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楽園とは探偵の不在なり
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楽園とは探偵の不在なりの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.11pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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全体の流れでなんとなく感じたこと。 運命の理不尽さを比喩的に現すかの様な絶対的存在がもたらした新秩序や、 現実の様々な不条理との対比としての主人公含めた主人公の過去の仲間たちの、 最近発売の推理小説としてはあり得ないほどクラシックな正義感や、 その主人公サイドの抗いに美学を感じさせたい演出、 過去回想と対比させた場合の主人公の過去の仲間たち絡みでの喪失と再生、 悲しみの復讐鬼な犯人に、それ故にこそ逆説的な圧倒的正当性がある王道さ故の、 登場人物達の犯人へのある想いがクライマックスで一つになる等、 個々の要素自体はベタながらそう悪くないと思います。 ですが、各場面で私が個人的にそれらに感情移入するには、 各キャラの掘り下げ不足や、 過去から現在へと普通に進まず、 要所要所で過去回想に戻る演出(その話は、もう少し前に入れた方が、事が起きた後に入れるより効果的だったのでは、等)等が、 こちらが意識して必要以上に行間を読まないと感動しづらく。 例えば、犯人に対し、クライマックスで主人公サイド全員あそこまで感傷的にさせるなら、 もっと、主人公(もちろん主人公含む)サイドの各皆様から犯人さんの好感度上昇イベントを、 もうちょい入れてもいいと思う。 天帝果実みたいに異常に長いのは困るが、 主人公の過去話を、過去の仲間たちと何があったか、を本編エピローグ付近のアレ含め前編としてきちんと描いた上で、 本作本編の物語を後編として描くとか、 あと犯人さんが皆からより好かれるであろうイベントを、 クライマックスまでにもう二、三入れるとか。 作者の脳内では補完できてるであろう(と信じたい)数々の説明や掘り下げ、 を、あと少し、伝える工夫か何かしていただきたかったです。 特に個人的な長所としましては。 特殊ルールを一方的に行使するファンタジー存在が、ただミステリー部分のミスリードの為でなく、 主人公(と、彼を慕う人々)の過去と現在を通して、ライヴアライブの無法松さん的正義感との対比になっている、という点が。 この時代に、今となってはある種古めかしい方向性の「正義」さえテーマに感じられ、攻めてると思います。 古いとか新しいとか関係なく、 よいことはよいし、悪い事は悪い。 勧善懲悪というのは、因果が短絡な事ではけしてなく、 文字通り、テーマとして善きことをなすようにすすめ励まし、 悪しきを懲らしむを旨とするのであり。 逆説的な被害者に主人公達が同情的だからとて、 勧善懲悪でないなどという事はなく、 むしろそれ故にこそ。 ただ、その、正義感を美徳としている点が、ミステリーとしての作風より、 若干色濃くなりすぎていた様にも思えます。 | ||||
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一言でいうと「期待はずれ」です。 本格ミステリ、特にクローズドサークルものや魅力的な探偵が登場する小説が大好きなのでめちゃくちゃ楽しみにして読みましたが、残念ながらそれを超えてはくれませんでした。 モヤモヤする点が多くずっと引っかかりながら読了。 良質な本格ミステリをたくさん嗜んできた方はこの作品を楽しめないかもしれません。 【良かった点】 ・真犯人の使ったトリック。2人以上殺せば地獄に落ちることや天使の存在をしっかり活かせていて良かった。 【モヤモヤした点】 ・2人以上殺せば地獄に落ちるこの世界では、連続殺人が起こりずらく探偵の存在が不要になったとされている。→そもそも1つでも殺人事件が起きたら、それを解決するのも探偵じゃないか?“連続殺人”が起きない世界で探偵が不要っていう前提が理解できなかった。 ・主人公である青岸の「探偵」としての素質が伝わってこない。今まで解決してきた事件はいくつか紹介されるが、“どう”解決したのかはあまり分からない。探偵というワードが何度も本文に出てくる割に、そのキャラクターもあまり魅力的でなかった。 ・登場人物の関係性にも感情移入できない。青岸、大槻、伏見、早倉など過去にも関係性があったらしいが、それを納得できるほどのストーリーが伝わってこない。 ・全体的に文書が稚拙。カッコつけた言い回しも寒く感じる。 ・1番盛り上がるはずのラストもありきたり。 | ||||
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これまでに斜線堂有紀作品は数作品読んできましたが、これは個人的には合いませんでした。二度殺人を犯した者は天使に地獄へ送られる、設定は良かったですが、他はかなり地味。個人的には退屈でした。 これまでの斜線堂作品は胸を揺さぶられるような感動だったり、切なさが読後感にあったのですが、この作品にはそれがありません。 私が大好きな小説家を殺すまで。 夏の終わりに君が死ねば完璧だったから。 恋に至る病。 などの作品が好きな方には合わないと思います。 上記の作品、ライト文芸とはことなり、こちらの作品はかなり本格的とでもいいましょうか。ライト文芸を求めている方には違うかもしれません。 かといって本格的なミステリーを求めている方には少々物足りないと思います。 | ||||
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「2人以上殺した者は<天使>に依って地獄に墜とされる」世界を舞台とした不可能犯罪ミステリ。主人公の探偵業の青岸は「天国が存在するか知りたくないか」という大富豪の常木の誘いに乗って<天使>が飛び交う"地上の楽園"である常木が主の<常世島>へと招待されるが、常木の館である<常世館>で、起こる筈のない連続殺人が起きるという魅惑的な設定(まさか、複数犯という事は無いでしょうね)。更に、迎えの船は4日後にしか来ないという設定で「孤島&館」物ともなっている意欲作。尚、<天使>は通常のイメージとは異なって爬虫類の様な異形の姿をしている上に無辜の人間に対しては簡単に捕まって食べられてしまうという無力な面も持っているとの造形に加え、<天使>の降臨以降、青岸は探偵の役割がなくなってしまったという恨みを持っているという背景を用意している。 誰しも疑問に思い、作中でも言及されているが、「1人」だけ殺す人間が増えるのではないか、あるいは、いっそ殺人を犯すなら無差別テロを犯す人間が増えるのではないかとの疑念が湧く。そして、常木は青岸に向かって「君は選ばれた人間で<天使>と話せる筈だ。天国が存在するかどうか<天使>に尋ねろ」とトンデモナイ事(実は本音)を言い、それを聞いた青岸は卒倒するが、その間際に、かつての探偵事務所仲間に想いを馳せて、「たった1人でも多く道連れにしたい」との破滅的願いの犠牲者と仲間を形容する。そして、まず、常木が殺害され、館中の全員にアリバイが無い。ここから徐々に青岸・常木を中心とする館内人物の関係・因縁が明かされて行くが、<天使>、<神>及び<天国>に関する形而上学的論考が多く、ミステリなのか神学論なのか良く分からない。とにかく、青岸は"正義"を貫こうとする(この状況において"正義"とは何かという問題はあるが、上述した仲間に対する"探偵"としての矜持・責任感なのだろう)。続いて、代議士の政崎の殺害が起こってしまい、とうとう連続殺人だ。失踪した(地獄に墜とされた)人物が連続殺人犯という解は本作では成立し得ない。複数犯も論外。作中では個々の殺人の動機を穿鑿しているが、本作の意匠とは程遠いだろう。そこへ、失踪と殺人とが続く...。 最後は定跡通り全員を集めての青岸の推理披露だが、理窟を捏ねてはいるものの、結局、複数犯と教唆犯との組合せで味気ない事この上ない。「教唆犯」を殺人犯とは見做さないのかといった"<天使>の判断基準"が初めから曖昧で、この手の作品としては致命的である。「地獄に墜ちる」よりも自殺の方が好ましいと考える人間心理への踏込みも甘い。魅惑的な設定だが、"<天使>の判断基準"の曖昧性が致命的で、ミステリ的意匠とは程遠い結果となってしまった竜頭蛇尾の残念な作品だと思った。 | ||||
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二人以上人を殺した者は、天使によって地獄に堕とされる。そんな世界では連続殺人は起こらないはずだったが、孤島に集まった客が次々と殺されていく。探偵の出番はあるのか。 超自然のルールが存在する世界のミステリである。残念ながら天使や地獄の設定にリアリティがなく、あまり魅力がない。理不尽な存在に対して「わからない、わからない」と言ってるだけでは、現実とあまり変わらないのではないか。この世界なりの論理による謎解きは、まあ普通に面白かった。最後の死者についての記述がいい加減すぎる。 どう考えても絶賛されるような作ではないと思うが。 | ||||
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2人以上を殺した人間は、天使によって地獄に送られる。 上記の設定や天使という存在は魅力的でした。 ただ、もう少しその設定を活かした(あるいは裏切った)事件だとより面白かったと思いますが、一気読みするぐらいには続きが気になる本でした。 ミステリというより、主人公の心境の変化や、どうやってそこに至るのか、を楽しむのであれば良いと思います。 (同作者がSFマガジンにて書いた『回樹』を考えれば、心情を描く方が得意なのかもしれないです。) テッド・チャンの『地獄とは神の不在なり』が着想点ということで、一変した世界やその不条理、その中でも生きていかなければならないということを描きたかったのかもしれませんが、もう一ひねりして欲しかったのが正直な所です。 上記の理由で☆3.4くらいなので、☆3としました。 | ||||
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特殊設定ミステリーは好きです。世界観を作り上げ、その中で事件がおこり、この設定だからこそ成り立つトリックあり。天使がいる設定にはのめり込めました。トリックに関しては予想通りの部分もあり、そこまでの驚きはなかったですが、この設定でまた別の話も見てみたいです。 | ||||
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一気読みする程度には面白かったです ライトノベルだと思えば☆4です。 ただ作者の他のタイトルも見ればわかりますが、オマージュばかりで芸がないです しかも相手が超一級のミステリばかりなのでこちらのレベルが悪い意味で際立ってしまう | ||||
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「二人以上の人間を殺害した者は天使によって地獄に堕とされる」という世界を舞台にした特殊設定ミステリ。 設定を提示した上で、きちんとそれに則った世界観と動機、トリック、テーマなどを展開しており、好感が持てた。 ただ、いささか見逃しがたい疑問もいくつかあり、どうにも評価が辛くなってしまった。 少々粗くはあるものの、意気込みは感じられる佳作。次回作にも期待したい。 ※以下ネタバレで疑問を。 ・ボートを海岸から発進させれば、いくら何でも繋がれていたロープには気づくのでは。いかに錨が原因とはいえ、船が前に進まないとなれば振り返りもするだろうし、そのときにピンと張ったロープに気づかないとは思えない。 ・「コルクに毒が含まれており、その欠片が落ちたワインを飲んだことで死に至った」というが、具体的にその毒とは何だろう(そんなごく微量で致死量に達する毒というとテトロドトキシンぐらいしか思いつかないが、その場合速やかに呼吸が止まるので当てはまらないし)。 | ||||
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全体を通して楽しく読めました。 しかしヒントの散りばめ方が割とあからさまで、結末自体もこみ入ってもいないのでミステリーとしては物足りないような気がしました 神父と牧師について既に指摘されていますが、デビュー作では銀行振込に関して間違いがありましたし、そういう細かい部分を丁寧にしてほしいなとは思います。ただ、作品を重ねる毎に面白くなっている作家さんなので、次作に期待という印象です。 | ||||
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解決編にとんでもない人名の間違いがあって、版元からお詫びが出たが。それに限らず、間違いが多すぎる。神父と牧師を間違えたりしているのは、校正の問題というより作者の問題だろう。特殊設定を売り物にしているのに、説明が足りないのは疑問。設定をきちんと考えてないのでは、と思ってしまう。他にも突っ込みどころが多々あるが、ネタバレになるかもしれないのでこの辺で。 クローズドサークル、館、孤島とか、流行りのものを詰め込んで売ってやろうという姿勢が嫌だ。 前評判がよかったので、期待して読んだのに残念だった。 | ||||
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