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街の灯
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街の灯の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全35件 1~20 1/2ページ
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前にも読みました。 もし、ベッキーさんシリーズが映画化されるときはベッキーさん役は天海祐希さん、明日海りおさんなどの元宝塚トップスターがすごくぴったりです。柚香光さんが退団したらベッキーさん役をやってくれたらと思っています。 | ||||
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北村薫氏の作品は初めてでした。どんな作風の方かも知らなかったのですが、読み始めてみれば、本当に美しいお話で。舞台が戦前の上流社会だということもあると思いますが。 まず出だしの文章からやられてしまいました。「家々の屋根のわずか上に、薄藍の雲の連山が見えていた。ちょうど空という水鉢に紺の絵の具を溶いて、それが沈んだような具合だった。雲の向こうはほのかな桜色に染まっていた」。なんと美しい風景描写でしょうか。 それから、ヒロインの花村英子と自家用車の運転手、園田、そしてお父様の会話が始まります。その言葉使いのまたはんなりしていること。当日は友人の有川伯爵令嬢から、雛の宴に招かれて行くところでした。これがまたなんとも言えない優雅さで、当時の上流階級というのはこんな暮らしをしていたのかと驚愕しました。集まってくる娘たちは、みな自家用車でお付の女性を連れて、雛祭にふさわしい柄の着物をまとっています。電気は切られて、篝火とぼんぼりの灯だけで屋敷が照らされ、大広間には歴代の何組もの雛人形が並べられ、桜の花びらを浮かせた白酒とお料理をいただく・・・。こういう催しが、公のもの、各界名士や大使夫人を招待したもの、そして今日の伯爵家姉妹の友人たちのためのものと、3,4日に渡って行われるのだそうです。 他にも、園遊会やら、銀座に運転手付の車で行く時にはお付もついてきて、買物をすればお付の女性が支払いをする、自分では財布を持ったこともないこと、夏になると最初は鎌倉の別荘で海水浴、8月になってさらに暑くなると軽井沢の別荘に避暑に行く、侯爵様の別荘は何万平米も広さがあって、ご自分の馬で軽井沢を散策される・・などなど、ため息が出そうな裕福ぶりです。まだ江戸や明治の気風も残っていたのでしょうか。使用人の側も、お殿様、お姫様と、はっきりと身分が違うという観念を持っていた様子です。 主人公、英子の家は華族ではなく、お父様が元士族で、財閥系会社の社長だということ、そのためか英子自身が言うように「うちはわりと開けているのだ」、と。当時としては画期的だった女性の運転手が英子に付くことになります。文武両道に秀でて、控えめだけれど思慮深い別宮、通称ベッキーさんと英子は、だんだんと心を通わせていきます。 一応ミステリ・ジャンルに分類されると思いますが、本格ミステリやもっとはらはらドキドキの小説を求める方には今ひとつかも。個人的には純文学に近いと感じました。三島由紀夫の「春の雪」を思い出しましたが、あちらが退廃と憂愁いう暗めの雰囲気なのに対して、こちらは明るくさわやかです。箱入り娘でお嬢様だけれど聡明なヒロインが、市中の事件や、軽井沢で避暑中に起きた不可解な出来事の真相を解明します。軽井沢の話は、身近で人が死ぬため緊迫感があります。そして、最初はおっとりのほほんと見えていたお話に、華やかな上流社会の息苦しさや冷たさなど裏面がちらりとほの見えてぎくりとさせられます。時代はこれから太平洋戦争に突入していくはず。先はどうなっていくのでしょうか。 古き良き日本の美しさに一時酔いしれることができました。2冊目、3冊目と話がどんどん展開するようですので、さらに続けて読んでいきたいと思います。 | ||||
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「中野のお父さん」があまりに短くて物足りなかったので、同じ作者の本ですがどうかなと思って読みました。 この本はそこそこの中篇が3個収められており、昭和初期を舞台にお嬢様とその運転手が謎解きをするというもの。 トリックだけでなく、人間の深い心理も描かれていて、面白かったです。 日常の謎を扱った話もあってよかったですが、人が殺されるミステリーもこの作者はなかなか上手だと思います。 | ||||
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旧士族・花村家の箱入り娘の英子。そんな彼女の元に別宮(べっく) という当時珍しい女性運転手がやって来た。 その別宮が只者ではなく、剣道の経験者で、文学もこよなく愛し、 そして驚くべきことに拳銃まで扱えるという謎の人物だ。 この作品の舞台は昭和7年、英子の学校の送り迎えを任されている 別宮(ベッキー)と英子の二人が、遭遇する謎や殺人事件を見事解決 へと導いていくという物語である。 「虚栄の市」は江戸川乱歩の作品にヒントを得たもの。「銀座八丁」では 桐原麗子なる侯爵家の令嬢である女学生が登場し、なかなかに面白い 存在となる。「街の灯」はチャップリンの作品の映写会で起きた死の謎 に挑む。 二人の和製かつ女性版ともいえるホームズとワトソンの活躍がとても 楽しい内容となっています。 | ||||
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経年劣化はいたし方ありません。それ以外は 問題なく 私の後 今はカミサンさんが読んでます。 | ||||
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行動にも物言いにも品があるのは読んでいて心地よい。 健全で清潔感があり、更に善良で明晰。 故に読後感が大変に良い。 分かりやすい「タダ者じゃない」感をあからさまに醸してるのに、本書では「種明かし」まで行かないのが不満と言えば不満かな? …が、既に続編出てるんで単純に続きが楽しみ。 | ||||
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おお、昭和7年、女子学習院は青山にあるんだ。 いま秩父宮ラグビー場になっている場所。 ブッポウソウの鳴き声が実はコノハズクのものだったと判明するのは、3年後の昭和10年。 いろいろ仕込んできてます。 主人公とベッキーさんとの間に起こり始めたケミストリーがこのあとどんなふうに進んでいくのか楽しみ。 | ||||
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とても面白かった。円紫さんシリーズから読んでます。すごいですね。 | ||||
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物語の舞台は昭和7年の銀座。 士族出身の上流階級である花村家の令嬢・花村英子と、 その花村家に雇われた、若き女運転手・別宮(べっく)みつ子が、 学校の送り迎えをきっかけに、ちょっとした騒動や出来事を、 スマートにかっこよく、豪快に、やり過ごすお話です。 本書は、前述の若き女運転手である別宮のキャラクターが、 際立っています。 そして登場シーンがまた、いいんです。 令嬢を乗せて運転する女子学習院までの道などを覚えるため、 別宮さんは、正運転手である園田の運転でフォードの助手席に乗ります。 後部座席には令嬢である英子。 一通り走り、自宅を目指したフォードが自宅門前へさしかかると、 騒動に出くわします。 雪駄に着流しの壮士風の男が三人、白木の仕込み杖を抜き、 請願巡査とにらみ合っているのです。 大事なご令嬢に何かあってはと、園田が車を動かそうとしたとき。 別宮さんは助手席のドアに手をかけ、 自分をここで降ろしてほしいと言います。なぜなら、 「お目見得の日でございます。ただ行き過ぎるわけにはまいりません」 だからです。 ここから、別宮さんの見せ場になります。 大立ち回りを演じるアクションが展開されるわけではありませんが、 しかし、ひげ面の男たちを前に一歩も引かず、 自分には花村家の大切な令嬢を守るだけの、技量があることを、 披露するのです。 セリフもさることながら、別宮さんの立ちまわりを描写したこの冒頭に、 私はやられてしまいました。 このあと、別宮さんことベッキーと、令嬢のコンビが、 兄弟やお友達などとの身近な騒動で活躍していくわけです。 本書は270ページ弱のペーパーブック。 巻末には、参考文献、解説、著者のスペシャルインタビュー、 著者の作品リストなども収録されているため、 やや厚みを感じる一冊となっています。 文庫がでているようなので、 そちらの方が手に取りやすいかと思います。 現代が物語りの時代設定となっている小説を多く読む方や、 純粋なエンターテイメントが好みの方も、 立ち読みで中身を確認されることをおすすめします。 | ||||
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昭和の7年からを舞台に、 上流階級のお嬢様(わたし)とその時代(今だって)異色の 女性のお抱え運転手のベッキーさんが、 さまざまな事件を解決していく探偵小説。 でもただのお嬢様の道楽探偵小説とは違う。 昭和の初め、近代化の波に華やぐ東京の様子、 そして、さらにはその後2.26事件、第二次世界対戦へと続く 不穏な世の中の空気を物語の背景にしっかりと盛り込んでいる。 また、私たちが決して見る事ができない、 上流階級の生活も、その華やかな部分そして身分があるからこそ、 自分の意思だけではどうにもできない悲哀の部分も、 主人公の私(英子)が自然に伝えてくれる。 探偵小説ではあるけれど、なんか歴史小説を読んでいるようで、 とっても読み応えがある物語。 「街の灯」はチャップリンの映画の題名から。 | ||||
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昭和7年という微妙な時代。この年代を舞台としてどんな物語が展開されるのか、楽しみだった。ただ、主人公の英子が女学生であるし、上流階級のお嬢様なわけだから、それほど”冒険”も出来ないであろうし、どんな事件が待ち受けてるのだろうと思ったら・・・。ベッキーさんというのは、この女の子ではなくて、新しく雇われた女性の運転手さんのことだったのね。このベッキーさんが鮮やかに事件の謎を解く、といった単純な作りではなくて、ベッキーさんの一言で疑問でなかったことが疑問になったり、英子が謎を解くヒントになったりと、単なる安楽椅子探偵ものとは違い、ふたりのやりとりからどんな結論が出てくるのだろうと、読んでいる方も会話の中に入っているような気になってくるから不思議だ。 この当時の風俗、考え方などもおもしろく、英子は素直で無垢でいいお嬢様だとは思うが、やはりそこは世間知らずのところもあり、ベッキーさんのそばでこれからどのように成長していくのか、ということも楽しみである。 そのベッキーさんだが、謎の多い女性だ。どうやら武術に長け、ピストルの腕前も素晴らしく、教養もありそう。どんな経歴の持ち主なのか。これから徐々に垣間見えてくるのだろうが、最初からわかるのは、英子をとても大切に思っている、ということ。貧しい人々の住んでいる家並みを見て「こんなところとても住めそうにない」という英子に、やんわりと、このような家に住むものに幸福はない、と思うことは傲慢である、と諭す厳しさもある。これに、生意気だなどと反発しない英子も素晴らしいと思う。 礼節の国、日本が丁寧に描かれていて、それも好ましい。ずっとシリーズ化して欲しいと思う。 | ||||
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ついに「私のベッキーさん」シリーズが文庫化です。時代は昭和7年、主人公は士族のお嬢様の花村英子と彼女付の女性運転手「ベッキーさん」こと別宮みつ子。謎の美女ベッキーさんも素敵ですが、典型的な北村薫のヒロイン英子もやはり鋭い感性を持っている素敵な少女です。北村薫が好きな人は間違いなく楽しめると思います。北村薫を知らない人にもお勧めしたい一冊です。 | ||||
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ほのぼのとした雰囲気が作者の書く文章に良く合っていてとても自然。 とても面白かったのだがいまいち物足りないと思っていたら シリーズ化されているようなので安心した。 | ||||
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期待を裏切らない北村作品でした。この人の描く女性像ってのは、ストライクなのです。今回は昭和初期あたりが舞台なのですが、なかなか新鮮な設定で、新しい世界観をつくれていたと思います。北村薫の作品は、安定感抜群。おもしろくなかったことが今のところないっす。(昔は北村薫を「素敵な話を書く素敵なおばさんなんだなぁ」とおもっていたらおじさんでした。。) | ||||
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ミステリーと考えるともどかしい部分が多い。しかし昭和初期の上流階級の世界を垣間見ていると、何故か心地よく感じて読み進めてしまう。 ベッキーさんの素性は明らかにならないままだが、明らかにする必要もないのかもしれない。 | ||||
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時代設定が巧みで、主人公やベッキーさんの活躍に引き込まれてしまいました。 昭和の初め、という時代設定が巧みだとおもいます。 戦争に突き進む直前のある意味での良き時代を設定したのは正解だと おもいます。 ただ話の中身が、推理小説としては少し物足りなくおもいました。 今後の展開に期待というところなのでしょうか。 | ||||
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昭和の初期,まだ時代が戦争に向かって傾きかける前,みんながゆったりと構えて時代なのだろう。女性がまだまだ社会に進出していなかった中,ベッキーさんは素敵だ。ご主人を守れる技も身に付けている。これは映像化してくれるとおもしろい。ベッキーさん役はもちろんベッキーといきたいところだけれども,男装の麗人ならば黒木メイサさんあたりだろうか? | ||||
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昭和初期のお嬢様、花村英子が運転手のベッキーさんの力を借りつつ、さまざまな事件、 謎を解いていく連作中編集。 二人で、となると典型的にはホームズとワトソンとなるが、本シリーズの場合、 ちょっと捻ってあって、どちらがホームズでどちらがワトソンかは読んでのお楽しみ というところ。 本格的な謎解きは勿論、これにベッキーさんの出自の謎が絡んでいく。 また、昭和初期の時代、風俗の描写が興味深く、ベッキーさんとの出会いや事件を通じて、 英子が段々と成長していくさま(本シリーズも「『円紫さんと私』シリーズ」同様、 ビルドゥングスロマンの性格を有している)も共感を持って読める。 北村薫は「『円紫さんと私』シリーズ」に象徴される「日常の謎」派の代表的作家であり、 余韻の深い文体と柔らかな語り口が特徴の叙情派、文学派ミステリーの旗手という印象だが、 一見、叙情と感傷に満ちているかに見えて、時に描く悪意や人間の哀しい性には、 はっとさせるものがあり、本作でも表題作「街の灯」にそれが見て取れる。 また、英子の一人称で語られる文体は、青春小説らしく、理屈っぽく青臭く感じられる こともあるが、時代設定が昭和初期であることで、却ってその頃の雰囲気を表すのに しっくりきてるような気がする。 | ||||
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本作は氏の「推理」小説としては、円紫シリーズなどと比べ ややその輝きが少ないことを認めざるは得ないだろう。 しかし、会話がやや現代風に改められてはいるものの これだけの時代考証を行い、それを作品の中に 反映させたエネルギーは高く評価すべきだろう。 十五年戦争の直前、最も華開いた昭和の消費文化。 数々の作品に採り上げられた記号といえども イメージだけではなく、生活感を持って描写し得た作品は それほど多くはない。その直後に設定を置いた本作は その中でも高い質を持ったものに相違ない。 | ||||
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「玻璃の天」を読んで、その前作があることを知って、この本を読みました。順序が逆になった事によって、スケールの小ささが気になりましたが、それも「玻璃の天」の素晴らしさを導く序章としての作品であると考えれば、十分に役目も果たしており、楽しめる良い作品だと思います。 「玻璃の天」では、正体が解ってしまうベッキーさんが、まだ正体不明の謎の女性として描かれており、花村英子とのコンビも「玻璃の天」ほどの一体感はまだみられないようにみえます。 でも、昭和7年にあった上流社会の空気や、そこに暮らしていた人々の考え方は、非常に良く伝わってきます。この点に関しては、ミステリーとしての完成度の高い「玻璃の天」よりは、優れているかも知れません。 この「わたしのベッキー」がシリーズ化し、後何作か書かれるのかもしれませんが、非常に楽しみなシリーズになりました。 | ||||
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