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倒立する塔の殺人
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倒立する塔の殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 1~20 1/2ページ
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この作者さんの書かれる作品は、いつも、舞台・世界・雰囲気の表現に優れていると感じています。 本作も、戦時の女学校(女学院)における「ふつうの女の子たちと、きれいな憧れのお姉さまたち」の細やかな描写から、独特の雰囲気が醸し出されており、謎解きよりもその雰囲気を楽しみながら読了しました。 謎解きの部分も、きちんと構築されています。ただ、トリック重視の人にとっては少し地味かしら?と思うのと、逆にストーリーや世界観重視の人にとっては、人物をしっかり整理しながら読まないと謎解きで混乱しそう?と思うので、意外と人には薦めにくい本のように感じました。この薦めにくさが気になって、星は3としました。 | ||||
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ここ3ヶ月で20冊ほど作者を問わずに推理・サスペンス系の小説を読んだのですが、 途中でギブアップしそうになったのはこれだけでした。 100Pくらいまでは何とか期待しながら読み進めたのですが、どうにも私には合いませんでした。 回りくどいというか、展開が冗長に感じられ、キャラクターの描写も細かいようで魅力は薄かったです。 | ||||
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久しぶりに夢中で読み了えた美しい本でした。戦時中と云う時代背景や少女小説のような優美さを兼ねたミステリーもさることながら、少女たちの教養と品位の高さに脱帽です。文学、美術、音楽。様々な気高い知識を持った少女たちの危うさ、万華鏡のようなからくり、堪能しました。 | ||||
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全体的に文章の密度が濃いのに加え、物語の中でさらに物語が紡がれ、しかもそれは複数の人物が次々と続きを書いていくというものなので、構造的には非常に複雑なはずなのだが、読んでいてあまり混乱をきたさないのは著者の筆力、もしくは構成力のたまものだろうか。 しかもそれでいてきちんと「殺人事件」が起こり、しかもその解決が物語中の物語と物語の中における現実をリンクさせながら、読者をきちんと納得させるだけの結末に持っていく自然さもある。 地力が違うなぁと感じる。 | ||||
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表紙はかわいくて(?)綺麗なカンジの幻想的な絵だし、 「万華鏡のように美しい幻想的な物語」などと いいながらも、実際には、登場人物はどれもブサイクで、 お前アカか?なんてせりふがあたりまえのように出てくるのがインパクトある。 導入部からそれ。 作者、もう85歳なのか… 絵師や編集者(の仕事)をどう評価しているか気になる。 | ||||
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図書館で借りて気に入っていた本です。 この挿絵のが欲しかったのです 送付品について文句などつけようもないです。 超美品でした また利用させてもらいます。 どうもありがとう | ||||
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皆川博子さんは前から読んでみたいと思いつつ、なぜか読み損ねて、今頃になってしまいました。そして、やっぱり、もっと早く読めばよかったと思いました。期待以上のすばらしさです。とにかく美しい。そして、美しいのにリアリティのある世界です。戦時中のお嬢様学校の様子が鮮明に伝わってきて、少女たちの思いに深さを感じました。最近の作家さんがお嬢様学校を舞台に書いた小説とはまるで違う。あっちは薄っぺらくて、いかにもお嬢様に憧れる庶民が書いたって感じですが、こちらは真実だったのだろうと思わせる説得力があります。逆に薄っぺらいものに慣れてしまっている方は低評価になってしまうのかなと残念ですが、私は一流と呼べる数少ない作家さんの一人だなと思いました。 | ||||
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戦時中のミッションスクールで流行していた小説の回し書き。「倒立する塔の殺人」とタイトルが 記された本は、三人の少女たちによって物語が書かれていた。その物語を書いたひとり上月葎子は、 空襲のときに不可解な死を遂げる・・・。「彼女の死の謎は、この本の中に!?」意外な真実が 浮かびあがろうとしていた。 戦時中の緊迫した状況の中、しかもミッションスクールという独特の雰囲気の中で事件は起こった。 上月律子の死は、ごく一部の少女たちが疑問を抱くだけで、単なる不幸な出来事として処理された。 「何かが隠されているはずだ!」現実の出来事と「倒立する塔の殺人」の物語の内容が微妙に絡み 合い、少女たちは少しずつ少しずつ死の真相に近づいていく。その描写は巧みで、読み手である 私は作者に翻弄されるばかりだ。一筋縄ではいかない真実。二重三重に張り巡らされた”仕掛け” には思わず感嘆の声を上げた。 登場人物やその人物たちを取り巻く環境設定も、実に緻密に描かれている。読んでいるとひとつ ひとつの場面が鮮やかに浮かび上がってきて、自分も登場人物のひとりとしてそこにいるような 錯覚に陥った。話の構成も見事で、最後まで読み手を惹きつけて離さない。ラストはほろ苦さも 感じたが、きれいにまとめられていると思う。読みごたえのある面白い作品だった。 | ||||
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これは時間をかけてじっくり情景を想像しながら味わう作品だと思います。 私は駆け足で読むようなもったいない読み方をしてしまったので、文章の醍醐味を感じ取れませんでした。 ミステリですが、日記文学といって言いぐらいに描写が細かいです。 著者の実体験か原風景を元にしたのでしょうか、人物だけでなく世界観もリアルでした。 ……戦後生まれの私としては、戦中の生活の厳しさは刺激が強すぎて、受け入れにくかったです。 女学院での人物関係も、特殊さは感じても美しいと思う感性は私にはありませんでした。 ミステリとしては普通? トリックは別として、話のオチはびっくりするような凝ったものだとは思いませんでした。 | ||||
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著者の作品は、何度も読み返し、前後関係を確認し、というのを繰り返すため、なかなか読むのに時間がかかる。 それは、微に入り細にわたる過剰な描写をしないためであり、そこが著者の作品の持ち味でもある。 つまり、読者が創造を広げる範囲が広い、ということだ。 本作は戦時下の女子高を舞台としたものであり、その雰囲気と、その時代に設定した必然性は十分である。 そして、登場する少女達の、女性作家でなければ描写できないであろうと思われる赤裸々な姿が、読みどころだ。 ミステリとしてはメタ、というジャンルに分類されてしまうかもしれないが、作中作が重要なキーとなる。 著者の他の作品と同様、本格度が低いという点はあるが、非常に面白い。 さらにはこのラストだ。 なかなかにダークである。 本作を読んで連想したのが、高木「わが一高時代〜」だった。 この両作の雰囲気の相似はどうだ。 もちろん設定も犯人もトリックも、ましてや作者の作品に対する意図も、まったく違うはずだ。 しかし、それでもこの両作は、戦時下が舞台というだけではなく、学生に及ぼす戦争の影が、非常に濃密に描かれている。 これがヤングアダルト向けの叢書の一冊として刊行されたことに、拍手を送りたい。 | ||||
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皆川博子という名前を見ると、つい引き寄せられてしまいます。 美醜や善悪が一体となって肉感のある形で描かれる大人向けの小説と違い、ガラス細工のように透明で緊張感のある物語でした。 女学校、薔薇、美少女、いかにもな設定やシチュエーションが 散りばめられているのだけれども、妙に描写に生活感があります。 10代の頃、普通に行われていたラベリングが、ただあるものとして書かれており、 様式的なキャラクターではなく、登場人物に人間臭さが十分に感じられることも、物語世界を生々しくしてます。 そこに現れる非日常的なズレが怖い。 物語の中で、軍需工場となった学校で働く阿部欣子(べー様)の 地に足の付いた視点が現れると、何となく落ち着きました。 この小説に限らず、皆川博子の小説は失われるものが多いのに、読後、ほっとする作品が多いような気がします。 文体の硬軟が書き分けられていて作者の性格別の文体分析が行われいるのかと思うと、 それも怖い。 中身に文句はありませんが、本の書体が気になってしまいました。 | ||||
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大戦末期の女学校が舞台なので、ヨーロッパものほど重厚ではなく、サクサク読むことができる。若い読者を対象としているようなので、まがまがしさと読後に残る余韻の中毒性は薄いが、それなりに皆川ワールドを味わうことができる。 | ||||
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皆川博子さんの作品には、はまれるものとはまれないものがあるのですが、 文庫・装画・モティーフ(戦中・後の女子校)に引かれ購入しました。 あまりの読み安さに驚きました。 何と言ってもキャラクターが皆可愛い。 可愛い正統派ヒロインみたいな小枝ちゃん、 カッコいいベー様、 素敵な先輩の上月さんと七尾さん、 いなくちゃ困る設楽さん。 皆魅力的でいきいきしてました。 皆川作品らしい闇は押さえ気味で、いやあ面白かった。 | ||||
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少女期特有のうつくしさと、残酷さが描かれていく。 この刹那的な閉塞感が好きだ。 でも、ただ退廃的なだけで終わらなくて、 最後に挿入される、ある登場人物のモノローグに、 未来へと続いて行く確かな希望をも感じさせてくれる。 物語世界の雰囲気が具現化されたような、 カバーイラストも含めたパッケージも秀逸で、 手元に置いておきたくなる一冊。 | ||||
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少女期特有のうつくしさと、残酷さが描かれていく。この刹那的な閉塞感が好きだ。でも、ただ退廃的なだけで終わらなくて、最後に挿入される、ある登場人物のモノローグに、未来へと続いて行く確かな希望をも感じさせてくれる。物語世界の雰囲気が具現化されたような、カバーイラストも含めたパッケージも秀逸で、手元に置いておきたくなる一冊。 | ||||
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戦時中の女学生(たぶんわりあい裕福なインテリ家庭の子供だとは思うけど)はこんな感じだったのか……とか 昔の女子校生活を知ることができて楽しい。絵画とか小説とか詩とか 随所に散りばめられたプロップも好き。全体的に漂っている雰囲気はすごく素敵。だから、それだけでよかったのでは?と自分は思う。正直、予定調和的につくったようなプロット?ストーリー?はつまらない。終盤にいくにつれて、つじつまを合わせるためか、話がバタバタ、バタバタ展開する。それがそれまでの優雅な流れを断ち切ってしまっている。……とエラそうなことを書いたけど、珍しいタイプの小説なので、一読の価値はあると思う。 | ||||
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皆川博子さんの特徴はなんといってもアカデミックで耽美幻想的な上質の文章、極上の酩酊を誘う退廃的な雰囲気、清濁併せ呑む世界観、美麗な登場人物……数え上げたらきりがないんですが、とにかく一度はまると抜け出せない、麻薬のような魅力があります。 毒にも薬にもならない小説が多い中で、皆川博子の小説はどれも強烈な毒をもっている。 感性があうひとにはたまらないんじゃないでしょうか。 第二次世界大戦終戦直後、焼け野原と化した東京のミッションスクールのチャペルで、一人の女子生徒が変死を遂げた。 その生徒の死には「倒立する塔の殺人」と題され、ミッションスクールの生徒間で回し書きされた小説が絡んでいるらしい。 死んだ女生徒に憧れていた小枝は、異分子のイブとあだ名される同級生の力を借り、未完の小説の続編を模索するー……。 シスターの頭文字をとりSと呼ばれる特殊な関係、友情。 物資が欠乏し女学生であっても工場に駆り出された過酷な時代の中、語り手から語り手へと受け継がれる禁断のノートがもたらすのは災厄か、それとも…… 美術や文学の教養の深さに裏打ちされたアカデミックな会話、驕慢で清楚、可憐で邪悪な少女達の描写が素敵すぎる。 「カラマーゾフの兄弟」が重要なキーワード……ってほどでもないですが、登場人物を繋ぎ合わせるキーアイテムとなってるので、カラマーゾフ既読の方にもぜひ読んでほしい。どの登場人物が好きかで性格がわかるという指摘にはぎくりとします。 擬似姉妹愛をメインに据えたミッション・スクール物としても読めるのですが、ミステリ的なギミックも仕掛けられていて、ラストの二重の陥穽には「やられた!」と感嘆しました。 恩田陸の「蛇行する川のほとり」とか好きな人は絶対ハマると思います。 一冊のノートとともに語り手が受け継がれていく形式は桜庭一樹の「青年のための読書クラブ」と共通ですね。あわせて読んでみると楽しいかもしれません。 ただ、難を言うなら、設楽さんが可哀相すぎる……聡明な子なのに、あの扱いは酷え……。 ラストで自信たっぷりに将来の夢を語るところでは皆川さん本人がモデル?と勘ぐりましたが、どうなんでしょうね。 最後になりましたが。 「倒立する塔の殺人」、ぜひ中村明日美子さんに漫画化してほしい! | ||||
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皆川博子さんの特徴はなんといってもアカデミックで耽美幻想的な上質の文章、極上の酩酊を誘う退廃的な雰囲気、清濁併せ呑む世界観、美麗な登場人物……数え上げたらきりがないんですが、とにかく一度はまると抜け出せない、麻薬のような魅力があります。 毒にも薬にもならない小説が多い中で、皆川博子の小説はどれも強烈な毒をもっている。 感性があうひとにはたまらないんじゃないでしょうか。 第二次世界大戦終戦直後、焼け野原と化した東京のミッションスクールのチャペルで、一人の女子生徒が変死を遂げた。 その生徒の死には「倒立する塔の殺人」と題され、ミッションスクールの生徒間で回し書きされた小説が絡んでいるらしい。 死んだ女生徒に憧れていた小枝は、異分子のイブとあだ名される同級生の力を借り、未完の小説の続編を模索するー……。 シスターの頭文字をとりSと呼ばれる特殊な関係、友情。 物資が欠乏し女学生であっても工場に駆り出された過酷な時代の中、語り手から語り手へと受け継がれる禁断のノートがもたらすのは災厄か、それとも…… 美術や文学の教養の深さに裏打ちされたアカデミックな会話、驕慢で清楚、可憐で邪悪な少女達の描写が素敵すぎる。 「カラマーゾフの兄弟」が重要なキーワード……ってほどでもないですが、登場人物を繋ぎ合わせるキーアイテムとなってるので、カラマーゾフ既読の方にもぜひ読んでほしい。どの登場人物が好きかで性格がわかるという指摘にはぎくりとします。 擬似姉妹愛をメインに据えたミッション・スクール物としても読めるのですが、ミステリ的なギミックも仕掛けられていて、ラストの二重の陥穽には「やられた!」と感嘆しました。 恩田陸の「蛇行する川のほとり」とか好きな人は絶対ハマると思います。 一冊のノートとともに語り手が受け継がれていく形式は桜庭一樹の「青年のための読書クラブ」と共通ですね。あわせて読んでみると楽しいかもしれません。 ただ、難を言うなら、設楽さんが可哀相すぎる……聡明な子なのに、あの扱いは酷え……。 ラストで自信たっぷりに将来の夢を語るところでは皆川さん本人がモデル?と勘ぐりましたが、どうなんでしょうね。 最後になりましたが。 「倒立する塔の殺人」、ぜひ中村明日美子さんに漫画化してほしい! | ||||
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かなり読みにくい・・・途中で投げだそうかと思いましたが、一種独特の「雰囲気」に惹かれてズルズルと最後まで・・・。そして・・・何とか読了して・・・思わず唸りました! 物語は太平洋戦争末期の戦中戦後、東京の女学校が舞台。女学校特有の先輩後輩の間の愛憎シーンや同級生の間の軋轢、友情、激しさを増す空襲の中で失われる 命、女子挺身隊として過酷な労働に励む日常と、その中でも交わされる少女たちの密やかな交流の様子などが描かれる。それに絡んでくるのは空襲の最中の不可 解な「死」、そして書き手を引き継ぐことを期待された謎めいた手書きの本・・・。 手書きの「本」の物語に少女たちの「過去」や「今」が混じり合い、百合的な面に目が奪われていると、グロテスクな「悪意」や「恐怖」の存在も伺わせ る・・・。多数の小説や画集の描写もあるが、これがまた思春期特有の一筋縄では行かないものばかり・・・。シュールでグロテスク・・・そして妖しくも美し い・・・・・・。結末はミステリー的な面もあるが作者はあからさまには描かない。好きだからこそ・・・そうせずにはいられなかった・・・そこはかとなく・・・切ない終わり方です。 戦中戦後の激動の時代を生きた作者が、「あの頃」の自分を重ね合わせて書いたと思える具体的な描写、その上にほとんど幻想的と思える世界が重ね合わさ れた不思議なお話です。美しいバラには棘があるように一筋縄ではいかない展開ですが、結末の見事さを思えば耐えるべきでしょう。 | ||||
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かなり読みにくい・・・途中で投げだそうかと思いましたが、一種独特の「雰囲気」に惹かれてズルズルと最後まで・・・。そして・・・何とか読了して・・・思わず唸りました! 物語は太平洋戦争末期の戦中戦後、東京の女学校が舞台。女学校特有の先輩後輩の間の愛憎シーンや同級生の間の軋轢、友情、激しさを増す空襲の中で失われる 命、女子挺身隊として過酷な労働に励む日常と、その中でも交わされる少女たちの密やかな交流の様子などが描かれる。それに絡んでくるのは空襲の最中の不可 解な「死」、そして書き手を引き継ぐことを期待された謎めいた手書きの本・・・。 手書きの「本」の物語に少女たちの「過去」や「今」が混じり合い、百合的な面に目が奪われていると、グロテスクな「悪意」や「恐怖」の存在も伺わせ る・・・。多数の小説や画集の描写もあるが、これがまた思春期特有の一筋縄では行かないものばかり・・・。シュールでグロテスク・・・そして妖しくも美し い・・・・・・。結末はミステリー的な面もあるが作者はあからさまには描かない。好きだからこそ・・・そうせずにはいられなかった・・・そこはかとなく・・・切ない終わり方です。 戦中戦後の激動の時代を生きた作者が、「あの頃」の自分を重ね合わせて書いたと思える具体的な描写、その上にほとんど幻想的と思える世界が重ね合わさ れた不思議なお話です。美しいバラには棘があるように一筋縄ではいかない展開ですが、結末の見事さを思えば耐えるべきでしょう。 | ||||
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