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リンカーン弁護士
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リンカーン弁護士の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全21件 1~20 1/2ページ
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映画でも同タイトルの「リンカーン弁護士」原作で、弁護士ミッキー・ハラーシ リーズの第一作です。マイクル・コナリーが書いたリーガルサスペンスというだ けで期待感は半端ではないのですが、それを裏切らないクオリティの作品です。 まず本シリーズでも主人公が魅力的です。ミッキー・ハラーはボッシュのような ガチガチのハードボイルドおじさんではなく、割とビジネスマン寄りで頭が切れ て女性にモテる弁護士です(マシュー・マコノヒーはイメージぴったりですね)。 基本お金が最優先だけど、かといって弱者を完全に切り捨てる事も出来ない。で も司法の正義なんて信じてないし青臭い理想論で突っ走るタイプでもない。そん な意識の中で揺れ動き、葛藤する様が人間臭さを感じさせてくれて良かったです。 そんな彼が高額の報酬目当てに殺人容疑者の依頼を受けるところから物語は始ま りますが、ここから緻密な法廷劇が続くというよりは、検察と悪役を同時に相手 に回しての心理戦や駆け引き、そして息詰まるサスペンスがメインとなります。 個人的にラストの展開と悪役側の設定がちょっと…だったので星を一つ減らしま したが、とても面白いミステリなのは間違いありません。ボッシュシリーズより 軽妙な面もあり、こちらの方が読みやすいという人もいそうです。お薦めです。 | ||||
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読み進めるに従ってどんどん引き込まれる。もやもやした不安感が高まる感じがたまらなく良い | ||||
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本作はマシュー・マコノヒー(『インターステラー』での演技は素晴らしかった!)主演で映画化されています。 原作にほとんど忠実に映像化されていたため、先の読めない展開にハラハラするといった楽しみ方が減少し、しまった、先に原作を読んでおけば良かった、と思いはしたものの、あらすじが分かっていても面白いと感じるのは、さすがマイクル・コナリーの巧さなのでしょう。 主人公ミッキー・ハラーの顔が、最初からマシュー・マコノヒーの顔を思い浮かべながら読むことになりましたが、まさに印象通りといえます。 刑事弁護人であるミッキー・ハラーにとって、被告人が実際に「やったかやってないか」は訴訟戦略上問題とならない。 重要なのは「被告人に対する証拠をいかに無効にするか」である。 つまり「証拠に基づく結論を葬り去ることであり、証拠による結論に合理的疑いを生じさせること」が彼の仕事なのだ。 その証拠によれば、誰が見ても被告人が有罪だと思える事案でも、その証拠が違法に収集されたものであるとか、被告人が犯人であるとの証人の発言に信頼性を疑う事実があることを指摘することにより、その証拠を裁判の資料として採用できなくさせ、被告人が有罪であるとの根拠をつぶしていく、もしくは、有罪が免れないとしても可能な限り軽い罪におとしていく、といった戦術である。 ただ、この戦術の前提が、被告人が罪を犯した否かは関係ない、つまり有罪であることを前提に弁護するわけであり、そのような考えで弁護をしていく中で、一番担当したくない被告人は、「無実の依頼人」だという。 弁護士がへまをして無実の依頼人が刑務所にいくようなことがあれば、そのことが、生涯、弁護士を悩ませることになる。 ミッキー・ハラーはいう。 「無実の人間ほど恐ろしい依頼人はない。そして無実の人間ほど、こちらに傷跡を残していく依頼人はいない」 本作からスタートしたミッキー・ハラーものは、ボッシュシリーズと肩を並べる人気シリーズになっており、マイクル・コナリーのお蔭でこれからしばらく至福の読書タイムが味わえそうです。 | ||||
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遅ればせながら最近すっかりコナリー作品のファンになり、ボッシュ・シリーズを順番に読み進めている。 コナリー作品はそれぞれのシリーズの登場人物を随時共演させているとのことで、途中この<ミッキー・ハラー・シリーズ>第1弾に立ち寄ったのだが、前半、あまりにも退屈で、ネタバレを恐れながら意を決してこのカスタマーレビューを読んだ(今まで幾度か痛い目に遭った)。 「上巻の終盤からおもしろくなる」との意見どおり、途中から俄然おもしろくなった。しかし、やはりレビューの一部にはばっちりネタバレが記載されており、未知の期待度は半減してしまった "(-""-)" ミッキーの際立つ刑事弁護士としての辣腕ぶりは見事。金に固執しているが、生活背景など現実問題を考慮すれば致し方ないことで、なかなか魅力的なキャラだと思う。別れた妻たちとはいい友情関係を築いており、このドライさはいいようにも都合よすぎるようにも…女性側から見ると微妙。 ストーリーとしては、板挟み状態を彼がどう切り抜けて決着つけるのか、期待しながら読んだ。 ボッシュとの共演を含め、ミッキーのシリーズも今後楽しみだ。コナリー小説ははずれがない。 | ||||
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金にうるさく、ヤサグレ感ただようアラフォー中年弁護士ミッキー・ハラー。リンカーンの後部座席を事務所として、ロスの街を舞台に「法は真実を扱うものではない。法は交渉と改善と改竄をあつかうものだ。」とせこい刑事事件の弁護で糊口をしのぐ。 二度の離婚(美人!)を経験し、幼い女の子の父親でもある。 そこに転がり込む、ビバリーヒルズ資産家息子の暴行容疑。多額の報酬に目がくらみ... 人公の魅力で読ませる、リーガル・サスペンス! | ||||
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窮地に立たされたミッキー・ハラーがどのようにこの壁を乗り越えていくのか、ページを繰る手が早くなる。 検察の切り札がミッキーの切り札だったことは読者はすでに知っていたが、その反対尋問でのミッキーが用意した種を披露するシーンは読み応えがあった。 弁護する殺人鬼が親友でもあるミッキーの調査員ラウル・レビンを殺してミッキーに罪を着せようとする。 いかにしてミッキーがこの窮地を切り抜けるのか?読者の興味はただそのことだけになってくる。 プロット構成もデティールも考えぬかれたコナリーの初めて書いたリーガル・サスペンスの力作を本当に楽しく一気読みしてしまった。 かのスティーブン・キングが高く評価していることに納得しながら本書を読み終えたのです。 | ||||
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刑事弁護士 "ミッキー・ハラー" シリーズの『『罪責の神々 リンカーン弁護士』を読み終え、多くの賞を受賞したこのシリーズ第一作『リンカーン弁護士』を読むことにした。 上下巻とも同時に入手したので下巻の訳者あとがきをまず読んでみた。 リーガル・サスペンスの大御所スコット・トゥロウが「コナリーは、捜査官や警官の領域にひろい識見をこれまでずっと発揮してきたのとおなじように、刑事弁護士の世界にもみごとに精通していることを明らかにした。とてもすばらしいかきてによるとてもすばらし本がまたあらたに生み出された」 と、絶賛していた訳者の古沢嘉通氏が書いていた。 プロにも認められるだけあってコナリーは、本書『リンカーン弁護士』を、上質なリーガル・サスペンスに仕上げている。 評者は、ジョン・グリシャムの『法律事務所』と甲乙つけがたい出来栄えだと思いながら本書の上巻を読み終えた。 | ||||
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恥ずかしながらコナリー作品初めて読みました。 もっと有名なシリーズがあるようですが法廷物が好きなので・・・ 澱みない文章で楽しく一気に読破しました。 真犯人と知りつつのプロとしての弁護活動、それが冤罪被害者の救出と 相反になることとの葛藤、アメリカ法廷物特有の検察側と弁護側の ビジネスライクな交渉等々、 二人の素敵な元妻たちとの関係は、ちょっと日本では想像しづらいですが、 主人公の魅力を強く感じさせるものでした。 | ||||
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よく調べられた内容で感心しました。当分シリーズものを読み続けます!! | ||||
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マイケル・ハラーはいつもリンカーンを事務所代わりに使う、有能な刑事弁護士。しかし、2度の離婚を重ね、金の面でも決して 裕福というわけではない。彼のところに来た依頼は、娼婦を半殺しに合わせた容疑で捕まったルーレイという金持ちの息子。 彼は決して自分がやったのではないと執拗に無実を主張する。どうも、これは娼婦の自作自演の金欲しさの冤罪では ないかという推測で裁判はハラー有利に進んでいく。しかし、ここで、さすが、コナリーはいろいろなひねりを加えながら、 このルーレイなる男の過去とその母の恐ろしい実態を明らかにしていく。ハラーは、ルーレイの恐ろしい脅迫を受けながら彼の 無罪を証明しなければならないという矛盾の中、裁判を進めていくが、やがて仮面をはいでいったのはルーレイの母の ウインザーであった。既にこの作品の映画化が決まっているという。なかなかスピード感たっぷりの一流のサスペンスもので あることは間違いない。 | ||||
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かつて(昭和の時代ですが)、弁護士が主人公になるような小説は、「法廷もの」とか「法廷ミステリ」と呼ばれていました。 そんな中、「リーガル・サスペンス」という用語が普及し始めたのは、1990年代のことだったでしょうか。 ジョン・グリシャムの著作のように、単なる法廷での駆け引きにとどまらない小説が台頭し、直訳すれば、「法律上の推理」という用語が定着したのでしょう。 本作品も、主人公は「弁護士」ですが、まさに「リーガル・サスペンス」。 法廷でのやり取りも十分に盛り込まれていますが、「法廷」を超えたスケールでのサスペンスが展開する、逸品です。 著者の代表作であるハリー・ボッシュシリーズは、警察小説やハードボイルドといった分野にも関わらず、「裁判」が中核になる作品があります。 どうやら、著者は、リーガル・サスペンスへの関心は以前から強かったようで、それが結実したといってよいのでは。 著者の作品は、「発表順に読むこと」が一番とされていて、私もそれに従い、順番に読んできて、ようやく16番目の長編である本作品に至ったのですが、「読むことができて幸せ」。 前半は、初の主人公、ミッキー・ハラーとはどんな人物? という紹介混じりのストーリーなので、畳み掛ける展開ではないものの、下巻に入り、陪審審理という、いわゆるドラマや映画でいうところの「法廷シーン」に入ってからの展開は見事! ――と、いうのも、上巻の終わりの方に、著者お得意の「思わぬ展開」があり、「陪審審理だけでは終わらない」ことが約束されているから。 法廷上の駆け引きだけでも、面白いのに、「その後」への興味が読者を惹き付けて止みません。 2012年には、映画化もされたことですし、ハリー・ボッシュシリーズを最初からというのは、あまりにしんどい…という方にオススメの作品。 (※「コメント欄」に、ちょっとだけネタバレっぽいことを記しました) | ||||
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刑事弁護士を主人公としたコナリーの新シリーズ。 被告側に最も有利となる結果を得るべく奮闘する刑事弁護士のストーリーである。だが最も有利となる結果を得るためには司法取引、公訴の取下げなど、あの手この手を繰り出し、時には違法な手段を用いて求める結果をもたらすプロである。2度の離婚歴はあるが頼もしいパートナーでもある前妻たち、またドラッグビジネスで頻繁に検挙される顧客たち、なにやら問題がありそうなセレブ一家など、一筋縄ではいかない人々の間でスピーディーにストーリーが展開される。 ボッシュシリーズと違い過去の出来事に端を発する内省的な描写は少ないが(ミッキーの生い立ちで一部あるが)、結果が全てと割り切った悪徳弁護士ぶりに引き込まれた。ミッキーの悪徳ぶりに次作も大いに期待したい。 | ||||
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ストーリーの仕立て、語りについては何の文句もありません。一気読みしたのがその証左です。しかし、これは古澤氏にかぎったことではないのだけれど、たびたびある、米国居住経験のない翻訳者、あるいは米国文化に詳しい向きに翻訳者なり、編集者が何も当たってないんだな、と思われる箇所にぶつかる度、感情移入の線がプツリと切れそうになることです。じゃあ原文読めば、と言われるかもしれない。でも日本語で読めれば楽だし、で。まあ、そういう箇所に当たる度、意訳はどうしたとか、ミステリー好きには多いだろう趣味人にそちら方面のことを聞けば済んだのに、と思うのです。本社ではないけれど、日本でもその世界ではロッククラッシャーの名で通っているフォードのヘビーデューティなマニュアルトランスミッションのことを削岩機変速機だかなんだかと直訳しちゃっている方がいたりして。おにぎり食べてたら、梅干しじゃなくて梅酒の梅が入ってたくらいのショックをおぼえることもあります。その意味で★ひとつなし。ところで、なんで主人公が刑事弁護人に選ばれたのかが不明というのが不満という声もありますが、それもまた米国社会を知れば別になんてことないことで、それは本書でも新聞記事で見たと被告が言っているだけで、その程度のことだとわかります。たぶんそれなんでしょう。それなりに腕のある、適当な弁護人が彼だったと。しかもメネンデス事件のそれだったというところで、被告人の目に止まったワケです。もともとサナバビッチがビッチと仕組んだワナがあるから、彼でよかったんですよ。 | ||||
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コナリーの作品といえばやはりハリー・ボッシュシリーズの印象が強く、それ以外がどうも小粒というか、パッとしない印象があったのだが、今作は執筆に5年をかけたというだけあって、かなりの力作となっている。 入り組んだ前半と比べ、後半と結末はわりとアッサリ風味で、多少の食い足りなさは残るものの、コナリーとしては万人受けするシンプルなエンターテインメントを目指したのだろう、と好意的に解釈。(そのほうが映画化するとき楽だろうし・・・) | ||||
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弁護士にもいろいろ種類?があるのだなとまず感心。最初は、リンカーンの後ろに乗る優雅な弁護士?と思いきや、ナカナカ苦労人で正義派ではないが良心はあり、それなりにタフでやり手な感じの主人公の弁護士、「無実の人間の弁護は怖い」と仕事はクールに法システムの中の役割を演じる。 上巻はふむふむと読み進みましたが、下巻から少し退屈気味で、しかし終盤に差し掛かり法廷での闘争が俄然面白くなり引き込まれました。そしてうまく罠をしかけたと思ったら予想以上の速い展開で、、それは読んでのお楽しみ。マイクル・コナリーは、はずれがなく質が高く面白いので安心して読めます。楽しんでください。もちろん続編にも期待です。 | ||||
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上巻は正直ダルかった。が、最後の方から俄然面白くなり、下巻は一気読み。結末はもうちょっと一捻りあるのかと思ったけど上出来。流石です。 | ||||
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マイクル・コナリーの最新作は、おなじみのボッシュシリーズではなく、ロサンジェルスの刑事弁護士を主人公としたリーガル・サスペンスもの。 法廷での論争中心というわけではなく、コナリーらしい、複雑なプロット、主人公の内面描写が面白い。 まだ上巻で、ようやく事件の謎が見えだしたところだけど、単純には進まないんだろうな。 | ||||
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あっという間に下巻も読んだ。やっぱり、なかなか凝ったプロットだけど、ちょっと最後はどうかな。説明不足のような気がする。 でも、コナリーの新しい魅力的なキャラは、これからが楽しみ。ボッシュとの共演もあるようだし。 自分が法律家を目指していた割には法廷物好きではなかったんだけど、法廷シーンも楽しめた。 この事件のあと主人公は、弁護士の職務と正義の間でどう折り合いをつけて行くんだろう。続編が楽しみだ。 | ||||
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週間文春のムチャな書評にあったが(前の終決者の書評にも同じ様な指摘があったと思 う)、本書の主人公は、結構金に目ざとい刑事弁護士(ローンが多いからなぁ〜)であり、 国家的陰謀を相手にする必要もあるまい。日常業務の中で主人公は、金に目ざといのが災いして、 うまい具合に罠に絡めとられ、犯人と分かっている男を、無実にせねば為らない立場に追い込まれ、 法廷闘争を繰り広げるのだが、その辺りの読ませ方はさすが、コナリー、どうやって検察をやり込めるのか、 次の一手を読みたくて、途中では止められない。 翻訳も、さすがの古沢氏、こなれた訳でスッと入ってくる。 電車の中も含めて上下4日間で読了。 ただ、何で犯人がこの弁護士を指名したのか?結局それが、罠に嵌めた積もりが命取りに なるのだが、腑に落ちない。又、母親との関係ももう少し膨らますか、説明ないと 唐突で中途半端な印象。(←ここ本当に残念) どんでん返しも、最後の一回だけで、この辺が小粒と言われる所以か? 評価は、やっぱり文春と同じ☆4だった。 後、本書と関係ないが、<終決者たち>から、コナリーの作品が妙にカラットした 結構読後感の良い仕上がり、となってきており、以前の様な(ボッシュの以前の作品とか、 単発でも、ポエットとか)読み終わったあとに、事件は解決したのだが、更に暗い闇に 捉われた読後感が無くなってしまった気がするのだが、これは個人的に残念。 あの感覚が、コナリー作品を他と区別させていた気がするのだが。。。 | ||||
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マイクル・コナリーの邦訳最新刊は、“当代最高のハードボイルド”といわれる<ハリー・ボッシュ>シリーズではなく、ミッキー・ハラーという刑事弁護士を主人公にした初のリーガル・サスペンスである。 本書は「国際ミステリー愛好家クラブ」が主催するマカヴィティ賞のベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)と「PWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)」のシェイマス賞のベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)の’06年度ダブル受賞作である。 収入は苦しく、有名でもなければ誇れる地位もない。私生活では2度の離婚を経験している。事務所を持たず、元妻を電話番として、高級車リンカーン・タウンカーの後部座席をオフィースとする中年の“リンカーン弁護士”ハラー。前半はロサンジェルスに点在する裁判所を縦横に行き来して従来の、主に麻薬がらみの依頼人たちのもとを訪れ、こまめに報酬を稼ぐ彼の日常が描かれる。 そんな彼に、「フランチャイズ事件」と呼ばれる、多額の報酬が約束された、資産家の息子の暴行事件に対する弁護の依頼が舞い込む。意気込んで事件を調べるハラーだが、事態はそううまく運ばず、その息子ルーレイがとんでもない悪党だということがわかるのだった。はじめはこの新しい主人公の人となりの紹介で、やや冗長に感じられたが、下巻に入り、ハラーの調査員が殺害され、その容疑者とされながらも、ハラーが臨む裁判が始まると、一気にページ・ターナーの様相を呈してくる。この依頼人を悪党と知りながらも無罪にするための若い検察官との攻防は、法廷ものを専門とする作家の作品に引けをとらない一定以上のレベルの出来だと思う。 ミッキー・ハラーは決して正義を貫く弁護士ではなく、悪く言えば金に汚い悪徳弁護士の部類に入るのだろうが、コナリーはあくまでもエンターテインメントとしてこういったキャラクター設定をしたのだろうし、読者は、まぎれもなくハードボイルド・タッチのコナリーワールドを堪能することができるだろう。 | ||||
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