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氷点
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【この小説が収録されている参考書籍】
氷点の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.47pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全157件 121~140 7/8ページ
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小説のコミカライズは、原作の雰囲気を損なわず、それでいて原作と同等の感動を呼び起こさなければならないので、それなりに難しいことだとは想像できるつもり。 私は三浦綾子氏の大ファンで、『氷点』はもちろん何度となく読み返した。が、寡聞にしてこれが漫画化されていたとは知らなかった。 『氷点』は、あらためて言うまでもなく、キリスト教信仰に根ざした罪と赦しの物語である。少なくとも、その基本線を崩すと物語自体が成立しなくなる。ある程度の脚色をするにしても、この根幹部分に勝手な解釈を挟むのは許されまい。 その意味では、残念だが本作は、原作の持ち味を上手く再現している印象がまるでない。 なにより、聖書の言葉の扱いが軽々しく、浮ついている。真の意味がまるで理解できていないとしか思えないのだ。 レディコミ特有のウケ狙いのような、単なる不倫愛憎劇に堕してしまっている感じが拭えない。 キャラのデザインも、佐石は、いかにも悪役の典型らしい、締まりのないヨレッとした顔つきだし、村井は、昭和20〜30年代とは思えない長髪の、典型的な女誑し風、と、レディコミにありがちなステレオタイプばかり。夏枝も、前半と後半とで、単に年齢を重ねたというだけでは説明できないほど、顔つきも雰囲気も全く違う。唯一、辰子が、スパッと竹を割ったようなイメージを表現できているかな、という程度。 さらに致命的なのは、ほんの数ページの間で顔貌がまるで別人になる箇所があること。答辞のシーンの陽子が典型で、トーンで大袈裟に陰影を付けた顔とベタ線で描いた顔とが同じ人物に見えない。プロの作画とはとても信じ難い。 時代を超えて読み継がれる大名作に果敢に挑んだことは評価するが、独立したコミック作品としては、無理の多い失敗作、という感想である。 | ||||
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物語のテンポが良いので、まさか1960年代の小説だとは思わなかった。登場人物のセリフの書き方に特徴があり、それを口に出したと思わせておいて実は心の中で思っただけというパターンが多く、てっとりばやく人物の内面を読み取れる一方、決して格調高い文学では使わないような技法の気がする。 夏枝と陽子の描き方もステレオタイプな継母と、いじめに耐える明るいシンデレラ少女といった印象で大衆小説的でさえある。 そういった幼稚な面もありながら、この小説をきわめて面白く魅力的にしているのが「原罪」を背負った人間たちの生き様、そして人間が人間に与える影響が目に見えるように鮮やかにそして躍動的に描き出しているところにあると思う。 僕がもし北原だったら、「そんなの関係ねぇ!」って一言いってやったのに。 | ||||
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現実離れした思考や言動が多くて、ちょっとついていけませんでした。 最も信頼できるはずの人間が、こんなんだったら……ぞっとします。 ねちっこい愛憎劇が好きな方以外にはオススメできません。 | ||||
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1960年代に一世を風靡した大ベストセラー小説。 長寿番組「笑点」の番組タイトルも、本作のもじりだったとか。 私はどーもヒネたところがあるらしく、いわゆる「ベストセラー本」には食指が動かない傾向があります。 よってこの「氷点」も長らく避けてきましたが、この度ようやく手にとってみました。 しかし一度読み出してみたら面白いのなんの。 どうにも止まらず、上下巻700ページ程を一気に読みつくしてしまいました。 数奇な運命を背負って生まれた少女と底意地の悪い継母、禁断の恋や一家に次々と襲い来る数奇な運命など、 モチーフとしては確かに「大衆的」な要素が数多く見られます。突飛と思える展開も確かに多い。 しかし本作には「大衆小説」として唾棄し去ることのできない何かがあります。 ネタバレになるのでストーリーは書けませんが、展開展開で複雑に揺れ動き、 また絡み合う登場人物たちの心理状況は、リアルに迫ってくる切迫感に溢れています。 「汝の敵を愛せよ」 聖書にあるあまりにも有名なこの一言。 啓造はこの言葉を、自らを律する言葉としても、また復讐を果たすための隠れ蓑としても使います。 自らの中に化け物のように同居する背反する心情に思い悩む彼の姿、その彼と関係する人たちとの駆け引き、騙しあい。 仮面を被った人間同士が、同じ屋根の下互いに愛憎入り乱れた心境のまま同居している・・・ 「現実的にはちょっとない」設定だと分かっていても、そこに炙り出されるドロドロとした感情は、 読者である我々にも人ごとでないと思わせる迫力があるのです。 朝日新聞の懸賞小説であった本書のテーマは「人間の原罪」でありました。 その難しいテーマに挑みつつ、大衆的な面白さも併せ持っているという点で、やはり得難い一作だなと思わされます。 | ||||
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最初はこの物語のストーリー性に疑問を感じることもあれど、そんなことはすぐに忘れてしまうほど、人間の本質に迫る物語。 キリスト教の言葉で原罪と言われる、人間の本質にある罪とはいったい何か?日常でおきている何が原罪によるものなのか? 読むたびに、主人公の言葉、行動を考えるたびに、読んでいるこちらが考えさせられる物語。久しぶりに人間の奥に届く物語でした。 人として是非読んでおきたい物語。いつ読んでもその時の自分の状況に合わせて考えることができると思います。それゆえ、これだけ長く読み語られているのでしょう。 | ||||
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書かれた時代が時代なので現代の感覚からすれば おおいにそぐわないことはやむをえないのかもしれません。 しかし、まずありえない設定に加え、わかりやすくするためか あまりに単純化されすぎた人間の描き方、 辟易しながらなんとか本編?の上下は読み終えたものの、 この作品を読むのに費やした時間が惜しいの一言です。 | ||||
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何度、読み返したのか分からないぐらい好きな作品。 今、読み返しても、古さをまったく感じさせない。勿論、1970年の作品なので、女性に対する考え方や言葉遣いなどに古さは感じさせられる。けれども、基本ストーリや登場人物たちの感情の揺れにはまったく古さを感じさせない。 まるで自分のことのように、共感したり、考えさせられたり心を力いっぱい刺激される作品だ。作品終盤の怒涛の展開では高まる緊張に息をすることも忘れて読み、ラストの衝撃の展開では、人間の弱さを突きつけられて、その突きつけられた人間の弱さや醜さが決して他人事ではなく、自分も持っているものだということに、涙腺を刺激された。 人間はなぜ嫉妬や憎しみ、寂しさという感情を持っているのだろう。 なぜ、他人を心から信じることができないのだろう。 なぜ、それでも愛されたいと思ってしまうのだろう。 登場人物はみな、悪い人ではない。しかし、弱い。その弱さゆえに思い合って、愛し合っていても、その想いがうまく絡み合わない。今回の読書では、そのことを自分の体験と重ねあわせて、しみじみと実感し、改めて人間と人間の関係のもろさを思った。 | ||||
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最後の最後で、遺書の中で初めて用いられる「氷点」という言葉が、とてつもなく重い。途中では「氷点」が何を指すのか予測できないのですが、最後で「氷点」の意味が明かされます。 人間の「原罪」を扱った小説なのだと聞き及んだうえで、本著に臨みました。啓三も夏枝も徹も、抗いがたい人間の弱さを持つ者として描かれていて、人間は完全な善ではありえない存在であることが分かります。その中で、陽子は善たろうとする気持ちが最も強い。「どんなことがあっても、自分の性格をゆがませたりする愚かなことはすまい」と。そんな陽子が己の原罪に気が付いた瞬間が「氷点」なのです。 人間は罪を背負っているから<ゆるし>を求めます。登場人物たちも、お互いに心から<ゆるす>ことができたなら、度重なる悲劇を回避できたかもしれません。<ゆるす>ことがどれだけ難しいかを、あらわにした作品です。 また、育児院に勤務し、後に独立開業する産婦人科医・高木の言葉も、原罪に関して問題を提起しています。 「はってでも逃げられるものならまだしもね。腹の中に入っていて、逃げも隠れもできないものを殺すんだ。月の経った中絶児は膿盆にのっかってフガフガとつぶやくように泣いてますわ。何の罪もないものをね。立派な殺人ですよ」 これは、曽野綾子の「神の汚れた手」に通ずるものを感じます。キリスト教徒ならではで研ぎ澄まされた、問題意識ではなかと思いました。 | ||||
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夫婦、家族、それを取り囲む人たちにおける「嘘」と「愛」の模様。入り組む感情に自然描写が臨場感を引き立て、作中の人物一人一人の胸の奥が痛いほど分かります。ドロドロとしたサスペンスではなく、子供も楽しめ、勉強になる本です。 | ||||
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水が氷になるように、心の形が突然姿を変える「点」がある。 氷点という言葉は作中に一か所しか使われていないが、そうした心のターニングポイントは小説のあちこちにあって、それがこの本のテーマのひとつであるのだと思う。 著者は熱心なクリスチャンであり、この小説にも聖書の言葉と思想が見られるが、「原罪とはなにか」という本の裏書にあるような内容とは、少し違うように思える。 陽子の導き出した結論と考えは、あまりに突然すぎて驚いてしまった。 人の罪と宗教(キリスト教)で言えば、外国の有名どころではホーソーン「緋文字」、ジッド「狭き門」、ドストエフスキー「罪と罰」あたりだが、そこらへんと読み比べてみてもおもしろいかもしれない。 非常にドラマティックな物語。 「原罪」よりむしろ、人の心が変化するその「点」の描写のうまさを、読んでほしいと思う本。 | ||||
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一度読んでおきたい作品と思って、この本を手にした。読み出すと夢中になった。長旅の飛行機に乗っていたこともあり、上下巻それぞれ1日で読めた。 すごいと思ったのは、各登場人物の心の中に広がる苦悩、感情の揺れが幾重にも展開していく様子。人間の心の揺れが実にリアルで細やかに描写されている。 読後感はとても重苦しい。それがこの作品の主題であるので、それはそれで良いのだろう。ただ、このストーリーの出発点となった「原罪」は、やや現実性に欠ける設定であるように思われる。 | ||||
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あの終わり方では続編が出たのも納得できます。陽子は完璧に「被害者」の立場ですね。 多くの読者の方が同情したことでしょう。さて原罪はどこにあるのか?そもそも何の「原罪」なのか? 単純に陽子のあの行為の「原罪」がテーマなのか? 私たちは思考を強いられます。解釈、結論は読者によって異なるでしょう。 とにかく読むことです。 | ||||
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小説と現実を照らし合わせるのはあまりよくないのですが、私はついついしてしまい、夏枝や啓造のような行動をとる人間はかなり少数では(というよりいないのでは?)という疑問を抱きながら読んでしまいました。 それはともかく「原罪」がテーマのあまりに有名なこの作品。 一体物語の原罪はどこにあるのか。解釈は読者によって分かれるでしょう。 キリスト教との関連づけが自然で違和感がなく、見事でした。かといって宗教色が濃いわけでもないので、普通の小説として楽しめます。 お薦め作品です。 | ||||
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読みましたよー。 読み応えありありで「うちあたい」しまくり。 夏枝が自分の様で冷や汗が出た。 昭和の言葉使い、昭和の学生の会話、昭和の人間関係、昭和の人の思考回路。 「原罪」というテーマに挑んだ作品だけど「現代」が舞台なら「so what?」で終わっていたかもしれない。それを暗く重く沈んだ空気に仕立て上げさらにはその中に美しさまでも生み出してしまうのはやっぱり昭和のなせる業だわ。参った!お見事! ハイドパークで読みました。 | ||||
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無名の主婦であった三浦綾子を一躍流行作家にした作品としてあまりにも有名な本作。 なんども映画化・ドラマ化されているため、かえってじっくりとこの小説に向き合うことが できないできたが、今回読んでみて改めて三浦綾子の作家としての大きさを実感させられた。 時代が移り変わり、通信手段や科学技術がどんなに発達しようとも 人間ひとりひとりの心に潜むエゴイズムや嫉妬・憎しみ、欲望は不変のままである。 最近の作家の作品には、そういった人間の業に対しさしたる疑問を持つことなく、 むしろ開き直ってそれらを正当化した作品が目立つように思う。 それに対し、この「氷点」は荒削りな部分も少々あるとはいえ、 人間の弱さや醜さを見つめ、それを克服しようとする清冽な真摯さに溢れている。 また舞台となっている旭川の美しい自然描写もこの作品の大きな魅力のひとつとなっている。 世代を超えて読み継がれる、普遍的な優れた作品だ。 | ||||
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キリスト教的な考え方というのは実のところ理解できない部分も多いです。しかし、この本はそんなこと考えなくても知らなくても十分面白く読めます。 波乱に満ちたストーリー展開は一級のミステリー小説といってもいいのではないでしょうか。 文字が苦手な人にも絶対に面白く読める小説だと思います。 一番興味深かったのは、主人公の母親の言動です。自分の美しさを誇りそれが永遠のものだと信じていたのに、継子によって無残な敗北を喫する。若さと美しさは限りあるものであることを痛切に感じさせられました。そして女の持つ独特の心の醜さをみせつけられているようでした。 | ||||
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最近よくある、奇をてらっただけの小説などより 断然おもしろいです。その上、読んでいる最中も 読み終わった後も、じっくり考えさせられてしまうほど テーマが深いのです。どの登場人物もそれぞれに可哀想で 胸が痛みました。ただ、陽子が終盤とった行動が私には 理解しかねたのですが、それだけ原罪というのは重く人間に のしかかっているということなのでしょうか。 他の三浦綾子さんの著作ほど宗教色が濃くないようなので どんな方にも読みやすいかと思います。 | ||||
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私は登場人物に感情移入して読むので、登場人物の苦悩がとても辛く感じられました。 こんなことありえないだろうと思うような誤ちを主人公達が犯してしまうのですが、実際にはこういう事が起こりうるのは人間のどうしようもない弱さのためであるのではと思いました。その誤ちのせいで、何十年も登場人物達は苦しみ続け、さらに間違いを犯していくのですが、その心理描写がとてもよくされていると思いました。登場人物達に起こる不幸の数々に、本を読みながら、もう何も悪い事が起こらないで欲しいと思いながら読んでいました。人間の弱さ、そして原罪が非常によく描かれていると思います。 続氷点もとても読みたいのですが、内容が重いので自分の気持ちまで暗くなってしまうので、今は読むのをためらっています。 陽子が幸せになればいいなと思っています。 三浦氏はどのようにしてこんなストーリーを考えつくことができるのでしょうか。大変感動しました。 | ||||
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母親が気の毒で途中で腹がたってきました。 自分の娘を殺された上その子を殺した男の娘を育てなくてはならない、それほどの罪をこの母親が犯したとは思えません。 こんなひどい夫がもっともらしく悩んでみせても白けるだけです。周りの人は全員被害者だと思います。 | ||||
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まず本当に面白い。 ページをめくらずにはいられないストーリーの面白さ。 主人公は読む者の心をわしづかみにするほど魅力的。 緻密に著者に計算されつくした面白さだ。 しかもこれは、1960年代、全くの無名の新人によって、病床で描かれた作品だというのは、本当に衝撃的だった。 三浦綾子はこの作品で、当時1000万円という賞金を手にした。 その事実だけでも、どれだけすごい作品かがわかると思う。 そして、この作品は、ただの娯楽小説ではないところが、一番の素晴らしさだ。 人間の「原罪」「許し」という壮大なテーマが描かれ、 人間存在の根源を私達に問う。 日本の誇りだと言っても過言ではないと思う。 | ||||
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