■スポンサードリンク
夜歩く
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
夜歩くの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.26pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
<少しだけネタバレあり> 『本陣殺人事件』を中篇カウントすれば、『獄門島』に続く金田一耕助シリーズ第二長篇。本作の連載が始まった時点では、『獄門島』はまだ連載中であった。 事件の前半は東京、後半は岡山の山村ということで、演出次第では早くも等々力警部と磯川警部の共演が実現できた構成である。 しかし磯川警部は登場するもののほとんど台詞らしい台詞もなく、等々力警部は登場しない。 等々力警部は戦中の作品から三津木俊助らと共演していたのだが、金田一耕助と初めて交わるのは、(執筆のうえでは)ちょうどこれまた他誌で連載中の「黒蘭姫」であり、本作の東京パートで事件を担当するのは、等々力警部ではなく沢田警視である。あれっ警視か。登場しないだけで、彼の下に等々力警部はいたのかなw ちなみに、東京パートに金田一耕助は登場しない。 岡山で思い出したが、古神の屋敷があるのは鬼首村という。 んっ、『悪魔の手毬唄』の舞台では? と思ったそこのあなたw あちらはおにこべ村で、本作はおにこうべ村という話もあるが、まぁどちらも訛っておにこべ村だろうw ただし、『悪魔の手毬唄』の鬼首村は岡山と兵庫の県境、本作の村は岡山と鳥取の県境だというから、別の村としておくのがよいだろう。 岡山には古代史の四道将軍関連で桃太郎の鬼退治とも関連付けられるように、古来「鬼」の名を持つ地名が多かったとも記されていることだし、鬼首村が複数あっても、それほどおかしくない。本当にあの界隈に鬼の名を持つ土地が多いのかは知らんがw いずれにせよ、先に挙げた先行の二作品や本作に続く第三長篇の『八つ墓村』に較べて人気や知名度は劣るが、戦後すぐに「探偵小説の鬼」になった著者が、同じく顔のない死体を扱って十分傑作だった『黒猫亭事件』でも物足りなく思って、次に臨んだという作品である。後年通俗側に舵を切った諸作品よりも、著者が謎やトリックに真っ向から取り組んだ「鬼」の作品として、もっと評価が高くてもよい。 謎やトリックの点では『八つ墓村』より上、物語としての豊かさでは「本陣殺人事件」よりも上だと思う。 このタイミングで本書を再読したのは、著者が本書のトリックを執筆の数年前から持っていたところが、新人の高木彬光のデビュー作『刺青殺人事件』で先に使われてしまい、プロットを修正せざるをえなくなり、その結果デッサンが少し狂ってしまい云々という意の文章を読んだからである。 で、『刺青殺人事件』と続けて再読したわけだが、首のない死体テーマにおける被害者と加害者の入れ代わりのパターンに挑戦したのは共通でも、類似感は特に感じなかった。代わりに顕著に感じたのは、坂口安吾の『不連続殺人事件』の影響だ。 登場人物の誰もかれも道徳意識がズレているというのは、明らかに同書を意識していた筈。 それらに加えて、ひとつ屋敷の下に複数の佝僂、複数の夢遊病者というてんこ盛り演出は、他の横溝作品の傑作と並べても遜色ないのではあるまいか。 むしろ探偵小説を読みなれた読者には、おまえが犯人やろとツッコまれやすい構成が別にあるほうが問題かもww しかも他誌ながら、本作にバトンタッチするように連載されていた「殺人鬼」にも同じ趣向があったし……。 わたしが鈍いのか、デッサンの狂いは感じることができなかったが、最終章は蛇足だったかもしれない。 彼らの悪縁を際立たせるのは悪くないだが、たとえ幼少期から植え付けられた毒々しい恨みは大学生活までに薄まっていたとしても、「愛する女の面倒をそっち方面で問題の多い男に託すか問題」がより大きくなるのではないか。 うーん、東京で首を発見した場面の解説あたりが、デッサンの狂いなのかな……? 関係ないが、章の題に「古神家の一族」があって笑った。 『犬神家の一族』より二年前の作品であるw 【注1】探偵小説のトリックの案出に憑りつかれていたこの時期、著者は探偵小説の鬼だったとしばしば自称しているが、これは江戸川乱歩の戦中の評論・感想集『鬼の言葉』の影響かもしれない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
背むしと夢遊病の家系、首無し死体、異母兄弟相姦の欲情、名刀正村、如何にも 横溝正史のワールドである。犯人も意外な人物で、入れ替わりの面白さを楽しめた が、この物語の時代に、指紋捜査はあったはずなのに、、、、と思ってしまう。 今年のすすきの首なし事件とイメージが重なってしまった。 話題になる作品ではないが、十分楽しめた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
話が二転三転しすぎではないか? 全体に色欲に惑わされた男女の匂いがただよっている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作者の代表的傑作である前2作(『本陣殺人事件』と『獄門島』)の本格推理と、次作品であり「読み物」という視点から見た作者の最高傑作『八つ墓村』の面白さとを兼ね備えた、横溝作品のNo1になりえた作品、それが本書である。 本書のテーマは「顔のない死体」で、江戸川乱歩が名作ベスト1に推奨したイーデン・フィルポッツの『赤毛のレドメイン家』、エラリー・クイーンの『エジプト十字架の秘密』と、本書の前年に高木彬光が発表した『刺青殺人事件』に挑戦したものだろう。 (とくに『刺青殺人事件』と同じ構想を考えていたところ、先を越されてしまったため本書のデッサンが狂ったということが、旧版の解説に記されている。) また、本書の中で用いられた「小さな密室」トリックは、おそらく横溝作品中、最高のトリックではないかと思う。 しかし残念なことに、本書は本格推理としてはアンフェアな作品である。本書には随所に虚偽の記載が盛り込まれているのである。 作者は解決篇に至って、これまでの文章に虚偽の記載をしても構わない理由を説明しているが、しかし、前もってそれを知らされていない読者は、それまでの記載がすべて正しい情報を与えてくれているものと信じて推理を巡らすのだから、これでは真相に到達するはずがない。 おそらく作者は「顔のない死体」のテーマと同時に、クリスティーの『アクロイド殺し』の「叙述のトリック」にも挑戦したのだろうが、結局は虚偽の記載のない「叙述のトリック」を用いた『アクロイド殺し』がいかに優れた作品であるかを、逆に証明しているのである。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!