(短編集)
島崎警部のアリバイ事件簿
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こんな小説作法もあるのかと、驚きます | ||||
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動機があってアリバイがなければ犯人認定される。容疑者は死ぬか自白するパターンが多い。 真相究明至る道筋に説得力が乏しい。 アリバイ崩しをメインにするならもう少しわかりやすく説明してほしい、正直よくわからなかった。 不可能犯罪という割にはしょぼいし、作者が捜査の描写が苦手なのかインフォーマーが事件の筋書きを説明してくれる。 物語としても時代背景が分からないせいか面白くもなんともない。 マニアが読むミステリー。 | ||||
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天城一の密室犯罪学教程を読んだので続けてこの本を読んでみました この2冊で天城さんの作品を8割方読んだと言っていいんではないでしょうか(wikipediaを見て判断しました) 前作と比べ後期の作品なのか文章が読みやすい印象でした ダイアグラムは全く肌に合わず何が面白いのかさっぱりです。 時刻ネタが好きな人にはたまらないのでしょう 後半の不可能犯罪は面白い部類なのでダイアグラムが苦手な人でもこの本を手に取ってみてはいかがでしょう | ||||
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《結婚して、上流社会に足を踏み入れたいという欲望が、その縦糸となりますが、理不尽な頭取派の横暴をあばき、行内での栄達の道を歩みたいという欲望が、横糸として絡みます。この二つの糸が紡ぎだす黒い織物が、ひろみ殺しでした。(急行「さんべ」)》 準急が急行に追いつく。いやそれでも犯行にはまにあわない。捜査一課強行犯係島崎警部率いるチームの捜査はゆきづまる。完全犯罪成立するも、犯人は遺書を残して自殺。警察には勝ったが、人生に負けた。じぶんのためにゆいいつ泣いてくれた女を殺してまで挑んだ、栄達の賭けが頓挫した。時刻表のページまたぎと、鈍行でも急行に追いつくという、二重の盲点を利用したアリバイも、男の人生の誤算の連続へと帰されるのみ。 《島崎さん、案外冴えているのね。コーヒーの味が犯罪捜査の種になるなんて、初めて聞くわ。でも、もっとわからないのは、「東京行進曲」が、事件にどういう関係があるの?(寝台急行「月光」)》 ありふれた強殺とみえたものが、ベトナム利権と上流社会スキャンダルが絡む、戦中の特務機関の影をひきずったプロの暗闘とわかる。身代わりと他社路線を使ったトリックを解くも証拠がない。島崎は尋常な捜査をあきらめる。プロにならった奸智で、島崎らの幕引きがおこなわれる。犯人は自決す。 《三河にとって必要だったのは、株を買い集めるに値するかどうかの情報だったのね。木路原はそこまで考えないで、産業スパイだと思ったのね。低次元の思考だわ《(急行「あがの」)》 産業スパイ殺人の背後には、エスタブリッシュメントの巨大な投機利害が錯綜している。上流社会の秘密のインフォーマーRルームの美女の情報に、島崎は唖然のてい。動機を手繰り殺人にともなう利害を探る、警察捜査の常道をこえている。被害者も犯人も、事件裏で蠢く思惑など知りようもなかったろう。島崎の気力もつきる。だが片腕の岩美部長刑事の一歩先ゆく差配と、若手刑事らのどこかピントのずれた、些細なトリヴィアリズムの捜査で、天罰覿面とばかりに鉄壁のアリバイがくずれる。共犯は自殺も主犯はしくじる。 共犯の踏切事故で急行を遅らせ、接続に乗り遅れざるをえない状況を偽装してアリバイをつくり、じつは主犯は先んじて迂回路腺をすすむ。事故の成否は駅のアナウンスで知らされる。それが殺人決行の暗号となる。みごとなトリック、しずかに緊迫した大団円、軽妙なオチ。必要最小限の描写で活写された刑事たちの群像劇。困憊の島崎の功績は人事考課だけ。この作は完璧。 《島崎は勝利の苦い味を、誰かに吐き出したい、吐き出さずにはいられぬ時なのだ。《(準急「たんご」)》 島崎はRルームの美女に吐露する。ホステス殺し。動機もアリバイも解けない。憔悴の島崎はおとり捜査を暗黙に認める。だがやるべきでなかった。部下たちが画策実行するその端緒で、なんと犯人は自動車事故死だ。女の飛び出し。デウス・エクス・マキナ、ご都合主義たる神の機械仕掛け。いやそのマシーンは警察。いや飛び出し女の影を殺された女の幽霊とみなせば、やはり天罰。だがRルームの美女の仄めかしが島崎を索然と惑わす。被害者は政界の黒幕の隠し子、グレて左にはしり、おきまりの男遍歴という「型通りの転落詩集」、そんな女へのレクイエムとして、だれかが事故を深謀……。 思いもつかぬ鈍行を使った最適な正解が時刻表に眠っている。そのトリックが、落着後の刑事らの悪酔いの、風に吹くままの行動で判然とする。奸智で犯人を葬った刑事も、そして犯人も、時刻表というデウス・エクス・マキナに翻弄……。 ……と幾重もの底深さ、奈落をかいまみせられた、シンプルでソリッドな激渋な一作。 《そんなハデ好みの名門の美女が、死出の旅に立つときにかぎって、地味な服装だったということなんですよ。そう思いませんか、警部殿(急行「西海」)》 身代わりトリックだが、被害者が別人のためにそうしていた、というのがみそ。地盤をついで初出馬する男が邪魔な女を殺すも自殺。じつは時刻表をコードブックとした暗号ものという趣向。 《船越の返事はいささか偽悪的だが正直なものだった。ところが、それが若月の疑惑に油を注ぐことになるんだからね。なんといっても、少年時代から戦争に引っぱり出されて、形勢不利な戦争末期に空中戦を戦ってきた男だからね、若い女性に囲まれて鼻息をうかがっているような男は、風上にも置けないって気があったんだろうな。話が進むと、もっと悪くなる一方さ(準急「皆生」)》 犯人、刑事、弁護士、目撃者の誤算という脱線につぐ脱線が天の配剤で皆うまくおさまる、という展開の妙。時刻表表記の盲点で鈍行が可能とするアリバイが、ダイヤル改正でさらに姿を晦ます。だが手癖のアッパーカットで犯人はみずから台無しにする。この皮肉が脱線のはじまりで、犯人は不本意な裁判闘争におちいる。終盤、犯行常套のアッパーカットに着眼し、島崎が歳月を越え事件の真相を解く段の切れ味のよさ。 事件=裁判を超越してみる視点など、この世にありはしない。そんな特権は犯人にも探偵(むろん裁判官)にもにもありはしない。事件とは諸人生の闘争、駆け引き、クロスオーバーだ。まるで人と列車のクロスオーバーを記す時刻表が、そう教え諭しているかのようなラストがみごと。これも抜群の傑作。 《人間てえものは、顔も変えられる、服も変えられる。だがなあ、食物の好みてえのは、変えられねえものよ(急行「白山」)》 鈍行、迂回路が結果的に速いという盲点をつくトリックだが、計画犯罪と思われたそれが、じつは偶然の産物、しかも犯人は別、さらに犯行も偶発的、ということは同じパターンの過去の犯罪も……という索然たる妙味。 自我の充実のためにはなにものも犠牲にして悔いない、完全な個人主義者たるプレイボーイが、なにゆえに上司の恩義のための殺人をなすにいたったのか。そう動機を思案する島崎に、部下岩美はインテリの言葉遊びと一笑する。「この世界の理解だ」との反論を胸にのみ島崎がいう。《「警察の意見をどう書いたものかということさ。自己の栄達のため娼婦を殺した凶悪犯、厳重にご処分願いますというべきか、それとも恩義に報いる義理人情の士、ご寛大に願いますというべきか」「そんなこと、どっちでも同じですよ。検事は読みもしませんよ」》でエンド。 《こんなことをつづけていたら、心理的に参ってしまって、いつかは告白するにきまっているんだわ。警部さんはそれを心得ていて、柳さんにこんなことをさせているのよ。わからない?(急行「なにわ」)》 現場が密室、おまけに被害者にアリバイがあるという錯綜とした謎は、跨線橋と電車扉をめぐるちょっとした軽業と偶発事、さらに動機も計画性なき正当防衛と、第三者ともくされた女の自供であかされる。これが十五年たってひっくりがえる。幸せになる権利のない《殺人者として、豪華な牢獄の中に閉じ込められてこそ、私なんですわ》という女詩人の豪奢なる、恐るべきも誠実な第二の自供が、戦慄的かつ旋律的。第一巻「むだ騒ぎ」の原型だが、こちらは傑作。 《レイテ島に敵軍が上陸を開始した! 決戦の秋だ。諸君、連合艦隊のために、黙祷しよう!(特急「あおば」)》 長編『沈まぬ濤』の原型中編。会社内の経営権、株取引をめぐる暗闘だが、男たちはみな死ぬ。犯人は海に沈む。その波濤の背後には、被害者の妻で犯人の情婦であった女がいる。部下は女の追求を主張する。島崎は却下、事件落着とする。もはや亡き不屈の海軍下士官たちへのレクイエムだ。退却戦、引き際とは、そして終戦とはそういうものだと、仙台から出張の元陸軍下士官たる老部長刑事もさとる。北帰行の車窓に万感をふうじるのみ。 かように各編をみれば、人と列車の交錯するアリバイトリックの偏光をとおして、事件にまつわる諸人生のクロスオーバー、むろんそれは刑事をも巻きこんである謎の事の次第を、資本主義における人間社会の権力への意志の盛衰、浮き沈みの諸断片として、メカニカルに、冷徹非情にかつ妙味をもって照らしだしたといえる。権力の意志のもと、犯人のおおくは敗北のさい自決する。島崎警部もまた権力の意志の一介として、職務の名のもとで平凡、卑小であり、屈託して疲弊、芥なペダンティズムの徒ともなる。では女たちは? そこで数字が織り成す時刻表は、複雑精妙なダイアグラムをはらみ、近代社会のダイナミズムの趨勢をひめて、機械仕掛けの神のごとき力となって、まるで犯行を唆し、明かししてひとを惑乱、弄ぶ象徴のごときものとなる。探偵と刑事の人智をつくした闘争劇が、まるで神話のような強烈な寓意を突きつけてくるのだ。 | ||||
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天城一、第二期にあたる作品集。 第一期の短くコンパクトにまとめられた作品群からしばしの沈黙を経て突如掲載され始めた作品群。 それは当時の日本情緒溢れる電車時刻表を縦横無尽に駆けぬける列車アリバイトリックもの。 事件を解決するために時刻表を丹念に調べてこつこつと解決する様は超人探偵には相応しくないのか、 探偵は警部に変更されており、その調査振りを克明に描くために 文章も長くなっています。 なかなか、作者の電車マニア振りが拝見できて楽しいと共に、近代はこんな情緒溢れる 電車トリックは難しくなったなと言うのが実感されます | ||||
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