倒立する塔の殺人

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倒立する塔の殺人の評価:

8.00/10点 レビュー 1件。 B ランク

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平均点8.00pt

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No.1
(8pt)

時代の雰囲気と女学院の空気

 「薔薇密室」や、「開かせていただき光栄です」でも、その当時の時代性を濃厚に描き切った感のある皆川博子さんの作品です。この作品では、太平洋戦争中の日本本土という、私たちにとって後世に伝えるべき時代を、決して難解でない平易な、かつある部分では淡々とした文体で描いています。人も多くなくなる場面が多いのですが、それを女学生の視点から、あたかも現実にこうであったのかもという描写でさらっと描き、それが却って印象強く迫りました。同時に、女学院の生徒との交流において、女生徒同士の交流にみられるさまざまな心の綾についても、どろどろになりすぎず読んでいて共感しやすい構成で描かれています。
 ヤングアダルト向けということですが、どの世代の人が読んでも、十分読み応えのある物語だと、私は感じました。
 個人的には、女学生の感想の形で描かれたエゴン・シーレの絵に関する記述が、簡素にしてその本質を言い当てているように思えて、その点でもこの作品にひかれました。
 謎解きそのものよりも、謎が生じるに至った過程について、余韻の残る作品だと思います。

 

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