庭の離れの寝室で縊死体として発見されるが、離れと本館の あいだに積もった雪の上には、発見者の足跡以外、残されていない。 しかも、離れの入り口には鍵が掛かっており、開錠するには、 被害者とその夫だけが持つ、特殊な鍵が必要だった。 この二重密室から、犯人はいかにして姿を消したのか? メイントリックは、有名な《足跡》トリックを 状況設定やアリバイ工作でアレンジしたもの。 また、犯人特定のロジックには、残された足跡のサイズをもとにした クイーン流の消去法が用いられており、古典本格へのオマージュを 感じさせる、いい意味でオーソドックスな作品となっています。 しかし本作は、単に古典へと回帰した、ウェルメイドな作品というだけにとどまりません。 エピローグを二つに分け、本編の前後に配置することで ミスディレクションを仕掛ける、というトリッキーな構成や、 クイーン作品における父子関係を踏襲しつつも、そこに 陰影を帯びさせた綸太郎と警視の関係性などからは、 本作以降の著者の作風が暗示されているといえます。 | ||||
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作者の2作目にして、名探偵・法月倫太郎の初登場作品。「白い僧院はいかに改築されたか?」という扉の一文がまず魅力的。 休暇で招待された別荘にやってきた法月警視は、一面銀世界の家の離れで殺人事件に遭遇するが、足跡は発見者のものしかないという設定で、カーター・ディクスンの名作「白い僧院の殺人」の雪の密室を髣髴とさせながら、エラリー・クイーンのように読者への挑戦状を挿しはさむという欲ばりな一冊。トリックもシンプルで優れている。 デビュー作、本書と本格派作品が続き、作者は本格派かと思いきや、以後作者の作品はどんどん変格ものに傾いていくのがとても残念。 | ||||
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法月氏がミステリの定番、雪の上の足跡に挑んだ作品。 実にオーソドックスなテーマだが会話のやりとりの 軽妙さもあいまってなかなかの良作となっている。 トリックも目新しいものではないがしっかりとツボを抑えている。 頼子〜や生首〜のように仰々しい話よりこういう作品の方が 法月氏の良さが生かされている気がするので個人的にはおすすめ。 | ||||
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法月綸太郎が専業作家になって初めて発表した作品です。探偵役に作者と同名の法月綸太郎を起用しての第1弾にあたります。エラリー・クイーンを意識したその設定は、綸太郎の父親を警視として設定するところまで徹底しています。本作は第1弾であるにもかかわらず、法月警視自身が事件に深く関与しているという設定で、いきなり綸太郎の出生の秘密にまで話が及んでしまうところがユニークだと感じました。“雪密室”というのは、殺害現場の周りに雪が積もっているので逃亡した犯人の足跡が残るはずだがそれがないという広義の密室もののひとつで、密室の王者カーを始めとして数多くの作家がチャレンジしている分野です。本作はその分野の最高傑作だとは言えないものの、その分野に新たな一歩を加えた見事な作品だと思います。 | ||||
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