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(短編集)
ゴーレムの檻
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ゴーレムの檻の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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講談社ノベルスから出た柄刀氏の傑作異色本格ミステリー短編集のカッパノベルスに変えての続編。 今回も前回の登場人物が特異な世界での特殊状況の事件に巻き込まれるが、前回のような特殊性はやや影を薄めて、後半などはいわゆる柄刀氏ではお馴染みの密室ものである。 ライトタッチなのにトリックやプロットは本格を極めており、前作にはトータルでは及ばない印象があるものの、読み応えがある。 | ||||
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出版社を替えて再開の、三月宇佐見のお茶の会シリーズ第二作品集であります。 超時空遭遇体質は相変わらずの宇佐見博士なのですが、今回、論理を駆使して解明される真相の数々というのが・・・揃いも揃って地味なんです。とほほと脱力するような結論ばかりです。捨て推理の方がわくわくできるものまであったりして。 不可能状況に破綻のない説明がついてくれたらそれでよし、という方以外にはちょっとお勧めしかねます。 そんな中、巻末の「太陽殿のイシス」は密室状況からの脱出劇で、超常現象抜きの内容ながら出色のクオリティ。「見えない人、宇佐見風」も、オチの小ネタに思わずにやり。 | ||||
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かなり特殊な感覚?をもつ宇佐美博士が直面する不可思議な事件の数々を描く。なんというか、柄刀らしい意欲的な作品といえよう。見方をかえればトンデモ系である。 文庫カバーには本格推理小説などと書かれているが、これは決して本格ではないだろう。確かにミステリ的な舞台とか、本格に近い謎解きもかかれてはいるが、基本的に描かれている舞台は宇佐美博士の超常的意識に依存する話の展開がメインなので、ちょっと本格とは言い難い。 さてさて、超難攻不落の密室ものともいえる表題作は、なかなか衝撃の結末を迎える。密室ものとしてこの結末で良いのか、という議論は当然起きるだろう。もっとも柄刀はこの作品の他にもかなりエキセントリックは密室ものを書いているので、これもその流れの中、ともいえるかもしれない。 結局、本作品を楽しめるかどうかは、この不可思議な設定自体を楽しめるかどうかにかかっているのではないか。先行する作品群があるようだが、個人的には手が伸びない気がしている。 | ||||
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2005年にカッパノベルスとして出たものの文庫化。 「三月宇佐見のお茶の会」シリーズの第2作。 5編の中短編が収められている。 前作と同じく、不可思議で可変的な世界を舞台に、得体の知れない密室殺人が続発する。その不可能っぷりは実に魅力的。しかし、トリックや結末には不満が残る。謎そのものに比べて、ちょっと拍子抜けというか。 | ||||
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表題作が密室ミステリとして優れていると言う評判を聞いて、手に取った本書ですが、その独特の作品世界に強く惹かれました。 サンフランシスコ郊外の研究所に勤める宇佐見博士が探偵役の本格ミステリ短篇集ですが、美術や科学などの学問的な分野がモチーフとなっているのが、特徴です。 以下、収録の5編について、1.はモチーフ、2.は提示される謎です。 (いずれも、題名又は冒頭で示される事柄です) 【エッシャー世界】 1.美術(騙し絵) 2.殺人事件の犯人を指摘していると言う絵画の謎 【シュレディンガーDOOR】 1.量子力学 2.爆弾魔の予告する事件をどうやって未然に防ぐか 【見えない人、宇佐見風】 1.古代ギリシアの哲学者ディオゲネスの思想 2.どこまでも追ってくる声の謎 【ゴーレムの檻】 1.生命科学(人工受精) 2.監獄からの囚人の消失 【太陽殿のイシス】 1.古代エジプト神話(太陽信仰) 2.密閉された神殿からの脱出 2.の謎が解き明かされる中で、1.のモチーフがうまく事件と融合していくところが、本書の素晴らしい点で、その巧妙さに感心させられました。 個別の作品の評価ですが、やはり【ゴーレムの檻】が出色の出来。密室トリックの面白さもさることながら、その作品を成立させるための、「動機」も巧く描かれています。 次に、(巻末解説では作品名が明かされていますが)ある作品には、お遊びと言ってもいいような、本の装丁に関する仕掛けが隠されています。私は、かなり楽しむことができました。 非常に質の高い作品群であり、第一短篇集の「アリア系銀河鉄道」も読んでみたいという印象を持ちました。 | ||||
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◆「エッシャー世界(ワールド)」 ◆「見えない人、宇佐見風」 ◆「ゴーレムの檻」 1630年代の大英帝国。ある監獄に新しく赴任 する監督官に意識が乗り移った、宇佐見博士。 その監獄には人工授精を試みたため、独房に十年間 幽閉されている、“ゴーレム”と呼ばれる囚人がいた。 彼は、何重にも封印が施された独房から、予告通り、姿を消してしまう……。 メインの消失トリックが秀逸なのはもちろん、ゴーレムが過去に 彼の「人格」を檻の外に移していたという前フリのネタが上手い。 また、事件をナノテクノロジーとリンクさせ、我々が生きる現代の現実に ついて問いかけるというアクチュアリティにも意を尽くす姿勢は流石です。 ◆「太陽殿のイシス(ゴーレムの檻 現代版)」 太陽を崇める新興宗教の教団施設で、教祖に反逆し、監禁されていた 元幹部が、厳重に監視された密室状態の独房から、忽然と姿を消して しまった……。 密室からの脱出トリックは、正直、無理があるようにも思いますが、 脱出劇全体が、太陽神ラーの神話を見立てたものであるという物語 構造は秀逸。 「シュレディンガーDOOR」とリンクさせた衝撃的な結末も気を持たせます。 | ||||
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『アリア系銀河鉄道』の続編となるシリーズ。 このシリーズは、宇佐見博士がいろいろな世界へトリップし、 そこではミステリのトリックとロジックのために全てが奉仕されている、 逆に言えばそのためだけの世界が構築されているのがシリーズの 基本フォーマットになっています。 最初に収録されている『エッシャー世界』。 これは特に理系の人はたいてい好きであろうエッシャーの“騙し絵”、 それらの絵が実在する世界で起きた“殺人と消失”事件を扱っています。 エッシャーの絵を見たことがない人にはよく分からない記述が多いと思いますが、 たぶん本書を読むような人ならほとんど知っているということでしょうか。 もし知らない人がいたら、画集の一冊でもパラパラ見てから読むのがいいでしょう。 方法については結構強引なロジックが使われていますが、 こういう詭弁的な内容は好きな部類なので、 全編を通したロジックや哲学的談義が好きな人(山口雅也作品とか) なら楽しめると思います。 | ||||
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新本格随一のトリックメーカーである作者。該博な知識と豊富なアイデアで、長編から短編のひとつひとつに至るまで、高質なミステリ世界を紡ぎあげるその手腕は、真に賞賛するに値する。――とはいえ、トリックなりアイデア先行で小説世界が空回りしてしまったり、ひとつの作品にトリックを詰め込みすぎて、却って冗長散漫になってしまったり、ということが間々あるのだ。要は「小説」が殺されてしまっているわけで、決して「小説」が下手なひとではない――むしろ上手いひとであるだけに、これはつくづく惜しいと思う。カッパノベルスの前著『fの魔弾』は非常にシンプルなトリックに重層的な展開を盛り込んで成功していた。 本書は『アリア系銀河鉄道』に続く宇佐見博士シリーズ第二短編集だが、『アリア――』の方は、前述の弊が免れていないと感じた。何より、この「形式」で書かれなければならない必然性に納得されなかった。が、本書には満足。前作より抽象度を低めた結構がうまく機能していると思う。冒頭の「エッシャー世界」は紛う事なき名作。以下、ナン/センス・オブ・ワンダーのミステリーワールドへ読者を誘ってくれる。 | ||||
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不思議の世界で宇佐見博士が出会った男は、ゴーレムと呼ばれており、密室に閉じこめられた囚人だった。 彼は言う、「この世界を中に取り込み、外側を内側にすることによって、その外に出る」なんのこっちゃか分かりませんでしたが、彼は実際にいなくなるのです。 最後まで読んで、ゴーレムの台詞の意味が分かりました。久々に、納得できて戦慄を味わえる推理小説を読んだという気がしました。 ただ、下の方も書いてらっしゃるように、宇佐見博士が! 続き、出るんでしょうか。早くしてもらいたいものです。 | ||||
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研究所に勤める博物学者が主人公。サンフランシスコ近郊と不思議の世界の狭間で事件が巻き起こる。宇佐美博士が解く謎の向こうには、実はもうひとつの謎が…。かっちりとした推理ものが好きな人だけでなく、不思議の世界が好きな人に是非読んでいただきたい! | ||||
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星空の旅、パラレルワールドと、空間的広がりを見せたのが前作の「アリア系銀河鉄道」ならば、今回は、シュレーディンガーの猫など、精神的広がりを中心にしています。なので、いまいち大きなトリックが好きな私としては、星三つの評価です。しかも、私、宇佐見先生好きなんです!どうして×××してしまうの! | ||||
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