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リアルワールド



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【この小説が収録されている参考書籍】
リアルワールド
リアルワールド (集英社文庫(日本))

リアルワールドの評価: 3.63/5点 レビュー 59件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.63pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全59件 1~20 1/3ページ
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No.59:
(5pt)

絶版の商品が手に入った。

書店で注文したが、絶版で手に入らなかった本がAmazonで手に入れられた。梱包も丁寧で大変良かったです。内容も面白かった。
リアルワールド (集英社文庫(日本))Amazon書評・レビュー:リアルワールド (集英社文庫(日本))より
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No.58:
(4pt)

さすがの桐野夏生

この人のものはどうしてこんなに魅力的なんだろう。
どうなってしまうのか、先が気になってたまらない気持ちが最後まで続きました
リアルワールド (集英社文庫(日本))Amazon書評・レビュー:リアルワールド (集英社文庫(日本))より
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No.57:
(2pt)

この本の内容のどこがリアルなの?

購入した当時の私は、作者である桐野夏生のことを全く知らなかった。
読み終わった後で調べたところ、結構な冊数を出している女性作家であり、江戸川乱歩賞や日本推理作家協会賞を受賞した本格派で、年に直木賞も受賞していることを知った。
他にも数々の文学賞を受賞しており、紫綬褒章も受章していた。
……まあ、賞の受賞がその作家の実力を完全に示しているわけでもないし、受賞すれば本の内容が面白くなるわけでもない。

前置きが長くなったが、以下が『リアルワールド』に対する私の感想である。
普通に諸々をネタバレするのでご注意を。

可もなく不可もなく――どちらかと言えば、不可かな、といったところである。
内容そのものは、一昔前に流行った携帯小説と類似している。
意識高い系の女子高生か女子大生が考え付きそうなこの内容は、深夜にやっている低予算ドラマの原作に打ってつけであろう。
一般人よりは多少は顔が良いだけで、演技は学芸会レベルの芸能人(新人で若いことだけが取り柄で、数年後には跡形もなく消えているようなやつら)を揃えてドラマ化すれば、小説の雰囲気はバッチリ再現できるだろう。
褒められるのは、作者の桐野夏生は複数の文学賞を受賞しているだけあって、文章自体は稚拙ではなく妙な癖もなかったので読みやすかったということだけである。
つまり、文章が悪くなかったから最後まで読めたのであって、内容だけで評するならば、まあ駄作だよ。
これが新人賞の応募作だったなら、確実に二次選考までで落ちている。

あらすじはこうである。

時期は夏休み。
主人公の女子高生(トシ)が塾の夏期講習に行こうと準備していた時、隣家で殺人事件が起きた。
殺されたのはその家に住む女性で、犯人はその女性の息子である高校生(ミミズ)。
ミミズが、トシの自転車(かごには携帯電話を置き忘れている)を盗んで逃亡したことで、トシとその三人の友達(全員同じ学校の女子高生)に繋がりができてしまう。
その結果、友達の一人がミミズと接触して行動を共にしたことで事故に遭って死んでしまい、その死の原因を作ったことに責任を感じた別の友達が自殺してしまう。
自殺した友達はトシ宛てに遺書を残していて、事故死した友達の元カレからも手紙が届き、それらを読んだトシは、ちゃんと現実と向き合うようになりましたとさ。

最後の部分には私の解釈も混じっているが、『リアルワールド』は、こんな話である。

以下、登場人物の紹介。

《山中十四子》
友達からは“トシ”と呼ばれている。この話の主人公で、私立の女子高に通う高校三年生。“女子高生”という存在(ブランド)に対して向けられる世間からの悪意(煩わしさ)から心身を守るために、外で名乗る時には“ホリニンナ”という偽名を使っている。いくつか離れた駅にある塾で夏期講習を受けていて、自宅から最寄り駅まで自転車で行っている。駅前に停めておいた自転車を、前かごに置き忘れた携帯電話ごと、犯行直後のミミズに盗まれた。トシが携帯電話ごと自転車をミミズに盗まれたのを警察に話さなかったことが、後に起こってしまった事柄の発端であるとも言える。四人(トシ、ユウザン、キラリン、テラウチ)の中で最も凡庸であり、ゆえに読者側に一番近いとも言える。

《貝原清美》
有名なグルメ漫画のキャラをもじって、友達からは“ユウザン”と呼ばれている。トシの自転車と携帯電話を取り返す代わりに、自分の自転車と携帯電話をミミズに貸して、彼の逃亡を積極的に手助けした。同性愛者(レズビアン)である。劇中以前の夏に、性的マイノリティが集まる街に入り浸っていた過去があり、その時にオカマに殴打されなどの目に遭ったために、同性愛者である自分に対しての自信(肯定感)を喪失している。同性愛者であることを本人は隠しているつもりだったが、実は他の三人にはバレていた。どうやら、ユウザンはテラウチのことが好きだったようだ。母親は病死していて、父親との折り合いも悪い。卵巣癌だった母親は、闘病中に酷く情緒不安定になっていて、その時期が、自分が同性愛者であることに悩んでいたユウザンの中学生時代と重なっていた。当てつけのように母親の死に目に会わなかったことをずっと後悔している。

《東山きらり》
友達からは“キラリン”と呼ばれている。可愛らしくて綺麗な容姿をした少女で、裏表のない無邪気で陽気な性格をしているので、トシからの評価が高い。だが、実際には全て演技であり、付き合う相手(友達)によって顔を使い分けていて、したたかな考え方をしている――ユウザンとテラウチは薄々勘づいている。四人の中で唯一処女ではない――初体験は中二の時だったが、その時の相手(男子高校生)が原因で、男を見下すようになった。出会い系サイトで男を釣って弄んでいるが、元カレのワタルには本気だったようで多大な未練がある。興味本位でミミズに会いに行き、なりゆきで行動を共にすることになり、ミミズがワタルに脅迫電話をかけるように仕向けた。ミミズと一緒にいるところを警察に見つかって追われて自暴自棄になり、ミミズとセックスをする。逃げるためにミミズと共にタクシーをハイジャックしたが、運転手が抵抗したために車が対向車と衝突し、車外に放り出されて死亡した。

《寺内和子》
友達には“テラウチ”と呼ばれている。「あーだー」と変わった挨拶をする。頭が良く、要領も良い。私立の小学校に通っていたので小学生の時から電車通学をしていたのだが、高学年になった頃から盛んに痴漢の被害に遭うようになった。馬鹿みたいにへらへら笑うことで痴漢を怯ませて撃退するようになったが、それはテラウチの心から大事な物を失わせる行動でしかなかった。また、母親が浮気をしており、その証拠を揃えて突き付けたが、母親は誤魔化すばかりで浮気をやめず、自分も母親を捨てられないので受け入れる(屈服する)しかなかった。ミミズとキラリンが潜伏している場所を察し、それを警察に通報した。キラリンが警察に追われて死亡したことを母親から知らされ、「あんたのせいだよ」と責任を擦り付けてしまったことを酷く恥じ、「取り返しの付かないこと」をしてしまったのを清算するために投身自殺をした。実はトシのことを一番の理解者であり友達だと思っていて、それゆえに、彼女だけに宛てた遺書を残した。

《ミミズ》
姓は不明だが、名は“リョウ”のようである(回想の中で彼の母親がそう呼んでいた)。トシの隣家に住む高校三年生の男子。“ミミズ”というのは、その外見と雰囲気からトシが内心で付けていたあだ名である(要は小馬鹿にしていた)。父親が医者(勤務医)で、有名な進学校に通っているが、成績は底辺。隣家の奥さんの下着を盗もうとしたことがバレて、その時に住んでいたマンションから家族ごとトシの隣家に引っ越してきたが、そこでもトシが入浴しているのを覗いていた。己が優秀な人間ではないことを自覚し始めていたが、折り合いが付けられず、そうなった原因を母親に押し付けて金属バットで殴り殺した。殺人を犯したことでハイになっており、独りよがりな妄想をすることでその状態を維持している(昔の映像で見た日本兵になった気分でいる、など)。実際には母親に依存していたのと同じように、四人にも依存して巻き込み、キラリンを死なせた元凶であるが、その実態は性欲を持て余して性癖を拗らせただけの単なるスケベなガキである。事故によってキラリンは死んだが、こいつは大怪我をしただけでちゃっかりと生きていて、逮捕されて身柄を拘束された後は警察病院に入院している。

《坂谷渉》
キラリンが“ワタル”と呼んでいた元カレ。早稲田大学法学部の学生。別の女子高生と浮気していたらしく、それが原因でキラリンとは別れていた。ミミズから脅迫電話を受けた後、「元カノ」というワードでキラリンのことを思い出し、心配になって彼女の携帯に電話をかけた。これ――キラリンが死ぬ直前に電話をかけていたことが原因で、キラリンの死後に警察から事情聴取を受けた。キラリンの死に罪悪感を抱いており、似た境遇となっているであろうトシの心情を慮って手紙を書いた。「人は負い目と共に生きていくしかない」というこの物語のテーマを手紙という形で読者に分かりやすく伝えるためのキャラでしかなく、登場させなくても構わなかった野暮な存在であると言える。

『リアルワールド』の内容は上に書いたものが全てである。
これを読めば、本の方をわざわざ読む必要はないだろう。
文章自体は悪くないから、読んでもそこまで損をするとも思わないが、他者に勧めるような本でないことは確かである。
リアルワールド (集英社文庫(日本))Amazon書評・レビュー:リアルワールド (集英社文庫(日本))より
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No.56:
(4pt)

ココロノヤミを覗く

主人公の四人の少女たちは皆、人間関係や社会に不安を感じ、あるいは苛立っています。そんな自分を守るため、秘密という繭の中に身を浸し、リアルから遠ざかる

幼稚な友人たちの秘密は私にはお見通し。でも、私の秘密だけは誰にも話さない。友人たちには理解できないだろうから。
実際は、他者から見たら、バレバレで、それぞれの自意識の強さが痛々しい。とても良い感じです

グループの中の三人まではミミズにある種のシンパシーを感じて、多かれ少なかれ手助けします
残りの一人、「超哲学少女」なんて、恥ずかしい自称をし、ロジックの中で満悦しているテラウチだけは、ミミズに反発を覚える
正しい行動をしない自身を合理化している彼女には、「単純すぎる」というのが、その理由ですが、自分がやれないことをやってしまったミミズに八つ当たりをするという、よほど短絡な行動に出てしまい、結果、彼女は最悪の結果を迎える

作者はテラウチみたいな人間が嫌いなのではでしょうか
彼女が必死になって防御すればするほど彼女の恥部があらわになってくる
それが心地よかった

見つからないように縮こまっている亀の甲羅を引っ剥がして衆目に晒すような
そんなどす黒い俗物根性が桐野作品の核にはあり、それは本作でも遺憾なく発揮され、物見高い我々の心を癒やしてくれるのです
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No.55:
(3pt)

フィクションワールド

実家にあったのでふと読んでみました。桐野さんらしい人間の内面と外面のギャップに切り込んだ点はさすがのおもしろさ。ただ、登場人物の造形が「大人」からみた「高校生」感が抜けないというか、キャラクターがリアルなようでリアルではない。高校生というより中学生っぽいと思うような言動もちらほら。そのあたりに作品としてのおさまりの悪さを感じました。
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No.54:
(1pt)

時間を無駄にした

面白くなるんだろうと思ったらずーとつまらんかった キャラがそれぞれたってないから誰が誰かわからん 犯人だって魅力もなにもない。出てくる人全員つまらない。
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No.53:
(5pt)

「OUT」の10代版

隣に住んでいた一家の1人息子が母親を殺して逃走した。なんとなく気持ちが悪くて暗い受験生の男子を勝手にミミズと名づけいたトシだが、どうやらそいつが自分が偶然落としたスマホを拾い、自転車まで盗って逃走したことがわかる。スマホを返してと電話したところから妙な縁ができてしまい、しかもついそのことを話した友達のユウザンが、ミミズに会ってスマホと自転車を取り返してくれたはいいが、自分自身の自転車と、新しいスマホをやって逃亡を助けたと聞いて愕然とする。他にも、仲良し4人組だった優等生でクールビューティのテラウチやかわいいキラリンまでからんできて・・・事態は思わぬ方向へところがっていく・・・というストーリーです。

ミミズが母親を殺すに至った経緯は、独白を聞いていればなんとなく納得がいかないでもない、若さ独特の短絡的さはあるけれど、それなりに説得力があります。普通なら、自分の将来や社会で置かれた立場というものを考えてストップがかかるのですが、若くて、ある意味純粋、もう一方では未熟で愚かなゆえに殺人を犯してしまった、逃げてどうなるものでもないと自分でもわかっている、なんで逃げているのか自分でもよくわからない、けれどただ逃げるしかない・・・いう状態です。
そして、たまたま女子高生4人ともがそれぞれの内面的な悩みを抱え、それと事件がシンクロしてしまった、彼らの誰もがミミズを本当に心配していたとか共感していたとは思えません。自分の中の何かを重ね合わせただけなのでしょう。自分がレズだと自覚してしまい悩んでいるユウザン、母親が本気の浮気をしていて家族がバラバラなテラウチ、この中では一番普通の子トシ、まじめな友達と派手な遊び人ばかりの友達と、自分自身も両面を持ってかけもちでつきあっているキラリン。ミミズだけでなく、みんなが若くて純粋で未熟ゆえに暴走する・・・ラストは桐野さんらしく、穏やかに収まるはずがありません。

自分は結婚もしていず子供もいないせいか、小説などを読むといつまでたっても親よりも子供の側に思い入れしてしまう傾向があります。ここに登場する4人の女の子たちの思春期独特のひりひりするような痛さをまざまざと思い出しました。桐野さんも、ここまで10代の心理を深く描けるというのはすごいと思います。「OUT」の10代版といってもいいでしょうか。おもしろさに一気読みしてしまいましたが、興味深い小説でした。
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No.52:
(3pt)

好奇心の恐ろしさを考えさせられるという意味では一読の価値ある良い作品でした!

☆3、5
高校生女子の仲良しグループ4人組み。

その中の女子の隣家の、同い年の少年が母親を撲殺した!
彼が女子の携帯電話と自転車を盗んで逃亡したことから、4人の女子高生は事件に巻き込まれてしまう。
警察や大人たちに真実を話せず、個々に抱える悩みを逃亡少年に照らす彼女たち。
事件をイベントのように捉えて殺人犯と関われる事を楽しく思いつつ、逃亡に巻き込まれていく彼女たちの運命は?

以上、そんな内容のサスペンス作品で、高校の中のヒエラルキーで普通に属す4人の女子たちが秘密を抱えながら殺人犯と関わる事で変わっていったり、
危険を正しく認識出来ずに巻き込まれていく様が、恐ろしくもスリリングで楽しめました!
ただ終盤に関しては、桐野さんならもっとエグい毒があるのだろうと予想してたのに案外普通の展開だったのが残念……と思いましたが、出版が2003年と知り、その時代の作品なら充分エグいなぁと考え直した次第です。
普通の人たちが犯罪者にうっかり巻き込まれるケースも状況次第では有り得るので、好奇心の恐ろしさを考えさせられるという意味では一読の価値ある良い作品でした!
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No.51:
(5pt)

子ども側と社会側の二つのリアルワールド

都会でまさに女子高生をやってた自分としては共感できるポイントがたくさんあった。自分自身はここに出てくる女子高生たちほど繊細ではなかったので、感じるものの大小はあれども、それは大小の違いとか、自覚してるかどうかの違いはあれども、こんなものではないかと思ってしまう。

大人なのに大人(人間?)のエゴを大人のエゴとして描けてしまうあたりに桐野氏の凄さを感じる。どんな女子高生だったのだろうと思わざるを得ない。前半はそんな子ども・若者側のリアルが繊細に描かれている。(ボリュームが少ないため、いつもの桐野氏よりは繊細じゃないかも)

そして子どもなりのその大人のエゴや社会への反発に共感するも、その先に待ち受けてるきびしい現実、今度は大人世界、すなわち、社会のリアルにぶつかる。
この二つの交差する、だけど、両方とも真実な、二つの現実世界。それに「リアルワールド」というタイトルの意図も感じた(違うかもだけど)。途中から昔を思い出しながら、主人公たちに共感し、いつの間に応援者側に回ってた自分にはとても残酷なものだった。

そんなふわふわとした夢や、どこかにあるかもしれない希望は見せず、現実だけを突きつけてくる桐野氏の一貫性がますます気に入り、また新しい本を読みたいと思ってしまう。ここでいう現実は、わたしは絶望とイコールといいたいわけではない。ものごとには、希望だけではなくリスク、闇といった両面性があり、フワフワとしていないという意味での現実だ。

桐野氏の作品は全体的に男性には共感しづらい本なのではないかと思うけど、その中ではまだ男性でも理解しやすい方ではないかと思う。
なぜなら男女の感受性の違いと、大人と子どもの感受性の違いが入り混じっており、高校生をテーマにしていることもあって後者により焦点をあてたる気がするからだ。
グロテスクの方は同じ若者の話でも、かなり女子的な繊細さが描かれてるので、男性からみたら「うそでしょ?」「めんどくさい」ってなる気がする。
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No.50:
(4pt)

桐野が描く「リアルワールド」の恐ろしさ

4人の「普通の」女子高生。その一人「ホリニンナ」の隣に住む高校生が母親を殺害して逃走する。たまたま、そのホリニンナの
携帯を拾ったその高校生は、ホリニンナだけでなく、携帯に登録された他の3人の女子高生、「ユウザン」「テラウチ」「キラリン」に
接触する。それぞれ、「リアルワールド」を持ったその3人は一種のゲーム感覚でその犯人との接触を楽しむ。もともと、この
4人にとって一種の英雄的存在とも一時期思えたこの高校生「ミミズ」も、キラリンとの接触により見せてくる極めて浅薄な
考え方と行動パターン。挙句の果てはミミズとキラリンはタクシー強盗を働き、キラリンは事故死、ミミズも大怪我を負う。さらに、二人の
居所を警察にチクった、テラウチも自殺してしまう。現代の高校生がもつ危うさと浅薄さ、それがリアルワールドなら、一体、今の
日本はどうなってしまったのだろう。それぞれの4人の女子高生とミミズがリアルワールドを持つ人生経験が語られるが、
果たして、これぐらいの経験でこのようなリアルワールドの閉じこもってしまうものか。恐い世界になってきたと嘆くのは
やはり年齢を食ってきたせいか。
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No.49:
(5pt)

これぞ究極のファインプレイ!

よくぞまあ一人称のオムニバスで
ここまで完全無欠の構成を組めたものです。

しかもこれが連載小説だったと知って驚愕!
奇跡の結晶体です。

私が思春期の頃に読み、
とっくに社会人となった2012年現在に読み、
しかし何も色褪せていない!

10年ほど経った現在でも、この若者感覚が普遍的なのが恐ろしい(半世紀経ったらわかりませんが……)。

桐野夏生さんは、<他人に成りきれる作家>。賞賛に値します。
これぞ小説家が小説家たる真髄!

他には、「これは失敗か……」と思う作品がちらほらな作家さんですが、
「リアルワールド」だけ(OUTも)は、歴史的名著と言っていいと思います。
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No.48:
(4pt)

春樹村上との対比論

ワタシはこの小説でまたも毒舌罵倒描写にシビレ顔が底意地悪くニヤける事数十回。
カフェにての読書。漫画本ならまだしも、活字本でワタシが一人ニヤケていたら、周りの人々には不気味に映るのかな?
しかし、漫画でなく、ただのどこにでもある日常の活字でここまでそんな表情にさせる桐野節、あっぱれ。

しかし4名の基本的ベースの登場人物の複雑な関係小説。

ワタシはミミズの妄想世界のあの章が一番脳裏に焼き付く。

しかし、タイトルに書いた、村上春樹との対比。

何かある。

ワタシは頭が悪いから何かわからない。

昔のボクシングで、鬼塚と辰吉との陰と陽。

しかし今現在、よくよくみると対極にみえて実は互いにとても似ている。とワタシは最近思いました。

だから、この村上春樹と桐野夏生のワタシは対極とみているが、実はとても似ている・・・と。

それが何なのかは、まだわかりません。

明日ふとわかるかもしれないし、何十年後、ふと思うかも。。。

それともこれは勘違い???

ようわからん。今は・・・
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No.47:
(5pt)

桐野夏生らしい作品です

高3の夏休みに受験ノイローゼで親を殺してしまった男子高校生と、クラスメートの女子4人の物語です。
女子4人の視点を中心に語られていますが、それぞれドライで無関心であったり事件の重大性に比して真剣味の欠ける反応だったりと、普通の若者らしいのか異常なのか、全体的にはそういう犯罪をしてしまった少年を小馬鹿にしていて2ちゃんねる世代らしいとは思います。

桐野夏生は子供の気持ち悪さを描くのが上手いですね。
女子は各々が曲者で、頭が良いのに馬鹿のフリをしていたり真面目そうで乱れていたり隠し事をしていたりと色々な葛藤を抱えつつもある意味では相当に達観しててまた高校3年生という微妙な世代の置かれている歪なリアリティを考えさせられます。少しでも油断すれば大人社会は容易に彼女らを毒牙にかける。だから受け流していくしかないのです。

一方そのリアリティを受け流す器量の無かった少年は社会の敵になって孤独な戦争ごっこを始める訳ですが、中2病にとりつかれてしまった犯行スタイルが実に痛々しい。これもありふれた無意味な少年犯罪なのでしょうか。何かに取り憑かれてしまった少年。それを冷ややかに傍観する女子たち。
それぞれが自分のリアルワールドを抱えています。
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No.46:
(5pt)

思春期特有の青臭い感情

自分が女子高生だった頃に考えていたことがそのまま文章になっているようで、
初めて読んだときは呆然としました。

これを書いたとき桐野夏生は50歳前後だったはずなのに、
なぜこんなにも現代の女子高生の気持ちがわかるんだろうと不思議でならなかった。
これが小説家の想像力か…。

それに比べて当時芥川賞を受賞した『蹴りたい背中』と『蛇にピアス』には、女子高生のリアリティが1ミリも感じられなかった。
おじさん達の求める女子高生像を「こういうのが見たいんでしょ?」と演じてみせているかんじ。
あれ全然違いますから、勘違いして喜ばないでくださいね、おじさん達。

やっぱり桐野夏生は本物の小説家。
一生ついてきます。
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No.45:
(3pt)

これこそが女子高生の真実だ。

直木賞作家、桐野夏生が描く女子高生小説。

自らを「ホリニンナ」と称する山中十四子は、母親を殺害して逃げ出した隣の家の少年「ミミズ」とひょんなことから携帯で連絡を取り合うことになる。やがて、ホリニンナと仲のよかったテラウチ、ユウザン、キラリンもこの関係に加わり、図らずも少女たちはミミズの逃亡を助けることになるのだが……。

登場人物それぞれの一人称で「事実」に迫る、という桐野夏生得意の手法が光っている作品です。
よくわかっているようで、じつはよく知らないという女子高生同士の友だち関係、それはじつは女子高生に限ったことではありません。
友だちがどういう奴かなんて、所詮は思い込みでしか知らないわけで、それを突きつけてくるところに、この作家の凄みというか醍醐味があるんだろうなぁと感じます。

また、青春小説と捉えられなくもないところも面白いと思いました。事件自体は身近にはあり得ないことかもしれいけれど、ここで描かれているような思いは、たぶん、この頃の年代には当たり前のことなんだと思います。

女子高生好きなおっさんは目を覚ますためにも読まなきゃだめです。
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No.44:
(3pt)

身に覚えのある感情

夏休みのある日、隣家の同い年の少年が母親を撲殺した。その”母親殺し”に関わるにつれて、高校生4人組のそれなりに平和で安定していた関係はかき乱される。そして、次々と仮面が剥がれてゆく。章ごとに視点が変わる一人称の物語。まあ、ストーリーは可もなく不可もなく。高校生のときの「こいつらなにもわかってない」という苛立や、人を見下して自分の世界を確立している感じがよく出ていると思った。割と若い世代が読むと、共感できる部分が多いと思う。物語全体というよりも、細部にちょっと響くものがありました。
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No.43:
(3pt)

理解できないのは自分が年を重ねたからなのか。

桐野さんの著書は人の心の醜いところを、気持ちの良いくらい鮮やかに
描いてくれていて、特に「OUT」「グロテスク」は醜くも華々しく美しい
強烈な作品で、作品からほとばしるエネルギーに読後しばらく打ちのめされてしまった。
しかし、この「リアルワールド」については、テイストは桐野さんの世界が
全開でエネルギーを感じたが、登場人物の心理が全くといっていいほど
理解できなかった。登場人物の高校生たちのふわふわと浮かんだ心模様が、
そのまま着地せずにどっかに飛んでいったまま読了してしまったようで、
しっかりと感じることができなかった。
これは即ち、もはや自分がおじさんになってしまったということなのか。
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No.42:
(5pt)

1番好きかも

 各章が主要人物五人の視点から描かれる。各人の細かいニュアンスが感じられるし、それぞれが友人たちをどう見てるのか、その違いに驚かされたりとても興味深い。事件に関しても心理的には現実よりもリアルかもしれない。
 桐野作品は大分読んでみたが、私は今のところこれが一番好きだな。
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408746010X
No.41:
(4pt)

今の女子高生って。。。

物語としては、面白い。構成も面白い。作品としては、素晴らしいと思います。他人からしたら、羨ましいくらい魅力的な4人の女子高生がそれぞれに問題を抱えている。本人一人称では、気楽に生きている他のメンツとは違うんだ!! と思い切り熱く語っています。自分を守ろうとするキャラ,カラに閉じこもるキャラ,生まれ変わろうとするキャラ。そこに母親殺人の少年が投げ込まれる。とても、刺激的なシュチュエーションでした。しかし、実際問題として、現役の女子高生がここまで考察できているか、こんなに単語を知っているか、ここまで行動できるかということに関して言えば「???』です。言葉にできないナマの感受性と、それを言葉にできる成熟した作者の知性が作品として結実しています。それゆえ、あくまで虚構の世界でのできごとなんだなあ。。。と、感情移入はしきれませんでした。
リアルワールド (集英社文庫(日本))Amazon書評・レビュー:リアルワールド (集英社文庫(日本))より
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No.40:
(3pt)

リアル

まるで毎週サスペンスドラマを放送するように次々と新たな殺人事件のニュースを見聞きする。
実際におきた悲惨な事件なのだけど、「怖いわね」「可哀想ね」
などと話してもどこかドラマと同じ感覚で別世界の出来事と思ってしまう。
しかし、事件のおきた地域がものすごく近所だったり知っている場所だと
ニュースがとても恐ろしいものに感じてしまう。
どんなに凶悪な世界的殺人テロよりも、知っている場所でおきた事件は
頭にこびりついて容易にはなれない。現実世界のものだと痛感してしまうのだ。
遠いところで起きた事件はあれこれ事件について推測し、客観的に見るが
身近な場所のニュースは「自分が被害者ならこうした」
「自分が加害者の立場ならあのときこう考えるはずだ」と自分自身について考える。
この本でも、身近に起きた事件を通じて少女達は「自分は・・・」と考えている。
リアルワールドAmazon書評・レビュー:リアルワールドより
4087746194

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