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ヴェルサイユ宮の聖殺人
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ヴェルサイユ宮の聖殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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2020/11月に読んだ「地べたを旅立つ」(そえだ信)は、第十回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作でしたが、その時の優秀賞受賞作「ヴェルサイユ宮の聖殺人」(宮園ありあ 早川書房)を読み終えました。 十八世紀後半、フランス革命前。ルイ十六世の従妹であり未亡人でもあるパンティエーヴル公妃とフランス陸軍大尉・ジャン=ジャックが探偵役となり、ヴェルサイユ宮殿内で起きたオペラ座演出家殺人事件の真相を暴き出していきます。巻末のフランス宮廷の如く絢爛たる参考文献を参照しながらの多くの史実に裏打ちされた力作だと感じ取れますが、パズラーとしてはどうなのでしょう? 巻頭の二つのエピソード(チェサピーク湾における仏対英(少しだけ、クライブ・カッスラーの掴みにも似て)、ランブイエの森での回想)は、欧米のミステリを読んでいるようで心ときめきましたが、ページを追うにしたがって、ミステリ部分が希釈され、私が知ることのなかったフランス宮廷歴史ロマンとしての面白さが勝っているような印象を持ちました。それは、フィクションが持つ力と言うより、「歴史」の面白さのような気もします。 不可能殺人か?ダイイングメッセージは?カラヴァッジョは?そして、誰が犯人なのか?すべての謎は須らく回収され、解き明かされていきますが、あまりインパクトのあるものではありません。伏線も置かれていますが、ハイライトされているようでかなり眩しい。パズラーですからそのストーリーを詳述できませんが、登場人物の<遡り>があって、手に汗握る冒険があって、それなりのアクションも盛り込まれ、でもマテリアルが多すぎて、二人の探偵たちから醸し出されるであろう事件解決に寄せる「思い」が最後まで伝わることがなかったと思います。 とは言え、最後まで読ませる物語作家としてのパワーは受け取れました。そして、次作でもう一度パンティエーヴル公妃とフランス陸軍大尉・ジャン=ジャックのツンデレ風対目も当てられない無骨さに於けるちょっとぐっとくるような<やり取り>(笑)を見てみたいと思います。楽しみにしています。 | ||||
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