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黒と茶の幻想
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黒と茶の幻想の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.19pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全40件 21~40 2/2ページ
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もう若くはなくそれぞれ配偶者もいる学生時代の同窓生男女四人が離島へ旅行。各章毎四人の持ち回りで構成。上辺では安楽椅子探偵気取って謎解きをしたり、お互い現在にいたる経緯を報告しながらの旅。旅の中でも船旅のリミットは特別。船でしか行けない土地は世界から隔離されたよう。大人になると想像以上に自分の考えることを話さないものなのだなと実感。そもそも考えることを回避しているのに愕然。あの頃とは違うしあの頃と同じ。そして旅にも終わりがきます。恋人でなく配偶者でもない異性と旅に出たくなる小説。文庫より単行本で読むのが気分です。 | ||||
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中年になった友人と旅行を通じて、青春の頃の思い出を思い出させる。 一人一人の思いが章立てで分けて書かれていて、当時の本当の気持ちと今ある自分についてみつめなおす。バブル世代に学生だった人たちにはほろ苦い思い出をきっと思い出すであろう。 | ||||
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ある種のミステリーではあると思うのですが、事件とかが起きた訳ではなく、4人の登場人物の過去の謎に迫る内容です。 屋久島の描写も美しく、特にこの著者独特の表現が生きていて、不思議な太古の森の世界へ連れて行かれました。 屋久島は一度行ってみたい所だったので、興味も惹かれました。 後書きの無い本なので、この人の後書きを読んでみたいとも思いました。 ボリュームの割りにサクサク読めてしまう感じで面白かったです。飽きさせないポイントポイントが次々出てきて、また、同じ事について語っていても、語り手によって、明らかにされる謎が違ったり。。。 ただ、屋久島をY島とか、J杉とか何故かアルファベットに置き換えられていてそこがちょっと読みづらさを作っていました。何故、そのまま屋久島、縄文杉...じゃダメだったんでしょうか? 日常生活を離れて...と言うのを強調する為に、実際の地名を使うのを避けたのでしょうか?理由が分かりませんが... また、タイトルの意味も明確には読み終わった今も掴み取る事が出来ませんでした。読み足りないのかな?色で言うなら緑なら分かるんですが。。。心の中の美しい謎がこういう色になるんでしょうか? 恩田作品を初めて読んで、いきなり楽しく読める本に出合えました。 | ||||
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この作家は、ミステリやファンタジー形式の作品が多いのだが、究極のテーマは人間そのものである。 それは、明治、大正の文豪たちが挑んだテーマであり、純文学といわれるものが常に追い求めてきたテーマでもある。 作者は、直木賞候補の常連となりつつあるが、芥川賞こそがふさわしい。 特にこの作品などは、深淵なる謎につつまれた人間存在の一端が垣間見える名作であり、文豪の品格漂う一編と言える。 恩田陸に芥川賞を贈ったりすれば、今の文壇をかなり見直すんだけどね。。。 | ||||
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4人の男女が旅に出て過去という名の謎に向き合う。恩田作品においては処女性の代名詞のような少女・憂理が物語のカギを握り、また、トラウマめいた謎が後をたたないが、これはおとなの物語だ。「おとなではなかった頃」に戻りたくても戻れないことを知っているおとなたちの物語である。4人はそろって怜悧な頭脳の持ち主だ。観察眼、判断力、想像力に優れ、なのに自分のこととなると途端に蒙昧になる。大切な人間が立ちはだかり、盲点を作っているからだろう。利枝子にとっての蒔生、彰彦にとっての姉・紫織、そして蒔生にとっての憂理だ。自分自身のなかに死角をもった彼らは、危うい。最も現実的な節子でさえ幼いころの危うさを内包している。解けない謎はなかった。謎を謎のままにしておけない4人の潔癖さが辛い印象を残す。一方、彼らが歩く森は、人間が足を踏み入れることのできない暗やみに膨大な謎を隠し、けれど圧倒的に安定している。自然との対比が鮮やか。 | ||||
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それぞれが抱える思いを胸に秘め同級生はある島へ旅行に出かける。彼らの出会いや過去のエピソードが語られるうち、昔起こったある出来事の真相が語られていく。こう書いてみるとものすごくミステリー小説っぽいですが、決してそれだけではありません。それぞれ一人ひとりの人物がよくかけていて、それぞれが抱えてきた苦しみは時間が経とうとも消えないのだなと感じた。 | ||||
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恩田陸さんに惚れこみ、図書館でこの本を見つけて借りてみました。その分厚さに、ちょっと気後れしながら・・・。しかし、その心配は無用でした。内容は、大学時代の友人だった4人が久しぶりに再会し、旅行に出かけるというもの。複雑に絡み合った4人と、その友人や家族との関係。大学生だったあの時期、一体4人に何が起こっていたのか・・・!?4人の名前が掲げられた4つの章に分かれており、その人物の視点から話が進み、そして過去の謎が少しずつ暴かれていくのです。この『黒と茶の幻想』は、恩田さんの『三月は深き紅の淵を』の中にそのまま登場します。恩田さんのいくつかの作品は、シリーズという訳ではないようですが、同じ名前の人物が登場して、ある作品では架空の人物だったり実在の人物だったりします。様々な作品や魅力ある登場人物が、全く違う作品にふと登場して、それが背後に隠れる神秘的な謎となって作品全体に影響を及ぼしているような気がします。様々な形で作品同士が複雑に絡んでいるので、現在私はそれを把握しきれていない状態ですが・・・。とにかく、先が気になって仕方ないこの本。恩田陸が好きな人、屋久島に行ったことがある人、これから行きたいと思っている人にもオススメです。 | ||||
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大学時代の友人たち、男2人女2人の4人旅。各メンバーがそれぞれ素敵で、きっと誰かに感情移入できることと思います。こんな旅がしたい!と絶対に感じさせられます。本の中でゆったりと流れていく時間が心地よいです。四人が話している内容をじっくり味わって読みたい一冊。長いし高いけど読む価値ありです!! | ||||
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「旅行に行きたい」この本を読んでそう思いました。日常じゃない空間だから口をついて出てくる本音、見えてくる事実、互いに対して深まる疑惑。『三月は深き紅の淵を』の中で「伝説の桜を探して旅をする4人の話」として紹介されている一遍とこの本は重なる部分があります。主要登場人物4人各々の視点から描かれた物語の中には、惜しげもなく多くの謎がちりばめられています。それら全ての謎がすっきりと解決するというわけではありませんが、そこも魅力の1つだと私は思います。主要登場人物4人はもちろんのこと、回想、思い出話等に出てくる人物たちも非常に印象的です。贅沢な本だと思います。 | ||||
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4人の視点から見る今、過去、謎、素晴らしい作品だと思います。何回も読み返すほど、深い作品です。恩田陸作品が好きなら間違いなくお勧めです。より物語を深めたいなら『麦の海に沈む果実』も呼んでみるといいです。 | ||||
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恩田さんの本は、どこか懐かしさを感じる作品が多いけど、この本もそのうちの1冊だと思う。学生時代の仲間だった男女4人が、とりとめのない『謎』からずっと気になって聞けなかった『謎』まで、山歩きをしながら話していく。雄大な自然に囲まれると、やっぱり人の心は裸になるのかな?全てをさらけ出したい気分になるのかもしれない。気心知れた4人だけど、実は他の3人が知らない自分を見つけていたり、自分の想像以上に、友達を観察していたり…。案外、こういう事って日常生活で多いのかもしれない。茶色は、普段他人に見せている自分で。黒は、自分しか知らない自分の一面。そんな印象を受けた。謎を解いていく様はテンポも良いし、第一、4人の掛け合いがおもしろい。 | ||||
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幻想的な森の中を進みながら、登場人物の名前をもつ4つの章が展開されていく。主人公たちによってまさに物語られる過去は、霧に幻惑される森さながらに絡み合っていき、開けた路を見つけるためにどんどん読み進めずにはいられない。 大人となった登場人物達が過去の謎と対峙するという、ありきたりな設定ではあるが、少年少女たちが主人公となる作品が多い恩田作品としては、大人の慌ただしい日常がぼやかれることによって、かえって少年時代の危うさと切なさが浮き立つ気がする。 舞台となったY島(読んだ後に偶然行った)も、神秘的な森の雰囲気がぴったりで、いつもながら話の舞台設定のうまさに酔わされる。読んだ恩田作品の中では、これが今一番のお気に入り。 | ||||
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恩田作品は初めてじゃないけれど、初めて恩田ワールドにはまり込んだ作品だ。旅をする四人の名前が順に章名になっているが果たして主人公は誰なのか。一度も登場しない人物の存在感が圧倒的だったりするのは宮部みゆきさんの火車に通じる面もあるがまったく読んでみれば違った内容だ。上質の小説を愛し、至上のときを過ごすのを好む読者には絶対に見逃せない本だと思う。 | ||||
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『三月は深き紅の淵に』で、ものすごく魅力的な部分のように語られていた第一章が、語られていたそのままに再現された作品で、それだけでもうただただ感心します。Y島に中年の男女4人が旅行して、ただお喋りするだけの話が、まさかこんなに面白いなんて反則です。活字好きな人たちが持っている共通の知識や体験を駆使して、同時代的な雰囲気溢れる謎が次々に提示されていくのですが、これがもう懐かしさを刺激して止まないのです。20代後半から40代にかけての活字好き・TVドラマ好き・洋画好きは一見の価値はあると思います。その上、それらの謎たちにぐるっと取り囲まれて目隠しされた、ひとつの大きな(私にとっては)魅力的な謎ときたら!とにかくもうただただ贅沢なものを読ませて頂いて感謝!の念に耐えないです。人によって合う合わないは激しくあるかと思いますが、粗筋から想像できるストーリーよりも激しく面白かったです。 | ||||
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4人が集まって、それぞれのトラウマや大学生時代に起こった謎を解明してゆく話。学生時代の友人が久々に集まって、表面的には関係の無い話をしながら相手の出方を探ってみたり、忘れていた事を思い出して謎の解決に導いたり…4人の間で繰り広げられる駆け引きと心理戦にはドキドキします。他人が語る自分と、自分で思う自分のギャップもひとつの見所。雰囲気的には「ネバーランド」や「木曜組曲」に近いものがあるような気がします。「麦の海に沈む果実」の憂理が出てきて少しストーリーが入りますが、読んでいなくても全然違和感ないと思います。 | ||||
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あまりの厚さに気後れしながら、それでも、『今』読んでよかったと思っています。「え!高校卒業してもう19年もたってるのか!」というせりふが実感として胸にこたえる今日この頃。町で偶然会った昔の同級生がすっかりおばさんになっていて、「わたしもこうなんだわ!が~ん」と感じたときのショック。でも、目には見えないけれども、私たち一人一人が抱えている夢とか思い出とか、言葉にすると陳腐な、そして、普段はろくに省みようともしていないものを、恩田陸は『森』に投影して鮮やかに私たちに見せてくれます。30代後半は若さとの決別の時期。けれど、作中でも語られるとおり、『別れは終わりではない。始まりなのだ。』最後に節子の力強い語りが本を読み私自身の背中さえも力強く押してくれるようです。『美しい謎』とは何でしょう。人生そのもの?とても長い物語ですが、一つ一つの言葉をかみ締めながら、そう、一歩一歩、山の中の道を踏みしめて進むように、物語を読み進めていけば、、、思いがけない、自分自身の盛を見つけることができるはずです。 | ||||
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「なぜ、自分は、高所恐怖症なんだろう」「なぜ、この世で一番怖いものが<紫陽花>なんだろう」――登場人物の四人の男女に直接関係している謎は勿論、「9の字の机」「表札泥棒」「源氏香」「二人の老婆」「おうまさん」「言葉をかわさない三人の女性」などなど、様々な謎が交差して、いろいろな推論が交わされる。(個人的には、「三人の女性の謎」の解決が、最も「うつくしい」と思いました)解決した謎もあり。次回――14年後まで持ち越された謎もあり。殺人事件も起こらず、犯人も存在しない。でも「多分、犯人は俺だぜ」という台詞は出てくる。「黒と茶の幻想」というタイトルなのに、表紙の英文字は「茶」が「BROWN」じゃなく「TAN」ってとこも謎。「黄褐色の」「渋色の」という意味になってしまうんですね。装幀が…これでいいのかな?という気もしますが。文庫化の時には、鬱蒼と繁る森の写真を使ってほしいような気もします。 | ||||
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四人のそれぞれの心の分析が、会話を通して深く掘り進められます。ハイキングをしながらという設定なので、それがわざとらしく感じられません。最近、どこかで、食事をしながら、飲みながら、抽象的な話しはできないものです。山のなかでこそそういう純粋な話題を話し合えるのでしょう。私には利枝子に似ている部分があると思ったり、節子に、共感をもったり。男の人は、彰彦、蒔生に何か同感するでしょうか。内向的でありながら、島探検あり、謎解きありの、名作だと思います。 | ||||
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この本を読んだあなたは、ずっと隠してきた、ずっと気付かない振りをしてきた、自分の心の暗い部分を見つけてしまうでしょう。自分自身の見たくなかった部分を見てしまい少なからずショックを受けてしまうかもしれません。けれど、それはあなたにとって悪いことではないはずです。珈琲の苦味のようなそれは、あなたに深みを与えてくれるからです。ショックを受けてしまったとしても大丈夫。この「黒と茶の幻想」の全体を流れる静かな感情―愛、憎、喜び、哀しみ・・・―があなたを包んでくれるから。利枝子達四人の切なくも強い生き方に救われるでしょう。 | ||||
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それぞれの登場人物の感情がきめ細やか。ミステリーでありながら、上等の恋愛小説のようでもある。4人が森に感じるそれぞれの想い。4人どの人物にも感情移入してしまう。誰もが思い当たるような日常。ゆっくりと時間をかけて読みたかったが、予想以上の面白さにすぐ読み終わってしまった。自分の何度も読み返したい本のリストに加えたい。 | ||||
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