■スポンサードリンク


(アンソロジー)

短編ミステリの二百年6



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
短編ミステリの二百年6 (創元推理文庫)

短編ミステリの二百年6の評価: 4.33/5点 レビュー 3件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.33pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

マニアックの極致なので、読み手を選ぶシリーズ

戸川安宣氏がまとめた労作「世界推理短編傑作集6」(おすすめ!)を読んでレビューを書いた機会に、せっかくなので、創元推理文庫の短編シリーズ両輪ともいうべき「短編ミステリの二百年」シリーズ完結本である、前に読んでうろ覚えになっていた本作の感想を記してみたい。
1巻から5巻まで読んできて、だんだん、ミステリ短編としての私の好みから外れてきたのと、巻末のエッセイの独善性(まあ、評論というものはそういうものだけど、客観的かつ冷静な筆致も必要だろう)がやや鼻についてきたので、巻が進むほど評価を落としてきたのだが、1巻前の5巻目は採録小説のレベルも良かったので、印象は良かったのに、最終巻の採録小説は、70年代中心ということもあって、予想通り私の好みではなく、読後感があまりよろしくないものが多かったので、編者のエッセイは5巻目よりも読みごたえがあったが、評価としては星3つかなあ、という意見。
70年代から80年代に栄華を極めた(?)ルース・レンデルも数年前に亡くなったなあ、と若干の感傷を覚えながら、本書掲載の「しがみつく女」はさすがに語り口、ストーリーの持っていきかたが巧いし、ハイスミスも後味悪いけど、レンデルと同様、小説としての完成度は高い。この時代のクライムノベル作家は、小説の完成度は素晴らしいんだけど、ミステリの面白さって、息が詰まるような完成度の高さとはちょっと違うんだよなあ、とおもう。
その点では、ハードボイルドのエンタテイナー、ローレンス・ブロックはさすが、読み手を引き込ませる面白さがあった。
あとは、ブランドの「ジェミニー・クリケット事件」の米・英2版の採録という、まさにマニアックな編集。2つ並べるとやっぱアメリカ版のほうがよいなあとおもう。ただ、編者がいう「二十世紀に書かれた最高の短編ミステリ」とは私は思わない。「二十世紀に書かれた、最も評論・分析しがいのある短編ミステリ」とは思うけど。「最高」と言うほど、narrativeに読み手を引き込む面白さはないから。まあ、P.566-567に編者が書いているように、合理性に欠ける点についてちゃんと言及している点は好感でき、最終章の「誰が謎を解いたのか」の評論は価値が高いと思う。
本書の採録短編の最も新しい発表年がたぶん1980年(間違ってるかも)なので、それから40年も経っているので、21世紀の短編ミステリがどうなっているのか、小説の選定も合わせて言及されているとよかったかと思う。
このミステリ不遇の時代(?)に全6巻にて短編ミステリ集を出版した東京創元社の果敢なチャレンジには拍手を送りたいが、結果的にはマニアックなシリーズになってしまったのは、やむを得ないだろう。
私自身はとにかく、読んでいて日常を忘れる、面白いミステリ要素のある短編が読みたい。そうなると、やっぱり、泡坂妻夫的なミステリがいいかなあ(笑)
短編ミステリの二百年6 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:短編ミステリの二百年6 (創元推理文庫)より
4488299075

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!