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(短編集)
夜よ鼠たちのために
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【この小説が収録されている参考書籍】
夜よ鼠たちのためにの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全27件 1~20 1/2ページ
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とにかくややこしくして、読者を騙そうとする必死感が読んでてしんどかった。引き込まれない。 | ||||
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やはり連城三紀彦氏の魅力は短編にあるということを改めて思わされました。どの作品も短編としてもかなり短い物語である分、非常にスピーディーな展開であるにもかかわらず、二転三転したうえでラストの意表を突く真相に驚かされます。作品によっては偶然の積み重ねに思えたりご都合主義に感じてしまう部分が散見されるものもあったり、書かれた時代の古めかしい表現などもあって苦笑する部分もありますが、それを差し引いたプロット・トリック・伏線回収は非常に見事でおもしろかったです。復刊しただけのことはあるというか、ミステリ好きの方にはぜひ読んでほしいと思いました。 | ||||
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連城三紀彦の売りは、どんでん返しに満ちた驚きの世界である。これでもか、これでもかに読者はふらふらするのである。【過去からの声】はその典型的な作品である。 | ||||
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1981~1983年にかけて「週刊小説」等に掲載された短編9編を纏めた1冊。表題作の評判が高いらしく、このミス(2014年版)の復刊希望!幻の名作ベストワンにも輝いています。 ほぼ全作品サスペンス・ミステリーの純度がかなり高く、ラストは捻りも利いていて、ミステリーファンの期待に応えます。更に、心理・情景描写も所謂連城三紀彦節が炸裂で、味わい深い文章が楽しめます。 切れ味が鋭過ぎて、少し無理がある展開もありますが、それよりもここまで考える筆写の創造力の凄さを改めて感じます。 | ||||
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短編で登場人物も片手ぐらい少ないながら人物情景背景いずれも描写が美しく丁寧です。真相もエッジが効いていて読み手を見事なまでに裏切るプロップは圧巻です。連城三紀彦恐るべし… | ||||
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1986年刊の『』(新潮文庫)と1985年刊の『』(講談社文庫)を底本として、1998年にハルキ文庫から刊行された『』(ハルキ文庫)を再編集したのがこの宝島社文庫版ということです。1981年から1983年にかけて「週刊小説」「小説推理」「小説現代」「ルパン」の4誌に掲載された短編9編が収録されています。 ◆「ふたつの顔」 :画家の真木祐介は疎遠になった妻の契子を殺害して自宅の庭に埋めたる。するとそこへ新宿警察から電話があり、三丁目のホテルで契子が惨殺されたと聞かされる。現場に赴くとその遺体の顔は無惨につぶされていたが、指には真木が贈った指輪があり、しかも指紋は自宅で採取したものと一致した。それでは真木が殺した女は一体誰だったのか…。 なんとも怪異な事件をどうやって着地させるのか。その興味にぐいぐいと牽引されて一気に読み通しました。背後には複雑な人間関係が巣くっていて、背筋の凍る結末に私は大いに心揺さぶられました。 ◆「過去からの声」 :村川は刑事をやめて1年が過ぎた今、かつての先輩刑事・岩本に手紙を書く。あのとき発生した男児誘拐事件は奇妙な展開を見せ、村川の失態のせいでいったんは犯人を取り逃したかに見えたが、その後犯人は事故死していた。だが村川は岩本宛ての手紙の中で、事件の真相を書き綴っていた…。 身代金目的の単純な誘拐事件と思われた事件の背後にあった事件のカラクリがまず読ませます。と同時に、村川が今になって岩本に手紙を書き送った理由もまた、人が人を思うその人間臭さを強く帯びていて、好短編を読んだという満足を与えてくれるものでした。 ◆「化石の鍵」 :サワは息子の昌也と二人で暮らしながらアパート経営をしていた。ある日、住人の白井の娘で車椅子生活を送っている千鶴がネクタイで首を絞められた状態で発見される。幸い千鶴は一命をとりとめたが、現場となった部屋は窓もドアも鍵がかかった密室状態だった。しかもある事情から玄関のドアの鍵はその日取り換えられたばかりで、中に入ることができた人間はほとんどいない…。 千鶴の首を絞めたのは一体誰だったのか。犯行の意外な経緯と、わずかな希望が見られる結末が心に残りました。 ◆「奇妙な依頼」 :興信所の探偵・品田のもとに、土屋正治という男が自分の妻・紗矢子の浮気調査を依頼してくる。しかしいくら尾行しても紗矢子は男と密会する様子はない。しかも紗矢子は品田がつけてきていることをとうの昔から気づいていた。そして品田に奇妙な依頼をしてくる。夫・正治の浮気調査をしてほしい、と…。 探偵は図らずも夫と妻の両方から互いの浮気調査を依頼されることになります。両者の言い分は真っ向から対立し、どちらかが<騙り手>であるようですが、真相はなかなか見えてきません。ねじれにねじれた尾行調査はやがて驚くべき殺人事件へと着地していきます。犯人の騙りに探偵・品田と同じく読者が見事に騙される一編です。 ◆「夜よ鼠たちのために」 :二人の医師が殺害された事件を追う警察は、この医師二人によって妻が死に追い詰められたと恨んでいた津村という男を容疑者とにらむ。しかし津村の妻は重症な脳腫瘍患者であり、医師たちにも手の施しようがなかったのだ。果たして犯人は本当に怨恨から殺人に至ったのか…。 恨みによる短絡的な犯行にしか見えなかった殺人事件ですが、そこはもちろん連城三紀彦ですから、一筋縄では終わりません。これまた読者を気持ちよく騙してくれる一編で、一度読み終えたところで、もう一度冒頭から読み直してみたほどです。そして読者がうっかり思い込みをしてしまうように連城が怠りなく精緻に計算したうえで言葉を選択していったことが見えてきました。きちんと読めば、事の真相からはずれるような言葉遣いは一度もしていないことがわかります。読者を欺く連城の手際の良さには本当にほれぼれとします。 ◆「二重生活」 :ホステスの牧子にはマンションに通ってくる16歳も年上の男・修平がいた。ある日、修平に別れてほしいと切り出された牧子は、修平と暮らしている静子に恨みを募らせ、修平もろとも静子を「葬る」計画を立て始めた。そのために利用するのは、静子が修平のほかに関係をもっていた鉄男だった…。 この短編集をここまで読んでいれば、そろそろ連城の騙りの手管を察知する勘を養ってもよいころなのでしょうが、私にはその才覚がとんとないようです。今度もまた見事にしてやられました。 またしても冒頭から読み直してみると、確かに連城は隙なく言葉の吟味を極めていて、読者が勝手に勘違いをするように仕向けていたことがありありとわかります。誠に見事です。 ◆「代役」 :俳優の支倉竣と妻の僚子は一人息子の辰也を亡くしてから夫婦関係が冷え込んでいた。そして僚子は離婚を切り出すが、奇妙な提案をする。別れる前に竣の子供を身ごもりたいという。しかも竣そっくりの男をアメリカで見つけたと話、姿形の似たその男に身を任せても良いという…。 少々設定をひねりすぎているかもしれません。竣と僚子と竣と瓜二つの男、しかもさらに竣の愛人の衣絵の4人の関係が一点につながっていくのですが、そもそも竣にドッペルゲンガー的存在がいるという前提に読者の心が乗っかることができなければ、荒唐無稽すぎて気持ちがさめてしまうでしょう。 ◆「ベイ・シティに死す」 :東京のやくざであった男は、組仲間の谷沢が対立する組へと抜けようとしていることに気づいてしまう。そのため谷沢に拳銃を向けられ、それを奪おうともみ合った末に谷沢を撃ってしまう。しかし正当防衛を主張して出頭した男を待っていたのは、谷沢の遺体には二発の銃弾が撃ち込まれていたとする報告書だった。正当防衛が認められずに6年のムショ暮らしを強いられた男は出所後、自分を裏切ったとにらむ征二とかつての情婦・恭子を追ってある街に向かう…。 遺体に撃ち込まれた二発の銃弾の真相が最後に明らかになる物語ですが、あまり納得がいきませんでした。男と征二と恭子の人間関係が谷沢殺害事件の背後にあるのですが、短編小説であるだけに三者の一筋縄ではいかない関係が十分納得できるほどに描かれる前に物語が幕を閉じてしまいます。銃殺事件の真相と、それを解消していく恭子の心模様が私の胃の腑には落ちませんでした。 ◆「ひらかれた闇」 :私立聖英高校の体育教師・赤沢が殺害され、犯人不明のまま2日が過ぎた。そこへ音楽担当の教師・麻沙のもとへ元生徒の典子から電話がかかる。東京の別荘で友人らと5人で泊りがけで遊んでいたらそのうちの一人が刺殺体で発見されたという。典子らは暴走族グループを結成していて、そのせいで退学処分になった経緯がある。警察には通報したくないという典子の求めに応じて麻沙は単身、現場となった別荘へ向かう…。 別荘での刺殺事件の犯人は誰なのか。そしてその犯人は赤沢殺害にも関与しているのか。謎めいた事件を麻沙が素人探偵よろしく解明していく短編です。 真相が明らかになったとき、小説の前半部分に書かれた次の文章が印象深く記憶にのこっていたことを思い出しました。 「麻沙自身も、郷里にはシトロエンを持っていてスピード狂を気取ることもあるのだが、それも車体という枠に守られてのこと。空気に開かれた二輪車はただ恐ろしく、麻沙は、自分が今から向かうのが殺人現場であることも忘れ、ノン子の命令どおり、声一つたてられず黙っているほかなかったのだった」(376頁) そしてこの短編のタイトルが「ひかられた闇」となっている点も重要であり、上述の記述とあわせて伏線として機能していることに気づかされます。 退学処分を受けた生徒たちを麻沙が親身になって力を貸すところが妙に心に沁みました。 . | ||||
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good | ||||
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40歳ごろ直木賞作品の『恋文』を初めとして『宵待草夜情』、『戻り川心中』、『変調二人羽織』などの著者の一連の作品を読み漁った懐かしい思い出があります。 最後の意表を突くどんでんがえしの味わいと抒情性にあふれた瑞々しい文体には魅了されました。まさに新鋭出現という感じでした。作品名は忘れましたが文庫版のあとがきであの林真理子さんが激賞していたのを覚えています。 私の推理小説の好みは、いわゆるトリックを重視する本格派でなく、抒情性のある作品が好きで北村薫さんの『円紫さん』シリーズや粋でクールなハードボイルド系の原寮さんの私立探偵沢崎シリーズの『そして夜は甦る』、『私が殺した少女』、『さらば長き探偵』などが好きなんですね。ですから本格派の練りに練ったトリックであっても非現実的に見えしらけてしまう場合が多いんですね。 さて、この短編集『夜よ鼠たちのために』、9編の短編ですが最初に表題作の「夜よ鼠たちのために」を読んだのですがその情念の暗さにはまず閉口しました。 他の8編を読んでも<いわゆるどんでん返し>と言われる超絶技巧には感心しました。「代役」などは巻末で語り手が逆転し、幻惑されました。著者の<どんでん返し>には、重層的にして左右反対の鏡像を見せられたような、難しいロジックの世界に迷い込まされたような気持ちにさせられたりしたことがしばしばでした。 本格派の方々にとっては、多彩な仕掛けでかつ様々な情趣の楽しめる垂涎の短編集であると確信しますが、抒情派の私にとっては、ハードボイルの味わいのある『ベイ・シティに死す』や一部書簡体が入る懐かしい味わいの『過去からの声』が印象に残っています。 本格派の方には、呆れられるでしょうが。 | ||||
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どんでん返しの意外な展開を見せてくれる短編集です。 それだけではなく、濃密な雰囲気が魅力です。 特に表題作「夜よ鼠たちのために」は震えるような孤独の根性が胸に迫ってきて、秀逸です。 もうひとつ、「ベイ・シティに死す」がノワール小説の雰囲気がよくて、しびれました。 逆に、ラストの「ひらかれた闇」は場違いな感じで、個人的には除外した方がよかったのではないか、と思いました。 | ||||
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トリックに関しては若干の出来不出来はあるものの、 圧倒的な文章力でどれも読まされる。 いわゆるページターナー的なスイスイグイグイ読ませるタイプではなく、 ギチギチに詰まった文章なので、一気に通読しようとすると流石に疲れてくる。 そういう意味では『戻り川心中』よりは入門書としてのハードルは高いが、 表題作のクオリティなどそんなことはどうでもよくなるくらいにすさまじいので、 みんな読めばいいと思うよ。 | ||||
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脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が、白衣を着せられ、首に針金を巻きつけられた奇妙な姿で遺体となって発見された。なぜこんな姿で殺されたのか、犯人の目的は一体何なのか…?深い情念と、超絶技巧。意外な真相が胸を打つ、サスペンス・ミステリーの傑作9編を収録。 | ||||
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さすがは短編の名手、連城三紀彦の面目躍如といったどれも読み応えのある作品。 これでもかというアクロバティックな展開に唸ること必至。 これは読み手側の問題であるが、私が年を取ったせいか、 かつてほどこのようなリアリティを度外視した「純粋論理」の作品を無邪気には楽しめなくなった。 昔はもっと楽しめたんだが…。 よって星4つ。 | ||||
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いずれの作品も、最後まで読むと勘違いや誤認に気づき、意表を突く反転構造を持っていることがわかる高水準の短編集。 個人的には、「過去からの声」が一押し。 「二つの顔」 絵の中の理想の女に取り憑かれた画家の信じやすい性格を利用した犯罪。 冒頭の不思議な謎から物語に引き込まれる。 警察の○○のチェックがこんなにも杜撰だとは思えないけど。 「過去からの声」 誘拐事件のからくりに関する作者の斬新な発想に驚愕。 「化石の鍵」 新しく取り換えられた鍵を巡る謎。 「奇妙な依頼」 浮気調査を依頼された興信所の社員が、依頼者とその対象者との間で買収され、何度も寝返る話だが、最後に明らかとなる依頼理由の逆転には意表を突かれた。 「夜よ鼠たちのために」 医療過誤で妻を失った男が、医師たちに復讐する話。 最後まで読むと、あることに勘違いしていたことがわかる。 石津家のお手伝いさんが耳にした電話の会話内容が意味深長。 伊原が会議室に移動してからの最初の会話に矛盾があるのでは? 「二重生活」 男女2人ずつの入り組んだ恋愛模様。 最後の方になると、ある事柄を誤認していたことがわかる。 動機も対象も逆転する。 「代役」 パイプカットをした男性が、子供をつくるために自分と瓜二つの男性を妻にあてがうという奇妙な話。主人公が妻を殺そうとして現場に向かう場面になると、話があらぬ方向に変調し、いったいどうなっているのかと戸惑った。鏡を見ているような反転構造の真相。 「ベイ・シティに死す」 元恋人と弟分に裏切られ、無実の殺人の罪を帰せられたヤクザが復讐する話。 元恋人から、意外な真実を明かされる。 「ひらかれた闇」 麻沙先生の推理には、相当な飛躍を感じるが、犯人の犯行理由には作者らしい倒錯した論理が隠されていた。 | ||||
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読み手によって評価は分かれそうです。書かれたのが90年代だけあって、文章や設定の古臭さは拭えません。 どの話も終盤での怒涛の伏線回収がとても見事です。ただ、あまりにたくさんの伏線を回収するため、話としてのリアリティに欠け、都合が良すぎるという印象を受けました。 | ||||
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特に表題作の評判をよく耳にしていて、読んでみたいと思っていたので、復刊が嬉しかった。 なるほど、そうきたかーという感じ。 連城さんの豊富なアイデアと切れ味を堪能できる短篇集。 やっぱり連城さんは短編の方がクオリティが高い気がする。 奇抜なトリックにも無理が出にくいというか。 ただ、『戻り川心中』の粒揃い感にはかなわないので、星四つ。 | ||||
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この著者の作品は初めて読んだが素晴らしい作品に驚愕。 本書は短編が9作品、短編ながらどの作品もどんでん返しがあって飽きることはない。 しかも読者への欺き具合がとても大きく各短編を読了する度に唸ってしまうほどの出来栄え(ページを戻って読み直すこともあった)。 古い作品であるがそれほど違和感もなく読了。 ミステリーファンには、大きな支持を集める一冊だと思う。 | ||||
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なのに・・・表題に惹かれて購入してしまいました。 ミステリーは好きな人以外はヤッパリ無理ですねえ!回りくどく、無理矢理の設定、更にミスリードを誘う様な語り口。 ミステリーファンはこれが楽しいのでしょうが!しかし、表題の作品は凄い!怖い!そして悲しい!まさか本当に鼠の話と思いもしませんでした。 | ||||
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最近の若い著者らのミステリィとは格の差を感じるぐらい素晴らしい作品群でした。 | ||||
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いやあ、面白かった。 連城さんがミステリー作家とは知らず、というか勝手に恋愛小説系の方だと思っていて、今まで読んでいなかったのですが、帯にある“『このミステリーがすごい』「復刊希望!幻の名作ベストテン」第1位”に魅かれ、手に取って正解でした。 謎解きの面でも物語の面でも読み手に緊張感と集中力を強いる。読まずにいられなくする。これって凄いですよね。 仕掛けたはずの人物が仕掛けられていた、犯人とは別の犯人がもう一人いたなど、すり替わりや二重性が謎解きのひとつになっていて、これは登場人物の類似点と相違点とか、文章に違和感を感じたところが伏線だなとか、丹念に読んでいれば謎解きはわかるようになっているのだけど、読み手の丹念さよりも読み手をミスリードにもっていく書き手の丹念さのほうが圧倒的に上回っていて嵌められてしまう。 そして、人称や時制などのトリックを駆使した謎解きもさることながら、その物語の面白さ。当時の社会性を踏まえた上で、ヒトの虚しさ、自己の揺らぎ、関係性への希求などが(変な表現だけど)乾いた湿っぽさで語られている。 推理が苦手な私などは特に、犯人と書き手のトリックが共にわからないものだから、登場人物それぞれに自らを重ねながら読んでしまう。それは言い換えると、感情移入できる話ということ、登場人物一人一人がちゃんと描かれているということ。 今までその作品を読まなかったことに対する連城さんへのゴメンナサイとともに、解説など付けずに再編集刊行した宝島社の自信と潔さに敬意を表したいと思います。 | ||||
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『戻り川心中』『恋文』を読んで連城さんにハマりました。絶版ミステリー小説の傑作という事で新古書店を探しましたが見つからず、諦めていた矢先の復刻版。宝島社もやるときはやりますね(^_^) 読了しました。感想は恐ろしく密度の高いミステリー短編集。ドロドロした人間関係(小説の醍醐味!)とアクロバティックな結末。お腹いっぱいです。 個人的には恋愛小説の体裁でありながらも、どんでん返しとガツンと心にくる『恋文』の方に衝撃を受けましたが、傑作の名にふさわしい作品だと思います。買って良かった(^^) 最後に、ホントどうでも良い話ですが作中「きょうこ」という名の女性が何度も登場します。全員別人で、共通点は生き方です。連城さん、何か思い入れでもあったんでしょうかね ちなみに私の片思いの人も「きょうこ」で非常に似ています。でも決して結ばれる事はないので、切ない気持ちで読み切りました。ホント、どうでも良い話 失礼しました(__) | ||||
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