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街の灯
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街の灯の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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行動にも物言いにも品があるのは読んでいて心地よい。 健全で清潔感があり、更に善良で明晰。 故に読後感が大変に良い。 分かりやすい「タダ者じゃない」感をあからさまに醸してるのに、本書では「種明かし」まで行かないのが不満と言えば不満かな? …が、既に続編出てるんで単純に続きが楽しみ。 | ||||
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物語の舞台は昭和7年の銀座。 士族出身の上流階級である花村家の令嬢・花村英子と、 その花村家に雇われた、若き女運転手・別宮(べっく)みつ子が、 学校の送り迎えをきっかけに、ちょっとした騒動や出来事を、 スマートにかっこよく、豪快に、やり過ごすお話です。 本書は、前述の若き女運転手である別宮のキャラクターが、 際立っています。 そして登場シーンがまた、いいんです。 令嬢を乗せて運転する女子学習院までの道などを覚えるため、 別宮さんは、正運転手である園田の運転でフォードの助手席に乗ります。 後部座席には令嬢である英子。 一通り走り、自宅を目指したフォードが自宅門前へさしかかると、 騒動に出くわします。 雪駄に着流しの壮士風の男が三人、白木の仕込み杖を抜き、 請願巡査とにらみ合っているのです。 大事なご令嬢に何かあってはと、園田が車を動かそうとしたとき。 別宮さんは助手席のドアに手をかけ、 自分をここで降ろしてほしいと言います。なぜなら、 「お目見得の日でございます。ただ行き過ぎるわけにはまいりません」 だからです。 ここから、別宮さんの見せ場になります。 大立ち回りを演じるアクションが展開されるわけではありませんが、 しかし、ひげ面の男たちを前に一歩も引かず、 自分には花村家の大切な令嬢を守るだけの、技量があることを、 披露するのです。 セリフもさることながら、別宮さんの立ちまわりを描写したこの冒頭に、 私はやられてしまいました。 このあと、別宮さんことベッキーと、令嬢のコンビが、 兄弟やお友達などとの身近な騒動で活躍していくわけです。 本書は270ページ弱のペーパーブック。 巻末には、参考文献、解説、著者のスペシャルインタビュー、 著者の作品リストなども収録されているため、 やや厚みを感じる一冊となっています。 文庫がでているようなので、 そちらの方が手に取りやすいかと思います。 現代が物語りの時代設定となっている小説を多く読む方や、 純粋なエンターテイメントが好みの方も、 立ち読みで中身を確認されることをおすすめします。 | ||||
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2003年に出た単行本の文庫化。 昭和7年という時代設定である。上流階級のお嬢さまたちが次々と登場する。さらには男装の麗人まで。 こういう世界が苦手な私には、あまり楽しめない小説だった。北村薫の新シリーズということで期待して読んだのだが。まあ、こういう世界が好きな人にはたまらないのだろう。それはそれで需要もあるだろうし。 ミステリとしての出来はそこそこ。トリックの切れというよりは、遊びの部分が生きていて面白かった。北村薫も熟練して余裕の持てる作家になったものだなあと思う。 | ||||
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主人公花村英子は父親が財閥系企業の社長という事で、上流階級のお嬢様です。神宮にある女子学習院に通っています。 その花村家に新しい運転手がやってきます。別宮(べつく)みち子。そんな二人が市井の事件や身近に起こった不可思議な出来事の謎を解いていく、という作品です。 ベッキ―さんにはいろんな能力がありそうですが、推理という点では英子が担っています。彼女はそんな英子を見守るような感じで存在しています。交流の中で英子は色んな事を知るという成長物語という面もあります。作品の印象としては円紫師匠と私シリーズに近い形のものでしょうか。 ただし、作品はちょっと食い足りません。私シリーズは生活風景描写に独特の雰囲気があったのですが、本作はその部分が、ちょっと弱い感じがします。それを補っているのがべっキーさんの隠れた何かが明らかになったりする場面なのですが、私シリーズでは、この手の謎というかトピックは、「さらり」と呈示して、生活風景のシーンに波風を与えるか、逆に徹底して事件の中に溶かし込むことで、インパクトを出しています。 本作はそれの描写自体が読みどころになっていて、ちょっと単純なつくりになっているきらいがあります。 とにかく雰囲気を出す為の感覚が私シリーズが絶妙だった為に、こう思ってしまうんでしょうが。 ただ、北村さん、こういうの好きなんだなあーと思った件があり、それなりに楽しめました。 | ||||
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時は大正覚めやらぬ昭和初期。 まだ爵位制度が残っている時代のお話。 上流階級のお嬢様が三つの事件をさくさくと解き明かしていきます。 第一話でこの花村家に新しく加わるキャラクターがいます。 宝塚の役者のような男装の麗人ですが、この麗人の正体が、実は全編を通しての一番の謎。 「えぇーい、云っちゃえ!」で、この謎は遂に謎のまま終わります。 続編を作りたいのでしょうよ。 こういう書き方はイヤですね。読むんじゃなかったと思いました。 読書とは趣味の世界ですから、そこに営利的なモノが臭ってくると興ざめしてしまう。 女子高生が苦もなく本職も解けない事件を解決するのも不自然。 そういうのは赤川次郎にでも書かせておけばいい。 一番読めたのは、三つ目の事件の「街の灯」です。 ここでは主人公の友達の「お嬢様の中のお嬢様」道子様が自分の結婚観を語ります。ここは面白い。 それに問題の男装の麗人が「主人公の人生の師」とはっきり位置づけられるのも最後になってから。 前の二つの事件は、三つ目に至るまでの長ぁ〜いプロローグだと思えばいいのかも。 | ||||
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北村薫の日常の謎シリーズが昭和の時代を舞台にして繰り広げられます。でも日常の謎なのにその時代の日常が現代の日常とは違うためなかなか物語にのめり込んでいくことができませんでした。登場人物は面白いのだけど、感情移入ができないのでほのぼのとしたストーリー展開がかえって淡々としているように感じられて退屈な場面が何度か・・・。でもベッキーさんの正体など、今後のストーリー展開が楽しみな要素も盛りだくさんなので続編を楽しみにしています。 | ||||
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ミステリーマスターズと銘打たれたこの叢書シリーズ。第5弾は北村薫さんの登場である。北村さんといえば女子大生と噺家の異色コンビが活躍する『空飛ぶ馬』でデビューし、所謂『日常の謎』を取り扱うジャンルの先駆者とも言える作家であり、本作品もその『日常の謎』の系列に属する短編集と捉えて良いだろう。ただ、探偵役は超がつくようなお嬢様であり、その設定に説得力を持たせるべく、あるいは作者が描き出そうとする人間性を一層明確にする(デフォルメしているとも言えるかもしれない)べく、時代設定は昭和初期となっており、ある意味現代から見れば『異世界』である。そこには超がつくお嬢様達が生息し、また、それにともなう異世界の常識がまかり通る。この舞台設定が作品の雰囲気を決定していると言えるだろう。また、探偵役の少女をはじめとして登場人物達が、北村流の生き生きとしたタッチで描かれているところはさすがである。ただ、特筆すべきはある意味ワトソン役に徹しながら、探偵を謎へと誘う女性運転手ベッキーさんの存在である。この謎に彩られた女性と少女探偵の物語が、今後どのように描かれていくのか注目したい連作短編集である。 | ||||
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