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魔笛
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魔笛の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 1~20 1/2ページ
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最後まで読めば面白かったです。 新興宗教にもぐりこんだはずの女性警察官が、テロを起こすお話。 最初は警官の名前が一気に出てくるし、ちょくちょく話し手が変わるので、かなり読みにくいと感じましたが、あらすじ自体はとても面白かったです。 | ||||
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野沢さんのファンになりました。 続編が早く出てほしいです。 展開の素晴らしさ、話の面白さ、最高です。 | ||||
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野沢尚は 読みやすく 映像が浮かびやすい文章を書く 作者だった。 ただ この魔笛は ちょっと 違った。 なぜ 照屋礼子の 手記で 書かれなくてはいけないのか。 そのことで 鳴尾と 藤子のことが 浮き彫りになるからだろうか。 照屋礼子の視点から見ると やはり全貌が見えないね。 オウム真理教という事実の中に、様々な素材があって、創作意欲を 湧き立てることになるのだろう。 自分の救済をはかろうとして、無差別殺人に 発展するのか? ということだろう。 照屋礼子は、公安の捜査員だった。 坂上輪水が創設した新興宗教に、潜入した。 それが、無差別殺人の渋谷爆発犯となる。なぜ、そうなったのか? それを追い詰める鳴尾刑事。 それに協力する獄中結婚した鳴尾の妻 安住籐子。 照屋礼子の独白で、この事件を説明して行くのだが、 意外とまだるっこしいのだ。 照屋礼子は 何をしたかったのだろうか? 坂上輪水 を慕うことで 爆発犯になったのか。よくみえない。 そして、なぜ 鳴尾をターゲットにするのか。ジェラシー? 公安としての論理が はっきりしていて、それが 魔笛の 論理を 明らかにする。 鳴尾の 情理が 打ち破る。公安の論理とヒトの情理のぶつかり合い。 この物語は 野沢尚として、よく勉強をしたあとが見える。 野沢尚の綿密な物語の作り方に、さらに、詳しくした。 野沢尚は登場人物の経歴書を作り、その人物のプロフィールから キャラクターを作り上げていことで、物語の安定性を作る。 リアリティとはそういうところから生まれる。 シナリオとは、その手法によってしか整合性と調和性を作り上げることができないのだ。 爆発犯であるが故に 爆弾のことを勉強した。 メシア神道であるが故に 神道と仏教、そして新興宗教とは。 新興宗教からいかにテロリズムが生まれるのか? 公安の仕組みと 公安捜査員が洗脳されていく様。 照屋礼子という存在から、沖縄の米軍犯罪の歴史。 照屋礼子の企みをしられないための公安の隠蔽体質。 それを追いかけるために 獄中結婚というありかた。 (ここは、ちょっと無理があるのであるが) そこまでの素材の上に組み立てられている。 読者にお勉強してもらわないと、物語が成り立たないのだ。 | ||||
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野沢尚の作品に共通するどうにもやるせない深い闇が一人称の 女性によって語られていく。 ぞっとするような重さを淡々と何もなかったかのように描いて いく筆致には、時として狂気を感じる。 刑事は「光」。妻となった女性を「闇」から救い上げることは できたが、一方彼女は既に「闇」、「死」の世界にがんじがらめ に囚われてしまっている。その中で「光」を感じた彼に対峙し、 抵抗する。この「闇」に巻き込んでやると。 しかし心のどこかで捕まることを期待し、自らの「闇」、「死」 を完結させようとする。たぶん「光」、「生」の魅力、眩しさに 憧れを感じて。 しかし結局それは「死」という形でしか完結しえない。 ぶざまな教祖、権力のために自らを崩壊させ、「死」への道を辿 らざるを得なかった彼女が全てを達観して書記を残す。 「逝ってしまったのね」、「ああ、逝ってしまった」という二人 のやりとりは、そのやるせなさと、でもそこに一筋の光を与える ことができたのだろうかという思いもあったかもしれない。 でも「駅は見えません。私は線路を下りてみます」 やはり彼女には駅は見えないんだなあ。なんと悲しい言葉なんだ ろうと絶句してしまった。 凝りすぎた感もあるが、テンポはいいし引きずり込まれる筆力は やはり凄い。ただ重たくて暗くなってしまうのが、つらいですね。 そこが魅力でもあるんだけれど。 | ||||
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展開がスピーディーで面白かった。殺戮シーンと爆弾処理シーンは強く印象に残りますね。映像にしても面白いと思うけど照屋礼子の役はやりたがらないかもね。最初の照屋礼子による謝辞を読まないほうがいいと思います。 | ||||
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実際のオウム事件をモチーフにしているため江戸川乱歩賞を見送られた問題作。本書の特徴は全編が犯人の一人称記述となっているのだが、これははっきり言って効果を上げているとは言いがたい。書き手が知らないはずの描写があったりと一人称との整合が取れていないし、読んでいるうちに犯人からの視点であるということなど忘れてしまうからだ。普通に客観的記述でストーリーが進むにつれ犯人が判明する方がしっくりくると思うのだが。どうも技巧に走ってしまった感がある。ストーリー自体は非常にシンプルだがこんな長編になっているのは登場人物たちの過去の事件が異様に深く掘り下げらているからであり、そこらへんが無駄だと感じるか深みを与えていると評価するかで前半の印象が変わってくるだろう。個人的にはメインストーリーになかなか進まないのでややまだろっこしく感じた。後半の大掛かりな爆弾仕掛けネタは緊張感があり面白い。これに焦点を絞って物語をスッキリしていたらもっと評価が上がったと思うのだが。 | ||||
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すべてが犯人である照屋礼子の視点から書かれた 手記という手法をとった作品 相当の文才が無いと書けないくらい難しいやり方なのに、意外とするっと読めました さすが野沢尚 内容は正直どうでもよくて 面白いけど、へぇーみたいな感じで終わりました でも 獄中の刑事の妻が、手紙の中で同じ刑務所の女性の話をしていて 仏がなぜ自分をこの世に産み落としたか分からない ならば仏を憎みなさい と、慰問に来た僧侶に諭され それ以来彼女にとっての仏は自分と対峙する対象になった というくだりにぐっときた | ||||
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大量殺戮犯自身による分析報告という形をとる本書は、冒頭から著者(犯人)が刑務所内で原稿を書き上げることができた謝辞ではじまり、いきなり引き込まれる。爆弾を作る者と壊す者、殺人者とそれを捕まえる刑事、愛と憎悪は表裏の関係にあり、その境界は明確ではない。ささいなことで逆転する。人を憎むことは生きるエネルギーとなり、それを失ったとき、人は安心するのではなく喪失感を感じる。その感情を何と表現するのか。人は、敵が見えなければ怖いから、目に見える敵を自分で作り上げるものなのか。それが自分の子どもだとしても。野沢尚の描写する心理はおそらく一般の人が感じえるもので特別なものではない。それを文字にして見せられることでどんどん登場人物に同化していくのだろう。 | ||||
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明らかに某宗教団体を意識した物語。 緻密さ、精巧さが際立っていて、野沢ワールドの集大成である。このまま映画のシナリオに使えそうな細かな情景描写は、脚本家だった故の術か。 公安女性の自己破壊と自己完結は作者自身なのか。それを暗示させる本書は、数ある野沢作品の中でも傑作であり、日本ミステリーに燦然と輝く作品でもある。 間違いなく全読者必読の書。 | ||||
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物語の冒頭「自己批判、弁明ではなく分析報告である」というくだり、さらに語り手や登場人物の人間関係や背景の設定が凝っている。プロットの段階的な構築や人物像のプロファイルを周到に準備する著者らしい。公安と警察の関係、カルト教団の扱い方も不謹慎だがワクワクするぐらい興味を引かれるところで、巧い作りだと思う。またカルト教団の施設の描写や、マスコミの報道体制の風景など、脚本家らしい映像に訴える表現が感じられる。 物語の構成としてはいつものように伏線がカチッとはまる作りで、完成品として素晴らしいのだが、逆にブレがないことが予定調和というか、なんとなく作品を小振りにしてしまったような気もする。特に犯人の行動の原因となった部分などはあまり釈然としないし、好きなモチーフである「森」へのイメージの連結も弱い。最後のキーワードもやや消化不良・・・。 楽しめるのだが、もっと膨らませることが出来た作品なのにと思うのは、ややお門違いの望みだろうか? | ||||
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明らかに、とある実在の宗教団体を意識した設定が、 この傑作を文学賞から遠ざけたといういわくつきの作品 (その辺は北方謙三氏の解説に詳しい)。モデルの方も、 折しも教祖に死刑判決が確定したばかり・・・。 ここまで社会派に徹することのできるミステリーは、なかなかない。 宗教団体の内部だけでなく、公安、爆発物処理班など、 日頃あまり現れない警察組織の描写も多い。 特に公安は作品のひとつのキーである。 作品を貫く、人間の暗部をえぐり出すような描写の数々。 この手の心理描写は作者の大きな特徴のひとつかもしれない(『深紅』が典型)。 そしてその描写の深さは、彼が自ら命を絶ったという事実により、 いっそう濃い闇を放っていくのである。 | ||||
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鶴橋康夫 監督 へ 野沢さんが亡くなり、2年以上がたちました、僕は鶴橋さんが野沢さんの作品を引き継いでくれる事を切望します、『砦なき者』を見て、心を揺さぶられました、また、僕の心を揺さぶって下さい、鶴橋さんが野沢さんの作品を映像化して頂けるのを、僕は楽しみにしています。 | ||||
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盛りだくさんの内容で、おいしい要素てんこ盛りの小説。 ちょっと詰め込みすぎの印象あり。 犯人の一人称神様視点にも違和感を感じる。 登場人物にも、通常だったら有り得ないと思われる設定がある。 そんな欠点もありますが、なんと言ってもこの作品はダイナミックな ストーリー展開と抜群の描写力で読者をぐいぐい引き込みます。 特に終盤の盛り上げ方は見事。 良く出来た映画や劇画を見ているようです。 この作品は第42回江戸川乱歩賞の最終候補作に残ったが、 実在の宗教団体の起こした事件を背景にしている事や、 設定の強引さから、結局受賞するのは他の作品となりました。 受賞した作品は、良く言えばそつの無い、悪く言えば凡庸な作品であり、 小説としては明らかにこの作品の方が勢いがあり面白かったです。 | ||||
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野沢氏の謎解きプロットにはいつも唸らされるがこの「魔笛」のそれはイマイチと感じました。一つ目は犯人特定の手掛かり。うーん、ちょっと無理じゃないか、そのストリングから犯人のバックグラウンドに至るのは?二つ目はラストシーン、決戦場所を特定する閃き。ストーリーの核心なので詳述はさけますが、えー?そこでそういくか?と思いました。以上2点、物語のキモの部分でちょっと興醒めしたのでこの評価です。某教団事件を鏡として日本の公安警察のあり方を問うくだりは体制側に大きなアイロニーを突きつけていると思います。 | ||||
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女を不幸に追い込む話を書くと、どうしてこの人はこうも活き活きとした筆致になるのだろう?元々は脚本の世界でデビューし、書く作品ごとに、これでもか、という程に女を不幸に追い込んでいたと思うのだが、小説の世界にその活躍の場を広げてからも、作品のスタンスは殆ど変わらないらしい。それでも、やはり新書が出ると手に取っていた私としては、この先もう新作が手に入らないことに寂しさを覚える。話を本筋に戻すと、これまでの野沢作品の中でもかなり手の込んだ趣向が凝らされており、最後まで油断できない物語展開となっている。渋谷のスクランブル交差点で数百人を殺傷せしめた爆弾魔と、その犯人を追う訳ありの刑事。新興宗教の教祖や公安警察の上層部なども絡み、追い詰められた女の描写という野沢節もやはりあって、野沢ファンならずとも楽しめる作品になっていると思う。 | ||||
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ほんと素晴らしいの一言。冒頭から引き込まれますが、展開のスピードも丁度良く、登場人物や情景の描写も詳細かつ緻密なので、読み進むにつれて早くページをめくりたくなります。是非映像化して欲しいものですが、題材が現実に起きた事件を連想させるので、難しいかと思えるのが残念です。しかし、本作は筆者の代表作と言っても過言ではないと思います。未読の方には是非勧めです。 | ||||
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明らかに某宗教団体を意識した物語。緻密さ、精巧さが際立っていて、野沢ワールドの集大成である。このまま映画のシナリオに使えそうな細かな情景描写は、脚本家だった故の術か。 公安女性の自己破壊と自己完結は作者自身なのか。それを暗示させる本書は、数ある野沢作品の中でも傑作であり、日本ミステリーに燦然と輝く作品でもある。 間違いなく全読者必読の書。 | ||||
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本作は解説で北方謙三が書いているが1996年の乱歩賞最終候補に残った物を下書きにして書いている。その翌年に野沢は「破線のマリス」で受賞したが出来としてはこちらのほうがいい。人物造形やリーダビリティという面ではマリスの方が優れているかも知れないが。 相変わらずの野沢独特のタッチだろうな。異色と言えば異色であると思う。犯人が語り手であり、主人公の鳴尾自身にあまり触れていない。ただ彼の行く様子はよく分かる。そして妻は刑務所で。それぞれ主要人物の人物造形という面ではマリスもそうだが明らかに野沢らしい、と言うのが伺えるのは本作か。マリスの時よりも中途半端がなくなっている。 読者を引き込もうと言う意志が最初だったのだろうが最初以降中盤までは個人的に長い文章にやや眠たくもなったりして一度中断したんだが当初の予想を上回るストーリーだったわけで納得している。最高点は付けられないが。 逆に中盤以降は飽きさせない努力をしている。それからの展開の布石だったんだろう。鳴尾の妻の過去と結婚の事なども書かれており読者により共感を誘う。共感というか存在感だろうか。鳴尾自身は独走と言った感じだろうか。敢えてそういう風に作り上げた当たりこの作を通じてああそうなのかと読後実感した。 野沢が自殺したときは兆候が作にあったとも言われていたが文庫版解説で北方謙三は否定している。分析としては俺と似ているのか存在感を高めるためと書いてある。前半の布石にしてもリアリティを出したかったんだろうな。そして「野沢の死を、小説から解析していくには、もっと時間が必要なのかもしれない」と述べている。マスコミは理由欲しさに書いたかも知れないがそれは分からないしそうするのは安易過ぎる。逆にファンはそ卯であって欲しくないからかも知れないが。何にしろそう言いたいのかも知れないしその部分は共感を得る。 話題がずれたが野沢の死に繋がる物では決してない。しかしながら野沢の作を読んでいくと何かが見えてくるかも知れない。分からないが。どっちにしても鬼籍に入った者に問うことは出来ないしその事実は変えようがないのだから遺された作を読み進めるばかりである。 | ||||
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外部に的を見出すこと以外に道を無くしテロへと至った宗教団体、同じく敵がいなければ存在意義を失ってしまう公安。両者によって育て挙げられたテロリスト・礼子と、それを追う刑事・鳴尾。その鳴尾の妻は、かつて夫だった男を殺して、刑務所で自分を見つめるために犯罪者たちにインタビューをしている。それぞれ「敵」を持つ者たちが、それぞれの思惑でうごめいて、複雑に絡み合って行く。序盤からグイグイと引きずりこむ野沢尚の文章力は相変らずだし、映像が浮かんでくるような描写も秀逸。個人的には、『破線のマリス』などで気になっていた、ストーリーの収束のつけ方も今回に関してはまったく気にならずに楽しむことができた。終盤の銃撃戦であるとか、ちょっとリアリティが無いかな?と感じた部分が欠点といえば欠点かもしれないが、失踪感溢れる展開・描写、十分満足できる内容だった。 | ||||
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物語冒頭から一気に物語へ引きずりこまれる。それは、詳細な人物描写や緻密に練られたストーリ、加えて文章の鋭敏さによるものに他ならない。巻末に参考資料として掲げられている著書のリストは、決して妥協せず完成度の高い作品を生み出そうとしたその証だろう。そのため、著者の筆力を結集した中盤から終盤へさらに加速する疾走感は、決しても間延びすることなく読み手を飽きさせない。作家デビューから見守り続けてきた北方謙三氏が哀悼とも取れる解説を寄せその中でも語っているが、作家「野沢尚」の作品をもっと読みたかったと感じずにはいられない傑作である。 | ||||
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