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赤毛のレドメイン家
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【この小説が収録されている参考書籍】
赤毛のレドメイン家の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21~30 2/2ページ
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乱歩が惚れ込み、自身が「緑衣の鬼」として翻案したことでも有名な作品。歴史的な名作ということで、また乱歩の実に熱い紹介文にも引かれて読んだ。 正直なところ、私には乱歩の翻案作品のほうが面白かった。本作は実に地味なミステリであり、私には乱歩が惚れ込んだ理由は分からなかった。探偵役が複数いるが、推理合戦を激しくする、というわけでもなく、ロマンス風味が加味されているが、それも単なるプロットの必要性による以上のものではない。ボワロ・ナルスジャックの「死者の中から」のように、プロットと密接にからむのなら兎も角だが。 しかし、本作では風景描写というか、シチュエーションの描写が素晴らしい。人物の書き分け等は今ひとつだが。 今となっては、歴史的意味合いしか本作にはないと思われる。一応本格ミステリの範疇に入るし、ミステリとロマンスの融合という点では、当時は革新的だったのかもしれないが。ストーリーはゆったりと進むし、結構長さがあるので、時間の余裕があるとき、ゆったりとリラックスして読むのには適した物と言えるだろう。 翻案版「緑衣の鬼」の土曜ワイド劇場版は故天知茂が明智で、故荻島真一出演の結構面白い出来だったように記憶している。ロマンスが絡むので、ドラマ化しやすい作品なのだろう。ミスディレクションはみえみえだけれども。 | ||||
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高い評価と低い評価が相半ばしています。私には、それは立つ位置の違いだと思われます。 ミステリーに興味を置く方(読書の中心がミステリーの方)にとっては、この本は要らない表現がプロットを邪魔しているように感じられ、上質のミステリーに見られるスピーディさがないと感じられるかもしれません。 文学に興味を置く方(読書の中心が文学の方)にとっては、良質のミステリーのスピーディさこそないものの、人物や状況の描写に深みが感じられ随分と読み応えのあるものに感じられるのかもしれません。 これは、どちらが良い悪いの世界ではなく、それぞれの趣味趣向の範囲だと思われます。(ドストエフスキーの「罪と罰」は文学がようやくミステリーに一歩近づいた作品だと言えます) この本は、そう言う意味で、読み時期を選ぶべき本かもしれません。 ミステリー好きの人に言いたいです。人物の造形に物足りなさを感じ始められたら、この本を再読または買って読んで下さい。 文学好きの人に言いたいです。ミステリーも馬鹿にしたら駄目です。ここにミステリー文学とただの文学との華麗なる合体があります。未読の方は買ってでも読むべきです。既読の方は是非再読を! ちなみの、私のミステリーベスト1は「Yの悲劇}です。僅差で本書です。 | ||||
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推理小説史上もっとも美しい作品だろう。小手先だけの理屈を超えた情緒的緊張感を感じさせる世界観が凄まじい。また間違いなく,プロットも 従来のものから開拓され洗練されている逸品。 乱歩が絶賛するのも納得の出来で,トリック云々よりも寧ろミステリという枠組み内だからこそ表現できる人間像に感動したんだろう。。本書の 犯人はどこまでも美しく,それでいてどこまでも醜悪だ。その理屈じゃない純粋な姿こそ乱歩が憧憬の的としたものじゃないか。同時に青写真で あったことは想像に難くない。 | ||||
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トリックの奇抜さや犯人像の特異性を求めて読めば、現代の読者にとっては拍子抜けしてしまうかもしれません。 しかし、翻訳が見事なのかもしれませんが、乱歩が「万華鏡の如く」評した叙述の巧みさは、今読んでも通じるのではないでしょうか? 真相が暴かれることにより、それまでの叙述が示していた意味に異なる「読み」が与えられる様は、まさに万華鏡の名に似つかわしい読後感を読者に与えてくれるでしょう。 惜しむらくは、有名な作品であるだけに読む前からいろいろと知っているために、この効果をもたらす驚きが半減されてしまうことでしょう。 | ||||
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大家江戸川乱歩は、優れた海外探偵小説を自身の「1935年以後のベスト・テン」として評論 し、読者に提示しています。1947年にも同様なベスト・テンを発表しています。 これらの中で本書「赤毛のレドメイン家」は、江戸川乱歩の絶賛・推奨の栄誉に浴しています。 「かの江戸川乱歩のオススメは読まねば!」「乱歩が推薦するベスト・テンは古典的名作の はず」と思われる読者も多いかと、わたし自身もそうでした。 読後感は他の多くのレビューアーがご指摘のとおり。悪く云うと、前半は抑揚な風景描写と スコットランド・ヤードの刑事の片思いの物語。 後半は、アメリカ人の引退した探偵が登場し一気に謎を解きへ。 前半のモタモタした部分では投げ飛ばしたい気持ちを抑え、我慢して読みました。 従ってわたしの興味はこの「赤毛のレドメイン家」の批評ではなくて、江戸川乱歩が絶賛する 理由やわけに移りました。 当然の事として、時代の背景・翻訳書の事情や乱歩の嗜好もあるでしょうが、 江戸川乱歩に頼りすぎる事は注意が必要でしょう。 しかし、氏の絶賛するベスト・テンを読破した思いは変わりません。 | ||||
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この作品は中学生の時に一度読み、何年か後にもう一度読み返したが両方とも楽しむことができた。しかしこの作品のどこが優れているのか、と問われるとすぐには答えを思いつけない。推理小説としてトリックや犯人の意外性があるわけではないのだが、面白い。たぶん推理小説がどうとかではなく、物語としてよくできているのだろう。ゆったりと、しかし舞台をあちこちに変えながらの波乱万丈のストーリーと犯人像の強烈さ(多少古い感じはあるが)は非常に印象に残る。これは推理小説だ、という先入観を排して読むのが一番楽しめる読み方かもしれない。 | ||||
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ロンドン警視庁の探偵ブレンドンはダートムアでの休暇中に素晴らしい鳶色の髪の女性に心を奪われます。後日当地で起こった殺人事件の調査の依頼を受けた所、殺されたのは彼女の夫で犯人と見られる叔父は逃亡したという話でした。単純に見えた事件ですが犯人は捕まらず、残ったレドメイン家の一族にも犯人の魔手がのびるというお話です。 最終的にはアメリカ人のピーター・ガンズという探偵が出てきて事件を解決するわけですが、そこに至るまでのブレンドン君の頭の悪さには読んでいるこちらがジリジリしてきます。まぁ、彼も相応の代価を払うことになったので気の毒ではありますが。 推理小説としてみるとトリックの貧弱さは否めませんが、ブレンドンのロマンスと冷徹な殺人犯が鮮やかな対照を成しています。 舞台設定も風光明媚なコモ湖が最後の舞台となっており、従来のロマン主義的な背景を超人的ですらある犯人が蹂躙する様は、彼なりに推理小説の潮流の移り変わりを示しているように感じました。 | ||||
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非常に完成度の高い傑作である。現在、溢れているサスペンスやスリラー等とは全く一線を画した品格のある作風である。作者フィルポッツは「英国文壇の最長老」と言われた人物で、本来、推理小説畑の人間ではない。そのため、本作は推理小説と言うより、推理文学とも呼ぶべき雰囲気である。重厚な文体、長期間に渡る綿密なプロット、そして、捜査側、犯人側の双方共に踏み込んだ心理描写や人物造詣等、見事の一語である。派手さがなく、かちっとした作品であるため、流行小説を好まれる方にはややものたりないかもしれないが、古典を愛する方、純文学もレパートリーに入っておられる方には是非、読んでいただきたい。とりわけ、ラストは秀逸である。尚、最低でも中学生、出来れば、高校生以上に読んでいただきたい。 | ||||
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トリックがやはり好きです。 真相が判明する瞬間の感動は忘れられません。 ただ、全体的に重い感じがします。 唯一残念な点です | ||||
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推理小説界では超有名な作品。私はクリスティーから入り、そのまま遠ざかっていて、久々に推理ものを読もうということでこの作品など、いわゆる古典的名作と言われるものをきちんと読み始めた。この「レドメイン」は、乱歩をはじめ、とにかくすごいという評価を知っていたので楽しみにしていた。が・・・「この話が書かれた頃には全て斬新なトリックだったのに、その後同じトリックが使い古されたため、かえってこういうパイオニア作品に立ち戻るとすぐに犯人がわかってしまう」という、映画でもよくあることだが、パイオニアが後発に抜かれるという悲哀がここにもあるわけだ。古典作品は、「火サス」を観ているとトリックがわかってしまうほどに、世の中にミステリーが溢れかえってしまっている。が、描写力、読ませる力と犯人像はすごいです。うぬぼれが強く芸術性を何より重んじる犯人、というのも今では珍しくなくなってしまったが、この作品あたりが嚆矢だと思う。今やパイオニア的作品は、余り推理小説を読んだことのない人、スノッブでない人の方が素直に楽しめるのだろう。 | ||||
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