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少女七竈と七人の可愛そうな大人



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少女七竈と七人の可愛そうな大人の評価: 4.25/5点 レビュー 61件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.25pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全50件 21~40 2/3ページ
No.30:
(5pt)

極めて完成度が高い

桜庭一樹作品を読むのは『推定少女』『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』『私の男』に続き4冊目だが、左記の3作には、才気に急き立てられて走り抜けたゆえの綻びのように見えるところが多少なりともあった。本作にはそれが無い。にもかかわらず、推敲を重ねたような構築感はなく、印象はあくまでライブ。これはおそらく、努力してなんとかなるものではなく、選ばれた人にしかできない芸当。この作家の才能のスケールの大きさを感じたければ外せない作品。
少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)より
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No.29:
(5pt)

どれだけ願っても…

どれだけ思い続けても決して伝えられない思い…それでもいんらんな親からは美しい子供が産まれると言う何の根拠も無い理由を無理にでも信じ僅かな希望を作ろうとする七竈と雪風しかし周りの大人達はそれを許してしてくれない北海道の小さな田舎町で繰り広げられるあまりに痛く切ない別れの物語最後の七竈の一言読んで1ヶ月経ちましたがは未だに切なくなります…
少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)より
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No.28:
(4pt)

高校生くらいの方に特に(!)おすすめかも。

お互いに唯一無二の存在の、美しい少女『七竈』と、美しい少年『雪風』。その美しさゆえに穏やかに暮らせないふたりの切なく哀しげな毎日が描かれています。明るい話ではないけれど、凄惨な話でもないので重くなりすぎず読めました。文章も読みやすい。章ごとに視点が変わるのが、好みが分かれる点でしょうか。もっと七竈視点で読みたかったです。
少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)より
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No.27:
(4pt)

痛い。

七竈と雪風の気持ちが苦しくてせつない。 どんなに想い合っても赦されない一線をいつも見つめてる感じがする。 七竈が自分から離れていくことを知って彼女を叩いてしまうところに雪風の弱さを見れた感じ。大人は駄目だなぁと思う。最後私的には2人のハッピーエンドがよかったけど、やっぱりうまくいかないところがせつないです。
少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)より
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No.26:
(5pt)

結局は美少女の話。主人公への「共感」は期待していなかったが――

人並み外れて美しく生まれてしまった七竈。でも彼女が望んでいることは
人並みな母親からの愛情であり、恋愛であり、人生。
美しい高校生に成長しても、自意識過剰になるでもなく、手軽な恋愛に逃げるでもなく、
悲劇のヒロインにも、人気者の「いい子」になるでもなく。
まだ母の愛情を心から欲し、趣味の鉄道に没頭したりする子供らしさ・純粋さが
そこここに見え隠れ、いっしょうけんめいに生きる姿を素直に見守ってあげたくなりました。
そんな七竈の母親も、自分の母親の生きざまが強く影響して今のような姿になった――
母と娘という関係は、親子であるとともに「おんな同士」なんだと考えさせられました。
ときどき現れる、ペットの犬からの視点の描写がやさしく、
美しいが少し(否、かなり)変わった七竈の言動も謎めいていて心惹かれます。
読み終わった後、もう一度、このカバーイラストをちゃんと見てみてください。
なんてよくできたイラストなんだろう、と実感します。
(自分と同い年の女性の作品とは、思えません。)
少女七竈と七人の可愛そうな大人Amazon書評・レビュー:少女七竈と七人の可愛そうな大人より
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No.25:
(5pt)

たいへん遺憾ながらハマりました。

桜庭さんの小説を読むのは、『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』に次いで二冊目です。
ブレイクされる理由もわかりました。だって読ませますもん。
桜をモチーフにした話はありますが、七竈とは。まことに遺憾ながら、
初めてそんな木があるのを知りました。
一気読みできるエンターテイメントではなく、
味わいながら1日一、二話、あるいは数ページ読むのがちょうどいいペースです。
七竈の母が「辻切りのような」行動にでますが、
話のクライマックスで時間をさかのぼって、その発端や行動原理に触れるので
切なさが増します。本質は「いんらん」ではなく、素朴で純粋だったのでは。
少女・七竈は狭い地方都市にあって、
「ここにはいられなく」なるほど、あまりにも残酷な状況です。
誰も何も言わなくても成長すればするほど真実がいぶり出されていく一方で…。
それでも、「君がそんなに美しいのは、母がいんらんだから」
と超自然の理由にして誰も何もいえないのが痛切。ひたすら痛切。
緒方みすずの存在は、最初は緊張が走りましたが救いになりました。
また、違う自分になろうとした七竈の母と、その母が憧れていた、
年をとることで本当の自分を知ろうとした往年の人気アイドル「乃木坂れな」。
この二人は、見事で皮肉なコントラストをなしてます。
「若くて美しくて特別ならば素晴らしい」
という常識など滅びてしまえって訴えを、機関銃に込め、うぉん!って感じ。
少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)より
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No.24:
(4pt)

テレビはもちろん『世界の車窓から』

美しい娘と、美しくない中年の母。
不思議キャラの七竃と雪風、哀愁漂う母親たち。
雪風の母が七竃の母をぶん殴るシーンが良いですね。
現実感が希薄なふわふわした物語に鋭いクギを刺します。
少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)より
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No.23:
(5pt)

ブレイクポイントとなった作品

 「カルビーのカッパえびせん」じゃないけれど、桜庭一樹の小説には、「止められない・止まらない」癖になる面白さがある。「砂糖菓子」の次に本書を立て続けに読んでしまった。
 ”君が、そんなに美しく生まれてしまったのはね、母親がいんらんだたからだ”
 旭川の郊外にこれほど世間の狭い地域があるとは思わないが、そうなんだろうか?
 どうでもいい事かもしれないけどな、七竃を「広辞苑」で調べてみると、高さが約10メートルにもなる結構でかい街路樹なのだそうだ。
 角川文庫の宣伝文によると、本書は桜庭一樹の「ブレイクポイントとなった名作」ということらしいが、なるほどそれだけの面白さがあるワイ。
少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)より
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No.22:
(5pt)

桜庭作品で人に勧めるなら、私はこの作品。

文芸分野に限らず豊富な読書経験があり、しかも数少ない「書き続けることができる」作家の一人だと思う。『私の男』で直木賞を受賞し、一躍有名になった作者だが、作者のカラーはこの作品の方がしっかり出ていて面白い。ライトノベル作家であることもあって、ライトノベル作家が文芸を書くことについてもしばしば言及されてはいるが、違う土俵であっても文章の力で魅力ある作品が生み出せるのは地の力がしっかりしているからなんだろなぁ、と羨ましくなる。文芸作品に出てくるような陰影を持ったキャラクターよりも、この作品のように極端なくらいに特徴づけられたキャラクターを、文芸で用いられるようなテーマにぶつけていって欲しいなと思った。文芸書は今では以前ほど売れないと言われているけれど、この作者なら新しい読者層も取り込む違う地平を切り開けるかもしれないと期待します。
少女七竈と七人の可愛そうな大人Amazon書評・レビュー:少女七竈と七人の可愛そうな大人より
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No.21:
(5pt)

あぁ・・・・

この本を読み終えたときの感想が「あぁ・・」でした。
自分でも、何を表しているか分からない呻き(?)でした。すごく呆然としたような。
桜庭さんの言葉を借りるとすれば、「撃たれた人のような」って感じでした。
本でこんなに、ぼっーと、したのは初めてでした。
読んでいくうちに、どんどん七竈と、雪風の会話などにのめりこんでいって、
気付いたら、「読み終わっちゃった・・・」って感じでした。
あぁ・・もうなんて言ったらいいか分からないんですけど、とにかく・・
私はすごく好きなんです。このお話。 

ちぃさい、ちぃさい会話が暖かくて、頬が緩んでしまいましたww
このレビューは読み終わってすぐに書いているので、まだぼっーとした感じです。
だからレビューになってるかどうかも。

でも、このレビューをみて、この本を読んでくれて、私のように感じてくれた人が
いたら、すごく、嬉しいですww

なんか、参考になってなくてすいません↓  でも、最後に。

すごくオススメの本です!
少女七竈と七人の可愛そうな大人Amazon書評・レビュー:少女七竈と七人の可愛そうな大人より
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No.20:
(5pt)

鮮やかな赤い色。

とてもまじめで控えめであったごく普通の女性・優奈が、
町の全ての女性から嫌われるような存在に変わります。ある日突然に。
そしてその娘・七竈が絶世の美少女というのですから、酷な話です。
小さな町で、いつも好奇の目で見られるかわいそうな七竈には、
幼なじみの男の子・雪風がたった一人の理解者だったのですが・・
高校生という、最も多感な時期を丁寧に描いた、
本当にピュアな作品です。
最初は変な名前の女の子が主人公の、これまた風変わりな小説だろうと、
高をくくっていたのですが、最後まで読んで思いました。なんと奥の深い!
甘酸っぱい初恋の思い出と、大人のエゴ、親子の葛藤。
全てを網羅した、特異な作品です。
優奈の立場で読むと、自分に正直に生きる意味を考え、
七竈の立場で読むと、大人になる難しさと切なさを感じました。
誰もが読後に何かを得ることの出来る作品だと思います。
真っ白な雪の中でも、赤い実が自己主張している、
ナナカマドの木を思い浮かべて読んで欲しいです。
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No.19:
(5pt)

母を許す長い旅

少女を描くことにかけては抜群の桜庭一樹が、どのように「白雪姫」を解題するか。断然の読みやすさ、ユーモア、そして、風土。モチーフは匂うごとくに漂うだけで、桜庭らしいオリジナルの物語になっている。
いんらんな母から生まれた子どもは美少女であり、平凡ではなかった。その顔が、母の罪を露呈する。
母親の平凡であるからこそのもの狂いせずにはいられぬような苦しみと、主人公の非凡であるからこその真綿で首を絞められるような苦しみと。
成就せぬ初恋の物語であり、母と娘の桎梏の物語。男性には見せず、女性だけで共有しておきたくなる作品だと思った。
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No.18:
(5pt)

不思議なほど綺麗な文章

不思議なタッチで書かれているこの本に引き込まれてしまいました。
かなり好き嫌いのわかれる本だと思います。
登場人物の深いところまでは書かずに、どんなに暗く悲しいこともさらりと流してしまう。
なのに心に残る不思議さ。
文章もとても違和感のある書き方。
明らかにこんな話し方はしないだろう、とか、名前もありえないだろ、とか
とにかく堅い話し方。いつの時代の本だろう?
突っ込みどころは満載なのに、だんだんとそのタッチの中毒になってしまう。
さらりと流れる軽い文章。
それに隠された深いもの。
最後は涙がとまりませんでした。
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No.17:
(5pt)

閉ざされた美しく儚い世界。

北の街の閉ざされた世界で繰り広げられる純愛がまるで氷がのように透明で冷たく、もろい。
そして氷が溶けるように儚い。
この本は最近発刊した『私の男』ですっかり作者のファンになり、手にした2冊目。
こちらもまた違った趣ですっかりハマりました。

美しい少年少女の美しい純愛には、冷たく雪に覆われた街と美しい文章がとても良くあう。
冒頭の文章にひかれて一気に読み進んでしまうが、終わりの頃には
氷のように冷たく透明で雪のように儚い想いに心が満たされる。
異色だがこんな純愛物もいい。
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No.16:
(4pt)

美しさと異形、

まず、一度見たら忘れられない書名。そして美しい表紙の絵。
内容もそれにあって、とても美しいお話でした。
どんなに美しいかんばせであっても、小さな箱の中では「異形」となされてしまう、その中に生きる少女七竈と少年雪風。
二人を取り巻く世界は確かに穏やかで、いつまでも続きそうなものなのに、いつからか崩れて行ってしまう。その一瞬の崩壊が慎ましく描かれている作品だと思います。
二人で作り上げた何もかもも仕舞いこんで、二人は大人にならなくてはいけない。だからこれは、子供から大人になる瞬間を描いた成長物語も担っているのではないでしょうか。
悲しいとか、そういうものじゃなくて。刹那の間に消え去ってしまったような、そんな切なさが溢れている作品だと思います。
内容自体もスマートで、凄く読みやすい作品でした。
あまり核心まで迫らないながらも、静かに情緒的に描いてあって、その中にぐいと引き込まれてしまいました。
作者の桜庭さんはライトノベルを主にお書きになってる作家さんだそうですが、こういう作品もどんどん書いてもらいたいですね。
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No.15:
(4pt)

記号に流されること無いキュートな小説

表紙の絵柄とエキセントリックな美少女という設定が
当初オタク系小説を思わせるが、いやいやどうして、
記号に流されること無くキュートな小説なのでした。
台詞回しや設定をここまでデフォルメする必要が
何処にあるのか、真意は良くわからないが
よく読めばピュアな青春小説の骨子が浮かび上がってくる。
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No.14:
(4pt)

タイトルすごいですよね。

まず、本屋さんやら図書館やらで本棚を見たときに目に入るもの。
やっぱりタイトルだと思います。
このタイトル、見ただけで興味を持ちました。そして表紙、見た瞬間読みたいと思いました。
それだけで出版社さんにやられたと思うくらい、私のツボでした。
さて、表面はそんな感じですが内面です。
以前に某本を読んでいたので、このお話の源流はわかっていました。
なので、何も知らずに手に取った人は、まず最初に読み始めて『なんだこれ?』と思うのではないでしょうか。そうです、まず最初に七竈ちゃんが生まれる前のお話(私が読んだときにはこうつながるとは予測してなかったのですが)、つまりは母親のお話からこの物語が始まります。
ある日突然、誰彼構わず身を重ねたくなった母親のお話です。
結果、七竈ちゃんが生まれ、舞台は17歳の高校生時代へと移り変わります。
これといって特に事件があるわけでもなく、ただ淡々と話が進むだけ。
恋愛や七竈ちゃんを取り囲む大人たちの憐れともいえる行動はありますが、七竈ちゃん自身がどうこうなったりどうこうしたり、という大きな変化は一見見受けられません。
だからこそ、文章がとても綺麗だと思います。
どこか古めかしい言葉遣いや身の振る舞いは、なんだか不思議な気分になりました。
希望としては、七竈ちゃんと雪風くんには2人で幸せになってもらいたかったけどなぁ。
ソコだけが残念です。
どうしてそこはふみはずさないんだろう。。。。
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No.13:
(5pt)

冬の哀しさ

 私がGOSICK、砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないと読んだ後、桜庭先生の作品にはまるきっかけになった小説です。冒頭の、辻斬りのように、というフレーズにひかれ、するすると読み終えてしまいました。
 一話の「辻斬りのように」は七竈のいんらんな母、優奈がある日突然男遊びに目覚めて七竈をみごもるまでの話です。題の通り、ほとんど出会い頭にばっさばっさとそういう行為に及んでいきます。優奈が自身が持つ自分のイメージを変えるべく、心身を投げ出している様子が激しく静かに描かれています。
 そうして生まれた七竈と幼馴染の雪風を巡る大人達を中心に話が進んでいきます。最初は鉄道模型のように閉じた美しい世界、それがだんだんと変化して広がって、若い二人を押し流していきます。その中で母、優奈と七竈の関係も変わっていくのですが、この母を許す許さない近いようで遠い関係というのは母娘だけでなく、父息子でもあるのではないかと思います。読後、長い冬が終わり、まだ寒さの残る朝の空気を吸い込んだときのような少し哀しく清々しい気持ちになりました。桜庭先生の作品は一通り読みましたが、その中でも気に入っている小説です。
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No.12:
(5pt)

美しさとは儚いもの

読み終わってすぐ感じたのは「なんて切ない…」という気持ち。
世にも美しい少女「七竈」と少年「雪風」の心情や、お互いの境遇、
巡り巡ってゆく因縁のような出来事。
七竈と雪風につきまとうおかっぱの少女。
在り来たりな日常のようなのに、特別なことのように思える。
何ともフクザツなこの感じは、桜庭一樹さんの綴る言葉に
特別な想いが込められているからなのでしょうか。
表紙を開くと、線路の跡が残っている装丁も好きです。
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No.11:
(5pt)

誰か聖処女(マリア)を思はざる

デフォルメこそされているが、この作家の描く人物たちは皆、潔いまでにリアルなのだ。不誠実で無軌道、怯懦で残酷で自分勝手。全然強くないし、少しも優しくない。
少しも美しい若者ではなかった私だが、それでもこの作品を読むと、世界の醜さを憎んで唾を吐き散らかした苦い日々、『うちと前の彼女、どっちが好き?』と甘い声で問いかける恋人の顔面に叩き込みたくなった真夜中の拳の硬さ、そんなものが思い出されて泣けてくる。
「わたしは母のいんらんのせいで遺憾ながら美しく生まれてしまった」。もう、降参以外の選択肢はあるまい。「男どもよ、わたしを勝手に消費するでない」「吹け、滅びの風」・・・七竃、貴女は俺なのか? 嘘でもいい。そうだと言ってほしい。でなければ、悲しくてやりきれない。
「この世には、ドアホと雌豚の2種類の人間がセックスをするためだけに生きている。」思春期の終わりに誰もがブチ当たる、このどうしようもない事実を視なかった事にして、なんだかんだでヨロシクやってる我々を川村七竃十七歳は激しく責め立てる。世界の中心の定義を与し易いものに置き換えて、お前はわたしのことなどとうに忘れてしまったんだね、と。
違うんだ、それは違うと弁明しながら見遣れば、故郷は茫洋として北の大地のごとく遠い。
明日からも今まで通り生きていく自信がなくなる佳作です。
少女七竈と七人の可愛そうな大人Amazon書評・レビュー:少女七竈と七人の可愛そうな大人より
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