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君たちに明日はない
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君たちに明日はないの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全27件 21~27 2/2ページ
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あの垣根涼介が山本周五郎賞を受賞?と何か賦におちない気分で読み始めた。お馴染みのアウトローたちの姿はなく、日本のどこにでもある社会の一面を「リストラ」というテーマで切り取った作品群となっている。凄腕の面接担当官とリストラ候補者との会話は面白く、笑いありペーソスあり、はたまた業界固有の薀蓄も含まれ、確かにかなり面白い現代小説に仕上がっている。 しかし、しかしである。新しい読者層からお叱りを受けることを覚悟の上で言わせていただくと、『ワイルド・ソウル』『午前3時・・・』或いは『ヒートアイランド』で唸りを上げた垣根ワールドに浸った者にとっては、こういった方向はどうも欲求不満と言わざるを得ない。底辺に流れる激しい情熱や誰にも止められない疾走感(ドライヴ感?)を、肌のどこかでピリピリと感じながら読み進む楽しみが過去の垣根作品にはあった。確かに社会風刺も面白いテーマで取り組みたい気持ちも判らぬではないが(作者あとがきで触れられているとおり)、垣根氏にはもっと大きなプロットでドロ臭い作品を期待したい。 こういったシチュエーションなら奥田英朗という方がおられたが、サラリーマンの悲喜こもごもというテーマであれば荻原浩も結構面白く、『メリーゴーランド』や『神様から一言』あたりをお薦めしたい。今回は大変厳しい評価であることを承知で星3つとする。最後に、性描写のくどさについては私も結構気になった。 | ||||
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’05年度「第18回山本周五郎賞」を受賞した、5編からなる連作短編集である。 村上真介は33才。リストラ請負会社『日本ヒューマンリアクト(株)』に所属している。今日も今日とて依頼先の企業の会議室を借りて、23才・美形のアシスタント・川田美代子を従えて、先方の人事部になり代わってリストラ対象者との面接だ。いや、面接とは名ばかりで、実際は自主退職の督促をするのだ。何人辞めさせたかという実績が、ヒューマンリアクトという会社に対する評価、ひいては会社での彼個人の評価にもつながるのだ。 相手先企業もさまざま。建材メーカー、玩具メーカー、メガバンク、コンパニオン派遣会社に音楽プロダクション。被面接者にしてみれば、人生の危機・ターニングポイント、養うべき家族もいれば家のローンもある。当然面接の場では修羅場が演じられる。 私もこの手の話には、年齢的にもまったく縁が無いわけではないので、何となくわが身に置き換えてみると、身につまされる。 ところが真介は、「おれはいったい何をやっているんだろう・・・。」と思いながらも、まんざらこの仕事が嫌いなわけでもなさそう。彼なりのポリシーを持ち、真面目に取り組み、事前の準備も怠り無く、きちんと仕事をする。実績も着実に上げているようだ。 反面、第1話で出てきた8才年上のリストラ対象の建材メーカーOLと、ちゃっかり恋人関係になってしまったりする。 本書は、リストラという今日的な重いテーマを扱いながら、村上真介というキャラを緩衝材にして、笑って、唸って、泣かせるストーリーに、上手く仕上がっている。 | ||||
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リストラ請け負い会社の社員、30代前半の男性が主人公。 彼の担当するリストラ対象者を軸にして話しが展開される。 5つの話しに別れているが次第に主人公に好感が持てるようになっていった。 垣根涼介の作品としてはハードボイルド性が弱く意外であった。でも、バイクがでてきた。(銃とかは無し!) 続編が容易そうなので評判がよければ続くだろう。 もう続いてんのかな? | ||||
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リストラされる側の面々が個性的であり、本書のメインである面接シーン等は面白い箇所が多かったと思う。 また、彼らの苦悩や葛藤、それを乗り越えて前向きに生きていこうとする姿には非常に共感が持てた。 その一方で、リストラを言い渡す側である主人公の真介については、自分なりのスタイルを持ってスマートに 生きているようだが、あまり魅力を感じる人物ではなかった。彼自身の過去の挫折や苦悩が描かれている部分があり、 それが今現在の彼のアイデンティティの礎になっているんだろうとは思うが、どうも彼のキャラクターを好きになれなかった。 ストーリーもそれなりに面白く、魅力的な登場人物が多かった一方で、肝心の主人公がいまいいちだったため、 評価としては「星3つ」というところだろうか。。 | ||||
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リストラされる側の人生の描き方に光るものがあります。キャラ立ちの良さは相変わらずですが、この作者の場合、主人公以外のキャラの方が感情移入し易いんですよね。前作「クレイジー・ヘヴン」よりはだいぶ良いですし、クビ切り屋というアイデアも良いですが、話としては普通の青春小説になってしまいました。その代わり一日で読み切れる読み易さです。勤め人には身につまされるような話ですが、ちゃんと希望も持てる内容です。 | ||||
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発注者や業務に対して苛立ちや苦しみを感じていた主人公は読み進めていく内に居なくなり、リストラ対象者の内"その他大勢"はスケジュールのひとつに埋没していく。突出している特殊な人にのみ焦点を合っていく展開と並行して、主人公もプライベートの楽しみに焦点が移っていく。リストラ請負業者という素晴らしい設定で、さまざまな職種の職業観を描く人間ドラマに。しかし、主人公の帰結するのは己が欲望へ。その不条理さまでも描きたかったのかは疑問。良い意味でも悪い意味でも特殊な人はごく僅か。しかも、なぜかリストラ対象者には入りにくい。むしろ普通の人たちがリストラされている不条理。同じ不条理なら、そんな人たちなりの事情をリストラ請負業者という立場からスポットを当てることで描いて欲しかったと思います。 | ||||
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著者の垣根さん曰く「今度は普通の人々の極限を描きたかった」そうな。ということで普通に生活している人々の恐怖対象としたら、生活の基盤が崩れること。すなわち収入が無くなる。職を失う。ということでリストラがテーマ。とそこまでは良い。しかし内容がなんとも楽天過ぎます。 まるでテレビドラマを見ているかのように、とんとん拍子に話が進んでいきます。そこにはリストラの理由は描いてあるのですが、生々しさの描きが無い。ようは出来過ぎじゃん、という話なんですね。 正直、面白いストーリーとかではありますが、垣根さんに望む世界でないのも心情。もっと極限を描いてほしかったところです。 ただし、普通に読む文には面白いストーリーなので、初めて垣根さんの小説を読む人にはいいかもしれませんね。昔からのファンからしてみれば、「サウダージ」「クレイジーへヴン」と続く期待はずれといった感じがします。 | ||||
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