■スポンサードリンク
ガン・ストリート・ガール
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
ガン・ストリート・ガールの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.70pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
北アイルランド紛争がついに終結に向かいそうな時期の「ショーン・ダフィ」シリーズ第4作。第1作からの4冊では一番印象に残るかもしれない。単純に見えた家庭内殺人と自殺が、次第に国家的な犯罪につながっていくあたりや、MI5のリクルートを受けてショーンが自分の生き方や使命に思い迷うところなどがいい。実際におきた事件をベースに上手くフィクション化しているなあと思う。あと、イギリス人は、いや著者はアメリカ人が嫌いなんだな。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
同じ著者の『ザ・チェーン 連鎖誘拐』は、上巻は結構いけてるが下巻は急降下、悲しくなるくらいどんどん面白くなくなってしまった・・でも、ショーン・ダフィを主人公とするこちらのシリーズが著者の真骨頂なのだろうと思い直し、邦訳4冊の中でいちばんレビュー数が多くて評価が高い本書に再トライ・・読まなきゃよかった・・と後悔するくらいほんとに面白くなかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
終盤の展開はそれなりに良い。 しかし、そこにたどり着くまでの道のりが、かなり冗長で退屈。 主人公の刑事が事件の参考人に話を訊く→それについて同僚たちと相談する→北アイルランドの現状と自分の人生を愚痴る→酒を飲んで寝る。 これの繰り返しが本編約560ページ中の500ページほど続き、わずかに描かれる過激派の暴動以外は特に何も起こらないので、全体的に緊迫感が足りない。 物証がほとんど得られない捜査が延々と続いた後に、主人公が突然、神のごとき推理力を発揮し事件の真相を明らかにするのだが、そこに至るまでの伏線やほのめかしがないので、物凄く唐突な印象を受ける。 一体どういう経緯でその結論に到達したのか。 本筋には全く関わってこない、主人公を落ち込ませるためだけに登場する女性記者は、いる意味があったのだろうか。 翻訳もあまり良いものとは感じられなかった。 やはり一番気になったのは、幼児言葉の受け答えにしか聞こえない「あい」。 翻訳者が巻末でもっともらしい説明をしているが、周囲の反対や前作までの読者の不評があったにもかかわらず、強引に採用したという「あい」には最後まで違和感しかなかった。 このような個人的主張のごり押しは、翻訳者の分を超えていると思う。 主人公の、たぶん年上の部下と思われる刑事の、言葉遣いもかなり奇妙。 「~でやす」などの江戸時代の岡っ引きのようなへんてこな敬語と、「~だぜ」などのぞんざいなタメ口が混在したおかしな口調は、もう少し自然な感じの表現にできなかったのか。 80年代感を出そうとしてなのだろうが、「ぷっつん」など、当時日本で流行っていた言葉を、外国が舞台の作品に遣うのはそぐわないし、色々とこだわっている割には、「看護婦」を今の名称の「看護師」と書いたりしてしまっている。 冒頭の、トム・ウェイツの曲「Gun Street Girl」の英詞を訳していないのも不親切。 ハードボイルド小説とは、こういう、物語の起伏よりも主人公の鬱屈した心情描写(ここは悪くない)が優先されるものなのだと言われたら、返す言葉はないけれど、翻訳の質も含め、次作を読みたいと思わせてくれる作品ではなかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
そもそも、警察小説として、80年代のアイルランドを舞台とした時点で特異な存在なんだと思うけど、1作目からスタイルが変わっていくのも変わっていると思う。常に暴動が背景の書き割りのごとく存在していて、BMWに乗る時には水銀爆弾をチェックする姿が、警察署の隣のパブで真昼間からエールどころかスコッチをやるところが、韻を踏むように存在しているところだってそうだ。 そして、それ以上に存在感があるのがダフィーの恋愛事情じゃなかろうかww 教会主催のお見合いパーティー? ダフィーにそんなのが似合うはずもなく、でも、サラとは出会うし、前々作からのケイトとの絡みも複雑だし、最後にはチヌークのローター音で終わるなんて、まるで、アクション映画の体を取ったド恋愛モノの「ノーマーシー」と同じじゃないか? まあ、こんなことを書くと逆に敬遠する人が出てきてしまうか? でも、警官として犯人を追っていく姿は真っ当だし、真相を知る男とのやり取りも、真実を求めてやまないダフィーなりの手段だろう。そんなダフィーは嫌いじゃない。 だから、これは「アイルランド」の警察小説。それ以上でもそれ以下でもなく。 だって、出だしが警察署の間の縄張り争いから始まるんだから。そこには国際的な謀略も騎士道精神なんぞもありゃしない、警官のメンツ丸出しなんだから。 最後の訳者あとがきもいいね。「あい」に拘る理由も納得だし、私なりに調べた事からもはずれちゃいないし、原文の雰囲気を出すための最善の努力だと思う。"aye"をルビとして振るってのがいいと思ったけど、常にじゃ邪魔くさいものね。 どちらにせよ、次作の方向性も気になるから、きっと、読むと思う。そういう意味では、この作品のシリーズがちゃんと続きますように。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作家?翻訳?好みではない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
今年初に出版された『ザ・チェーン 連鎖誘拐』には驚いた。この素晴らしい現代のハードボイルドのショーン・ダフィ・シリーズ三作を味わった後では、まるで異なる作家によって書かれたとしか思えないさサービス満点のハリウッド映画みたいなスーパー・エンターテインメントに度肝を抜かれた形だったのだ。それもそのはず、作品が売れず生活に困窮し、作家という仕事を放り出してウーパーの運転手に身を落とそうとしていたマッキンティが、新たに売れ、そして稼げるための創作に鞍替えして、完全イメチェンを図った上の作品が、当該作品であったのだ。なるほど、この面白さ、スピード感なら売れる。それはわかる。 でも思えば、『ザ・チェーン』のおかげで、こちらショーン・ダフィ・シリーズの続編邦訳も刊行もきっと無事潮流に乗ったのだ。ぼくとしては、こちらのほうがマッキンティの実物大作品として大のお気に入りなので、ほっとさせられる話でもある。 ショーン・ダフィは役職などには興味がない代わりに、実力派の警察官であり、そして何よりも世界に対して突っ張っている。その気高きハードボイルド精神と野良犬のような生存感覚が何とも頼もしく、ぼくは今やこのシリーズを大のお気に入りに入れている。 本書の作者あとがきにある通り、背景には歴史的事実とされる事件がちりばめられており、シリーズ中最も北アイルランドと英国との関係が重要なファクターとなっている作品となっている。前作『アイル・ビー・ゴーン』では、密室ミステリーとして島田総司の影響をマッキンティが受けているとして、別種の脚光を浴びたみたいだが、本書はより国際冒険小説の色合いを濃くし、スケールの大きさを見せている。 しかし何よりもショーン・ダフィという人間の生きざまそのものが、昨今失われているように感じるハードボイルド精神の気高さや底なしの意地というものを感じさせて、この武骨で喧嘩っ早い主人公刑事を応援する側につい回ってしまう、というのがシリーズの最たる魅力となっているのだ。 是非、作中で、様々な政治的葛藤のるつぼに足掻く、プロ根性の警察官ショーンの生き様、彼の背景に鳴り響くメロディに耳を傾けて頂きたいと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
紛争真っ只中の北アイルランド。警察署に迫撃砲が打ち込まれ仲間が死亡し、そのあと爆弾からサッチャーをすくった前作のあと復職して殺人事件を担当。暴動鎮圧に駆り出されおじけづいた新人女性刑事は退職。そんな時代に触れられる貴重な作品。巻頭に各組織の説明が有り、助かる。アイルランド訛りが、でてくるのも邦訳者の努力のたまもの。アメリカが舞台だったものよりショーンダフィシリーズのほうが、惹きつけられる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
主人公ダフィーの、一見投げやりな語り口が魅力。よく飲むが頭脳明晰なタフガイ。読者にとっては、MI5に転籍できなくてよかった。彼は地元の殺人事件の解決が仕事だと視野の狭い姿勢だが、結末でコントラ事件と言う国際的な陰謀と結びつけた著者のアイデアが気に入った。 246ページに「ケイトが小切手で勘定をすませ…」と言う文章があるけど、料理屋で小切手を切るのは普通じゃない。小切手の原文は、多分checkだと思うが、checkには勘定書の意味もあり、Kate paid the checkなら勘定を払った、Kate paid by the checkだったら小切手で払ったことになるが、どっちでしょう? 451ページで、サラがいるのは「1階」と言われて、ダフィーは「階段をのぼる」が、1階なのに階段をのぼったのなら、ひょっとすると、この1階はイギリス英語のfirst floor,つまり2階だったのではなかろうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
まず表紙が恐ろしくカッコイイですね。 高級住宅で起きた被害者が複数の殺人事件。容疑者も自殺し単純な事件と思われたが、その背後には大きな陰謀の影が、という話。 新しい登場人物も交えて、ショーンダフィーの過酷な戦いが始まります。 史実を交えつつ展開する話は飽きずに読めます。 ハヤカワ文庫では、グレイマンシリーズとショーンダフィーシリーズくらいしかシリーズ翻訳が続いていません。 IQシリーズ、スワンソンカイルシリーズ、ヴィクターシリーズ、マーシャルシリーズ(ベン・サンダース)、シャノンシリーズ(スコット・マキューエン)など、次から次へとシリーズものの刊行は打ち切り。極めて残念です。 いずれ、海外の本も翻訳ソフトで簡単に日本語訳できる時代がくれば読めるようになるのでしょうが。 しかし、後書きで本書の翻訳者の方の矜持を見た思いがしました。 本シリーズは続刊が楽しみですね。少なくとも、あと2巻はアメリカでは続刊がありそうですが、日本ではシリーズが続くか心配です。 IQシリーズも鳴り物入りで発売されたのに、たった2つで終わり。非常に残念でなりません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ある小説を「紙媒体」で読んでいましたが、先にショーン・ダフィ・シリーズの新しい翻訳をKindleで読むことにしました。 シリーズ外の「連鎖誘拐」(2020/3月)のアメリカを経て、「アイル・ビー・ゴーン」(2019/3月)に続く「ガン・ストリート・ガール "Gun Street Girl"」(エイドリアン マッキンティ ハヤカワ・ミステリ文庫)を一気に読みました。 勿論、舞台は「終わりのない内戦と天井知らずの失業率の国」、北アイルランド。1985年。のっけからある作戦が開始され、そのときめきは最高潮に達しますが、あっさりと反転。事件は、ノミ屋でしこたま儲けた富豪の夫婦が殺害され、二人の息子が現場からいなくなっていることから事件は即刻解決されそうな雲行きに。その後、関係者と思われる人が次々と犠牲になっていき、事件は北アイルランドの多くの<現実>を巻き込みながら錯綜し続け、ショーン・ダフィとクラビーたち、王立アルスター警察隊は迷走しつつも「終わりのない内戦」という背景を背負ったまま、犯人を見つけ出そうとします。ここまでですね(笑)。スリラーのストーリーを書き過ぎないようにしないと。 <モース主任警部>の街を歩き、スコットランドに足を伸ばし、アメリカ人を怒らせ、<武満徹>を聞きながら、この世界のどこにも分かち合える人間がいないと嘆くショーン。そして、チヌークのブレードが回転する。。。 「アイル・ビー・ゴーン」は「密室」よりも、ラスト1/5がとてもエキサイティングでしたが、今回はメイン・ストーリーが奏でる面白さ以上に<ショーン・ダフィ>のプロフィールと人物造形にしてやられる一作となっています。よって、事件は事件として、4作目の<ショーン・ダフィ>物語を楽しみながら、でも一枚の写真と"Gun Street Girl"というタイトルの持つ本当の意味に気付かされる終盤の「雨の中で流す涙のような」切なさは、他にたとえようがない。 「サイレンズ・イン・ザ・ストリート」を思い出し、ショーンが女性警官と見た映画「ブレードランナー」のデッカードのモノローグのようにショーンは「どこから来て、どこへ向かうのか?」。 「海の明るさと世界のさみしさ」を抱えながら、本当にどこへ向かうのだろう? *その後、トム・ウェイツの楽曲を聴き直しました。最後は、こう唄われています。 "I'll never kiss a Gun Street Girl again" | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!