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法月綸太郎の消息
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法月綸太郎の消息の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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コナン・ドイルのシャーロック・ホームズものの読解をめぐる一編と、アガサ・クリスティのエルキュール・ポアロの人物造形にまつわる謎を解く一編に、二編の一般的なミステリを加えた四編からなる法月綸太郞シリーズ。ホームズシリーズとポアロシリーズを読んでいなければ楽しめないかとは思ったが、意外にそうでもない。むしろ逆に本書に触発されて読むということさえありうるリーダビリティ。どちらかと言えばポアロ関係の短編「カーテンコール」の方がスリリング。そして「あべこべの遺書」と「殺さぬ先の自首」は法月綸太郞シリーズの中にあっては平均的、という印象。そもそも「あべこべにした理由」が説明されない点で前者には疑問が残るので、後者が物語としては優れていると思う。だがその二編よりも「カーテンコール」の方が俄然興味深い。 | ||||
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コナン・ドイルと、クリスティ―の創作に関わる推理話で、謎解きミステリーを挟んだ、構成の趣向。 どの作品も趣向倒れでなく、水準以上の出来で面白かった。ミステリファンの気持ちをくすぐる内容なのは、間違いない。ただ、ごく普通の読者向けとは、必ずしも言えないと思う。ホームズやクリステイの創作秘話に、興味を覚える読者ばかりじゃないだろう。 | ||||
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知的好奇心を満たしてくれるという点で、とても面白い4つの短編だった。 「白面のたてがみ」は、コナン・ドイルとチェスタトンへの優れたオマージュになっている。コナン・ドイルって、社会での当時発言力を持っていたんだなあ。 「カーテンコール」は、アガサ・クリスティーのポアロシリーズの最終作の「カーテン」の新解釈を、なかなか個性溢れる4人で議論して打ち出すというもの。作者は、かなりクリスティーの作品を読み込んでいて、こちらもなかなかついていけないところもあるが、一応私もかなりクリスティーを読んだので、なんとかというところかな。 後の2編は、綸太郎が警視である父親から聞いた難事件をとくという安楽椅子的なもの。奇妙な設定が面白い。 | ||||
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「白面のたてがみ」は、コナン・ドイルとその作品をめぐって推理を進めていくのだが、取り上げられている作品がホームズシリーズの中にあってマイナーな部類に属するゆえか、あまり興味がわかず、また推理の切れ味もいま一つといった印象。 「あべこべの遺書」は「7人の名探偵」に収められていた一篇で、初読時よりも好印象だったが、果たして解説を読むと、大幅に書き直したとのこと。 その成果は否定しないが、魅力的な謎に比して解決が尻すぼみになってしまった感じを受けた。 「殺さぬ先の杖」は、このシリーズでも少し毛色が変わったアプローチで、亜愛一郎の某作品のような味わいがある。 アレンジは施されているものの、既視感の方が勝ったかなという印象。 「カーテン・コール」が最も楽しめた。 連城三紀彦氏の某作品を思い起こさせる魅力的な推理が披露されるが、いかんせん、その推理には致命的な欠点があるように思える。 「だったら、書き直したらいいじゃん」というツッコミで、すべてが瓦解してしまう気がした。 氏の力量からすれば、星3つが妥当といったところだが、氏の本格ミステリに対する深い愛情に好感を抱いたので、星4つとします( '∀` ) | ||||
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なんの前情報もいれずに読みはじめ、かなり特殊な構成だと知って驚いた。 最初と最後の物語は(私にはうまく表現できないが)論文的な要素を持っていて、ドイル&チェスタトン、クリスティーの作品に新たな解釈を提起する内容になっている。 残念ながら海外古典ミステリの読み手ではないので、上記の部分は理解しきれなかったが、物語としてはとても楽しめた。 …とはいえ、仮にドイル&チェスタトンとクリスティーの作品を読破したところで、記憶力の悪い私には、作中の登場人物たちの繰りひろげる高度な議論に加わることはできそうにもないが。 | ||||
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今年は、「法月綸太郎シリーズ」開始30周年で、丸々一冊が法月綸太郎なのは、『犯罪ホロスコープII 』以来7年ぶり。 収録作品は4作で、冒頭の作品「白面のたてがみ」は書き下ろしで、ホームズ物のなかでは色合いが違う2作とチェスタトンやフーディーニをからめたもの。 最後に収められた作品「カーテンコール」は、本書収録作品では最も長く、「あとがき」によると原稿用紙200枚近いとのこと。名前から想像する人もいるかもしれないが、アガサ・クリスティーが創造した名探偵エルキュール・ポアロとポアロの双子の兄アシルをめぐる内容である。 この2作とも、作家論的な要素が主軸だが、ともにそれが展開されるのは、小説作中の人物たちによるものであり、そこにはある種のミステリ的な趣向も込められていて、評論ではない。ただし、「カーテンコール」では、クリスティーの『ビッグ4』『カーテン』『ハロウィーン・パーティ』『象は忘れない』、エラリー・クイーンの『レーン最後の事件』の結末への言及があるので要注意(それぞれ章の冒頭に注意書きがある)。 「あべこべの遺書」「殺さぬ先の自首」は、やはり「あとがき」に言及されているように都筑道夫『退職刑事』シリーズを意識したもので、綸太郎が、自宅で法月警視の話を聞きながら、あれこれ推理を展開するというもの。いわゆる“安楽椅子探偵”ものである。「殺さぬ先の自首」では、法月警視が亡き妻や叔父のことに言及している。私は、この二人の存在をすっかり忘れていたので驚いた。 個人的には「カーテンコール」が面白かった。クリスティーの作品はあまり読んでいないので、著者が出した結論については何とも評価ができないが、ギリシア神話などにも触れながら、クリスティーの心理に迫っており興味深い。また、『カーテン』と『レーン最後の事件』のことは知っていたが、『五匹の子豚』への言及部分を読んで『フォックス家の殺人』を思い出した。 ★3.5というところだが、30周年ということで★4つにした。 | ||||
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