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木洩れ日に泳ぐ魚
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木洩れ日に泳ぐ魚の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.05pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全36件 21~36 2/2ページ
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直木賞受賞で増刷されていたので手に取りました。 思ってたより低評価が多いですね・・・ 確かに、ネガティブな要素として、①推理小説というには論理がガバガバ、②主人公2人の心理描写がやや「悲劇のヒロイン」的で嫌いな人は嫌いかも、という所があるような気がします。しかし、シンプルな舞台設定から、じわじわと物語世界を広げていく手腕は見事としかいいようがないですし、小説としても300ページ弱で非常に読みやすいものだと思いました。 ミステリと恋愛小説のちょうど中間といった感じでしょうか。 物語の核となる部分を事前に知ってしまうと面白さ半減なので、先入観は少なく読まれることをお勧めします。 | ||||
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別れる前にアパートの部屋で最後の夜を過ごす男女。といってもセックスするわけではない。二人に男女の関係は無い。血が繋がっているからだ。コンビニで買ったサラダにビール。それだけで差し向かいで話す。そして、会話は数年前の事件の話になる。お互いに殺害したのは相手だと思っている。微妙な会話の先に驚くべき事実を知ることになった女は……。 舞台を見ているような息が詰まる会話の重なり。そして最後に訪れる解放感(女のほうだけに)。非常に巧に書かれた良質の物語。 | ||||
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男女二人が酒を飲みながら、二人の関係について話し続けるだけの物語。結局ハッキリした結論は知ることはできずに、読み手にゆだねられるような形で終る。 人の気持ちのあやふやさを皮肉った二人芝居を見ているようだった。恋心ってのはこういうことかもなと考えさせられた。でも愛はこうじゃないって信じたいな。 | ||||
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この本は、もしかすると恩田陸さんの 自虐の込められたものなのかもしれない。 読み終わったあとそんなふうに思った。 主人公のアキとヒロに、たやすく感情移入が出来てしまう人には、 よくも悪くも忘れられない一冊になるかもしれません。 研がれていない、じわじわと痛みを与える刃で切られた痛みより、 切れ味のよい刃でスパッと切られたような痛さが妙に痛快。 そのせいか、読後感は意外と爽やかでした。 この方の感性や考え方は相変わらず鋭くて、 話の構成や結末よりもそちらのほうが記憶に残りました。 私にとって、特別な一冊です。 | ||||
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あらすじは、単行本の同作品に寄せられた数々のレビューに譲るとする。確かに帯のコピーからも察しがつく通り、どうしても恋愛小説色が濃いため、主人公の男女の心境の変化に目が行ってしまうのはやむを得ない。しかし、その点については嫌というほど他のレビュアーの方々が言及しているので、僕はあえてこの作品のほかの魅力に触れたいと思う。 前書きが長く、そしてたいそう大げさなものになってしまったが、伝えたいのはあっけないほどシンプルなものである。 それは、登場人物の男女が記憶していること、会話の中から蘇って来た記憶の断片、そしてそれらに基づいた論理的な推理、これらをもって、一つの筋の通った仮設を紡ぎだしていくところである。素直にお見事だと思った。 非常にわかりやすい内容で、かつ結論ありきで無理矢理こじつけたような展開でもないので、読後感もすっきりした仕上がりになっている。 | ||||
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一枚の写真を前にして始まる、一組の男女の別れの一夜。なにもないがらんとした部屋。スーツケースをテーブル代わりに、ささやかな酒宴。 男と女が交互に語り手となって物語りは進んでいきます。 「白状させられるか。彼を殺したのは自分だと。」というくだりで、二人の別れに殺人らしきものが関わっていることを知らされる。 そこから先は、殺された「彼」とはだれなのか?ふたりのかんけいは?そして、「彼」の死は本当に殺人だったのか?と、読者の興味はとめどなくあふれ、あっという間に恩田ワールドに連れて行かれます。 ネタばれになってしまうので、これ以上の展開は書きませんが、真相がわかったあとの二人の心境の180度の変化に愕然とし、小説の面白さ、怖さを知ることになります。 この構成力にこそ、恩田陸の真骨頂があると思える作品です。 | ||||
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別れのための荷造りを終えて最後の夜を迎える一組の男女。 二人の関係を徹底的に変えた一人の男の死、知ることになるのか知らずに新しい生き方を見つけるのか、望んでいない心理戦を始める。 ……舞台劇のような作品。一組の男女がマンションの一室で、自分たちに関係のある一人の男性の死について話し合う。場面転換もほとんどなく、男性と女性のそれぞれの心理描写とワンシーンワンシーンで浮かび上がってくる事実が、さっきまでの風景を一変させる。 どきっとする展開が続くので、二人劇でしっかりとした役者さんに演じてもらいたい感じがしました。小説としてはどうしてももう少しすきっとした「オチ」を求めてしまうのですが、この辺は好みの問題かもしれません。 | ||||
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明日からは別々の人生を歩きはじめる一組の男女が、 ともに過ごす最後の一夜。 たった一夜、2DKのささやかなアパート、登場人物は2人だけ・・・。 閉塞感すら感じさせそうな、こじんまりとした設定ながら 回想の中で場面はいろんなところへ飛び、奥行きのある作品でした。 読み応えたっぷりです。 隠されていた真実、考えられる憶測をつなぎあわせていくにつれ、 2人の関係も微妙に変化していく。 最後の2人の気持ちのおさまり方は女性作家ならでは! これぞ恩田陸! 真実はわからないまま、謎は謎のまま残るのに、 ラストは晴れ渡る青空のように清々しい。 不思議な余韻が残ります。 | ||||
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起承転結の順番が順当ではない作品。 別れる日の直前、一組の男女が、これまで暮らした部屋で、多くの事を回想します。 心理描写は繊細です。 著者の作品からは、著者が女性である事を感じさせる、独特の感性が伝わってきます。 内容は明るいものではありません。 何しろ、別れの物語なので、明るくないのは当然ですが、一人の人間の死も関係しています。 また、本当に兄妹なのか?恋人なのか?と悩む下りがありますが、この部分の描写は、ことさら重いです。 結局、本当の結論はどうなのか? この作品は、あまり真実の追求にこだわるよりも、読む事自体が楽しい作品でもあります。 ただ、著者の他のいくつかの作品で感じられる様な多倖感は伴わず、むしろ、少し沈んだ気分にもなります。 作品を締めくくる余韻は見事です。 価値ある一冊です。 | ||||
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いつもながらの恩田陸ワールド、と言うべきだろうか。 読み始めたら最後、読み終えるまで本を閉じることができなかった。 一体これから何が起きるのか? あるいは、過去に何が起きてしまったのか? それは、たとえば猟奇的な殺人事件か何かなのか? 猟奇的ではなくても、少なくとも殺人事件なのか? いや、殺人事件ではなくとも、何かもっと凄惨な、起きてはならないような何かなのか? ――そんな恐怖と緊張に駆られて、一気に読みきった。 読み終えて思うのは、やはり人の心は不思議なものだな、ということ。 それは恩田陸という作家が一貫して描いているテーマの一つでもあろう。 それから、この作品は、すぐれて演劇的な作品のようにも感じた。 つまり、三次元化するなら、映画ではなく舞台が適している。 おそらく著者も、それを想定しながら書いたのではないか。 外れているかもしれないが、そう勝手に感じた。 舞台のセットはいたってシンプル。 引っ越し前夜の2DK、荷物はほとんど運び出されている。 登場人物は、二人の男女。二人だけ。 回想シーンで登場する何人かの人たちをどう描くかが難しいが、基本、二人芝居が正しいと思う。 二人の間に渦巻くさまざまな想念たち。 過去の出来事をつぶさに辿る中で、次第に明らかになる真実。 それに伴って、時に激しく、時に静かに、移ろいゆく二人の心理、感情、思惑。 緊張感に満ちた、いい舞台になるのではないか。 恐怖に駆られて読んだ、と書いたが、もちろんホラーではなく、むしろラブストーリーのはずである。にもかかわらず、この煽り方、掻き立て方は、さすがにうまい。 読後感としては、もやもやしながらも、いちおうすがすがしい。 人によって受け取り方は違うだろう。 とにかく、舞台化したい。 きっとすごく面白い舞台になるに違いない。 | ||||
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恩田氏の作品は初めてですが、雰囲気が独特で、気分よく読めました。ほどほどに展開もあるし、感覚に酔わせて頂きました。 また恩田氏の作品に浸りたいので、作品を捜してみます。 | ||||
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最後の夜、アパートの一室、ただならぬ様子の男女が繰り広げる、緊張感みなぎる心理戦。 人間の感情がこれほど表現豊かで、物語の進行に合わせ変化に富んだ景色を見せることに舌を巻く。 真夜中の緊迫感から夜明けの虚脱感までを駆け抜ける、走馬灯のようなミステリだ。 | ||||
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一組の男女と、ひとりの男と、ひとつの部屋の話。 最後のほうまで部屋から一歩も出ていないのに、読んでいる間にたくさんの色が浮かんでくる。 美しい山の景色だけでなく、その部屋と彼らの心の色。 最後までドキドキしながら読みました。 たった今読み終わって、なんとも言えない気持ちです。 | ||||
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ひとつの出来事を、主人公それぞれの別の立場から謎解きをし、新たな真実が明らかになるときに、新展開がある。多くを語らずに、想像させながらストリーが進む作者の意図は、大いに功を奏している。 | ||||
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一組の男女が迎えた最後の夜。あきらかにされるある男の死と自分達の関係とは…!? ☆感想☆ 寂しく切ないお話です。最後の別離の夜になされる謎解きのお話なんですが…。ある男の死自体よりも明らかにされて行く男女の関係が意外な物でビックリした。過去に遡り記憶をたどる事で失って行き手が届かなくって行くもの。それは、憧れで決して手が届かないものなのだ。まるで水面に注ぐ木洩れ日の水面下で泳ぐ魚達のように…。なんとはない内容だが…。恩田さんのあの独特なふいん気が加わるとなんとも不思議とミステリアスな空気がプラスされるから不思議だ。記憶をたどりながら明かされて行く真実…。それは、2人にとって必ずしもプラスの物ではなく…。想い出すからこそ失いそして色あせてしまう。読み終わった後は、空虚感が漂うお話でした。 | ||||
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たった一夜の物語、それもごく数時間だけの物語。 回想シーンでは遠く白樺山地まで飛ぶが、中心はアパートの一室という、限りなく閉じた世界の物語。 同じアパートの一室に住む、わけありの男女二人が、気まぐれで行った旅行から運命に翻弄され、猜疑と葛藤にさいなまれるミステリ。 かなりねじまがった表現ではあるが、恋愛要素が多く、主要人物が限りなく少ないというのも恩田陸にしては珍しい感触。 作品世界としては「黒と茶の幻想」「まひるの月を追いかけて」の紀行小説の側面、「蛇行する川のほとり」のノスタルジックかつ、耽美的な側面を兼ね揃えた作品。これらの既発表作が好きな人にはストレートな物語です。 ラストの受け取り方は人それぞれかと思うが、純文学的な性格を帯びてきたようにも感じた。ちなみにタイトルに連動した、遊びの利いたカバーも出色の出来なので、ゼヒ手に取ってください。 「公明正大な朝が来る。朝というのは人を正気にさせ、全てを日常に引き戻す。数時間前に重大に思えたことがちっぽけなものになり、妖しく輝いて見えたものが安っぽく色褪せて見える。」 本文244ページより | ||||
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