不死蝶
評判
不死蝶の評価:
3.68/5点 レビュー 25件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全25件 1〜20 1/2ページ
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不死蝶の評価:
3.68/5点 レビュー 25件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
信州に位置していて、懐に湖水を抱いたロケーションは『犬神家の一族』であり、狭い村に並び立って確執のある旧家や地下に広がった鍾乳洞と言えば『八つ墓村』である。この両作品名は本文中にも触れられており、著者も意識的だったことは間違いない。
著者だけでなく、乱歩もまた『孤島の鬼』や『大金塊』等の作品で、地下洞窟巡りを効果的に用いているが、それらはいずれも怪奇、冒険、サスペンス、ロマンの雰囲気作りで、謎の構成のために必須なものではなかった。
本作の鍾乳洞には3つの入り口があり、いがみあう両家のそれぞれの敷地とカトリック教会の敷地にひとつづつ位置している。23年前の事件当時、カトリック教会に繋がる道は公にされておらず、それが発見されたのは、23年前の事件から一年経ってからであった。
こういった状況を配して、著者は鍾乳洞の構造をもっと直截にトリックに絡ませた作品を書きたかったのではないか。
しかし、結果としてはこの試みはあまり成功したとは言えない。
構成されたトリックは悪くはないと思う。23年前の事件と深く繋がっているのは確実なので、それで嫌疑を外れる人もいて、さして多くもない残りのキャラの中で、うまく構成されている。
しかし失った代償が大き過ぎる……。
屋敷の見取り図を作って犯人の動きを決めていくように、憶測だが、簡易な鍾乳洞の構成を思い浮かべてプロットを決めていったからだろうか、地下の暗闇に広がる洞窟というロケーションの怖さがごっそり抜け落ちているw
百歩ほど譲って、矢部、玉造両家の人間は、子どもの頃からこの鍾乳洞に親しんでおり、内部の構造に明るく、恐怖など感じないということは了解してもいい。
しかし「ゆくてには断崖あり、底なし井戸あり、さらにまた人跡未踏の魔の淵も」(P.192)あるというのに、夢遊病で入り込んだ(らしい)マリの母親を探して、マリやら耕助やらパーティーに居合わせた警察署長やらが、玉造家の少女(これが本作の由紀子だw)の案内で、標識も照明設備もない鍾乳洞に命綱もつけずにずんずん進んでいくのである。食っちゃべったり、皮肉をぶつけ合いながら、自分が遭難する可能性など一切ないが如く。
第一、かなりの閉所恐怖症であるわたしが、頁を繰る手を一切止めずに読める時点でダメだろw
少年向けの『大金塊』ほどの臨場感すらなかったよ……。
たしかに『八つ墓村』が名作として残っているのは、津山事件にフィーチャーされた過去の事件のインパクトや、村で何らかの共通項のある二人のどちらかが、連続的に殺されていくという魅力的なプロットを背景として、巻き込まれ型の怪奇冒険サスペンス&ロマン小説として面白いからであって、決して優れた本格探偵小説とは言えない。クライマックスの地下洞窟巡りもトリックとは結びつかない。
本格探偵小説の鬼として、そこにチャレンジする姿勢は尊敬に値する。
しかしそういった面白さを担保する雰囲気描写をないがしろにしても見合うほどには、本作の「謎」が魅力的だとは言えない。
なるべく優しくありたいと願っているwわたしは、この前に『吸血蛾』、その前は『幽霊男』と、THE 通俗味の強い作品を立て続けに読んでしまったので、その成分により敏感になった所為で、厳し過ぎる見方をしてしまったかもしれないとは考えたが、「いがみあう両家」とくれば定番のロミオとジュリエットネタだって、三世代に渡って繰り返されてるとなれば、これも通俗味がくど過ぎるんじゃないかい。【注1】
【注1】本書刊行のほぼ同時期から連載が始まった『甲賀忍法帖』は傑作だと思うがw