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カインは言わなかった



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【この小説が収録されている参考書籍】
カインは言わなかった
カインは言わなかった (文春文庫)

カインは言わなかったの評価: 3.23/5点 レビュー 13件。 Eランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.23pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(5pt)

きめ細かな人物描写による、立体感のあるドラマが素晴らしい

複数人物の視点を切り替えながら物語が進行しますが、どの人物も細やかに描写されており、物語に奥行と説得力を与えています。
一方で、視点切替のない登場人物は、言動が描写されるのみで「何を考えているか分からない」のですが、それはそれでリアルで好ましく感じました。

ストーリーの序盤で提示される事件についての謎も、真相が明らかになる終盤まで、ずっと大きな存在感を持ち続け、ドラマの強さに負けていません。
また、その謎が解けたとき、表層で事件が解決しても、裏側に「明瞭にならない部分」が残され、読者の想像と解釈に委ねられるというのも、私は好きでした。

バレエについては、ほとんど何も知りませんが、問題なく楽しめました。
エピローグには明るさがあり、この作者さんの、イヤミスではない作品の代表だと思います。
とても面白かったです。
カインは言わなかったAmazon書評・レビュー:カインは言わなかったより
4163910697
No.4:
(5pt)

「持たざる者」の狂気と激情

芸術でもスポーツでもこの世界には才能を「持つ者」と「持たざる者」がいる。
両者では見えてる世界、景色というのは全く異なるものに違いない。
本書では景色が見えない=「持たざる者」のごく近い所に「持つ人」がいて、その才能ある人を「追う」「想う」感情がこれでもかと紡がれる。
その圧倒的な心情描写は読む者すらも追い詰められていくような迫力に満ちている。
「持つ者」との埋まらない溝、詰まらない差。それを感じた時に芽生える、焦り、ねたみ、さらには殺意・・・・・・
そういった感情にこそ「狂気」「激情」という言葉がぴったりハマることをこの小説を読んで痛感した。

そもそもこの物語はあるダンサーが失踪したことから始まり、途中、重要な人物が死にもする。
いわゆるミステリーではあるのだが、その「真相」については直接は描写されない。
前述したような切迫した心情描写の積み重ねの最後にあるはずの「真相」は、我々読み手に委ねられているといっていい。
そういった意味ではものすごく爽快なラスト(私はそう感じた)ですら、著者の新たな挑戦であり、また読者への問いかけでもあると感じた。
自らが「持たざる者」であることを自覚する人であるならば(世の大半はそうだと思うのであえて)、是非読んでみてほしい。
今までに感じたことのない読書体験となること間違いなしの傑作だと思う。
カインは言わなかったAmazon書評・レビュー:カインは言わなかったより
4163910697
No.3:
(4pt)

ミステリーと上手く融合している

有名監督が率いるダンスカンパニーの公演直前、主役に抜擢されたダンサーの失踪を巡るミステリー。
ダンサーの恋人、ライバル、不動産会社の女性社員、元団員の家族らの視点で語られる。

冒頭のシーンが結末にどう結びつくのかが、本作のミステリーとしての醍醐味ですが、それ以上にストイックにダンスを極めようとする者たちや、その彼ら彼女にかかわる家族、恋人達が織りなす人間ドラマの方が濃かったです。
カインは言わなかったAmazon書評・レビュー:カインは言わなかったより
4163910697
No.2:
(5pt)

さすが芦沢先生。

大好きな作家さんです。
本当に舞台の世界を経験したような表現力とリアルさ。
実写化時は藤原竜也さんにやっていただきたい。
カインは言わなかったAmazon書評・レビュー:カインは言わなかったより
4163910697
No.1:
(5pt)

人の生き方とは

本作は、さまざまな作者の想いが込められている
。単なるミステリーだけに留まらず、芸術論、人生論、恋愛論、親子関係、震災の微妙なこころの爪痕など多岐に渡るお話となっています。
本作を読み終えた時、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を読み終えた時の心境になった。

「人の生き方」=「人生論」に注目して、じっくり読んでみました。

「絶対神」に裏切られた人々が、過去に囚われ、過去の中で生きていくしかないという、残酷で消耗的な生き方に頼ることによって、自身の人生を正当化するのは止むを得ないとは思う反面、狂信的で非人間な者のために、灯りを灯すことも出来る人生を不意にするのは勿体ない。

この世に生きる人々は過去に様々なトラウマや心の傷を抱えながら、今を出来る限り、前向きに生きようとしている。

ある登場人物は過去を振り切り、自分の目で未来を見据え、自分の頭や手足で、自分の明るい道を切り開いていったのは、私にとっては勇気づけられました。
本作には「絶対神」は何人か登場するし、「カイン」も「アベル」も複数人いると読み込みました。

ただ、私自身も日頃の行いや生き方や考え方によって、「絶対神」にも「カイン」にも「アベル」にもなりうる可能性はあると思います。

私は、本作を読んで、常に謙虚に、常に前だけを見据えて、過去に囚われずに、自分自身に起こっている状況に負けず、自分の2本の足で、しっかり生きていきたいと思いました。

「自分の人生で大切なものは何か」

考えさせられました。
ありがとうございました。
カインは言わなかったAmazon書評・レビュー:カインは言わなかったより
4163910697

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