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倒立する塔の殺人
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倒立する塔の殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21~30 2/2ページ
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戦時下のミッションスクールを舞台に描かれる女の園での不可解な事件。「ああ、おねえさま」という世界が描かれているがそこにエロティックな要素はなく、むしろ無味無臭の健全な印象を与える。驚くのは、その緻密な入れ子構造だ。作中作だけではなく、まだその中に手記があったりして奇妙な幻惑効果をあげている。また時制を無理なく自然に前後させることによって、叙述トリックが最大限にいかされ、案外やさしいこのメイントリックに簡単にだまされてしまった。一応本書はYAレーベルで刊行されているが、中身は立派に大人対象だ。というか、少年少女たちにはちょっと荷が重いんじゃないかな?でも、作中で登場人物も言ってるように、小学生で「カラマーゾフの兄弟」を読む人もいるのだから、大人が勝手に判断する『子どもには合わないんじゃないか』という無意味な危惧は必要ないのだろう。相変わらず、皆川女史は作中に絵画や詩を無数に散りばめて、一種独特の雰囲気を醸し出している。それは凄惨な美であり、現実離れした快楽だ。独特の浮遊感と匂いたつような透明感が物語を包みこみ、ファンタジーめいた舞台装置として機能しているのである。物語に耽溺する少女たちというのも非常に魅力的な要素だった。その大きな枠組みにより成立している本書は、危険と紙一重のスリルや空想の世界に心とらわれる非現実感を巧みにストーリーの中に抽出し、読む者に本を愛で愉しむ喜びを与えてくれる。皆川氏のお歳を考えると、この完成度は素晴らしい。ますます畏敬の念にとらわれる。山田風太郎亡きいま、ぼくが心から敬い大切に思う作家は皆川博子ただ一人だ。いま、あなたと同時代に生きれて、ぼくは本当に幸せです。素敵な物語をありがとう。 | ||||
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戦時下のミッションスクールを舞台に描かれる女の園での不可解な事件。「ああ、おねえさま」という世界が描かれているがそこにエロティックな要素はなく、むしろ無味無臭の健全な印象を与える。驚くのは、その緻密な入れ子構造だ。作中作だけではなく、まだその中に手記があったりして奇妙な幻惑効果をあげている。また時制を無理なく自然に前後させることによって、叙述トリックが最大限にいかされ、案外やさしいこのメイントリックに簡単にだまされてしまった。一応本書はYAレーベルで刊行されているが、中身は立派に大人対象だ。というか、少年少女たちにはちょっと荷が重いんじゃないかな?でも、作中で登場人物も言ってるように、小学生で「カラマーゾフの兄弟」を読む人もいるのだから、大人が勝手に判断する『子どもには合わないんじゃないか』という無意味な危惧は必要ないのだろう。相変わらず、皆川女史は作中に絵画や詩を無数に散りばめて、一種独特の雰囲気を醸し出している。それは凄惨な美であり、現実離れした快楽だ。独特の浮遊感と匂いたつような透明感が物語を包みこみ、ファンタジーめいた舞台装置として機能しているのである。物語に耽溺する少女たちというのも非常に魅力的な要素だった。その大きな枠組みにより成立している本書は、危険と紙一重のスリルや空想の世界に心とらわれる非現実感を巧みにストーリーの中に抽出し、読む者に本を愛で愉しむ喜びを与えてくれる。皆川氏のお歳を考えると、この完成度は素晴らしい。ますます畏敬の念にとらわれる。山田風太郎亡きいま、ぼくが心から敬い大切に思う作家は皆川博子ただ一人だ。いま、あなたと同時代に生きれて、ぼくは本当に幸せです。素敵な物語をありがとう。 | ||||
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戦時中の女学校での殺人――!!少女達の間で交わされる小説の回し書きと、実際の事件との関連とは!?戦下の女学校という奇妙な閉鎖された世界の中で、少女達の秘められた妖しい想いが交錯する... 登場人物たちをつづった部分と、登場人物たちがつづった物語が織り交ざり、女学校という特殊な世界の感覚と合い混ざり、幻想的で、不思議な世界を作っています。それでいて、戦争中の一種殺伐とした、軍隊特有の世界が垣間見えたり、妖しいだけでなく、どこか、つなぎとめられた部分もあり、一種独特な世界観があります。ただ、そこにうまく入り込めるかというと、読み手を選ぶのかもしれません。私はだめでした。ラストを読むと、「最初からもう一度読み返すとおもっとおもしろいかも」と思います。(でも、私はそれでいて、もう一度読む気にはなれないのですが...)はまれる人にはよいかも。 | ||||
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戦時中の女学校での殺人――!!少女達の間で交わされる小説の回し書きと、実際の事件との関連とは!?戦下の女学校という奇妙な閉鎖された世界の中で、少女達の秘められた妖しい想いが交錯する... 登場人物たちをつづった部分と、登場人物たちがつづった物語が織り交ざり、女学校という特殊な世界の感覚と合い混ざり、幻想的で、不思議な世界を作っています。それでいて、戦争中の一種殺伐とした、軍隊特有の世界が垣間見えたり、妖しいだけでなく、どこか、つなぎとめられた部分もあり、一種独特な世界観があります。ただ、そこにうまく入り込めるかというと、読み手を選ぶのかもしれません。私はだめでした。ラストを読むと、「最初からもう一度読み返すとおもっとおもしろいかも」と思います。(でも、私はそれでいて、もう一度読む気にはなれないのですが...)はまれる人にはよいかも。 | ||||
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第2次世界大戦中のとあるミッションスクールを舞台に そこで起こった殺人事件と 女子生徒の中で回されるタイトルだけのノート。 そのノート書き込まれる小説。 小説なのか現実なのか、 うっかりすると、両方入り交ざってしまう感じがして なかなか没頭できなかった。 耽美な物語の中に 殺人という非日常が描かれ それも現実の話なのか、ノートに書き込まれた 架空の出来事なのか・・・。 不思議な感覚を覚えてしまう作品でした。 真相を知ると なかなか凝った作品だったなぁ〜という感想も浮かびましたけどね。 | ||||
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第2次世界大戦中のとあるミッションスクールを舞台に そこで起こった殺人事件と 女子生徒の中で回されるタイトルだけのノート。 そのノート書き込まれる小説。 小説なのか現実なのか、 うっかりすると、両方入り交ざってしまう感じがして なかなか没頭できなかった。 耽美な物語の中に 殺人という非日常が描かれ それも現実の話なのか、ノートに書き込まれた 架空の出来事なのか・・・。 不思議な感覚を覚えてしまう作品でした。 真相を知ると なかなか凝った作品だったなぁ〜という感想も浮かびましたけどね。 | ||||
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戦時中の日本のある学校を舞台としたミステリーです。 本の題名と表紙に惹かれて読みました。 ミステリーではあるけれど、現実に対するどうしようもなさが垣間見えて、 何ともいえない気分になりました。 多分現代に生きる人たちが持ち合わせていないような感性を見事に表現している と思います。この感性は時代によって変わるものだと思うので、一端に触れることが 出来て良かったです。 | ||||
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戦時中の日本のある学校を舞台としたミステリーです。 本の題名と表紙に惹かれて読みました。 ミステリーではあるけれど、現実に対するどうしようもなさが垣間見えて、 何ともいえない気分になりました。 多分現代に生きる人たちが持ち合わせていないような感性を見事に表現している と思います。この感性は時代によって変わるものだと思うので、一端に触れることが 出来て良かったです。 | ||||
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物語は、太平洋戦争を挟んでその前後の間に女学校で起こった殺人事件をテーマにした一級のミステリー。 「倒立する塔の殺人」というタイトルのノートに、女学生の間で書き込み(全体の70%を占める)がされていく過程で殺人が起こり、最後の書き込みによって読者は事の真相を知らされるという流れになっている。 最後のところを読むまで誰が被害者か・犯人か・探偵役か分からない。こんな不思議なミステリーは初めて。読後の満足度は非常に高い。 奥付によると1930年(Wikipediaでは1929年12月8日)生まれの著者により、2007年11月に初版が出されているので出版時の年齢は77歳ということになる。この歳でこれほど緻密な作品が書けることも素晴らしい。 | ||||
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物語は、太平洋戦争を挟んでその前後の間に女学校で起こった殺人事件をテーマにした一級のミステリー。 「倒立する塔の殺人」というタイトルのノートに、女学生の間で書き込み(全体の70%を占める)がされていく過程で殺人が起こり、最後の書き込みによって読者は事の真相を知らされるという流れになっている。 最後のところを読むまで誰が被害者か・犯人か・探偵役か分からない。こんな不思議なミステリーは初めて。読後の満足度は非常に高い。 奥付によると1930年(Wikipediaでは1929年12月8日)生まれの著者により、2007年11月に初版が出されているので出版時の年齢は77歳ということになる。この歳でこれほど緻密な作品が書けることも素晴らしい。 | ||||
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