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少女七竈と七人の可愛そうな大人
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少女七竈と七人の可愛そうな大人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全53件 41~53 3/3ページ
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読み終わってすぐ感じたのは「なんて切ない…」という気持ち。 世にも美しい少女「七竈」と少年「雪風」の心情や、お互いの境遇、 巡り巡ってゆく因縁のような出来事。 七竈と雪風につきまとうおかっぱの少女。 在り来たりな日常のようなのに、特別なことのように思える。 何ともフクザツなこの感じは、桜庭一樹さんの綴る言葉に 特別な想いが込められているからなのでしょうか。 表紙を開くと、線路の跡が残っている装丁も好きです。 | ||||
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デフォルメこそされているが、この作家の描く人物たちは皆、潔いまでにリアルなのだ。不誠実で無軌道、怯懦で残酷で自分勝手。全然強くないし、少しも優しくない。 少しも美しい若者ではなかった私だが、それでもこの作品を読むと、世界の醜さを憎んで唾を吐き散らかした苦い日々、『うちと前の彼女、どっちが好き?』と甘い声で問いかける恋人の顔面に叩き込みたくなった真夜中の拳の硬さ、そんなものが思い出されて泣けてくる。 「わたしは母のいんらんのせいで遺憾ながら美しく生まれてしまった」。もう、降参以外の選択肢はあるまい。「男どもよ、わたしを勝手に消費するでない」「吹け、滅びの風」・・・七竃、貴女は俺なのか? 嘘でもいい。そうだと言ってほしい。でなければ、悲しくてやりきれない。 「この世には、ドアホと雌豚の2種類の人間がセックスをするためだけに生きている。」思春期の終わりに誰もがブチ当たる、このどうしようもない事実を視なかった事にして、なんだかんだでヨロシクやってる我々を川村七竃十七歳は激しく責め立てる。世界の中心の定義を与し易いものに置き換えて、お前はわたしのことなどとうに忘れてしまったんだね、と。 違うんだ、それは違うと弁明しながら見遣れば、故郷は茫洋として北の大地のごとく遠い。 明日からも今まで通り生きていく自信がなくなる佳作です。 | ||||
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桜庭一樹の、荒野の恋にみられる、ひそやかでけぶるような独特の異世界が展開されています。 その異世界に溶け込める人間は、読み進めるほどに作品に没入していく……。 読み終わったあと、自分が、住み慣れた自分の家が異常な環境に思えるほどに、作中に入り込んでいたことを知りました。 あれ、なんでこんなところにいるんだろう。さっきまで本を読んでいたのに。 みたいな。 主人公の類稀な美少女:七竃と、幼馴染の美少年と、その周りの田舎の閉じられた世界を舞台に物語は展開していきます。 私は正直、七竃には感情移入できなかった……。 七竃は明らかに、桜庭先生の妄想のさんぶ いやいや、桜庭一樹の少女世界の住人、とでも申しましょうか。それだったので。 ですが、これはこれで★5なのです。 なぜなら、桜庭作品には少女世界に人を招く力があるのだから。 | ||||
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桜庭一樹の、荒野の恋にみられる、ひそやかでけぶるような独特の異世界が展開されています。 その異世界に溶け込める人間は、読み進めるほどに作品に没入していく……。 読み終わったあと、自分が、住み慣れた自分の家が異常な環境に思えるほどに、作中に入り込んでいたことを知りました。 あれ、なんでこんなところにいるんだろう。さっきまで本を読んでいたのに。 みたいな。 主人公の類稀な美少女:七竃と、幼馴染の美少年と、その周りの田舎の閉じられた世界を舞台に物語は展開していきます。 私は正直、七竃には感情移入できなかった……。 七竃は明らかに、桜庭先生の妄想のさんぶ いやいや、桜庭一樹の少女世界の住人、とでも申しましょうか。それだったので。 ですが、これはこれで★5なのです。 なぜなら、桜庭作品には少女世界に人を招く力があるのだから。 | ||||
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子供の頃、大人になれば成長が止まるような気がしていた。しかし成長が子供だけのものとは限らない。子を通じて、親もまた成長するものなのだ。 少し風変わりな少女七竈とその母の成長を描いた青春小説。 田舎の閉鎖性や秘められた思い、後輩との奇妙な友情と、少女の世界をていねいに作っている。 作品の外側に直接語らない日本の美が存在しており、一昔前の文学を感じさせる。 インパクトのある短い言葉でひきつけておいて、独自の世界を描きだす点は見事。 読みやすい割に文章に癖があるので万人に勧められる本とは言えないが、偏見をもって接すると損をする本だろう。 ライトノベル出身の作家さんだそうで、そう言われてみると擬音の多さや体言止めが目立つ。 | ||||
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「七竃がそんな顔に生まれてしまったのは君の母がいんらんだからだ。」美しき少年雪風は、同じく美しき少女七竃にそうつぶやく。これは切ないほどの祈りを込めた言葉。 雪が降ればすべてが真っ白に染まってしまう小さな町。その町の中にある小さな家の薄暗い居間にある世界。自分たちを乗せて走る鉄道模型。年を経るごとにだんだん拡張されていく線路だけれど、それは閉じていてどこにも飛び出せない。ただぐるぐると回るだけ。しかし、時は無常にも流れ、春が来れば覆い隠されていたものは再び姿を現す。そしてそれは小さな世界を絶望的なまでに破壊しつくしてしまう。 うつくしきかんばせを覆い尽くす黒く長い髪は、自分を襲う呪いへの抵抗。それを切り落とし、鏡にうつし出された血の呪いから、少女は解き放たれる日はくるのだろうか。新しい土地で小さな白い花が咲く日が。 | ||||
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久しぶりに文句なしに☆を5つつけられる小説。 大化けする作家を見つけた、と思った。書き続けていてくれたなら、五年後には直木賞も狙える作家になっているだろう。山本文緒・唯川恵・村山由佳らの次を行く人だ。 誰もが振り返る美しいかんばせ(顔)を持った少女・七竈と幼馴染の少年・雪風。他人のはずなのに、だんだんに似てくる二人と、淫乱な七竈の母。 ちょっと突飛な設定だが、入り込んでしまえば気にならない。そしてこの作者は、最初の五行で読者を惹きこんでしまう腕をもっている。ライトノベルの枠を飛び出して「母と娘」という永遠のテーマに真っ向から向き合った意欲作だ。 | ||||
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ラノベ作家の一般紙進出が続いている。甲田とか、橋本とか。ただ、勘違いしちゃいけない。ラノベ要素を捨てて書こうとしたら、失敗する。一般紙にうつったとたん、ラノベで書いていた過去をばっさり捨てるような作品を目にする。あんたらにその実力はないから、ラノベのノウハウを生かせ、と思わず突っ込みたくなる作品が多々ある。だから、ラノベ作家はラノベの枠内にいたほうが、基本的にいい。 しかし、桜庭一樹。素晴らしい。今回の七竈、キャラクタは完全にラノベ的なつくりでいながら、お話は完全な青春小説よりの中間小説になっている。ラノベキャラをつかって違和感がないのは、文章力があるから。いい文章書きますね、この人。 展開にメリハリがまったくないのがマイナス点だが、良質な小説だろう。 | ||||
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表紙をみて気になっている人も多いはず。 この美しい二人の切ない物語です。 読んでいる途中、この2人がどうなってしまうのだろうと、 読み進めるのが怖かった。でもページをめくる手は止まらない。 読んでよかったです。 話ごとに語り手が変わる・いろんな視点から物語が語られていくのも おもしろかったです。 | ||||
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後々ライトのベル作家の作品だと知ったが、文章は十二分に読ませるものがある。 主人公の少女七竈の独白文が凝っていて、「吹け 滅びの風」「○○後輩」といったエッジの立った(?)台詞回しが強く印象に残った。 筋立てには特筆すべき点はないのだが、登場人物の特質や会話のテンポを重視するなら格別の作品かもしれない。 | ||||
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うつくしい。 うつくしい、世界。 うつくしい、少女。 うつくしい、生きかた。 鉄道模型に閉ざされた、異母兄弟少年・雪風と、いんらんな母の娘、少女・七竃の、うつくしい言葉でつむがれる世界。 昭和の頃に、実らない恋に対する無自覚の煩悶から、堅物箱入り娘のままの小学校教諭でありながら、7人の男と関係を持つことで、自分を変化させてみたいと願った川村優奈。 誰かの子供を身ごもり、私生児を出産。その娘、七竃は、とてもうつくしいかんばせをしていた。 母・優奈、娘・七竃、かつて優奈と関係を持った男たち、公務員を退職した祖父、引退した警察犬、優奈の友であり風雪の母、優奈が欲しても手に入らなかった男・田中。 狭い共同体、狭い人間関係の中で、それぞれのまなざしから切り取られる平凡なはずの世界は、わずかに、少しずつ、でも確実に変容していく。 個性溢れる脇役が、ずいぶんとたくさん顔を出すのにも関わらず、すっきりとまとまっており、理解しやすい。桜庭一樹の今後のさらなる広がりに、期待大だ。 | ||||
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七竈の母、川村優奈は平凡な女性ながら数多くの男と交じり、子を宿した。 昭和の田舎にあってこの行為は忌むべきものであり、その結果生まれた七竈は肩身の狭い思いをすることとなる。 輪をかけて不幸なことに、母に似ることなく彼女のかんばせはあまりにも美しく狭い田舎社会では悪目立ちしてしまう。 しかし、そんな彼女にも唯一心を許せる幼馴染が居た。 同じように美しすぎる美貌をもった男の子 雪風 である。 ちょっと古風で丁寧な話し方をする七竈。 あまり口を開くことはないが、多くの時を七竈と共に過ごした雪風。 家を空けることが多くなり、遂には育児を祖父に任せ放浪を続けるようになる淫乱な母。 小さな彼女らは青春期特有の永遠感を抱き、この時がずっと続くものだと信じていたが…。 優奈の奔放に巻き込まれた大人たちと、最大の被害者である子供が織り成す少し悲しく儚い恋愛物語。 うーん、情緒豊かな作り込み。 何か環境が変わるきっかけが起こるわけでもなく平凡な日々を過ごしているのに、徐々に同じでは居られなくなる心情の移ろい。 そして、便宜上恋愛小説とは言ったものの、強く熱く想いを寄せる恋があるわけではなく少し様相を異にする風情がある。 良い意味で同じ人が『GOSICK』を書いているとは思えない(笑)。 | ||||
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人気ライトノベル、GOSICKシリーズの著者、桜庭一樹氏の単行本(もしや初のハードカバー?) 大変遺憾ながら”美しく”生まれてしまった17歳の少女、川村七竈(かわむら ななかまど)と 七竈の住む町のもう1人の異形、美しい少年(七竈の友人)桂雪風を取りまく可愛そうな7人の大人たちのお話。 桜庭作品といえば”少女”といってもいい程だが 今回も”美しい”少女が桜庭さんの手に掛かると、いやらしさや特有のプライド、意識、 ある種の自覚などを持たないサッパリ美少女になる。 サッパリだがそれでも、芯の部分はしっかりとした”女性”を持っている。 桜庭作品に出てくる少女たちは、まるで砂糖でコーティングされた菓子のようだ。 側が溶けると現れる芯の部分に、僕は毎回翻弄される。 ライトノベルで注目を浴びている桜庭氏だが 最近では「少女には向かない職業(このミスで20位にランクイン、現在GAOにて連続ドラマ放送中)」 「ブルーススカイ」を始め文芸雑誌にも執筆をするなど、幅広い活躍をみせている。 今後も長編を文芸誌で連載予定だとのこと。 今後の活躍に期待しつつ、手にしっくりくるこの本を手に あなたも 桜庭作品の少女特有の甘い香りのする銃に 照準を定められてみてはどうだろうか。 | ||||
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