■スポンサードリンク
街の灯
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
街の灯の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全35件 21~35 2/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2003年に出た単行本の文庫化。 昭和7年という時代設定である。上流階級のお嬢さまたちが次々と登場する。さらには男装の麗人まで。 こういう世界が苦手な私には、あまり楽しめない小説だった。北村薫の新シリーズということで期待して読んだのだが。まあ、こういう世界が好きな人にはたまらないのだろう。それはそれで需要もあるだろうし。 ミステリとしての出来はそこそこ。トリックの切れというよりは、遊びの部分が生きていて面白かった。北村薫も熟練して余裕の持てる作家になったものだなあと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
身分さのある女学校生活、銀座の町並み、お菓子、江戸川乱歩、帝国ホテルなど、ミステリーのあいまに漂う昭和初期の雰囲気に酔いました。あの時代のあの生活ならではのミステリーですね。恵まれているけど不自由な生活や、お嬢様のちょっと悲しいプライド意識などがせつないかったです。 ベッキーさんがオスカルさまのようでした…。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
待望の新シリーズですね。 昭和初期の時代設定といい、優しげな作風といい、やっぱり好きですね。 ミステリといっても、残虐な殺人が起こるわけでもないし、複雑なトリックが絡んでるわけでもありません(といっても、トリックが単純だという事ではありません)。 でも、面白いんですよね。 ミステリという非日常的分野を、日常の生活の中に組み込むって言うんでしょうか。そのへんが、面白いところだと思います。 勘違いなされてる方がいらっしゃいますが、これはシリーズものなので、「引き」があるのは当たり前です。 それを解かった上で、読むのが良いんじゃないかな、と思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
主人公花村英子は父親が財閥系企業の社長という事で、上流階級のお嬢様です。神宮にある女子学習院に通っています。 その花村家に新しい運転手がやってきます。別宮(べつく)みち子。そんな二人が市井の事件や身近に起こった不可思議な出来事の謎を解いていく、という作品です。 ベッキ―さんにはいろんな能力がありそうですが、推理という点では英子が担っています。彼女はそんな英子を見守るような感じで存在しています。交流の中で英子は色んな事を知るという成長物語という面もあります。作品の印象としては円紫師匠と私シリーズに近い形のものでしょうか。 ただし、作品はちょっと食い足りません。私シリーズは生活風景描写に独特の雰囲気があったのですが、本作はその部分が、ちょっと弱い感じがします。それを補っているのがべっキーさんの隠れた何かが明らかになったりする場面なのですが、私シリーズでは、この手の謎というかトピックは、「さらり」と呈示して、生活風景のシーンに波風を与えるか、逆に徹底して事件の中に溶かし込むことで、インパクトを出しています。 本作はそれの描写自体が読みどころになっていて、ちょっと単純なつくりになっているきらいがあります。 とにかく雰囲気を出す為の感覚が私シリーズが絶妙だった為に、こう思ってしまうんでしょうが。 ただ、北村さん、こういうの好きなんだなあーと思った件があり、それなりに楽しめました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
北村の小説が好きだ。 著者の肌理細やかな感性がダイレクトに伝わる文章。透徹した論理で解かれていく謎。そして、聡明さと無垢さが矛盾なく同居したヒロインの人物造詣…。 本書にも先に挙げた北村小説の美点が遺憾なく発揮されている。 この本に納められている3つの短編、どれも良いけれど、やはり出色の出来は表題作『街の灯』だろう。戦前の、美しい軽井沢での上流階級の子息の華やかな社交が描かれているが、読み終えると女の…いや人間の情念の恐ろしさにゾクリとする。 この小説はお薦めです。是非読んでみてください! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
時は大正覚めやらぬ昭和初期。 まだ爵位制度が残っている時代のお話。 上流階級のお嬢様が三つの事件をさくさくと解き明かしていきます。 第一話でこの花村家に新しく加わるキャラクターがいます。 宝塚の役者のような男装の麗人ですが、この麗人の正体が、実は全編を通しての一番の謎。 「えぇーい、云っちゃえ!」で、この謎は遂に謎のまま終わります。 続編を作りたいのでしょうよ。 こういう書き方はイヤですね。読むんじゃなかったと思いました。 読書とは趣味の世界ですから、そこに営利的なモノが臭ってくると興ざめしてしまう。 女子高生が苦もなく本職も解けない事件を解決するのも不自然。 そういうのは赤川次郎にでも書かせておけばいい。 一番読めたのは、三つ目の事件の「街の灯」です。 ここでは主人公の友達の「お嬢様の中のお嬢様」道子様が自分の結婚観を語ります。ここは面白い。 それに問題の男装の麗人が「主人公の人生の師」とはっきり位置づけられるのも最後になってから。 前の二つの事件は、三つ目に至るまでの長ぁ〜いプロローグだと思えばいいのかも。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
舞台は昭和8年(1932年)の東京。 士族出身の某財閥のご令嬢 花村英子、女子学習院中等科在学中。 そして花村家のお抱え運転手 別宮みつ子が主人公だ。 別宮はベックと発音する。 名字も珍しいがこの当時女性が運転手をすること自体も珍しい。 彼女の素性については雇い主である父は知っているが、読者と英子お嬢さまには知らされていない。 きりりとした容姿、頭脳明晰、文武のどちらにも長けた謎の女性である。 このふたりが身近に(?)起きる殺人事件や、ちょっとしたなぞ解きに挑戦する。 推理小説と戦前の少女小説が合体したような、独特の雰囲気がおもしろい。 昭和8年と言えば、5.15事件(軍部将校による犬養首相暗殺)があった年で、日本が満州国を建国、 上海事変があり、白木屋デパートで火事があり、チャップリンが来日している。 世間はこんな情勢であっても、花村英子の日々の暮らしにはまだ翳りはないのである。 わたしの父は彼女と同じくらいに生まれている。 そのせいか物語の中の東京の風景は懐かしく 両親や祖父母から聞いた話しと うまい具合に混ざりあって実在感があった。 本格推理物ではないが、おっとりと楽しめる作品である。 この本には3編収録されているが、 別冊文藝春秋の連載小説のようだから、そちらを読めば先取りすることができるだろう。 なんといってもベッキーさん(別宮みつ子の渾名)の素性が気になって、そこがはっきりするまでは 読み続けるしかないではありませんか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「円紫さんと私」、「覆面作家」シリーズに続く、北村ミステリー第三シリーズの一作目。昭和七年を舞台にした、上流家庭のお嬢様花村英子と女性運転手「ベッキーさん」の物語。三篇が収められている。 はじめは、「円紫さんと私」の女性版、昭和初期版か・・・と正直、新味に欠ける気がしたが、ページを繰るうちに一気に読んだ。 北村氏の小説は、ふんわりやさしい雰囲気を漂わせたものが多いが、それに安心してひたっていると、思わぬ厳しさや人間のダークサイドをぶつけられてはっとする。才気はあるが天真爛漫で何不自由なく暮らすお嬢様の英子。彼女が「ベッキーさん」という指南役を得て、どのように成長していくか、時代のうねりや(北村氏は時代の空気を描くのが本当にうまい)、年齢を重ねるごとに生じてくるであろう葛藤をどう乗り越えるのか、今度が楽しみなシリーズの誕生である。そして、謎に包まれた「ベッキーさん」とはいかなる人物なのか・・・・・ ところで、北村氏絶賛の『慟哭』がヒットした貫井徳郎氏が解説を執筆している。解説のお手本とも呼びたい内容で、特に北村作品ビギナーにはとてもわかりやすいだろう。その貫井氏の指摘するとおり、北村作品に登場する女の子は確信犯的に無垢である。その無垢さと距離をおきたくなった時期もあったが(だから単行本でなく今ごろ文庫で読んでいるのだ)、こうして新シリーズに接してみると、敢えてそのような女の子を書き続ける氏に敬意を表したくなる。博覧強記ぶりを発揮するアンソロジーなどのお仕事も精力的にこなされているが、やはり小説中心でお願いしたい!と思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
昭和の始めの上流階級の令嬢花村英子とその女性運転手ベッキーさんとの探偵物語。 ドロドロしてないですし、生臭くもありません。 子どもや良家の子女向けの推理小説として お勧めします。 目新しいものはありませんが、よくまとまっているのではないでしょうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
また新しい北村薫の登場といえる。時代は「リセット」の少し前らしい。まあ、内容は全く異なるもので、どうしても<私シリーズ>と比較されているようだがこれはこれでいいんじゃないかとも思うのだが。 主人公は花村英子。名前はイギリス好きの父親がそのままとって名付けたらしい。上流階級のお嬢様である。そこで雇われた新しい運転手は女性、別宮みつこ。そのとき読んでいた小説からベッキーさんと名付ける。 まずその当たりが英子の性格が現れていると言っていいだろうし、その要素は今後もどんどん出てくる。上流階級とは言えユーモラスな彼女には北村薫が自分に似せて書いたという「私」よりは面白味があると思うのだが。似ているようで性格は違うかな。 三つの短編が収められているが時流に上手に沿って書いた感じか。特に二つ目の「銀座八丁」はその要素盛りだくさん。 一つ目の「虚栄の市」では乱歩の小説から、同時に起こった二人の死の謎に繋げていく。当時はエログロだと批判されていた乱歩。今でも受け入れにくい人は多いと思うがその乱歩を平然と読んでいたあたりが性格にも現れているかな。それは作家自身にも言えることかも知れない。唯一ぞくっとした終わり方である。 二つ目「銀座八丁」は鮮やかな謎解き。桐原麗子という英子も麗子様と呼ぶほど更に格上のその麗子から家に招待されたことから始まる。この麗子にも今後注目が集まる。三つ目で表題作の「街の灯」は日常とはやや離れた位置にあるか。好奇心旺盛な性格というものはここに出てきている、と言うのが妥当かな。内容がやや分かりづらかったのだが。感想は人の持ちようかな。 作家は人を選ぶようなので、読める、と思えば今後もシリーズ化が予定されているらしいので二人の成長期みたく読むのも一つの楽しみかと思われる。しかしこれでツボに嵌らないようならそれはそれで仕方ないかも知れない。故に星4つで。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
北村薫の日常の謎シリーズが昭和の時代を舞台にして繰り広げられます。でも日常の謎なのにその時代の日常が現代の日常とは違うためなかなか物語にのめり込んでいくことができませんでした。登場人物は面白いのだけど、感情移入ができないのでほのぼのとしたストーリー展開がかえって淡々としているように感じられて退屈な場面が何度か・・・。でもベッキーさんの正体など、今後のストーリー展開が楽しみな要素も盛りだくさんなので続編を楽しみにしています。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
時代は昭和初期、主人公はお金持ちのお嬢様。ただ、お嬢様と言っても、ただおしとやかでおっとりしているというタイプではなく、頭も使うし芯がしっかりしていて、小気味よい性格をしている。お金持ちのお嬢様から見た昭和初期の東京や軽井沢の情景も興味深いし、当時の「深窓の令嬢」の優雅な日常生活がうかがえる。 毎回感じるが、北村薫氏の筆は文章も内容も心地よい。ただし、今回の結末はちょっと物足りない気がした。文末に約30ページ入っているインタビューなどが全く頭に無かったため、物語がもう一回転するものと思い込んでいたのだ。久々に感じた「日常の謎」を扱った物語に期待が大きかったこともあるだろう。 とはいえ、ベッキーさんの正体や、この先「わたし」がどういう人生を歩むのかも大いに気になるので、続編が楽しみでしかたない。 ちなみに装丁は作家の京極夏彦氏。わたしが読んだのが9月ということもあり、秋の夜長にのんびり読むには最高の一冊だと思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
小津安二郎の映画「東京物語」で原節子が話す日本語のあまりの美しさに息をのんだ憶えがある。今のようにのべつまくなしに外来語が取り込まれた日本語とは大きく異なり、豊かな大和言葉がちりばめられた故郷(くに)の言葉。地に足をつけて生きる人々の心根を表すには、上っ面だけをなぞっただけの言葉では用を満たさないということがよく分かる。そして映画を見終わった後に、あの日本語はどこへ行ってしまったのだろうと実に心淋しい気持ちになったものだ。 北村薫の文体はまさにこの「どこかへ行ってしまった日本語」を想い起こさせるものだと私は常々思っている。今回の作品は「どこかへ行ってしまった日本」を舞台に選ぶことで、その「どこかへ行ってしまった日本語」の魅力を最大限に発揮できている。あの時代の東京が醸し出す匂いや音、さらには空気の色までもが、その文体によって、時にくっきりとした輪郭を伴い、そしてまた時には淡く切ない形で読者に差し出されている。 謎解き物語のために用意された仕掛けそのものにはとりたてて目新しさはない。日常に潜む人々の密やかな営みを描く点では、「空飛ぶ馬」に始まる「私と円紫師匠」のシリーズのほうがまさっているといえる。オチが容易に想像できる場面が多いので、はっとさせられるような推理小説を期待する向きには残念ながら落胆を与えるかもしれない。しかし、北村薫のほのかでやさしい日本語にたゆたう時間を味わうには、もっともふさわしい書ではないか、というのがいつわらざる読後感だ。 ベッキーとよばれる主要な登場人物にはまだまだ多くの秘められた過去があるようで、そのすべてがこの書ではまだ明らかにはされていない。したがって今後もこのシリーズを読み続ける覚悟がない人にはお勧めできない短編集ともいえる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
シリーズ化を予感させる登場人物と時代背景です。「覆面作家」シリーズにいささか似てはいますが、探偵役であるお嬢様の一人称で話が進みます。謎を解くのはお嬢様なんですが、本当の探偵は違う人物である・・・ここら辺が今までの北村薫と違う部分ではないでしょうか。私は謎解きよりも魅力的な登場人物に感心しました。主人公のお嬢様はまだ十代半ば。もしシリーズ化されたら、時を経るごとに成長していく姿を楽しみにしたいと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ミステリーマスターズと銘打たれたこの叢書シリーズ。第5弾は北村薫さんの登場である。北村さんといえば女子大生と噺家の異色コンビが活躍する『空飛ぶ馬』でデビューし、所謂『日常の謎』を取り扱うジャンルの先駆者とも言える作家であり、本作品もその『日常の謎』の系列に属する短編集と捉えて良いだろう。ただ、探偵役は超がつくようなお嬢様であり、その設定に説得力を持たせるべく、あるいは作者が描き出そうとする人間性を一層明確にする(デフォルメしているとも言えるかもしれない)べく、時代設定は昭和初期となっており、ある意味現代から見れば『異世界』である。そこには超がつくお嬢様達が生息し、また、それにともなう異世界の常識がまかり通る。この舞台設定が作品の雰囲気を決定していると言えるだろう。また、探偵役の少女をはじめとして登場人物達が、北村流の生き生きとしたタッチで描かれているところはさすがである。ただ、特筆すべきはある意味ワトソン役に徹しながら、探偵を謎へと誘う女性運転手ベッキーさんの存在である。この謎に彩られた女性と少女探偵の物語が、今後どのように描かれていくのか注目したい連作短編集である。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!