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(短編集)

あひる



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【この小説が収録されている参考書籍】
あひる
あひる (角川文庫)

あひるの評価: 4.05/5点 レビュー 65件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.05pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全65件 1~20 1/4ページ
No.65:
(4pt)

不思議な作品

日常にある違和感や些細な出来事を描いているように思えますが、視点と作者の書き方により、ホラーや夢の中にいるような、奇妙な話を読んでいる感覚になります。
ラストでは「これが私たちが住む世界の本質ですよね?」と静かに教えてくれ、人間の気持ち悪さを突きつけられます。
あひる (角川文庫)Amazon書評・レビュー:あひる (角川文庫)より
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No.64:
(5pt)

“鳥”で繋ぐ

Amazon商品紹介より以下。

【新たな今村夏子ワールドへ】

読み始めると心がざわつく。
何気ない日常の、ふわりとした安堵感にふとさしこむ影。
淡々と描かれる暮らしのなか、綻びや継ぎ目が露わになる。

あひるを飼うことになった家族と学校帰りに集まってくる子供たち。
一瞬幸せな日常の危うさが描かれた「あひる」。
おばあちゃんと孫たち、近所の兄妹とのふれあいを通して、揺れ動く子供たちの心の在り様を、あたたかくそして鋭く描く「おばあちゃんの家」「森の兄妹」の3編を収録。

 *

単行本で読んだ。2016/11/18発行。
よく伏線というか、沢山ありそうで読み返すと面白い。以下、ネタバレしまくり。
表題の「あひる」と、「おばあちゃんの家」「森の兄妹」が続く。
実はこの3編、全部繋がっているのではないかと思う。
時系列でいうと後の2編から戻って「あひる」へ。
・弟は「将太」くん
・姉は「みのり」
・おばあちゃんがいた
「あひる」では大人になった「みのり」か?名前が出て来ず「わたし」人称。
そして「おばあちゃんの家」では弟が出てくるが名前は出て来ず、「あひる」では「将太」が出てきた。
そうやって考えてみていくと可能性が大きかった。
家族構成がおばあちゃん・母と父、姉と弟で共通するからまさかな、と思っていたら。うっわ、面白いってなった。

びわ、って家庭で植えると不吉と言われている。
理由は諸説あるが、病人が寄ってくるとかいう。びわは食物としては病気にいいのだが、それが返って病人を寄せつけるというものだ。現に、「森の兄妹」の2人が誘われている。

そして唸ったのが“鳥”だ。気づいた人がいないのかと他を探してもいない。
3編とも“鳥”が出てくる。ニワトリ、あひる、孔雀、キジ。
ニワトリ小屋をあひる小屋にし(「あひる」)、あとの2編中で孔雀とキジが出てきた。
2編が繋がっている事は読めば察しがつくと思う。わたし(みのり)が小さい時に見た孔雀を森の兄妹が見た。実はキジだったが。
それを読んでまた「あひる」を読み返すと、“わたし(みのり)”のとある行動の前に、違った解釈ができた。
あひるが死ぬ前に、カギを探しにきたと言っていた男の子が現れる。
“わたし”は彼が何者なのかを考える。「真夜中に突然やってきて、食べるだけ食べたらサッサと帰っていった不思議なお客さん」「でもどこかで見たことがあるような気が、しないこともない」と思考を綴っている。
これは「森の兄妹」の事を思い出そうとしている。
思い出したどうかは不明だが、結局“わたし”はあひるの恩返しの方をとったようだ。都合のいいように生きる、悪い事は隠す。本書のテーマに添うかもしれないが、1つの発見だった。

「あひる」が他2編の後日談となるなら、おばあちゃんは亡くなったか居なく、
悲しい事を隠すような両親が痛ましい。このままだと断絶してしまいそうだったが、弟夫婦に子どもが生まれ、もしかしたらおばあちゃんが住んでた小屋(可能性が)の後に、取り壊してブランコができる。
こうやって人間は生きていくんだよ。
それを皮肉たっぷりに受け止めた、本作だった。いやぁー、ブラックは好きなもので、こんな短い話の中で探し物をしながら読む、面白かったですな。

こちらを読む前に「こちらあみ子」「ピクニック」を読んだので、ただ坦々と表面では日常を書きながらも、何かあるな~と期待しながら本書を読む事ができた。
もっと深堀りしていったらまた違う発見が出てくるかもしれない。
もしやおばあちゃんは小屋に押し込められていたんじゃないかとか(そこまでは無いだろうと信じたい)。
次は「星の子」を読んでいますが、宗教が出てくる。これも作家の持ち味がふんだんに出てきそうで、楽しみです。
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No.63:
(3pt)

日常の静寂に潜む不条理を描く

今村夏子の「あひる」は、静かな日常の中に潜む不穏さと不条理を描き出す短編集。

この作品集は、どこか現実離れした出来事が普通の人々の生活に突如として入り込む様子を描写し、読者を引き込む力を持っている。

表題作「あひる」では、一見すると平凡な日常が、少しずつ不穏な色合いを帯びていく様子が巧妙に描かれている。

主人公は日常の中で不可解な出来事に直面し、その異質な現象に対して無力感を抱く。

著者の筆致は、細やかな描写と淡々とした語り口で、現実と幻想の境界を曖昧にし、読者に不安感と興味を同時に抱かせる。

この作品集の魅力は、普通の生活の中にある微細な変化や違和感を丹念に描き出す点にある。

著者のストーリーテリングは、読者が自分自身の日常にも同様の不条理が潜んでいるのではないかという感覚を呼び起こす。

物語の結末が必ずしも明確な解答を与えない点も、読者に考察の余地を残し、余韻を楽しませる要素となっている。

このストーリー展開を楽しめればの話だが。

また、今村のキャラクター描写は非常に繊細で、登場人物たちの内面世界が深く掘り下げられている。

彼らの些細な行動や思考の変化が、物語全体の不安定さや緊張感を増幅させる役割を果たしている。

本書は、今村夏子の文学的技量を存分に感じさせる作品集だと感じる。

日常と非日常が交錯する独特の世界観は、一度読み始めると止まらなくなる魅力を持っており、読者にとって忘れがたい読書体験を提供してくれる。

彼女の作品は、日常の中にある異質さや不条理に対する鋭い洞察を持つ人々に特におすすめ。
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No.62:
(4pt)

ざらっとしたものが残ります

ハッピーエンドではなく、読後心にざらっとした感覚が残ります。 
『むらさきのスカートの女』が好きな人にはお薦めです。
今村ワールドの読後のざらっと感が、癖になるんだよね…
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No.61:
(5pt)

ちょっと怖い…

日常を切り取った短編集。

ただ、ジャンルはよくわからない。
タイトルにもなっている1話目の「あひる」は、ちょっと怖い…
親戚から譲り受けて飼い始めたあひる。そのあひるが病気になり病院から帰ってくると別のあひるにすり替わっていた。
そこから、主人公の家ではなんだか不思議で不安な出来事が起きる。

3話の短編があり、物語は淡々と進んで読みやすいが、正直何を伝えたいのかはよくわからない。でも、ぐいぐい惹き込まれる不思議な小説。面白かったです。
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No.60:
(5pt)

面白かったです

今村夏子さんの着眼点がいいなと思いました。
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No.59:
(5pt)

ユーモアと思っていたらホラーだった

すごいね。あひる、弟、私の関係に気がつかないと、怖さがわからない。ひょっとしたら、まだ読み込み不足かもしれない。どうしたら、こんな着想を得ることができるのだろう。天才か
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No.58:
(2pt)

あひるの描写は可愛かったけれど

三つのおはなし、読んでいて面白いとは思いました。
どういうこと?どうなるの?なぜなんだろう?はやく答えを教えて、と思ったところで物語はおしまい。それを三回。
面白いと思った気持ちが、全部置いてけぼり。

日常の中に潜む不気味さを売りにしているような解説がありましたが、うーん……答え合わせをしないという前提だと、いくらでも読者を不安にしたり期待させたりできてしまうからずるいなーと思ってしまうので…私には会いませんでした。
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No.57:
(4pt)

とても怖い

短編でさらっと読めるのだけれど読み進むこと構造が見えて来ることで、ジワジワと怖さが立ち上がる。短編同士の重なり合いも、また怖さをかきたてる。素晴らしさを感じます。
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No.56:
(4pt)

自然で美しい

子供と大人の自然で美しい交流が描かれている。
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No.55:
(2pt)

うーん

内容が詰まってない。
何か起こるごとに理由がないというか釈然としない。こちらが想像力を膨らませたくなるような展開もない。

紫のスカートの女も読みましたがまだ向こうの方が展開的にスピーディーで良かったかな?
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No.54:
(5pt)

面白い

ラジオで知って購入しました。
普段、本を読まない夫も読みましたが、
記憶に残る作品でした?
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No.53:
(5pt)

あひるは

一家だんらんのための生贄であり
後にそれはアヒルを見に訪れる子供たちに代わっていく。

最後におとうとの子供が新たな生贄として
誕生するのではないかという恐怖感でエンドと
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No.52:
(4pt)

不気味さは弱めで読みやすい

三編の短編集です。同じ家庭が舞台のようです。時期はあひるだけ違っているようですが。
あひるを飼ってから家庭内の変化も面白いですが、どの作品も家族間との関係の希薄さが印象に残ります。
他の作品より不気味さは弱めなので、今村さんの作品は重いと感じる方でも読みやすいと思います。
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No.51:
(2pt)

描きたいから書いてます?

担当編集さんにせっつかれて描いているような印象です。ご自分の描きたいものをご自分のペースで描かれていないような気がします。面白くもない話の中に面白みを見出そうとする評価は止めた方がいいと思います。
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No.50:
(4pt)

もやっと不安

三作品が収録された短編集。

タイトル作の「あひる」は、あひるを貰い受けた一家の物語。いつしか、その家は、あひるを見にくる子供たちの集いの場となって…。あひるが調子を崩し、病院から戻る度に違和感を感じる主人公。父と母の作為に気づいてるようで、違和感を心の中に仕舞い込んでいる。色々と背景を想像してしまう作品だ。ホラーじゃないけれど、何やらもやもやと不安な気持ちにさせる読後感。

「おばあちゃんの家」と「森の兄弟」は、連作で先の物語の裏側が後の物語で補完されるという仕掛け。何も起きないけれど、こちらも、もやっとした著書独特の味わいがある。

好み。
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No.49:
(4pt)

淡々とした物語の中にある狂気

一人称の目を通して、淡々と紡がれてゆく物語。見たままを書き綴っているだけなのに、ざわめく心とわだかまるような戦慄・・・・変な作品、そして、たまらなく気になる一冊でした。
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No.48:
(4pt)

短編

手に汗を握る経験は共感ができる。
子供ながらにそれがコンプレックスだと思う事も
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No.47:
(5pt)

クリアな視線を通して澱のように積もっていく歪み

『むらさきのスカートの女』『星の子』と読んですっかり今村夏子が好きになってしまい、続けてこちらを読んだ。
表題作含め収録された短編三作、これがまた全部独特の世界観で構成されていてあぁ……これこれ……と陶酔してしまった。
なんでこんなに惹かれるのかも一体何を読んだのかもよく分からない。

文章はかなり平易で簡潔で引っかかるところが何もなく主人公の視線をそのまま追えるのに、段々段々身体の中に歪みが澱のようにたまっていく感覚に襲われる独特の読み心地。主人公の視線は完璧に追えるのに一つ一つの事象については徹底的なまでに説明がない。
普通なら説明が加えられるような異常な状況でも、主人公にとってそれが日常なら主人公にとっては当たり前でなんら心に浮かぶことがないのでそのまま流されていく。その潔さ、小説という形態でそこまで切り捨てられるのかという謎の気持ちよさみたいなものもある。
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No.46:
(5pt)

やばい、記憶になる。遺伝子に刻まれる。

おばあちゃんの記憶。

優しくて、残酷で、働き者で、
少し臭い。

手がしわしわで、おだやかで、
小説のようにオイオイと泣いて、
昔の家族構成や過去は見えない。
まるで最初から老人だったみたいな。

丸まっていて、笑っていて、
足腰が弱っていて、
感情が読めなくて、
サイボーグみたいに、
体のあちこちが人工で、
死を連想させる。

痛い痛いといっていて、
無条件に孫の味方で、
おやつやおこづかいをくれて、
娘を手足のようにつかい、
息子をイヌコロのように罵倒する。

自分のおばあちゃんと、
マンガのおばあちゃんと、
街で見かけたおばあちゃん、
テレビで観たおばあちゃん、
映画で観たおばあちゃん、
友達や親戚のおばあちゃん、
幼い頃のおばあちゃん、
大人になってからのおばあちゃん、
忙しくて、
放っておいた時期のおばあちゃん、
どれもこれもぜんぶが、
おばあちゃんの記憶として、
頭のなかでゴッチャになり、
そしてまた今回も新たに、
おばあちゃんの記憶が、
足されてしまった。

子供の頃の記憶も曖昧で。

それが自分のものなのか、
読んだり見たり聞いたりした記憶かが、
ハッキリしない。

おばあちゃんは、
アヒルと同じように記号だ。

いや、自分や他人や家族も、
ペットみたいに記号なんだ。

実は何も知らない、
でも失いたくなくて、
トラウマを含んでいて、
助けてほしくて、
一生ゆるせなくて。

愛しているという感情も、
記号なのかもしれない。

時間の経過で記号は入れかえられ、
場面に応じて自分をシフトする。
まるで家族なんていないか、
物置にある不用品みたいに。

残酷で、でも今も過去も、
未来にはきっと懐かしい、
思い出になっていく。

同時にどんどん自分の存在が、
誰かにとって、
忘れやすい記号になっていく。
自分が、いなくなった、
会わなくなった家族や親戚を、
少しずつ忘れてきたように。

交換可能どころか、
いなくなってもしばらく気付かない、
いてもいなくても一緒の存在。
自分がそんな、
田舎の茶箪笥のコケシみたいな、
ホコリをかぶった存在になるなんて、
昔なら信じられなかった。
子供はみんな、自分が主役だから。

誰かの脇役になる悲しさと、
それを悲しんであげる優しさが、
今村夏子さんの小説には、
全ての文字に表されています。

読みやすさは、
計算とか無能とか手加減とか、
そんな、よくある理由じゃなく、
深遠な優しさに思える。
本当はどうか知らないけど、
そう感じさせられる。

男性をこんなふうに、
穏やかで優しい目で見て、
包み込むように描く女性作家は、
あまり見たことがないです。

愚痴や不満の塊を吐き出すみたいに、
押しのけるように描く人が多く、
(イケメンは宝塚か少女漫画のよう)
それがあまりに当たり前すぎて、
今村夏子さんを読むと、
あれ? なにかおかしいぞ? と、
不思議な感覚になるくらい、
今回もまた包まれました。
なかよしの姉や妹がいると、
こんな感覚になるのかな。
ぼくは男兄弟なので、
よくわかりません。
無条件の味方がほしくて恋をして、
何度も挫折するうち、
時間は飛ぶように過ぎていき、
押しのける人が普通だと、
思い込まされていたのかな。

これはぜひ男性に読んでほしいです。

世の中は残酷で時間は無情だけど、
でも、あたたかい記憶だって、
いつの間にか蓄積されている。
人は思ったより丸いのかもしれない。

とても上品な寂しさ。
穏やかで幼気な悲しさ。
冷たくてカビ臭い布団のなかで、
温めてくれるような優しさ。

こんな小説が、
もっと読みたいです。
あひる (角川文庫)Amazon書評・レビュー:あひる (角川文庫)より
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