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孤独の歌声
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孤独の歌声の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全45件 21~40 2/3ページ
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「誰もいなかったら、まったく、滑稽よ朝山巡査・・・」という台詞から火スペの域を出ないような作品なのだろうか?と眉をひそめましたが、最終的には本のページをめくる手が止まらなくなるほど、この本の深みに引きずり込まれてしまいました。風希と潤平の、男女の関係を超越したもっと崇高な連帯感、それも本当の意味での孤独を抱えた人間にしかわからない微妙で繊細なつながり、のようなものに魅力を感じました。彼らの錯綜した感情は、わかる範囲でですが、とても共感できるものがありました。あとサイコ・シリアル・キラーの男は吉良吉影っぽいですね。一番興味を惹かれたのはこの男の、歪んだ至上の愛を求める心でした、「魂も抱き合えていると感じるほどのセックス」・・・彼ほどイノセントで残酷な男はいないと思った。メディアや音楽業界に対する著者の批判も見て取れた。終わり方がちょっとご都合主義なかんじで個人的にはうすら寒い気もするが、エンターテイメントの宿命だとも思った。(どうでもいいですが、潤平の「(宮沢賢治+ドアーズ+ロバート・ジョンソン)×フォーク」的な音楽って偏狭な日本の音楽シーンで受け入れられるはずないと思います) | ||||
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孤独とは何か、家族とは何か?とても考えさせられます。犯人の病的な描写は読んでいて 気持ち悪くなりました。 ただみなさんのレビューを読んでいると、本作はまだまだ完成度が低いようなので、 ほかの作品も読んでみたいと思いました。 | ||||
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最近、この作家にはまっています。 この人は、 負の心理、というか、 闇の心理、というか、 そういうものを描くのが非常にうまい。 ただ暴力的にその心の闇を描くのではなく、 説得力のある、 そして、だれにでもありうる問題として提起される。 少女時代の誘拐事件のトラウマを抱えたまま、 刑事となった女。 何よりも自分のために歌い続けながら、 コンビ二でのバイト中に事件に巻き込まれる男。 異常な環境での成育によって、 歪んだ家族の愛を信じている犯人の男。 孤独である3人が、 出会い、すれ違いながら、 物語は展開していく。 連続女性誘拐殺人事件と、 連続コンビニ強盗事件。 この事件もまた、 “孤独”というものが、 キーワードともいえる。 深夜のコンビニを訪れる人たち。 事件はこの特殊なシュチュエーションが、 可能にしたともいえる。 謎解きよりも、 それぞれの心の動きが、 時に共感、 時に反発を生みながら、 読み進ませる。 ラストに、 この孤独の3人が同じ場にいる。 絶望的なクライマックスでありながら、 異様な共感に似たものが、 その空間に流れる。 それは、 ともすれば否定されてしまい異常さでもあるが、 なぜか、 説得力があったりする。 それがなぜか、理解できるのがふしぎだった。 | ||||
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猟奇殺人という、ミステリーではありふれた題材だけがメインだとしたら、 ここまでは面白く読めなかったかと思います。 同じ女性として、被害者の気持ちを考えるとつらくなる描写も多かったですが、 すべての登場人物を丁寧に描いていて、リアルでした。 それぞれにトラウマを抱えた三人が最後に集結する部分は、 少しうまく出来過ぎている感もありましたが、 わざとらしさはなく、主人公達の執念のようなものが伝わってきました。 いつも思うのですが、天童さんの作品には、 悪役にもそれなりの言い分があって、次第に納得させてしまううまさがあります。 本当にうまい!やられましたと言う感じです。 | ||||
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まず主な登場人物は3人です。 深夜のコンビニでアルバイトをし、歌を作る青年。 コンビニ強盗を担当しながらも管轄外の連続殺人犯を執拗に追いかける婦人警官。 そして連続殺人犯の男。 その3人がそれぞれ忘れがたい過去を持ち、街の片隅で孤独な生活を送っている。 私が思うに主題はそれぞれの孤独のあり方かな・・・と。 人と交わらない生活は淋しいけど、それと引き換えに自分だけの世界を築ける。 でも人間は独りでは生きていけない。 そんな葛藤みたいなものがあったように思った。 私自身、あまり人と付き合うのが好きでないというか、独りが好きな性質なので共感する部分がかなりあった。 でもやっぱり外の世界とも繋がっていたいという気持ちもあり・・・ 派手なところは無いけど、私はなかなか面白いと思いました。 また他の作品も読んでみたいなと思いました。 「永遠の仔」は姉が、あんまり・・・みたいに言ってたんだけど、どうなんだろう〜 | ||||
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「永遠の仔」や「あふれた愛」「家族狩り」と比べるとすべてにおいて荒削りで、自分の内に書きたいテーマはあるのだけど、それを作者自身がまだ把握しききれてなくて、懸命に模索している途上って感じがしました。そんな風に模索する時期があってこそ、「永遠の仔」の天童荒太へと繋がっていくのだと思いながらこれを読むと、ストーリーとはまた別のところでたのしみが広がります。 | ||||
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「家族狩り」や「永遠の仔」のように重苦しいテーマが 感じられない分、サスペンスものとしてさらりと読めます。 同時期に貴志祐介さんの「黒い家」を読んでいたのですが、 猟奇的な殺人もの、ということで似ているかも。 この作品を楽しまれた方は「黒い家」も読んでみると楽しめると 思います。 天童作品にしては短いので、すぐに読み終えることが出来ますが、 私のように長い天童作品が好きな方には物足りないかも しれません。 | ||||
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天童荒太が描く作品には,根底に流れるひとつの大きなテーマがある.それは家族だ.中学時代の過ちを克服できず,自分を許すことの出来ない風希,故郷の土地で大切なものを失ってしまった潤平,そして誰よりも家族を欲し,猟奇的犯罪に手を染めた松田(犯人).この三人の主人公の中で,著者が一番書きたかったのは松田ではないだろうか? 彼の犯行は絶対に許されるべきものではないが,彼が偏狭的なまでに求めた理想の家族像は,批判されるべきものではない.誰しもが欲し、そして多くの人があきらめている究極の家族を彼は求め続けた.己の手を血に染めてまで・・・ これほど暗く冷たく哀愁漂う作品なのに,読み終えた後の読後感は心地よい.今後も著者の綴る「家族」を読んでいきたい. | ||||
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家族狩りの原点とも呼べる作品。多少血生臭い場面は出てくるものの、本当の孤独の意味を教えられた気がした。自分のバトンを受け取ってくれる存在はいるのか。それは身近にいるのかもしれないし、これから出会うのかもしれない。人は皆、リレーしているのかも…そう思うと、切ないけど、綺麗な風景のように思えた。作品のタイトルが暗そうだから、読むことを躊躇している人!読んだ方がいいですよ。これは思っているより寂しい話ではないし、ただのミステリーでもないから。 | ||||
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「永遠の仔」「家族狩り」を読み終えた後に、手をのばしました。まず、「孤独の歌声」というタイトル自体が、人を誘う不思議な魅力を備えているように感じられました。。。でも、作品はミステリー。天童氏ならではのカメラの切り替えで、3人の登場人物を次々おいかけていく作風でも、読み手を引っ張りつづけることができるのは、作者の技量によるものだと感じます。ストーリーだけでなく、筆力にも感嘆せずにはいられません。(最近特に、”金をドブにすてた”ようなモノばかり読んじゃったので)内容については、イカれちゃった犯人の行動が、生理的に受け付けられなくて嫌悪感を感じ、「犯人の登場シーンになると、気持ち悪い」と脱落しそうになりかけました。。。最後まで読めたのは、やはり、「孤独の歌声」を聴きたいから。コンビニ店員潤平と刑事風希の、孤独の音楽が聞こえるような気がしました。(犯人のは、聞こえてこなかった・・・)一人でいたいと思うことは我儘ということではないと、慰められ、改めてタイトルの絶妙さに感嘆。タイトルに負けない内容だし、内容に負けないタイトルでした。 | ||||
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とにかく面白い。息をもつかせぬ展開で、一気に読んでしまった。人は心にそれぞれの孤独を抱えながら生きている。だが、一人で生きようとする人間ほど、心の中では人との関係やぬくもりを求めているのではないだろうか。悲惨な事件を扱った作品ではあったが、「孤独」という言葉が、心に強く響く作品でもあった。 | ||||
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一見、サイコサスペンスのような作りをしていますが、この小説のテーマは孤独の人間心理を深く描いた作品だと思います。確かにストーリーの流れラストの展開は「羊たちの沈黙」を彷彿とさせますが、この小説の醍醐味は、その過程で描かれる3人の人間の孤独の心理。彼等、犯人はともかく、女刑事の風希とコンビに店員潤平の屈折した気持ちが理解できる人は多多いると思います。そういった人達にはとても共感できる小説でしょう。 プロット的にもよく構成されており、伏線の張り方もうまく、なんと言っても文体が読みやすく、テンポよく読めるのもポイント大。 後に続く「家族狩り」「永遠の仔」の基盤となる人物映写がここでも見事に描かれている傑作でしょう。 | ||||
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天童荒太さんの作品で一番初めに読みました。この本が素晴らしかったので、家族狩りの5冊も読みましたが、作品としてはこちらの方が好きです。犯人が被害者の女性から切り取った体の一部を持ち歩いている描写と女性を虐待している描写があまりにも不愉快だったので、星は4つとさせていただきました。しかし、ヒロインの警察官とコンビ二で働く歌手志望の青年の心の交流はうつくしく、孤独な魂が共鳴しあっているのが、この残酷な事件のなかで心を暖かくしてくれます。この本は孤独はこわくない、孤独は悪いことではない、ひとりでもいいのだ、ということを教えてくれます。裏テーマとして、次の作品にも続いていく「家族」があり、ミステリーとしてだけでなく、孤独とは何か、一人でいるとはなにか、ということを考えているひとにお薦めしたい1冊です。 | ||||
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「永遠の仔」を読んで以来の天童荒太作品でした。この作品の方が先に出版されたものですが、子供の時に受けた親からの傷が狂気を生み心に傷をもった、そして孤独を感じている登場人物達とのかかわりが面白かった。登場人物それぞれは他人とのかかわりに於いて、「彼」が母親から受けた抑圧の影響から他者に自分を理解して欲しいという中で、他人の全てを理解できないという前提立ちつつ、それでも信じられる一瞬があれば良いという「おれ」と「わたし」。昔ほど他者との関係、付き合い方が論じられなくなってきたが、そうであるからか余計に自分と重ね合わせてしまった。面白い作品でした。 | ||||
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第6回 日本推理サスペンス大賞優秀作 受賞作「家族狩り」「永遠の仔」と傑作を発表し続ける作者の原点といえる作品。後の作品にも通じる「家族」という作者のメインテーマを併せ持った、すぐれたサスペンス作品である。 | ||||
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犯人の孤独感、心理的な背景、そして犯行過程の描写が実になまななしく、その痛みが伝わってくる作品。 孤独と裏返しに痛いほどのゆがんだ家族愛が垣間見える作品。 秀作です。 | ||||
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登場人物をリレー走者に比喩するときは、圧倒的にアンカーが多いと思います。それまでの走者の思いをすべて請け負ってゴールに向かって疾走する・・・だけどこの作品は第一走者に比喩しています。そして劇中たびたび「第2走者」が登場し、第一走者である彼の人生にとって重要な役割を果していることを匂わせます。「お前は何も考えなくていい、バトンは必ず俺が受け取るから、お前はただ先頭で走ってくればいい」---バトンを受け取ることがない第一走者、そう、なんて孤独な役割なのでしょう。劇末での彼の言葉「ちくしょう、また渡すことしかできなかったじゃないか」-ひとは皆、例外なく孤独であり、だからこそひとりでは生きられない-そう感じさせる佳作でした。 | ||||
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主要登場人物たちは、それぞれ誰にも打ち明けられなかった過去を抱えていた。一人暮らしの女性たちを狙った連続監禁殺人遺棄事件に巻き込まれていく中で彼らは「過去」と対峙することになる。このあたりのプロットは処女作からしていかにも天童荒太らしい作り方である。読者は断片的に「過去」を知ることになり、「永遠の仔」(幻冬舎)同様、真相が気になって読書を中断することができなくなる。今回クローズアップされている問題は「孤独」。この言葉にはネガティブなイメージがつきまとうものの、本作では肯定的に扱っている。常に他者に関係性を求め続け、自分だけの世界、時間、秘密を犠牲にすることが果たして豊かな人生と言えるのだろうか? 読み終えたあといろいろと考えさせられるに違いない。 | ||||
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本作は「永遠の仔」「あふれた愛」のような癒やしを全面に押し出した大作ではなく、 ハードでスリリングなサスペンスタッチな作品。 しかしテーマは"家族のあり方" "心の傷" "ぬぐいきれない孤独"と同系のもので。 登場人物がそれぞれの立場、方法(善し悪しは別)は違えど、 それらをどう克服するか、どうやったら自分を救えるかともがきながら前へ進んでいく 意外にも前向きなストーリになっている。(猟奇事件犯人は除く) 軸になる事件が陰惨で残忍な描写が多いせいでホラーな印象が強く残りつつも、 ラストには、ホッと一安心できるような爽快感が待っていたりする。 この作品での「孤独」とは、主に都会に生きる女性のそれに焦点が当てられている。 著者は女性かと思われるほど故郷から上京し一人暮らしする女性の心理にリンクしている。 それだけに「自分がいなくなったら絶対捜して」と女刑事に頼んでいた女子大生が 救出され言った「ありがとう約束守ってくれて」という一言にはホロッとさせられた。 | ||||
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コンビニでバイトをしながらシンガーソングライターを目指す潤平。連続猟奇殺人犯の犯人。その犯人を追う女刑事の風希。この三人の間を視点が移動してストーリーが展開していく。この手法は、まだるっこく感じると同時に、他の二人からはどう見えているのかが気になり、思わず先を読んでしまう効果を生んでいる。ミステリーやサスペンスとしての質が低い訳ではないが、孤独な潤平と風希が心ふれあい、理解し合っていく過程を楽しむべき作品だと思う。 | ||||
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