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死刑判決
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死刑判決の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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他の作品同様、とにかく読み応えがあります。魅力的な人物造形とストーリー展開。車に例えるとフォルムとエンジンのバランスが絶妙で、ぐいぐいと引き込まれるように小説世界へと旅することができます。 彼の作品は概ね法曹三者(弁護士、裁判官、検察官)が主要な登場人物となり、犯罪に巻き込まれたり加担したりと、だからといって、業界の暴露話に終始したり、法廷シーンが前面に押し出されるわけではなく、彼らないし彼女らの私生活へ深く入り込み、法律にかかわる人間の心理や葛藤を描写する手際よさに、僕なんかは感心するわけです。 リアルに感じるから?なぜ、訴訟社会のアメリカでない日本でこれまで生きてきて刑事事件なんかとは全く無縁で、その手の接点とはいえば多くの人と同様にテレビや映画、そして読書といったフィクションを通じてしかないのに? それはともかく、本書の原題は“Reversible Errors”。これは法律用語で「破棄事由となる誤り」という意味で、控訴審で一審判決を大いに覆すような重大な誤りを指します。 10年前レストランで3人の男女を撃ち殺しさらに死後強姦までしたとして死刑判決をうけたロミーが、執行の33日前になって無実を訴え出る。彼の公選弁護人に指名されたアーサーは始めはおざなりに仕事を進めるが、がんを宣告され余命間もない事件関係者による爆弾証言によって死刑囚に冤罪の可能性が高まる。 ロミーを逮捕し自白を引き出した刑事ラリー、公判担当の検察官ミュリエル、有罪の判決を下した元判事のジリアン。主要な登場人物の内、ラリーとミュリエルは10年前の事件当時不倫関係にあり、30歳半ばのアーサーは独身で女性に対しては不器用ながらも愛を求めて止まず、今回の控訴審に際して知り合ったジリアンと恋仲になる。 この二組のカップルを中心に物語は展開し、種々の駆け引きや嘘と本音の混在、裏切りと懐柔といったいくつもの事実が入り乱れて、それらは決して真実へ向けて収斂することなく、犯人は宙づりにされたままとなります。誤りは確かにあった。かろうじて正義ははたされる。果たしてそれがまっとうかどうかは意見の分かれるところでしょう。 | ||||
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リーガル・ミステリーの巨匠スコット・トゥローの文庫上・下巻779ページに及ぶ大作。 2001年4月、10年前レストランで3人の男女を撃ち殺し冷凍庫詰めにしたとして死刑判決をうけたロミーが、執行の33日前になって無実を訴え出る。ストーリーのメインフレームは、彼の公選弁護人に指名された弁護士アーサーと、もともとはロミーに死刑を宣告した、のちに悪の道に染まり服役していた元判事のジリアンのカップルVS刑事のラリーとその不倫相手でもある検察官ミュリエルという構図で、「わたしこそが真犯人だ」という新たな証人が現れ、ロミーの冤罪かやはり有罪か、彼らの激しい攻防が描かれる。 物語は、現在(2001年)からさかのぼって事件発生当時(1991年)と、上述の4人それぞれの多視点で交互に語られ、多面性と複雑さを醸し出している。また、事件そのものを追いかけると同時に、それぞれのカップルの、法と情の間で揺れ動く恋愛模様がたっぷりとくどいくらいに展開される。 この、リーガル・サスペンスとしてはやや手垢がついた感があるテーマを持ってきて、それをどう料理するかと興味を持って読み始めたが、さすがトゥロー、10年の時を経て再び交錯する二組のカップルの、多少の濡れ場はあるものの、他の作品に見られるような文芸趣味を抑えていて読みやすく、といっても通俗エンターテインメントに堕すこともなく、重厚で上質な人間ドラマに仕上げている。 本書は、現役の弁護士であるトゥローが、実務に裏づけされた正確な法廷手続きをベースにしつつ、『推定無罪』から15年経って円熟味を加えた逸品である。 | ||||
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無実を訴える執行目前の死刑囚とその弁護士。ともすれば先が読めてしまいがちな このタイプのリーガルミステリーをさすがはトゥロー、深みが違います。 愛人関係にあったやり手の女性検事と腕のいい刑事。 10年以上の殺人事件の真相が徐々に徐々にあぶりだされます。 登場人物のそれぞれが織りなす人間模様がミステリーに重厚さを与えています。 主人公の弁護士は決して熱血タイプではない。 むしろ、さえないと言ってもいいくらい。 自分がミスすれば、無実の人を死刑台に送ってしまうという 危機感から全力を尽くそうとするのです。 映画化するなら、主人公はニコラス・ケージでしょうかね。 | ||||
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2001年、10年前におきたの事件の洗いざらしから物語ははじまる。1991年、事件当時の現場検証、犯人自白へのいきさつを間に挟みこみながら、過去と現在を交差させパズルを埋め込むように、事件全体が少しづつ明らかになっていく。そして、一方で、事件にかかわった人間たちの、10年間の変化―後悔、挫折、成長をたどることで、単なるミステリー以上の読み応えを読者に与える。純文学的な素養をちりばめつつ、重さをおさえエンターテイメントに徹した作品。読者を次のページへ誘い込む著者の力量はあっぱれ。 | ||||
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数ある法廷ミステリーものの中でも、トゥローの書くものは格別ですね。今回も登場人物は多く、ページ数も多いのに緊張感がゆるむことなく、物語はつきすすむ。エンターテイメント性が高いにもかかわらず、人間洞察もすぐれていて、あっぱれ。 | ||||
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死刑執行までのタイムリミット小説なのだが、トゥローらしく物語は淡々と進み、この種の小説によくある緊迫感はあまり感じられない。メインである死刑囚のストーリーよりは二組の男女の物語がクローズアップされておりサスペンス色は薄い。ただ、推定無罪以降の文学的嗜好の強かった作品よりは読みやすくなっており、そういう意味では今回はエンターテインメントに徹したといえる。物語は重く暗いが、ラストに一筋の光明を見出せたことが救いか。 | ||||
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