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(短編集)
夜よ鼠たちのために
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【この小説が収録されている参考書籍】
夜よ鼠たちのためにの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 21~23 2/2ページ
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ミステリー小説の名品『戻り川心中』の著者・連城三紀彦(れんじょう みきひこ)の初期の短篇集。1983年(昭和58年)の作品で、「二つの顔」「過去からの声」「化石の鍵」「奇妙な依頼」「夜よ鼠たちのために」「二重生活」の六つの短篇を収めています。 話の途中で、がらりと景色が変わる反転の妙。読者を錯覚させる、だまし絵的な筆致。非常にトリッキーな趣向を凝らした仕掛けに、話の途中で必ず一度は、「あれれっ?!」と幻惑させられましたね。その反面、まず起こりえない不自然な状況が生まれるので、そこを現実味がないととるか、だまされる快感ととらえるかで、評価は全く逆になるでしょう。私は、話の絵柄が変わった時の鮮やかな印象が強くて、面白いなと思ったんですけれど。 なかでも気に入った作品は、「過去からの声」。一年前に刑事を辞めた男が、一緒に事件の調査にあたった年配の刑事に語りかける形式で、ふたりが関わった誘拐事件のあらましが綴られていきます。タイトルにあるように、過去に起きた出来事が話に深い陰影を与えるところ。話のメインとなる誘拐事件の裏側にあるからくりの、非常に風変わりなこと。トリッキーで、風情のあるミステリー短篇として心に残るものでした。 それから、作品全体の雰囲気が、ウールリッチ(アイリッシュ)のサスペンス小説に近い風味があるなあと感じましたね。殊に、復讐をモチーフにした表題作は、ウールリッチの『喪服のランデヴー』と通じる異様な恐さがあって、ぞくりとさせられました。 | ||||
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作者は叙情派作家として名高いが、デビュー短編集「変調二人羽織」は本格物だった。本作は原点に立ち戻り、更に人間模様の綾を織り込んだ読み応え充分の出来になっている。 「二つの顔」は自分にとって「二つの顔」を持つ妻を発作的に殺してしまった画家が、死体を庭に埋めて外出するが、何と自分のアリバイが成立してしまう。この不可能状態の中で混迷する画家に突き付けられた真の「二つの顔」の意味とは。「過去からの声」はデビュー短編「変調二人羽織」と同じく退職した元若手刑事の推理で、現職の先輩刑事が扱う誘拐劇を語る趣向。この形式は懐かしい想いがした。誘拐劇そのものも良く練られており、主要人物の苦悩が浮かび上がって来る。「化石の鍵」は少女と父、別居中の母の3人の思惑が異なり、不可解な事件が発生するが、少女の純粋さが家族の絆を強める。「奇妙な依頼」は興信所の調査員に課せられた奇妙な依頼によって、状況が二転三転するが、最後に見事なツイストが決まる。「夜よ鼠たちのために」はタイトル作で、少年の頃からのクサレ縁の2人の男を描いて、やるせない人間模様と叙述の技巧が冴え渡る逸品。「2重生活」は夫婦と夫の愛人と言うありきたりの3角関係を描いて、単なる心理描写だけでなく、最後に驚くべき仕掛けを用意していると言う秀作。 どれを取っても登場人物の卓越した心理描写と本格ミステリ的アイデアで読者を楽しませてくれる珠玉の傑作短編集。 | ||||
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ミステリーの短編集だが普通のミステリーだとは思っちゃいけない。そのほとんどの作品が叙述トリックを用いた作品になっている。どんなに騙されまいと思って読んでみても結局騙されてしまうこの快感。連城マジック全快といった作品ばかりが並ぶ。こんな贅沢な短編集は無いといっても過言ではない。天才連城の放つ傑作短編集。これを読まなきゃミステリーは語れない。 | ||||
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