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業火の市
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業火の市の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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これほど劣化した作品も珍しい。 ウィンズロウは大好きで、「犬の力」「ザ・カルテル」「ザ・ボーダー」の三 部作は傑作だと思う。麻薬捜査を軸としたこれらの作品は、ウィンズロウの構成 力の非凡さを示している。しかしこの作品はあまりにも出来が悪い。ウィンズロ ウが書いたとは思えないほど質が低い。 アイルランド系の組織とイタリア系の組織との対立の物語=戦争の話だが、小 説としてはまるで面白くない。 この作品ではダラダラとした、まるで実感の伴わない会話が軸となっているが、 スピード感が削がれている。ウィンズロウは何か勘違いしたのだろうか、会話で 構成しようと試みて失敗したとしか思えない。会話そのものも、登場人物の描写 が上手くできていないため、何度も誰が誰にどう言っているのかが分からなくな る。ゆっくり読めばいいのだろうが、それでは疾走感がなくなる。まるで存在感 のない役者が台詞を棒読みしているようなもの。それほど人物がまともに描けて いない。「犬の力」三部作と比較すると、同じ著者とは思えないほどグダグダの 物語。大部の作で必須の、ストーリーのリアリティ、重厚さ、疾走感、がまる でない。情景描写が異常に少なく、そもそも散文的に過ぎる。場面転換でもいき なりの変化で、物語全体が非常に薄っぺらい。 150ページほどまで、どうでもいい話が続き、興を削ぐこと多々。ようやく 物語が膨らみを見せ始めるが、如何せん登場人物がお人形さんが口パクパクのよ うな状態。どうでもいい事件からから「戦争」が始まるが、それも型どおりの進 み方で皆が望んでもいないに関わらず、「総力戦」が開始される。この戦争の 原因もいささか説得力に欠ける。これほど単細胞な人間ばかりで、思わず大丈夫 かと心配さえしてしまう。ギャングで愚かだったら物語が成立しない。 途中で20ページを超す、主人公の母親のどうでもいい「サクセスストーリー」 がある。唐突で何かの伏線かと思わせるが、内容がひどい。「美しい人」を「美 しい」とだけ形容し、悦に入るのはやめてほしい。その母親の経歴たるや、素晴 らしくてなんともはや。主人公の養育を放棄した後、やることなすこと上手くい って、とんとん拍子に大金もち。なにかと近いような。そう、「ハーレクイン・ ロマンス」と同じ。女性がその身体や頭脳だけを武器にのし上がって行く様子は ご都合主義のかたまりでしかない。こうして大金持ちになったとさ。目が点にな った。おまけに20年以上息子を見捨てて連絡もとっていなかったのに、主人公 が大怪我をした、そのどんぴしゃのタイミングで、主人公の救出に駆けつけてく る。ありえない設定の連続。 この調子で最後まで物語はつまらなくひたすらつまらなく続く。200ページ以 降に組織対組織の戦争が始まるが、全員でくの坊。勝手な行動をとっては必ず失 敗し、自業自得の破滅を迎える。これじゃ面白さがどこにもない。 発売当日に購入し、あまりの面白くなさに途中で読むのを止め、なんとか二日 で読んだが、絶望的なつまらなさ。これがウィンズロウの「新三部作」ならこれ 以降の作品もさぞつまらないだろう。 購入するのは間違いでした。古本屋さんに売るのも嫌で(少なくとも好きな作 家(だった)ですから)、処分する予定です。 とにかく質の低下が酷すぎる。「コロナ」下の生活を思いやってか、ウィンズ ロウが何やら書いているが、その暇があったら質の高い本を書いて欲しい。 心底そう思う。 ☆ は どう考えても ☆ のみ。 | ||||
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