■スポンサードリンク
リセット
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
リセットの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全33件 21~33 2/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作家の三部作の最後がこの「リセット」である。構築からいけば「ターン」には劣るし、「スキップ」のような意外性もない。だが、ミステリーじゃなくノージャンルの小説としてなら十分に読めるはず。 時は昭和20年代。戦争のまっただ中の日本。そこで生きる人びと。温かくもあり厳しくもあり。第一部は真澄の視点で語れらていく。一人称を読んでいると丁度「私シリーズ」を読んでいるようなゆったり感がある。優子さんという頼れる存在。八千代さんも温かい。そして。 第二部は少年の日記を読むところから始まる。そして第三部は。 大体ありふれたものとは言えなかなか心動かす叙情詩ではなかろうか。メッセージ性は少ないが気持ちは伝わってくる。最後の最後まで。 読み終えたら星を眺めたくなった。どこかでまた巡り会える。そんな単調な話なんだ。だけども読者を引き込み感情移入させるキャラクターがいる。北村薫の手腕がここでも十分に発揮されている。十分だ。 第二部を読んだ時点で大体方向性は分かってくるかも知れない。やや読めない部分があった。優しさを忘れたことになるのか。 意見は分かれるだろう。作家はそれもありで三部作を書き上げた。文庫版の宮部みゆきとの対談を見ると終わったものではあるがこのシリーズは別に辞めたわけではないらしい。いつか、またこのシリーズにも会えるかな。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
普段、サスペンスものを多く読んでいる自分にとって、このおはなしの序盤はカナリ辛かった。語られる情景は、美しく、ひとつひとつがとても細かく描写されているのですが、「う~ん、このエピソードは本編に関係あるのかなぁ。はやく核心に迫って欲しい」というジレンマを感じつつ、読み進んでいきました。途中で投げ出したくなったりして、第1部を読み終えるのは、本当に大変でした。「リセット」の核心に迫ってくる第2部後半くらいからは、「どうなるの?!?!」って感じで一気に読んでしまいました。文学的な箇所を読むのは大変でしたが、いい経験になったし、ステキな話でした。時三部作の中で、やっぱりこの作品が一番美しく、気に入っています。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
物語の肌触りがよかったのです。ぬくもりを感じたり、しみじみと切ない気持ちになったり。第一部、第二部と、ゆっくりと進んでいく話のテンポ。最初のうちは、ちょっとまどろっこしいなあと思っていたんだけれど、いつしかそのゆったりした話のペースに馴染んで行きました。そして、「時」と「時」が結ばれ、寄り添っていく話の展開からこっち、もう目頭が熱くなってしまいました。こういう話には、昔から弱いんだなあ。最後の一頁を閉じて、胸がいっぱいになりました。獅子座流星群というのが、話にうまくからんでくるんですよね。《フライ返し》の場面がよかったなあ。切なくて、心をあたたかなもので満たしてくれる、そんな物語。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
時と人の三部作の中では、一番ハッピーエンドな物語だと思います。年齢と共に受ける印象が変わっていくのを読み返すうちに感じます。自分に流れる時に、改めて感謝したくなる本です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「スキップ」「ターン」に続く、「時と人」シリーズ待望の書き下ろし第3作にして最終作。第二次大戦前から始まって、現代へと続く2人の男女の物語です。ありがちな話、ありがちな展開ではあるのですが、小道具やキーワードの使い方が非常に上手く、伏線やキーワードが、思わずハッとするほどピタピタと小気味のいい音を立ててピースが嵌っていき、予想もしなかった絵が完成されていきます。タイトルの意味が分かった頃には、すっかり北村薫氏の手中にあって、運命ってあるんだなぁなんて、ロマンティックなため息を付いてしまいます。悪意の無い、性愛に走らない、どこまでもロマンティックな恋愛小説。なんとなく恥ずかしい心持にもなりますが、たまには、そんち?甘いのにどっぷり浸りたくなるときもありますよね。「時と人」その不思議さに思いを馳せてしまいます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
人を繋ぐ運命の力というものに想いを馳せてしまった作品だ。この話は三部からなっていて、第一部は戦時中、第二部は比較的戦後すぐ、第三部は第二部のもう少し後で現代に近い。内容はここで知るとつまらないので書かないが、人の想いはどこまで届くのだろうかと思わざるをえない。「死ぬほど好き」という言葉があるが、死をも超えられる愛はあるのか?なさそうでありそう、ありそうでなさそうなロマンチックな物語だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
第1部は戦前の女学生の日常がたんたんとつづられており、これがどういう風に話が転がっていくのかわからなかったが、第2部になってひとりの少年が登場することによって俄然面白くなってきた。美しい物語であった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
やはりこの作品を読むにあたっては『ターン』『スキップ』は欠かせません。殆どの方が前2作を読んでこの『リセット』に入った事と思います。前2作との対比はともかくとしてこの『リセット』については著者の北村薫さんの文学的表現がとても繊細だなとまず感心しました。作品は作中の積み重ねの展開が80%がた過ぎた時点、残り20%のところで物語は急展開を見せます。ここのところの内容はやはり前半部の80%があってからこそ、と通読してみて初めて噛みしめられるのかなと感じます。私的にはそれぞれの出会いと別れの場面 ~かるた取りの場面・修一の家で「また逢えたね」場面・工場での敬礼の場面・和彦と真澄が出逢う場面(帽子が飛ぶところ)・電車事故の最後の場面・そして麦畑での場面~とても好きです。感動します。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
時と人シリーズの三冊目の本です。私は三冊全部読みましたが、一番好きになりました。この話は戦時中の時代から始まります。今では想像もつかない時代の話に、始めはとまどいも感じましたが、貧しく辛い生活の中で主人公が歌や詩や本から得たものは、物があふれる今を生きる自分と比べてとても大きいものだったんだと思いました。そしてどんどん時間が流れて、今と近い時間へと進んでいきます。その時間の流れのせいか、読み終わったあとはしばらくぼーっとしてしまいました。(^_^;)内容については書くともったいないのでやめますが、時の流れと途中に出てくる詩はとても素敵なものでした。読み終わったあとに、その詩や出てきた言葉のつながりをもう一度探してみるのも楽しかった!です。あと、最後には解説ではなく著者と宮部みゆきさんとの対談が載っています。宮部さんもこの作品がお好きなようで、とても内容の濃い対談でした。とてもおすすめです! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「スキップ」、「ターン」と読んでから、この作品に進まれて下さい。時と人シリーズ三作目です。なだらかな作風ですが、この作品が一番時が流れるのが早いのです。そして悲劇的であるのです。それを乗り越えて得る奇跡。良く、著者は調べていると感心します。舞台や道具を上手く生かす事が出来ています。スキップもターンも映像化してますが、これは難しいような気がします。(でも映像になるのを期待してしまいます)輪廻を貴方は信じますか?私はこの作品を読み終わり、「信じても良いのではないか?」と思いました。時の流れは冷酷ですが、過ぎ行きて、尖っている角を丸め、優しくさえ感じるなるのです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ターンを手にとってから、北村先生の世界にはまりました。今回の作品、リセットも最高の作品です。ターンやスキップのように、中盤(の終わり頃かな)まで「時」は変わりませんが、第一部・第二部だけ取り出しても話は面白いし、これがどう「時」と関わっていくのだろうと思うとワクワクして読めました。物語が終わりに近づいてくると、今までのバラバラのように思えた話が繋がっていきます。最後は本当に感動してしまいました。(泣いちゃいました)この夏、読んでみるならこの本ですね!!絶対お薦めです!!ぜひ読んでみてください!!! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「スキップ」では一人の人生が数十年間跳ぶ。「ターン」では一日が何度もくり返される。「リセット」では…。北村薫は「日常」を大切にする作家である。ところがこの作品に至っては、それは大切にするどころではない。「歴史」に向かって、「運命」に向かって、まさに闘い勝ち取ろうとしている。「目の前に定規で平行線を引いたように、黒い電線が見えます。その向こうに、家々の屋根が広がっています。甍の列は、すでにはっきり形を見せてはいますが、昼間よりはまだ色合いが薄く、白黒映画めいて見えます。その間に、消えるにはまだ少し間のある街灯が、遠く近く色を点じています。」北村薫はこのような早朝の何でもない「日常」をなんとしてでも守ろうとしている。そのためにはどんな「奇跡」でも起して見せる。その意気込みは悲愴ですらある。「琢木カルタ」の「かの時に言ひそびれたる/大切な言葉は今も/胸にのこれど」という歌が重要な言葉として出てくる。私も「大切な言葉」を幾つか胸に反芻してみた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
名匠・北村薫「時と人」三部作の最終巻。 現代の男と昭和初期の女、ふたりの手記が交互に配置される構成。やがてふたつの手記はからみあい、重なり合って、途切れる。そして……。 というストーリーは、実は本作にとってさほど重要なポイントではない。なるほど、この物語をひとつに束ねる環ではある。しかしそれは丈夫がとりえのありふれた金属製の環で、珍しさも派手さもない。作者はあえて選んだのだ。なぜなら、その環で束ねられた、これまた飾り気のない分厚い単語カードの一枚一枚に書き込まれた言葉にこそ、作者の意図は込められているからだ。 現代の男は誠実に生きてきた。 昭和初期の女もまた真摯に生き抜いた。 ふたつの生き様は、ふたつの時代の変遷の中で、もまれ、よじ!!れながらも、きっちりと首尾一貫して貫かれてゆく。たやすいことではない。当事者であることは、なにひとつ保証しないのだから。我々はいくらでも愚かになれるし怠惰になれる。強くあることは、終わりのない戦いだ。 女を取り巻いていた時代は、過去だ。そのはずだ。 しかし、時はめぐる。人は忘れ去る。無意識に、あるいは、わざと。 我々は強く在ることができるか。 賢く在ることができるか。 単語カードは、ぱらぱらと一度だけ眺めては意味がない。幾度も、幾度も読み返すしかない。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!