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リアルワールド
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リアルワールドの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.63pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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購入した当時の私は、作者である桐野夏生のことを全く知らなかった。 読み終わった後で調べたところ、結構な冊数を出している女性作家であり、江戸川乱歩賞や日本推理作家協会賞を受賞した本格派で、年に直木賞も受賞していることを知った。 他にも数々の文学賞を受賞しており、紫綬褒章も受章していた。 ……まあ、賞の受賞がその作家の実力を完全に示しているわけでもないし、受賞すれば本の内容が面白くなるわけでもない。 前置きが長くなったが、以下が『リアルワールド』に対する私の感想である。 普通に諸々をネタバレするのでご注意を。 可もなく不可もなく――どちらかと言えば、不可かな、といったところである。 内容そのものは、一昔前に流行った携帯小説と類似している。 意識高い系の女子高生か女子大生が考え付きそうなこの内容は、深夜にやっている低予算ドラマの原作に打ってつけであろう。 一般人よりは多少は顔が良いだけで、演技は学芸会レベルの芸能人(新人で若いことだけが取り柄で、数年後には跡形もなく消えているようなやつら)を揃えてドラマ化すれば、小説の雰囲気はバッチリ再現できるだろう。 褒められるのは、作者の桐野夏生は複数の文学賞を受賞しているだけあって、文章自体は稚拙ではなく妙な癖もなかったので読みやすかったということだけである。 つまり、文章が悪くなかったから最後まで読めたのであって、内容だけで評するならば、まあ駄作だよ。 これが新人賞の応募作だったなら、確実に二次選考までで落ちている。 あらすじはこうである。 時期は夏休み。 主人公の女子高生(トシ)が塾の夏期講習に行こうと準備していた時、隣家で殺人事件が起きた。 殺されたのはその家に住む女性で、犯人はその女性の息子である高校生(ミミズ)。 ミミズが、トシの自転車(かごには携帯電話を置き忘れている)を盗んで逃亡したことで、トシとその三人の友達(全員同じ学校の女子高生)に繋がりができてしまう。 その結果、友達の一人がミミズと接触して行動を共にしたことで事故に遭って死んでしまい、その死の原因を作ったことに責任を感じた別の友達が自殺してしまう。 自殺した友達はトシ宛てに遺書を残していて、事故死した友達の元カレからも手紙が届き、それらを読んだトシは、ちゃんと現実と向き合うようになりましたとさ。 最後の部分には私の解釈も混じっているが、『リアルワールド』は、こんな話である。 以下、登場人物の紹介。 《山中十四子》 友達からは“トシ”と呼ばれている。この話の主人公で、私立の女子高に通う高校三年生。“女子高生”という存在(ブランド)に対して向けられる世間からの悪意(煩わしさ)から心身を守るために、外で名乗る時には“ホリニンナ”という偽名を使っている。いくつか離れた駅にある塾で夏期講習を受けていて、自宅から最寄り駅まで自転車で行っている。駅前に停めておいた自転車を、前かごに置き忘れた携帯電話ごと、犯行直後のミミズに盗まれた。トシが携帯電話ごと自転車をミミズに盗まれたのを警察に話さなかったことが、後に起こってしまった事柄の発端であるとも言える。四人(トシ、ユウザン、キラリン、テラウチ)の中で最も凡庸であり、ゆえに読者側に一番近いとも言える。 《貝原清美》 有名なグルメ漫画のキャラをもじって、友達からは“ユウザン”と呼ばれている。トシの自転車と携帯電話を取り返す代わりに、自分の自転車と携帯電話をミミズに貸して、彼の逃亡を積極的に手助けした。同性愛者(レズビアン)である。劇中以前の夏に、性的マイノリティが集まる街に入り浸っていた過去があり、その時にオカマに殴打されなどの目に遭ったために、同性愛者である自分に対しての自信(肯定感)を喪失している。同性愛者であることを本人は隠しているつもりだったが、実は他の三人にはバレていた。どうやら、ユウザンはテラウチのことが好きだったようだ。母親は病死していて、父親との折り合いも悪い。卵巣癌だった母親は、闘病中に酷く情緒不安定になっていて、その時期が、自分が同性愛者であることに悩んでいたユウザンの中学生時代と重なっていた。当てつけのように母親の死に目に会わなかったことをずっと後悔している。 《東山きらり》 友達からは“キラリン”と呼ばれている。可愛らしくて綺麗な容姿をした少女で、裏表のない無邪気で陽気な性格をしているので、トシからの評価が高い。だが、実際には全て演技であり、付き合う相手(友達)によって顔を使い分けていて、したたかな考え方をしている――ユウザンとテラウチは薄々勘づいている。四人の中で唯一処女ではない――初体験は中二の時だったが、その時の相手(男子高校生)が原因で、男を見下すようになった。出会い系サイトで男を釣って弄んでいるが、元カレのワタルには本気だったようで多大な未練がある。興味本位でミミズに会いに行き、なりゆきで行動を共にすることになり、ミミズがワタルに脅迫電話をかけるように仕向けた。ミミズと一緒にいるところを警察に見つかって追われて自暴自棄になり、ミミズとセックスをする。逃げるためにミミズと共にタクシーをハイジャックしたが、運転手が抵抗したために車が対向車と衝突し、車外に放り出されて死亡した。 《寺内和子》 友達には“テラウチ”と呼ばれている。「あーだー」と変わった挨拶をする。頭が良く、要領も良い。私立の小学校に通っていたので小学生の時から電車通学をしていたのだが、高学年になった頃から盛んに痴漢の被害に遭うようになった。馬鹿みたいにへらへら笑うことで痴漢を怯ませて撃退するようになったが、それはテラウチの心から大事な物を失わせる行動でしかなかった。また、母親が浮気をしており、その証拠を揃えて突き付けたが、母親は誤魔化すばかりで浮気をやめず、自分も母親を捨てられないので受け入れる(屈服する)しかなかった。ミミズとキラリンが潜伏している場所を察し、それを警察に通報した。キラリンが警察に追われて死亡したことを母親から知らされ、「あんたのせいだよ」と責任を擦り付けてしまったことを酷く恥じ、「取り返しの付かないこと」をしてしまったのを清算するために投身自殺をした。実はトシのことを一番の理解者であり友達だと思っていて、それゆえに、彼女だけに宛てた遺書を残した。 《ミミズ》 姓は不明だが、名は“リョウ”のようである(回想の中で彼の母親がそう呼んでいた)。トシの隣家に住む高校三年生の男子。“ミミズ”というのは、その外見と雰囲気からトシが内心で付けていたあだ名である(要は小馬鹿にしていた)。父親が医者(勤務医)で、有名な進学校に通っているが、成績は底辺。隣家の奥さんの下着を盗もうとしたことがバレて、その時に住んでいたマンションから家族ごとトシの隣家に引っ越してきたが、そこでもトシが入浴しているのを覗いていた。己が優秀な人間ではないことを自覚し始めていたが、折り合いが付けられず、そうなった原因を母親に押し付けて金属バットで殴り殺した。殺人を犯したことでハイになっており、独りよがりな妄想をすることでその状態を維持している(昔の映像で見た日本兵になった気分でいる、など)。実際には母親に依存していたのと同じように、四人にも依存して巻き込み、キラリンを死なせた元凶であるが、その実態は性欲を持て余して性癖を拗らせただけの単なるスケベなガキである。事故によってキラリンは死んだが、こいつは大怪我をしただけでちゃっかりと生きていて、逮捕されて身柄を拘束された後は警察病院に入院している。 《坂谷渉》 キラリンが“ワタル”と呼んでいた元カレ。早稲田大学法学部の学生。別の女子高生と浮気していたらしく、それが原因でキラリンとは別れていた。ミミズから脅迫電話を受けた後、「元カノ」というワードでキラリンのことを思い出し、心配になって彼女の携帯に電話をかけた。これ――キラリンが死ぬ直前に電話をかけていたことが原因で、キラリンの死後に警察から事情聴取を受けた。キラリンの死に罪悪感を抱いており、似た境遇となっているであろうトシの心情を慮って手紙を書いた。「人は負い目と共に生きていくしかない」というこの物語のテーマを手紙という形で読者に分かりやすく伝えるためのキャラでしかなく、登場させなくても構わなかった野暮な存在であると言える。 『リアルワールド』の内容は上に書いたものが全てである。 これを読めば、本の方をわざわざ読む必要はないだろう。 文章自体は悪くないから、読んでもそこまで損をするとも思わないが、他者に勧めるような本でないことは確かである。 | ||||
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面白くなるんだろうと思ったらずーとつまらんかった キャラがそれぞれたってないから誰が誰かわからん 犯人だって魅力もなにもない。出てくる人全員つまらない。 | ||||
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OUTが面白かったので買ったのですが正直、期待はずれ。 意味不明なところが多かった作品だった。 題材としては面白いのに、それを活かしきれていない。 この作者の力量はもっと大きかった筈だが。 | ||||
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キャラ構成がしっかりできていないと思いました。心理描写も曖昧。題名に惹かれて買ったけれどさほど面白くなかったです。 リアルワールドというからにはもっとリアルな内容のほうがよかったです。 一応最後まで読みましたが話の続きが知りたくてたまらないというような熱さはなかったです。 | ||||
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誰でも少なからず感じる不安や絶望,混沌。言葉には出来ない衝動。結局は自分と世界の事。人間ならばみんな当てはまる。 答えを求めても堂々巡りするばかり。 たしかにリアル。 僕は読んで腹が立った。 くやしいし悲しいと思うが,僕はこんな考え方嫌いだ。 とても痛いけれど,作品としては素晴らしいのだ。読むべき本。 | ||||
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この話は、どこで盛り上がって、何が言いたいのか、全く共感もできない。 セリフも、大人が女子高生の話し方を書いたって感じがすごいしてます。 違和感があります。 | ||||
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高校3年の夏休み、トシちゃんが隣の男子通称ミミズの親殺しを見過ごしたために、彼女のグループは思いがけない事件に巻き込まれていくという物語。ものの弾みで起きた「キレちゃった殺人」をきっかけに女達が自分の本性に目覚め変化していくという筋立ては「OUT」と同系列、物語が登場人物それぞれの独白で語られる手法、「グロテスク」と同系列、だけど、登場人物がすべて生活に責任の無い子供たち=高校生であることからお話は単純で当然のことながら実に青臭い。ガキの戯言がだらだら続く前半では「一体何が言いたいのよ!」とこっちがキレそうになった。後半に入ると子供たちの心のかげりが見えてきて「あら、そうだったの」と一瞬同情したりもした。でも、この結末は「あだー」ではないだろうか。中高生(およびその同類)なら感情移入できるのかもしれないが、普通の大人にそれを求められてもちょっと困る。そして、子供たちの異常な自意識の強さ、「自分おたく」ぶりにうんざりさせられる。無駄なこととは知りながら「こんなにセルフ精神分析して他人と自分と比較する暇があるのなら、もう少し違うことを考えれば?」とつっこみたくもなる。作者は中高生が読んでもわかる小説をお試しになったということだろうか。その「なりきり度」には感心したが、対象外の読者には「面白い」とは思えず、殺伐とした感じだけが強く残った。 | ||||
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前半の巻き込まれ型の話の展開は面白いが、後半になると現実感の乏しい破滅へと突き進む。「OUT」と同じ流れでの、女たちの心情を描く著者の一連の作品。ただ、オチがあるのかどうかよくわからない。「柔らかな頬」と同じ趣向なのか。しかし、むしろ石原慎太郎の「太陽の季節」と同じ読後感だったのは不思議な感じがした。どちらも今どきの若者を描いたはずなのに、時代を経ると違和感すら残らないようになるのだから。 | ||||
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